No.454847

魔装機神インフィニット・ストラトス

女性しかISを稼働できなかったのが、突然男でISを稼働できるのが同時に二人も現れた!?その二人の名は織斑一夏と龍見雅樹。
この物語の主人公である龍見雅樹が女尊男卑の世の中に疾る『風』・・・その名はサイバスター!!

2012-07-17 21:46:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3544   閲覧ユーザー数:3411

第四話「数年ぶりの手合わせ」

 

 

 

「何やってんだあいつら?」

 

「さあ?」

 

IS学園に入学式翌日、俺と唯依、それにイーニャとクリスカは朝の食堂で朝食を取ろうとしたらやたら不機嫌な箒とその箒に対してどうしたらいいか分からないといった表情の一夏。

アイツ等、再開した初日でもうケンカしたのか?

 

「雅樹、あっちに座りましょ」

 

「ん、何でだよ?一夏達の所に座ろうぜ」

 

「あそこでは私たち全員が入れないだろう。いいから来い」

 

クリスカの言うとおり確かに俺達が座るのはキツイか・・・。

 

「って、待てよクリスカ」

 

「ごはん♪ごはん♪」

 

「っとイーニァもはしゃいでると飯落としちまうぜ」

 

結局俺達は一夏達とすこし離れて食事を取った。

 

 

 

 

 

朝食も終え、授業も三時間目が終わり、周りの女子たちも昨日の様子見から俺と一夏の席を取り囲んできて対応に困っている時、

 

「織斑、龍見。お前達のISだが準備まで時間がかかる」

 

「へ?」

 

「ん?」

 

余計な事を言いそうになった一夏の頭に出席簿を喰らわせた千冬さんは突然そんな事を言ってきた。

 

「予備機が無い。だから、少し待て。学園で専用機を用意するようだ」

 

「????」

 

「マジかよ・・・」

 

隣で意味がわからず首をかしげている一夏に構わず、俺は驚いていた。

一年のこの時期に専用機が用意されるなんて、これも俺達が初の男性IS操者だからか?

 

「せ、専用機!?一年の、この時期に!?」

 

「つまりそれって政府から支援が来るって事で・・・」

 

「ああ~。いいなぁ・・・。私も早く専用機が欲しいなぁ」

 

周りの女子も俺達に専用機が用意されって事で騒ぎ出した。

そして、一夏の奴は何で騒いでるのか未だに分かんないって顔してやがる。

 

「織斑、教科書六ページ、音読しろ」

 

そんな、一夏にため息をつきながら呟いた。

 

「え、えーと・・・・『現在、幅広く国家、企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS467機、その全てのコアは篠ノ之博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にあります。しかし博士はコアを一定数以上作ることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引する事はアラスカ条約第七項に抵触し、全ての状況下で禁止されています』・・・・」

 

「つまりはそういうことだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間にしか与えられない。が、お前達の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」

 

「な、なんとなく・・・」

 

「まぁ、大体は・・・・」

 

しっかし、束さんも何考えてIS(こんなもん)作ったんだか・・・。

 

「あの、先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか・・・?」

 

女子の一人がおぞおぞと千冬さんに質問してきた。まぁ篠ノ之なんて名字は珍しいからな、そりゃあ気付くわ。

 

「そうだ。篠ノ之はアイツの妹だ」

 

まあ、どうせいずれ気付かれる事だし今の内にばらした方が箒の為になるのかな。

千冬さんの即答に女子はざわめきだし、箒に群がっていき質問を投げかけてきたが、

 

「あの人は関係ない!!」

 

突然の大声。それによってさっきまで騒がしかった教室が冷水を浴びたようにに静まり返ってしまった。

 

「・・・大声を出してすまない。私はあの人じゃない。教えられることは何もない」

 

それっきり箒は窓の方を向き黙ってしまった。

そういや、ガキの頃から束さんの話すると黙り込んでたっけ?

