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注意 本作の一刀君は能力が上方修正されています。
そういったチートが嫌い、そんなの一刀じゃないという方はご注意ください。
張3姉妹が旅に出て1週間がたとうとしていた。
俺が世話になってる村は、小さいながらもとても良い所で、村人達も気のいい人達ばかりだ。
こんな得体の知れない俺にも、とても親切にしてくれた。
俺はそんな人達に少しでも恩を返そうと、山菜や魚、はては猪などをとってきては皆に配っていた。
大分ここでの生活に慣れ、村の人達との関係も良好といえた。
そんなある日、
お婆さん「おや、御遣いのお兄ちゃん。今日はどっかにお出かけかい?」
一刀「うん、ちょっと町まで買い出しにでもいこうと思ってね。」
お婆さん「そうかい、気をつけて行っておいで。」
一刀「ありがとう。お婆ちゃん。」
そういって、隣の家のお婆ちゃんに挨拶を交わす。
ちなみに、なぜ俺が御遣いなんて呼ばれているのかというと、俺が天の御遣いかもしれないという話をあの3人(というか、天和と地和)が村中に言いふらしたためだ。
はっきり言って非常に困るのだが、それで定着してしまい、俺の方が折れることにしたからだ。
おじさん「お、御遣いの兄ちゃんじゃねえか。また山にいくのかい?」
一刀「いや、今日は町に行こうと思ってるんだよ。」
おじさん「お、なんだい。また新しい子でも捕まえにいくのか。」
一刀「違うから!いつ俺がそんなことしたのさ!!」
おばさん「だってねぇ。あんな可愛い子3人を手玉にとってたんだろ?」
一刀「人聞き悪いこと言わないで!!3人とはそうゆう関係じゃないから!!」
畑仕事をしていた中年の夫婦にからかわれる。
3人との別れの時に、キスをされて固まってしまった一部始終を、村の人に見られていたのだ。
それ以来御遣いの名前同様に、女誑しの評判も定着してしまい、いくら説明しても聞き入れてもらえなくなったのだ。
一刀「とにかく、町へは買い物へ行くだけだよ。」
おじさん「ま、そうゆうことにしといてやるよ。」
おばさん「女遊びも程々にしときなよ。」
一刀「・・・・・・もういいです。」
俺はそっちのことも、諦めそうになっていた。
子供「あ、御遣いの兄ちゃんだ。ねぇ、遊んでよー。」
村をでる直前、よく遊んであげている子供につかまる。
一刀「悪いな、今から町にいくんだよ。」
子供「え、いいなー。僕もつれてってよー。」
一刀「ダメだ。お前は、おとなしく待ってな。」
子供「じゃあ、おとなしく待ってたら、遊んでくれる?」
一刀「ああ、約束だ。」
子供「やった♪はやく帰ってきてね。」
そんな会話をしながら、俺は町へと買い物に出かけた。
この村も、今から行く町も陳留という郡に属する。
ここ陳留の刺史(今風にいえば県知事)は、とても優秀な人物らしく、他の所では重税や官匪が横行するなどひどい状況ばかりなのに、ここはそんなことも少なく、比較的平和に過ごせていると評判だ。
もちろん、全てが0というわけではない。賄賂もあれば、悪徳官僚だっている。
また最近は、流れてきた賊によって、常に人々は命の危険に晒されている。
現代の日本という、ここよりもずっと平和で豊かな時代で過ごしてきた俺には、とても考えられない状況だ。
それでも、この世界の人々は常に前向きに生き、笑顔を絶やさない。
俺はそんな人達と触れあっていくうちに、それを守りたいと思いはじめていた。
そうこうしている内に、俺は町に辿り着いた。
ちなみに服はフランチェスカの制服だが、上に外套を羽織っている。
さすがにこの服で大勢の中を出歩くのは、目立ちすぎるからだ。
目当ての商品を買い終え、最後にあの子へお土産でも買ってってやるかと考え、饅頭屋を探す。
その途中、大通りから外れた細い路地裏に何か人影が見える。
なぜかそれがとても気になってしまった俺は、その人影へと歩みを進める。
するとそこには、頭からすっぽりと黒いフードを被り、机を挟みながら座っている人物がいた。
一刀「あの、ここで何してるんですか?」
??「ん、ちょっと占いをね。どうだいお兄さん、ひとつ占ってあげるよ?」
一刀「いや、遠慮しときますよ。」
その人物は頭からフードを被っているため、顔がまったくわからない。
