No.454528

楽しく逝こうゼ?

piguzam]さん

第13話~やっと今日がおわ…え?闇の書?フェイトさんの方がもっと恐いで…そこから先は赤いナニカで潰れて読めない…

2012-07-17 07:02:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:16685   閲覧ユーザー数:14491

あ、ありのまま今起こったことを話すぜッ!!

いつの間にかテスタロッサ家とハラオウン家にお泊りが決まってますた。

な、なにを言ってるかわからんだろぉが俺もよく判らん…超スピードとか催眠術だとかそんなチャチなモンじゃ断じてねぇ…も、もっと恐ろしい物の片鱗を……っておかしいだろッ!?

そんな感じで唐突にへヴィな爆弾を投下してくれたフェイトさんは滅茶苦茶ニコニコしてます。

あぁ、なんかその素敵な笑顔見てたらもうどうでもよくな……らねーよッ!!?

な、なんかフェイトの笑顔に流されそうな自分が怖え……フェイトさんってマジ魔性の女だね☆

しかも無自覚な分、余計に怖いぜ……と、とにかく状況を整理しよう、話はそれからだ。

落ち着け、橘禅ッ!!COOOOOOOOLLになれッ!!

まずはフェイトに話をしっかりと聞くんだッ!!

「よぉーしフェイト。とりあえず落ち着こうや?そして落ち着いたらさっきの電話で何があったか詳細に説明してくれね?とゆうか説明してください禅君一生のお願い」

ダメだ。落ち着けない、フェイトより俺の方がテンパッてら。

フェイトは言葉の意味がわからなかったようで首がコテンッと傾いていく。

本当にあの5分ばかしの間に何があった?

「…?私、落ち着いてるよ?」

真顔で首を傾げんで下さい。萌えちゃうじゃな…ゲフンッ!ゲフンッ!

「あ、いや。とりあえず説明してくんね?俺の頭じゃ処理しきれなかったんでよ……」

そう言うとフェイトも納得してくれたようで俺に視線を合わせた。

「うん♪…あのね?夕方にリンディさんがゼンの家の住所を聞いたよね?…あれは、ゼンのお母さんとお父さんに会いにいくためだったんだ…」

………は?

初っ端からの爆弾発言に頭ん中がぐっちゃぐちゃになりそうなんだけど?

「リ、リンディさんが?親父とお袋に?」

「うん、これからは地球に住むから挨拶をしておこうって…お母さんも一緒に行ったよ?」

 

混乱してオウム返しに聞き返す俺の問いに、フェイトは頷いて肯定した。

……なるほど…だからあの二人は店を一緒にでたのか…

あれ?ってぇことは……今は俺の家にリンディさん達がいるってことか?

「それでね?リンディさんが話したいことがあるってお昼に言ってたでしょ?」

「あぁ、それで?」

「それで…『家にくるついでに今日説明しておこう』ってリンディさんが…ゼンのお母さんとお父さんに今日は家に泊まるっていったらOKがでたんだって…それで明日の朝帰ってくるようにって…」

「俺の知らないところで着々と俺のスケジュールが埋まってるだとッ!?」

新しい事実に驚愕を隠しきれないぜ……つうかお袋。

なぜ許可を出したんだっつうの。

今日始めてあって話をした人の家に泊まる許可って……可愛い一人息子を荷物無しで放り出すなや。

「だ、だがよぉ?着替えもないし…」

 

俺は荷物が無いというデメリットを最大限に生かして、最後の望みを賭けてみっともなく足掻いてみるが……

 

「あっ。大丈夫だよ?リンディさんとお母さんが帰ってくるときにバッグにつめて持ってきてくれるって♪」

いつの間にか、荷造りもされてますた。

完全に出荷準備OKですね。逃がす気ありませんね?わかります。

フェイトはとっても、とっっっっっっても眩しい笑顔をしている。

……あんな顔されたら、断れねぇ……つうか断ってまた泣かしてみろよ?

それこそ本気でプレシアさんに殺されちまうぞ?

absolute(絶対に)die(死ぬ)ぞ?