 

「それでは、授業を始める。山田先生、号令」

 

「は、はいっ!」

 

山田先生も箒の事が気になっていたが、直ぐに授業を始めた。

俺も箒の事が気になったが今は授業に集中することにした。

 

 

 

 

IS学園屋上

俺達は授業が終わると食堂ではなく屋上に行って食事を取っていた。

ここなら周りの視線を気にしないでいいし、騒がしくないから落ち着いて飯が食える。

因みにここに一夏と箒はきていない。何故なら――――

 

「雅樹、いいのか?箒を放っておいて・・・・」

 

「いいんだよ。箒には一夏がついてんだ、一夏は俺達より箒と付き合いが長いんだ。なんとかなんだろ?」

 

唯依の質問に答えながら俺は広げられた弁当に箸を伸ばす。

 

「だからといってあの朴念仁に任せていいのか?」

 

「はぐはぐ」

 

クリスカは食事を一旦止めながら横目でこちらを見てきた。

イーニァは興味無いのか食事に夢中なのか、話に加わらず飯を食っていた。

 

「あ~・・・・大丈夫だろ?鈍感なアイツでもそう言った事には敏感だし、さっきの事で一夏も箒のこと気にしてたからな、後はアイツ次第だ」

 

つってもアイツ恋愛に関して鈍感だからな~というと、

 

「・・・おまえも人の事言えないだろう」

 

「まったくだ」

 

「まさき、うそはいけないんだよ?」

 

おい、なんだよ三人とも。そのお前が言うなって・・・。言っとくが俺は一夏ほど鈍感じゃねぇぞ!

っつか、イーニァ!お前何気にヒデェな!

 

「どの口がそういうんだ・・・・」

 

「自覚なしか・・・・」

 

「はぁ・・・」

 

お前ら・・・何揃ってため息ついてんだよ。止めろよな?俺だって結構傷つくんだぞ?

そうして、俺は若干心に傷を負いながら昼休みを過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

IS学園剣道場

 

「って本当についてくんのか?」

 

「当り前だ」

 

「だめ?」

 

放課後、俺は唯依と手合わせするべく剣道場に向かっている中(因みに唯依は先に道場に向かっている)、後ろをついて来るイーニァとクリスカに視線を向けながら問いかけると、二人は当然と言った感じで返事をした。

 

「あ~わかった、わかった。勝手にしな」

 

「フンッ」

 

「うんっ♪」

 

本当はこいつらにあんま見せたくなかったんだけどな・・・。

実を言うとガキん頃から手合わせしているが俺は唯依に今まで一度も勝ったことが無い。

俺も決して弱くは無いと思うんだが・・・現にガキん頃は一夏と箒には勝っていたし(今はどうか知らねぇけど・・・)唯依には全戦全敗だ。因みに小学までだけど強さの順は唯依、俺、一夏、箒だ(決して箒が弱い訳ではなく強さでいえばそこらの上級生には負けないほど)。

 

『どうしてここまで弱くなっている!?』

 

「ん、なんだぁ?」

 

突然、道場の中から箒の怒鳴り声が聞えた。それに道場の前に人だかりができている。

 

「今日って、何かあったか?」

 

「知らん。どっちにしろアレでは入れないだろう」

 

「しょーがねぇな・・・。あ~ちょっといいか?」

 

「え?た、龍見くん!?」

 

「うわっ!?龍見くんも道着姿!?」

 

仕方なく人だかりの最後尾にいた女子に声をかけると、予想外に驚かれてしまった。それに呼応するかのように女子の視線が一斉に集中した。

 

「ワリィんだけど、通してくんねぇか?ここに用事があってな・・・」

 

「えっ!?う、うん!どうぞどうぞ!」

 

おおっ、まるでモーゼの十戒みたいに人垣が割れたぞ。

何か悪いことしちまったな。

 

(ねぇ、龍見くんの道着姿、様になってるよね?)

 

(うんうん!なんか時代劇に出てきそう!)