また声も、まるで機械を通したような変わった声で、性別も年齢も判断できなかった。
俺はそのことに不気味さを感じ、早々にここから立ち去ろうとした。
しかし、その人物は俺のことなど無視して話を続ける。
??「そんなこと言わないで、こんな話を知ってる?『黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。
その流星は白銀の衣と刃を纏いし天の御遣いを乗せ、この大陸に安寧を齎すだろう。』っていう話。」
一刀「ええ、知ってますよ。たしか管輅とかいう人の予言ですよね。」
??「そうそう。でも、これに続きがあるって知ってた?」
一刀「!!」
俺は驚く。天和達3人の話でも、村や町の人に聞い話でも、予言はそこまでであり、予言の続きなどきいたことない。
天の御遣いというのが俺のことを指すなら、その続きというのを聞けば、何か情報が手に入るかもしれない。
そう考えた俺は、怪しいがこの人物に話の続きを促すことにした。
一刀「その続きって一体?」
??「『安寧を齎した天の御遣い、己が身の破滅と共に、この大陸から消え去らん』これが予言の続き。」
一刀「身の破滅と共に、消える?」
一瞬俺は、この人物が何を言っているのか解らなかったが、次第にその言葉の意味を理解する。
しかし、感情はその言葉を受け入れようとせず、必死に否定の材料を探し出す。
一刀「ははは、それ流言でしょ。大抵そういう話って、おひれはひれががつくもんだから。」
実際噂の中には、そういう歪曲をされて伝わったものが多くあったのも事実だった。
??「いやいや、これは本当の話だよ。流言なんかの類じゃなくて。」
一刀「どうしてそんなことが言えるんですか?」
相手がさも当然のように断言するため、俺はなぜか尋ねてみた。
??「それは当然だよ。だって、僕がその予言をした『管輅』なんだから。ねえ、『天の御遣い』さん。」
一刀「なっ!?」
管輅「あはは、驚いた?」
俺が突然の告白に戸惑っていると、管輅と名乗った人物はさも楽しそうにそんなことを聞いてくる。
一刀「くっ!あんたが俺をこの世界に呼んだのか?」
俺はすぐに意識を切り換え、疑問をぶつける。
管輅「いいや、僕はあくまで予言しただけ。あなたをこの世界に呼んだのは、この外史だよ。」
一刀「外史?」
管輅「簡単に言えば、造られた世界ってこと。」
一刀「造られたって・・・」
管輅「そうだなー。例えば三国志を読んでいて、黄巾党が天下統一してたらどうなったんだろう?とか、
そこに出てくる人物達が女の子だったら?とか想像したとしようか。」
一刀「!! お前。」
天和達のことを知ってる口ぶりに、俺は警戒心を強めた。
しかし管輅は、なんでもないという風に話を続ける。
管輅「ふふっ。まあそういった想像、妄想とも言うけどね。それが具現化し形となった世界、それが外史さ。」
一刀「お前、一体何者なんだ?」
管輅「だから、管輅だよ。大陸一の占い師のね。」
一刀「違う、そんなことを聞いてるんじゃない!!」
管輅のからかう様な態度に、俺は言葉を荒げる。
管輅「ごめん、ごめん。僕はその外史を管理するものだよ。管理者っていわれてるけどね。」
一刀「外史を管理するだって。」
管輅「そ、さっきも言ったけど、外史とは想像から生み出されるもの。
想像なんて人の数だけされ、その外史ともなれば星の数ほどあるだろ。
だからそういった外史を管理し、調整する人物、それが管理者ってわけ。」
あまりに突飛な話に俺の頭は混乱してきたが、無理やり納得させ話を続けることにした。
一刀「外史や管理者ってのは解った。じゃあ、なんでその外史が俺を呼んだんだ?」
管輅「変えたいのかもしれないね、運命ってやつを。」
一刀「運命を、変える?」
管輅「あなたも知ってるでしょ。この先、血で血を洗う様な長い戦いの果てに、多くの命が失われていくことを。」
一刀「! それは知ってるけど、ここは外史ってやつなんだろ?だったら、その通りになるわけじゃ。」
俺は先ほど聞いた外史の概念から、そういったことは起きないんじゃないかという。
しかし管輅は、俺の考えを否定するように言葉を続ける。
管輅「説明してなかったけど、外史の対極に正史ってのがあるんだ。
外史が物語の中だとすれば、正史はその物語を読む人達のいる現実の世界。
