8.追い詰めるリアス、追い詰められる刑夜
刑夜side
…………アァ、やっぱりかぁ…………
この体中から突き破ってきたこの杭は間違いねぇ……
聖遺物|『闇の賜物』《クリフォト・バチカル》
あの神のじいさんやりやがったなぁ
この姿だけでなくこれも憑けてきやがったか
それにこの体に渦巻く渇望も……
じいさんは何がしてぇんだ
言った事とは全く違ぇ事しやがって
それに実際に発動したからわかるぜぇ
この力の危なさがよぉ……
ん?
どうやら驚かせちまったようだなぁ
約一名全く違ぇ反応だがな
……そろそろ解除するか
そう意識すると突き破っていた杭はオレの体に入っていった
そして杭が生えていたところは穴がきれいに残っていた
…………あぁ、服がボロボロだぜぇ
「悪ぃな、驚かせちまって」
「いえ、いいわ。あなた、思っていた以上だわ」
とまだ笑みを浮かべてグレモリーが言ってきた
こんな性格だったかこいつは……
「ふう、ホントに驚いたよ、今のは」
「…………怖かったです」
「あらあら、びっくりしましたわ」
木場、塔城、姫島はそれぞれ思った事を吐き出してオレを見ていた
そりゃあ、いきなり体から杭が出たからなぁ
「刑夜……、体は大丈夫なのかよ」
「あぁ、悪ぃなイッセー、嫌なもん見せて。この通り平気だよ」
イッセーがマジで心配してきたから大丈夫だと伝えたらイッセーは安堵した
「ところで刑夜、あれは何だったの?
あれは私たちから見ても神器には見えないわ」
そしたらグレモリーが聖遺物について聞いてきた
わかってはいたがどう言うかなぁ
「ア~~~、何ていうかねぇ、オレにもよくわかってねぇんだわこれが。ただ、わかんのはこいつの名前は『闇の賜物』っていうくらいだ」
とりあえずはぐらかす事にしてみた
説明がメンドイからっていうのは追求しねぇでくれや
「…………」
だがグレモリーがジト目で見てきた
……こりゃぁ駄目かぁ?
「……ふう、仕方ないわね」
……どうやらなんとか
「また後で聞かせてもらうからね」
ならなかったらしい
あぁ、ばれてるかぁ、こいつにはぁ
そう思っているとふと視線を感じその元を見てみると、姫島のやつがいつもの笑みを浮かべてオレを見ていた
あぁ、こいつもか
「この話は今は措いておくとして刑夜、一誠。これからあなたたちは私の下僕として働いてもらうわね」
「え、ちょっと待ってくださいよ働くなんて」
「…………」
下僕だとぉ?
聞いてねぇぞそんな事
「言ってなかったわね。悪魔として転生させたあなたたちは私の眷属となっているの。だからこそ、あなたたちも一緒に悪魔として働いてもらうわよ」
グレモリーが訳を言ってきたがそれでも納得はできねぇな
個人の自由を尊重させてもらおうか
「それはわかりましたが、いきなり働けと言われてもどうしたらいいのかわかりませんよ」
オレとは違うが働く事に戸惑っていたイッセーが思っていた事を言っていくと
「さっき悪魔は人間と契約を結ぶ事で力を得るって説明したわよね。そのためにも」
グレモリーがそう言いながらいつの間にかテーブルにごっそりと置かれたあのチラシを指指して
「まずはあれを配ってきてもらうわよ。これは下僕であるあなたたちに悪魔の仕事がなんなのかを知ってもらうためにやってもらうわ」
何をするのかを説明してきた
…………だがオレはやるとは言ってねぇぞ
「こ、これを全部ですか」
チラシの量にイッセーはうろたえていたがグレモリーの一言でその態度は一変した
「確かにこれは大変だけど頑張ってこなしていけば…………あなたたちはモテモテの人生を送れるかもしれないわ」
そう言葉にイッセーの動きが止まった
どんだけモテたいんだよ
「モ、モテモテですか!?」
「ええ、昔戦争があってその時に純粋な悪魔が多く亡くなってしまったの。そのせいで悪魔は下僕を集めなければならなくなったわ。でも悪魔は出産率がとても低いからそれで数を元に戻すには時間がかかるから滅ぼしにくる堕天使に対応ができなくなっていってるの。そこで素質のある人間を下僕として引き込むようになっていったのよ」
「それがどうつながるんですか」
まだよくわかっていないイッセーにグレモリーは少し困った顔をしてまた話し出す
「まだ話があるわ。ただ下僕を増やしていくだけでは強い悪魔を存在させる事ができないから新しい制度を取り入れたの。それは人間から悪魔になった者に力さえあれば爵位を与えていこうというものよ。そのせいか世間には割りと多くの悪魔がいるわ。意外とあなたたちの身近にもいると思うわよ」
「そんなに身近にいるもんなんですか!?」
「ええ、そうよ。けれど認識できるものとできないものがいるわ。欲望が強い人や悪魔の手を借りなければならないほど困ってる人には悪魔を認識しやすいわよ」