……俺の頭の中には蹲ってすすり泣いているフェイトを抱きしめながら、背後に数えるのも馬鹿らしい数の電撃の槍を従えた鬼の形相のプレシアさんがイメージされた。

半端なく恐いッス。

膝元で寝転んでるアルフも『フェイトのこと泣かしたら…わかってるよね?』と目で語ってきやがる。

…まぁ、いいか…別に嫌なわけじゃねぇし…話したいこととやらも一緒に片付いて楽だしな。

「ま、事情はわかった……それで最初の話に戻るわけな?」

「う、うん。ゼンはお客様だから、何を食べたいかな?って…それに、まだ引っ越したばかりだからお母 さん達が帰りに材料を買ってきてくれるって…」

なぁ~るほどぉ……リクエスト次第で材料が変わるわけね…フム…

「んじゃあ逆にフェイトは何が食いてぇんだ?」

「ふぇ?」

突然の質問返しにキョトンとしてら……そんな反応もべりぃ可愛いっすね。

「フェイトとアルフに久しぶりにあったんだしよぉ、ここはいっちょ再会を祝して俺の腕を振るいてぇん だが…」

 

どうせ一緒に食うなら、俺の料理で再会を祝いたいしな。

「え?……で、でも迷惑なんじゃ…」

「んなこたぁねえよ。逆に俺の作った飯を食って欲しいぐらいなんだからよ?

 …何でもイイゼ?リクエストはあるかい?」

「え、ええっと……」

フェイトは最初、俺の問いにアタフタしてたけど、今は頭を捻って考えてる。

ちなみにアルフは膝を堪能したようで部屋から出ていった。

料理に関してはフェイトに任せるみてぇだ。

そして決まったみたいなんだが………なんか両手を組んでモジモジしてらっしゃる。

……俺、メニューを聞いただけなんだが……なんで?

「じ、じゃあ///…えぇっと…ね?……ゼンが最初に作ってくれたオムライスが……食べたい///」

最初は俺を見ていたフェイトの目線は一言づつ段々と下がっていき、最終的に俯いた顔は真っ赤に染まっていた。

……そんなに恥ずかしがる理由はこれいかに?

「オムライスがいいのか?」

「う、うん///……ゼンが会ったばかりの私達に作ってくれた…あのときのオムライスが食べたぃ///…… ダメ?///」

上目遣いでそんなこと言われたら………気合はいっちゃうぜぇッ!!

「ケケッ。オーライ、任せておきな…とびっきりウメエの作ってやらぁ」

 

久々に本気の調理が楽しめそうだぜwww

「で、でも本当にいいの?クロノ達には聞かなくて……私に気を遣わなくても…」

 

だがこちとら気合充分だってのに、そう言ってフェイトは顔を不安げに曇らせた。

まぁフェイトのそーいう優しいとこは美徳だと思う。だがよ?

俺としてはもう少し我儘言ってもいいと思うんだがなぁ……

「ヘイベイビィ~?俺は他でもねぇお前のために作るって言ってんだぜ?」

「ふ、ふえぇッ!!?///(お、おおお前の……た、めに?///…は、はぅうぅうッ!!?///)」

 

俺は笑いながら言ってやるが、フェイトは俺の台詞を聞いてまたもや顔を真っ赤にしちゃったぜ。

やべ。ちょっと気障っつうか、たらしぽかったな。

けどまぁ、間違ってはねえんだけどな。

「まぁ、連絡先を教えてなかった。そのお詫びだと思ってくれりゃいい……だからよ?連慮せずに言いな?」

「…///う、うん……じゃあ…お願いしよう…かな?///」

「お任せあれ、お嬢様」

俺は執事の様にうやうやしく礼を取ってみる。

「///あぅぅ…///」

効果はバツグンだな。おい。

そんな感じでラブコメな空気を堪能したので、俺がクロノにリンディさんの番号を聞いて材料を注文した。

フェイトはまたポンコツ化しちまったので……やりすぎた?(汗)

と、まぁ時間は過ぎて、クロノ達と雑談をしていたんだが、リンディさん達が帰ってきた。

「「ただいま♪」」

帰って来たのはいいんだが……なぜかかなりご機嫌です。

なんかいいことでもあったのか?

「どうも、お邪魔してます」

 

俺はとりあえずリンディさん達に挨拶をしておく。

「ふふ♪そんなに畏まらなくっていいのよ、ゼン君♪」

「そうよ♪自分の家だと思ってくれたらいいわ。」

只、挨拶は帰って来たんだが……なんつうか二人ともメラテンションが高い。

っていうか自分の家って……どんだけテンション高いんすか、あんた等?つうか意味がわかりませんや。

そして何故か、さっきまでポンコツ化していたフェイトが少々、今度は不安げな顔をして二人を見ていた。

「あ、あのお母さん…」

フェイトはおっかなびっくりといった感じでプレシアさんに話しかける。

「フフッ♪そんな顔しなくても大丈夫よ?フェイト♪」

「え?…ッ!?そ、それじゃあっ!?」

フェイトの問いにはリンディさんが答えた。

「フフッ♪向こうもOKしてくれましたよ?」

「よかったわねぇ♪フェイト」

「ッ!?うんッ!!ありがとう、お母さんッ!!リンディさんッ!!」

フェイトは一気に満面の笑顔になってそのままプレシアさんに抱きつく。

プレシアさんもフェイトを抱きしめている。

 

 

 

 

 

……………なんぞ?