いくら外史が想像の世界とはいえ、正史の影響をまったく受けないってわけじゃないんだよ。
そうだな、正史に引っ張られるっていえばいいのか、外史の流れを正史に近づけようと働くんだよ。」
一刀「じゃあ、このままいったら・・・」
管輅「そ。多少の差異はあるだろうけど、あなたの知ってる歴史と同じような流れになるよ。」
一刀「運命を変えるってのは、これから起きる長い戦いの歴史を起こさせないってことか。」
管輅「御名答。少なくとも三国志に、北郷一刀なんて人間は出てこないでしょ?」
俺は考える。確かに決められた流れを変えるなら、第3者の介入、つまりその流れと無関係なものの力が必要だ。
話の筋は通ってるし、今の状況を考えれば嘘や戯言ってことはないだろう。
そこまでの話を信じることにした俺は、管輅がはじめにいっていた言葉の真偽を確かめることにした。
一刀「ここまでの話は信じるよ。だけど、何でこの世界を平和にしたら、俺に身の破滅が訪れるんだ?」
管輅「ちゃんと覚えてたんだ。それじゃクイズ、外史はあなたを求めたけど、正史はあなたをどう思ってるでしょう?」
一刀「……そういうことか。」
つまり俺は、正史の流れからみたら存在しない人間、つまりは異物だ。
だから正史はその異物を除去しようと働き、外史が正史の流れから完全に外れた時、俺がその影響と共に消えると。
一刀「どうすればいいんだ?」
管輅「ん?」
一刀「どうすれば、その破滅から逃れることができるんだ?」
管輅に尋ねる。
俺は消えますと言われて、はいそうですかと納得するほど諦めはよくない。
もしそれを回避できる道があるなら、それを試さないわけにはいかない。
しかし管輅の言葉は、そんな俺の思いを揺るがすものだった。
管輅「ああ、それなら簡単だよ。何もしなければいい。」
一刀「は?」
管輅「だ・か・ら、何もしなければいいんだよ。正史に逆らわず、その流れ通りに歴史を進めればいい。」
俺はその言葉の意味を理解し固まる。自分が助かりたければ、この世界の人達を見殺しにしろというのだ。
俺は何か他の方法がないか管輅を問い詰めようとした時、
??「きゃーーーーー!!!」
路地裏の奥のほうから、女性の叫び声が聞こえてきた。
俺がそちらに意識をとられ目線を外した一瞬、次に目線を戻した時には、管輅の姿は消えていた。
一刀「管輅!!」
管輅「ははは、あなたがどんな道を征くのか、見学させてもらうね♪」
俺が叫ぶと、そんな管輅の声だけが響き渡り、それもすぐに消えてしまった。
一刀「くっ!」
俺は管輅を探そうとも思ったが、今は先ほど聞こえた悲鳴が気になり、そこに向かって駆け出した。
俺は悲鳴の聞こえた方角に向かう。細い路地を駆けしばらくすると、目的の場所へと辿り着く。
そこには、女の子の手を引きながら歩く男の姿が見えた。
男の手には刀が握られており、女の子のほうはそれに必死に抵抗していた。
どう贔屓目にみても、友好的な状況には見えない。
一刀「おい!何してんだ!」
俺が呼びとめると、男は慌てて女の子を抱き寄せ、刀を突き付ける。
男「てめえ、そこから動くなよ!少しでも近付いたら、この女どうなるかわかんねえぞ!!」
女の子「私のことはきにせず、はやくこの男を捕まえて下さい。」
男「うるせえ!人質は黙ってろ!」
男は興奮しており、下手に近づけば本当に女の子を傷つけ兼ねなかった。
なので俺は、『近づかずに』人質を解放させることにした。
一刀「少しの間、目を瞑っていてくれるかな。」
女の子「え?」
一刀「大丈夫、絶対に助けるから。」
俺はそう言って、女の子が少しでも安心できるように、微笑みかける。
女の子「・・・はい、お願いします。」
はじめは戸惑っていた女の子も俺を信じてくれたのか、目を瞑ってくれた。
そして俺は腰に差していた刀を抜き、正眼へと構える。
男「なっ!?て、てめえ、人質がみえないのか。」
そのことに焦った男は、俺のことを睨みつけながら、さらに女の子に刀を近づける。
一刀「北郷流 『白百合』」
俺は刀をメトロノームの様に、左右へと振る。
その動きは遅くも速くもなく、常に一定のリズムを刻み続ける。
スピードは一定なのに、次第に揺れる刃はぶれ出し、残像を伴った複数のものへと変わる。
それに伴い男の目は段々と虚ろになり、体からも力が抜けていく。そして、
カランッ! ドサッ!