 

なんか周りの女子が小声で何か言ってやがんな。それにつられてクリスカの視線の温度が急激に下がってくんだが・・・。イーニァに至ってはなんかしんねぇけど拗ねてるし・・・。

 

「雅樹?お前達も稽古しに来たのか?」

 

「箒、それに一夏もいたのか?」

 

道場の中心で道着と防具(面具は外している)を着た箒と一夏がいた。何故か、一夏は床に座り込んでいたが。

 

「どうしたんだよ、箒。お前の声が外まで響いていたぜ?」

 

「む。そ、そうか///すまないな」

 

俺の言葉に恥しそうに頬を赤く染めた。

 

「で、一体どうしたんだよ?」

 

「いや、それがな――――」

 

「そ、そうだ、雅樹!訊いてくれ、一夏の堕落っぷりを!!」

 

一夏の言葉を遮って箒がすごい剣幕で迫って来た。

 

「堕落っぷりって・・・・ああ、一夏が小学の頃より弱くなってることか?」

 

コイツ、中学に入ってから剣道すっぱり辞めちまったからな。

その分、バイトに精を出してたから仕方ねぇといえば仕方ねぇんだが・・・。

そのことで箒の怒りを買ったのか。

 

「そうだ!小学の頃は私より強かったくせに・・・・!!」

 

「そ、それより!雅樹はどうしてここに来たんだ?道着もきてるし・・・・」

 

箒の怒りが再発しそうになったので一夏は話題を変えた。

 

「ああ。ま、俺もお前達と同じで稽古っつうか、手合わせをしに来たんだよ」

 

「誰とだよ?もしかして、箒とか?」

 

「いや、相手は――――」

 

「私だ」

 

凛とした声が道場内に響き渡った。

振り返ると道着に着替えた唯依が歩いてきた。

 

「済まない、雅樹。待たせてしまったな」

 

「いや、俺も今来たとこだし別にいいぜ」

 

・・・なんかデートの待ち合わせ見てぇだな・・・。

唯依も同じことを考えたらしく恥しそうに顔を伏せた。

 

ギリギリ・・・!

 

「イ、イテテっ!?な、なにしやがる、クリスカ!」

 

「フンッ!」

 

いきなり腕を抓ってきたクリスカに食って掛るがそっぽを向いて拗ねてしまった。

なんなんだよ一体・・・・。

 

ぎゅっ・・・。

 

「む~」

 

「っと、今度はイーニァかよ・・・」

 

いきなり、腕にひっつき頬を餅の様に膨らませてこちらを見上げてきた。

 

「イーニァ。これから唯依と手合わせするから離れてな?」

 

「・・・・うん・・・」

 

安心させるように頭を撫でながら優しく言うとスッと離れていった。

 

「んじゃ、いっちょやるか?」

 

「あ、あの~龍見くん、篁さん?防具をつけた方がいいんじゃ・・・」

 

竹刀を構えいざ始めるかという時に、女子剣道部員の一人がおずおずとした態度で訊いてきた。

 

「いらねぇよ、ンなモン。動きずらくなっちまうからな」

 

「で、でも・・・」

 

「心配は無用です先輩。私たちの手合わせに防具は不要ですから」

 

「そうそう。あぶねぇから、下がってろって」

 

女子の忠告を無視し俺と唯依は竹刀を正眼に構え、対する唯依は上段に構えた。

たったそれだけで彼女の雰囲気がガラリと変わった。先ほどまでの凛とした雰囲気が霧散し、武士の武骨な気配へと変わった。

 

火の構え

 

剣には基本『五行の構え』といった五つの構えが存在する。

そん中で唯依は上段―――又は火の構えとも呼ばれる超攻撃的な構えと後もう一つ八双の構えを好んで使う。しかも、それの熟練度がハンパなく小学の頃は初太刀を見切れたのは俺と一夏位だったな。

それにしても、アイツの雰囲気・・・『神祇無窮流(じんぎむきゅうりゅう)』とは違う感じが・・・

 

ダンッ!

 

「ハァッ!!」

 

「っ!?」

 

唯依は一瞬で距離を詰め裂帛の気合とともに振り下ろされる竹刀。昔より速いが・・・・

 

ブオンッ!

 

「うおっ!?」

 

体を半身にしてギリギリでかわしたが、唯依はすぐさま片手持ちに切り替え追撃するように胴に向かって斬り返してきた。

 

バシィィッ!!

