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「・・・以上のことからバスケ部は廃部とする」
とある中学校の体育館、教師にあおう告げられた少年はただ立ち尽くし、絶望していた
(なんで俺がこんな目にあわなきゃなんねぇんだ・・・)
(俺はただ・・・)
バスケがしたいだけなのに・・・
とあるバスケコート、そこで二つのチームが3on3の試合をしていた
「巧!パス!」
巧と呼ばれた少年がパスを受け取る、だが受け取った途端二人掛かりでマークされてしまう
残り時間は後五秒
「へっ、俺等の勝ちだな!」
マークに付いていた一人が勝ち誇った顔で少年に勝利宣言をする
「・・・そいつはどうやろな」
少年は眼鏡を怪しく光らせ
「翼!」
左腕にボールを持ち替え、そのボールを体の後ろから右の空いているスペースに放り込んだ
「なに!?」
その場にいたほとんどの者は驚いた、なぜなら誰もいない場所にボールを放ったのだから
・・・いや、『正確には誰もいなかった』のだ
「ふっ!」
その誰もいなかった場所にその少年はいつの間にか駆け込み、ボールをキャッチした
そして完全にフリーとなった少年はゴールまで一気にドリブルし
「これで・・・決まりだ!」
シュートを決めた。 ボールがゴールネットを揺らしたと同時に審判役の少女が試合終了の笛を鳴らした
「くそっ、覚えてろよ!」
試合が終わり、相手チームの少年達は悔しそうにコートから立ち去っていく
「もうこんな真似すんなよー」
立ち去る相手チームに向かってそう言う眼鏡のエセ関西弁な少年は「
「ありがとうございました、これでまた練習を続けることができます」
「お礼なんていいよ。 困っている人を助ける、それが僕達なんだから」
少女達に礼を言われそう答えるこの優しそうな少年は「
「それに、元々あいつらのやってたことは気に入らなかったからな」
ぶっきらぼうにそう言う少年は「
この三人がなぜこのようなことをしているかというと、先ほど立ち去っていった少年達がこのコートを使っていた彼女達に絡んでいたところに彼等が通りかかり、止めに入ったのがきっかけ
言い合いになったところで相手がバスケットボールを持っていたのに気付き、彼女達の解放を賭け3on3で勝負を挑んだのだ
そして彼等は試合に勝ち、無事彼女達を解放してあげたのであった
「ありゃ、なにしてんの、あんた達」
そこに翼達よりも身長の低い女性が通りかかり声を掛けられる
「あ、美星先生」
「ん?誰やこの人」
「えっと、私達の学校の初等部での先生の美星先生です」
巧の質問に少女の一人が答える
「そういうあんた達は誰?まさかうちの生徒にナンパ?」
「ち、違います!僕達はこの子達が困ってたから助けただけです」
優助は美星にそう言われ顔を赤くしながら答えた
「ふーん、なら礼を言うよ。 私の元生徒が世話になったね」
「別に、あいつ等気に食わなかっただけですし、困ってるやつはほっとけないだけっすから」
「へぇ・・・」
翼にそう言われると美星は顎に手を置き何かを考え始めた
「どうしたんですか?」
「・・・よし、なぁ、あんた達に頼みたいことがあんだけど」
美星のその言葉に少し驚く三人
「俺達に・・・?」
「どんなことや?」
「一週間、うちの学校の女子バスケ部のコーチをやってもらいたいんだ」
「・・・・・は?」
この出会いが、この頼みが彼の、小鳥遊 翼の運命を変えたのであった
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とある事情で所属していたバスケ部が廃部になりバスケの道を諦めていた少年はある頼みごとをされる、それは女子バスケ部のコーチだった。 そこで出会う五人の少女達を通じて彼の運命は大きく変わる。