女の子「きゃっ!」
ついに男は、その手から女の子と刀を離してしまった。
その音で我に返った男は、急いでそれらを拾おうとするが、
一刀「遅いよ。」
ドスッ!
・・・バタンッ!
懐に飛び込んでいた俺が、刀の柄で男の鳩尾を突く。
男はうめき声を発することなく意識を失い、そのまま地面と倒れる。
そしてあらためて、女の子のことを確認する。
その子は色素の薄い髪色で、少しウェーブのかかったショートヘアーをしていた。
見た目の儚さと、着ている服の感じから、深窓の令嬢って感じがする。
俺はそんなことを思いながら、地面に座り込んでいる女の子に手を貸し、引き起こしてあげる。
一刀「大丈夫だったかい?」
女の子「はい、ありがとうございます。」
女の子は丁寧に頭を下げ、お礼をしてくる。
一刀「いや、大したことはしてないよ。それより、怪我がなくて良かった。」
俺は、その子の体に目立った怪我がないことを確認し微笑む。
女の子「へ、へぅぅ~~・・・・・・。」
一刀「あれ?どうかした??」
女の子「い、いえ、何でも、ないです。」
その子は、顔を赤くして俯いてしまった。
一刀(そういえば、町の女性や地和、人和なんかもたまにこんなことがあったけど、一体なんなんだろう???)
俺がこの状況に頭を捻っていると、女の子がおずおずと話しかけてきた。
女の子「あ、申し遅れました。私の名前は・・・」
そう、女の子が自己紹介を始めようとした時、
??「月~~~!!」
女の子「あ、詠ちゃん♪」
後の方から、この子の真名らしきものを呼んで近づいてくる子がいた。
女の子の方もそんな人物に気付いたのか、嬉しそうに手を振っている。
その姿に安心した俺は、ゆっくりと振り返る。
??「死ね!この悪漢!!」
一刀「はぐぅぅぅーーーー!!!」
女の子「え、詠ちゃん!!」
その子の強烈な左ストレートが、俺の顔面を綺麗に捉える。
そしてその場には、そんな俺の悲鳴と、女の子の驚きの声が響き渡るのだった。
??「ごめんなさい。」
一刀「いや、気にしなくていいよ。あの状況じゃ、そう勘違いしてもしょうがないし。」
あの後賊はそのまま、この町の警備隊の人達に連れて行かれた。
また女の子の説明で、俺が彼女を助けた恩人であり、賊とは違うと解った。
そのため、勘違いで俺を殴ってしまった子が、こうして誤ってくれているのだ。
ちなみに誤ってくれている子は、緑色の髪をした眼鏡の似合う可愛い子だ♪
??「でも・・・」
??「ええやん、この兄ちゃんが気にせんでええって言ってくれてるんやから。」
さらに謝ろうとする眼鏡の子に、そう言って切り上げさてくれるもう一人の子が。
紫色の髪を後で纏め袴に羽織という、ここ中国ですか?という姿で登場した、こちらも可愛い女の子♪
なぜか関西弁?しゃべってるし・・・。
一刀(まあ、ここが外史ってやつなら、多少の違いになるのかな。)
そのことに対し、深く考えるのをやめることにした。
一刀「まあ、そっちの子の言うとおり、俺は本当に気にしてないから。」
??「わかったわ。それじゃあらためて、月を助けてくれてありがとう。」
??「それはうちからも礼を言わせてもらう、月っちを守ってくれてありがとう。」
一刀「いや、どういたしまして。」
その後聞いた話で、3人は視察の旅の途中、この町に立ち寄ったらしい。
そこで、女の子が出店をみようと少しだけ離れてしまった隙に、先程の男に攫われ、二人は慌ててこの子のことを探しまわっていたのだそうだ。
そんな時にさっきの状況を見れば、ああなっても仕方ないと納得した。
??「月、だから僕達から勝手に離れないでって言ったでしょ。」
女の子「ごめんね、詠ちゃん。」
??「はあ~、まあ月が無事だったから良かったけど。」
眼鏡の子は、女の子のことを叱りながらも、無事であったことに本当に安堵した顔をしていた。
女の子「あ!そういえば、自己紹介の途中でした。私は姓は董、名は卓、字は仲穎と言います。」
??「僕は姓は賈、名は詡、字は文和っていうわ。」
??「うちは姓は張、名は遼、字は文遠っていうねん。」
一刀「・・・・・・は!?」
董卓「どうかしましたか?」
一刀「あー、いや、君だけもう一度名前教えてくれないかな?」
外史というこの世界には、本当に驚かされてばかりだ。
賈詡はいい。見た目からも知的な感じが溢れてるし、軍師と言われても納得できる。
張遼もいい。確かに彼女から、一流の武人の風格があるし、今も周りへの警戒を怠っていない。
そう、この2人はいい。良くはないが、天和達の件で少し慣れた。
今の問題は……
董卓「あ、はい。董卓と言います。」
一刀「・・・・・・・・・」
今、俺の顔はとんでもなく間抜けな顔になっているのだろう。
一刀(彼女が董卓?朝廷を裏から牛耳り、悪逆非道といわれたあの董卓??)