「じゃ、じゃあ、俺でも爵位をもらえるんですか!」
「ええ、やり方次第によってわね」
それを聞いたイッセーは顔を伏せたがすぐに
「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
顔を上げて雄たけびをあげた
……すっごくうるせぇ
「ふふ、面白いわね、この子」
「ホントですわね。まるでお馬鹿な弟みたいですわ」
グレモリーと姫島がイッセーの様子を見ながら笑っている
てか姫島なにげにひどい事言ってんなぁ
「では一誠。私の下僕として働いてくれるわね」
「はい!リアス先輩!」
「違うわ一誠。これからは部長と呼びなさい」
「え、部長ですか。おねえさまじゃ駄目ですか」
何を言い出してんだこいつはよぉ
「それもいいけど駄目だわ。私たちはこの学校を中心に活動をしているし部活の事もあるから部長の方がしっくりするわ」
良かったのかよ……
ここにはまともなのはいねぇのか
「分かりました、部長!これから俺に悪魔を教えてください!」
悪魔を教えろって、もう教えてもらったろぉが
「よっしゃぁぁぁぁっ!!ハーレム王に俺はなる!!」
なんて事をこいつは言ってるんだよホントに……
言ってて恥ずかしくねぇのかよ
「じゃあ、早速チラシを配ってきて。一誠、刑夜」
「はい!」
「オイ、オレは下僕になるたぁ言ってねぇぞ」
オレがそう言った瞬間、ここの空気が固まったような気がした
「へえ、それはどういう事なの刑夜」
グレモリーがすぐに反応してオレに目を向けてきた
だがなんだこいつの目から感じるもんは
「どうもこうも、確かにオレはおまえに救われたが、これとは話が別だぜ。オレにはオレの生き方ってもんがあるんだからよぉ」
悪魔の仕事なんてしてたら自分の生活費を稼ぐ暇がなくなるからなぁ
「ホントにそんな事が言えるかしらねえ」
オレの言った事を聞いたグレモリーが徐々にオレに近づいてきた
ち、近づいてくんじゃねぇよ
だがオレの願いは届かず、ついにグレモリーが間近にきやがった
ホントに近いっての!
「あなたはあの時、私が助けなかったら、そのまま死んでいたのよ。だからこそ、私はあなたにとっては恩人でもあるの。その恩人に対して恩を無化にするの?」
グゥッ!痛いとこを突きやがる!
確かにこいつには助けてもらったから恩義がある
それを出されちゃあ、断ることが難くなる
だが!
「だが、オレはこれでも一人暮らしで生活費稼がなきゃあ、ならねぇんだ。悪魔の仕事なんてしてたら、生活が苦しくなんだよ」
「そんな事はもう知っているわ。だけど、タダ働きしてと言っているわけじゃないわ。仕事をしていけば人間から代価としてお金がもらえるから生活が苦しくならないわよ」
チィッ!これもふさがれたかぁ
どうする!
そう思ってほかのやつらに助けを求めようと見てみたら
木場はこちらを苦笑いで見ていて
塔城は俄然せずといってんのかこちらを見ておらず
姫島は変わらず笑顔で見てきて
イッセーは羨ましそうにしていた
…………誰も味方がいねぇ
「ねえ、どうなの刑夜?」
「…………」
てかホントに近ぇよ!
また血が出るがよぉ!
おそらくオレの顔は真っ赤だろう
それほどまでにやべぇ
「わ、わかったよ!わかったから早く離れろやぁ!」
オレがそう言ったらグレモリーは勝ち誇った笑みを浮かべて離れていった
…………やられた…………
「そう、良かったわ。これからもよろしくね、刑夜」
こうしてオレはグレモリーの下僕とされてしまった…………
はぁ、なんでこんな事ばっかなんだよ、最近わよぉ…………
今オレは最初の仕事であるチラシ配りを走ったり、屋根から屋根へと飛び乗ったりして配っている
はぁ、……どうしてこうなっちまったんだか
オレはそうしている一方、イッセーは
「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
自転車に乗って爆走しながら配っていた
欲望のためならここまで力がでるもんかぁ
「やってやるぞぉぉぉ!!ハーレムのためにもぉぉぉぉ!!
ホントにどんだけだよ
てか近所迷惑だろうが
そう思いながらオレはふと自分の中に眠っている聖遺物について考えてみた
……この力はオレにとって過ぎたもんだ
このままこの力を使っていいもんなのか
しかも形成はできたがいいが、まだオレはこれに完全に振り回されていやがる
このままいってれば
…………迎えるのは自身の崩壊…………
どうすりゃぁ、いいんだぁ…………
オレがそう思ってもそれから何も答えは出なかった…………
side out
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引き続いてどうぞ。