 

「ぐっ!」

 

なんとかそれを竹刀で受け、その勢いを利用して後ろに飛び距離を置いた。

 

(コイツ、昔より剣筋が速く鋭く、重くなってやがる・・・)

 

当り前か、アレから何年たってると思うんだか・・・。だが、一体どんな鍛え方してんだよ!?受けた手が微妙に痺れてやがる・・・。

 

「まさか、一の太刀だけでなく二の太刀を止められるとはな・・・」

 

「へっ!お前だけが成長してるわけじゃねェンだぜ?俺も中学の時は部活の助っ人とにいったり、修練は欠かさなかったからな」

 

「フフッ・・・・そうか」

 

俺の言葉に唯依は嬉しそうに微笑したがそれもすぐにおさめて火の構えではなく今度は竹刀を八双の構えに構えなおした。

 

「だが、私もアレから何もしなかった訳ではない」

 

そりゃあそうだろうよ・・・。

 

たった二回の打ち込みでアイツの成長具合がわかる。

 

「さあ、仕切り直しだ」

 

「おう」

 

そして俺と唯依は同時に仕掛けた。

 

 

 

 

 

 

「すっげぇ・・・」

 

目の前で繰り広げられる攻防に一夏は自然とそんな言葉が漏れた。

雅樹と唯依、幼馴染みの二人で通っている道場こそ違うものの道場主同士の交流がありよく対抗試合や合同練習をしていて歳も近かったから箒と一緒に仲良くなり一緒に遊び競い合った仲。小学の途中、箒と唯依は転校してしまいその後の事は知らないが、雅樹は一夏と共にバイトに励みながら他の運動部、それも武道系の部活の助っ人によく顔を出していて、特に剣道では全国まで出たほどだ。

だから、雅樹の実力を知っている一夏にしてみればその雅樹と互角以上に渡り合っている唯依の実力に驚きを隠せなかった。

そして、それは一夏だけではなくその試合を見ているギャラリーも例外ではなかった。

二人の一進一退の攻防に見入っていた。技量を試し合い、竹刀同士で打ち合う姿と打ち合っている二人がとても楽しそうにしているのも相まって流麗な剣舞の様だった。

しかし、どんなに素敵な剣舞(ダンス)でも必ず終わりは来るもので、

 

「おおぉっ!」

 

「ハアアァッ!」

 

パアンッ!!

 

「っ!?」

 

「なっ!?」

 

裂帛の気合を込めた二人の竹刀が衝突した時、両方の竹刀が半ばから折れてしまった。

 

「・・・・引き分けだな」

 

「・・・ああ、そうだな。まさかここまで腕をあげているとは・・・」

 

「へっ!言ったろ?こっちもアレから鍛練積んでたんだよ」

 

「フフッ・・・ああ、そうだな」

 

折れた竹刀に視線を移した後、二人はお互いに笑いあった。

 

「キャアアアアアッ!!!?」

 

「すごいすごい!龍見くんも篁さんもとってもすごいわ!」

 

「これで、今度の県大会は優勝間違いなし!」

 

「龍見くん!是非とも剣道部のコーチを!いえ、この際マネージャーでも可!!」

 

「えっ!?」

 

「い、いや、ちょっ!?ま、待てって!!」

 

手合わせを見ていた剣道部員たちは一斉に雅樹と唯依を取り囲み、二人の健闘をたたえたり、勧誘したりし始めた。そんな部員達に取り囲まれそのあまりの勢いに雅樹と唯依は顔が引きつっている。

 

「やっぱりアイツ等のレベルは違うな~な、箒―――って・・・」

 

箒に同意を求めようとした一夏だが箒は二人の手合わせを見て心に火がついたのか素振りを始めてしまった。

ああなったら梃子でも動かないことを昔っから知っているため一夏は箒をそのままにしておく事にしもう一度雅樹達の方に視線を向けた。

 

(おれも、トレーニング再開しないとな・・・)

 

どうやら二人の試合に触発されたのは自分も一緒だったみたいだと、一夏は内心で苦笑するのであった。

 

 

 

 

そして、あっという間に金曜日を迎え唯依対セシリアの試合の日を迎えた。

 

 

 

 

 


 
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