外史に多少の差異があるとはいっても、これはとても許容できる範囲ではない。
こんな可憐な女の子が、あの董卓?そいつは今すぐ眼科にいくべきだ。
こんな優しい女の子が、悪逆非道?そいつの心は、これ以上無理というくらいねじ曲がっているのだろう。
俺がそんなことを考えていると、
賈詡「月の名前聞いて固まるなんて、失礼じゃない!」
張遼「どうかしたんか?」
一刀「ああ、ごめん。なんでもないよ。」
3人が怪訝そうに俺を見てきたため、その議論は一旦置いておくことにした。
一刀「俺は、姓は北郷、名は一刀っていうんだ。ちなみに、字ってのはないよ。」
張遼「ふーん、字はないんか。まあ、うちにも似たようなのがおるし、珍しいこっちゃないな。」
賈詡「むしろ、変わった姓と名のほうが珍しいわね。」
董卓「あのー、一刀さんは、ここら辺の方じゃないんですか?」
一刀「あー、そのー、ずっと東のほうにある、島国から来たんだよ。」
俺は、そう誤魔化すことにした。
さすがに、天の国からきた御遣いですなんて話をした所で、信じてもらえないだろうし、色々面倒なことになりそうだったからだ。
賈詡「ずっと東の島国っていうと、昔徐福が向かったという所かしら?」
張遼「はぁ~、そりゃ随分遠いところから来たんやなぁ。」
一刀「ま、まあね。(あながち間違いってわけじゃないし、嘘はついてないよね。)」
張遼「刀も持っとるし、武者修行の旅とかなんか?」
張遼さんは、そう嬉々として聞いてくる。
一刀「いや、そういうんじゃないよ。この近くの村で世話になっててね、ここへは買い物で来ただけだよ。」
張遼「そうなんか、つまらんわぁ。」
一刀「あ、あはは、それじゃ、董卓さんも無事合流できたみたいだし、俺はそろそろ行くね。」
そのことに身の危険を感じた俺はそのことを否定し、これ以上墓穴を掘る前に、そうそうに退却することにした。
董卓「あ、まだ助けてもらったお礼が・・・」
一刀「そんな、大したことはしてないよ。
それにお礼なら、可愛い子達と仲良くなれたってので、十分すぎるほどもらったよ。」
董卓さんがそんなことをいってくるので、俺は笑顔でそれを断った。
董卓「へぅぅ~。」
賈詡「か、可愛いって・・・」
張遼「あはは、うちらを口説いとるんか、一刀?」
一刀「口説くって、俺は本当のこと言っただけなんだけど。」
すると、董卓さんと賈詡さんは顔を赤くして俯いてしまい、張遼さんからはそんなことを言われる。
俺、なんか変なこと言ったかな?
一刀「まあいいや。とりあえずそういうわけだから、気にしないで。 じゃあね。」
俺はそう言って足早に3人と別れた。
【side 董卓】
董卓「あ!行っちゃった。」
賈詡「まったく、お礼くらいさせなさいよね。」
詠ちゃんがそんなことを言いながら、むくれている。
張遼「でもええ奴やったな。月っち助けてくれたし、謝礼をふっかけてくるようなこともせんかった。」
董卓「はい、とても優しくて、暖かい人だと思います。」
張遼「それにおもろい。まさか、口説かれるとは思わんかったわ。」
董卓「くど、へぅ~~・・・」
私は一刀さんの笑顔を思い出し、また顔を赤くして俯いてしまう。
太陽の様に眩しく、暖かな笑顔を。
賈詡「ふん、あんなのただへらへらして、軟派な言葉をいっただけじゃない。」
詠ちゃんは強がっているが、まだ顔の赤さがとれていなかった。
張遼「賈詡っちは、相変わらず素直やないなー。」
賈詡「霞!なんか言った?」
張遼「いいや、なんでもあらへん。」
賈詡「む~。とにかく、月も見つかったんだし涼州に戻るわよ!」
詠ちゃんは照れ隠しの様にそう叫び、ずんずんと一人で先にいってしまう。
董卓「詠ちゃん、待ってよー。」
張遼「詠、悪かったから先にいかんといてや。」
私と霞さんも、その後を慌てて追いかけるのでした。
董卓(一刀さん。またどこかで会えるといいな♪)
私はそんなことを思いながら、帰路へとつくのだった。
【side 一刀】
その後俺は、半日程町を探索し管輅を探したが、どこにもその姿は見つからなかった。
俺は探索を諦め、お土産を買って村へと戻ることにした。
村への帰り道、俺の脳裏に管輅の最後の言葉が過る。
( 管輅「あなたがどんな道を征くのか、見学させてもらうね」 )
つまり、この外史を平和にするか。
それとも、自分が助かるために身捨てるか。
そのどっちを選ぶのかと……
しばらく考えたが、今すぐ答えのだせる問題ではない。
俺がそんな問題に頭を悩ませていると、ある光景が目に入ってきた。
ずっと向こうの空に、いくつもの煙があがっているのだ。
その煙のあがっている方角には、俺が世話になっている村がある。
一刀「くそっ!」
なにか嫌な予感がした俺は、村へと続く道を急いで駆けていくのだった。
あとがき
sei 「そんなこんなで第4話いかがだったでしょうか?
今回は、管輅との出会いにより一刀君のここでの目的が明らかになる、というのをメインにしてみました。
まあ、おまけ的に月たちとの出会いも入れてみましたが。
当初の予定では、管輅がおまけだったはずなのに、何故こうなった???
まあそんな些事は置いておいて、今回のゲストを紹介したいと思います。
黄金のツンデレ比率9:1をもつ、詠ちゃんでーす。」
詠「誰がツンデレだ!(ゲシッ)」
sei 「げふっ。
いきなり・とび蹴り・で登場とは、斬新・です・ね。」
詠「うっさい。あんたが変なこというからでしょ。」
sei 「えー、恋姫ファンなら公然のことなのにー。」
詠「えーい、黙れ!!とりあえず、質問からいくわよ!!」
sei 「・・・誤魔化した。」
詠「今回、何で私たちを出したの?
別れちゃったから、私達の√ってわけじゃなさそうだし。」
sei 「ふっ、それはですね・・・」
詠「まさか反董卓連合とかで、私達を助けるためのフラグ?なわけないわよね。」
sei 「・・・・・・」
詠「え!そのまさかなの!?」
sei 「うわーん、なんでばらすんですかー!!」
詠「だって、誰が見てもそれ以外考えられないじゃない。」
sei 「ううう、どうゆう風に助けるかは秘密にしてやるー。」
詠「まったく、じゃあ次に今回一刀が使ったあの技はなんなの?」
sei 「ああ、あれですね。あれこそ、この話の一刀君の強化ポイントの一つです。
簡単に言えば、五円玉を吊るして、あなたはだんだん眠くなる~ってやつですね。」
詠「何、催眠術師なのアイツ?」
sei 「いえいえ、あれはあくまでも技の一つであり、そういったのじゃありません。」
詠「じゃあ、何なのよ?」
sei 「それを私が教えると思いますか?( ̄ー ̄)」
詠「じゃあ、次はコメントについてね。」
sei 「ああ、あっさり流さないでー。」
詠「このあとがきを面白いってコメントがあったわね。」
sei 「ええ、とても嬉しいですね。
まさかおまけとして始めたコーナーで、楽しんで頂けたんですから。」
詠「問題は、『本編よりも』って所よね。」
sei 「・・・・・・」
詠「それって本編は・・・」
sei 「 orz 」
詠「あー、sei が深い所に落ちてしばらく戻ってこれそうにないのから、今回はこれで終わりにするわ。
そういえばあいつ、コメントがあるととっても嬉しそうだから、どんどん書き込んでやって。
それじゃ、また次回の話を楽しみにしててね。」
sei 「俺なんか、俺なんか、どうせダメ人間なんだ。」
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張3姉妹が旅に出てしまい、村で一人過ごす一刀。
ある日、町へと買い物に出かけ意外な人物達と遭遇することに。
そこそこのペースで投稿し続けていますが、もうそろそろ息切れしそうな予感。
まあ、頑張れるだけ頑張っていこうと思う、今日この頃です。
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