 

 

 

 

 

目の前でやたら心暖まるホームドラマの様な場面が展開されてんですけど……何これ?

振り返ってみると、どうやらクロノもユーノも知らないようで俺と同様に首を傾げている。

おれはもう一度視線をプレシアさん達に向けたんだが………

「…………」ニヤリ

リンディさんがとっても、とっっっっっっても黒い笑みを浮かべて俺を見ています。

え?何?

…よく見るとプレシアさんはフェイトに向けては綺麗な笑顔で、俺に向けては黒い笑みを浮かべてます。

顔半分で表情が違います………アンタ器用だね。

まるで、『逃がさないわよ』とでもいいたげな視線です。

そんな目で見られるとなんか自然と体が震えてきやがります。

…蜘蛛の巣に捕まった蝶のような気分だぜぇ…

ユーノとクロノはご愁傷様、とでも言いたげな視線で俺を見ています。

そのまま、震える体を何とか抑え、夕食を振るいました。

ちなみにその夕食風景では……

「そぉら、できたぞッ!!」

俺はハラオウン家とテスタロッサ家のキッチンにて調理を終えて、リビングのテーブルに並べていく。

メニューはフェイトのリクエスト通り、オムライスとサラダの二つ。

味もあの時作ったオムライスそのままだ。

「あぁ~!!来た来た来たよッ!?フェイトッ!?半年振りのゼンの手料理だ~~ッ!!」

「ア、アルフ…も、もう少し静かにしないと……」(ソワソワ)

フェイトはアルフを嗜めてるけど、お前も充分ソワソワしてるぞ(笑)

お前も待ちきれないってのはズバッとマルッとお見通しよ!!

そんな二人の様子を他の全員が微笑ましく見ている。

だが、いつまでもそうしていてはせっかくの料理も冷めてしまうのでさっさと席について食事を始めた。

予想通りアルフがいの一番に貪っていく。

スプーンで上からパックリと割ればアラ不思議!!

半熟のトロトロ卵が中から溢れて、中のチキンピラフに良い具合に混ざり合う。

その絶妙な味のフィーチャリングがもたらすのは只一つ!!

「あぐあぐあぐ……うーまーいーよー!」

『美味い』という事実だ。どこぞの味王のごとく絶叫するのも自明の理(笑)。

今の所アルフの中ではオムライスのことしか頭に無えみてえだ。

アルフが美味しそうにぱくついてるのを見てフェイトも嬉しそうにスプーンを手に取ると1口頬張り……

口いっぱいに広がる卵とバターの風味とコク、濃厚なチキンライスが一体になって口の中に広がっていく。

その懐かしくもあり、あの時と変わらない味に思わず顔が綻んでいく。

フェイトにとってオムライスという料理はこの地球に来て初めて食べた料理であり

自分が大好きになった料理の一つでもある。

そして、自分の大切な、大好きな男の子が『自分のためだけに』作ってくれたという思い入れ深い料理。

コレだけの要素が絡み合えばフェイトがオムライス(ゼン作に限る)を大好物に思うのは当たり前のことでしかない。

「美味しい♪……♪♪」パアァッ

その眩しい笑顔だけで俺は何杯でもご飯がすすm……ゲフンッゲフンッ!!

俺は急いでショートしかけた頭を振ってブッ飛んだ思考を振り払う。

「そ、そりゃ良かったぜ。フェイト達に喜んでもらえてよ。ドンドン遠慮無く食ってくれ」

「「うんッ!!」」

フェイトもアルフもとっても眩しい笑顔を浮かべている。

……やっぱ料理人にとって最高の褒め言葉は『美味しい』だよねぇ…

はむはむはむはむ

がつがつがつがつ

何ともまぁ対照的な食べ方の二人だった。

というか、アルフが尻尾をブンブン振ってるのはわかるけどさ……落ち着いてるけどペースの速い食べ方のフェイトの方にも何故かブンブン振られた尻尾が見える気がする。

金色のフワッフワした尻尾が。きっと幻覚だろうけど。

この二人を見てると俺の頬が緩む。

自分の作った料理を美味しそうに食べてくれればやっぱり嬉しいもんである。

それが例え男だろうと女だろうと。

クロノとユーノが美味しそうに食ってくれるのもかなり嬉しいんだが……

残りの3人は俺の料理を一口食べるたびに何かに打ちのめされた表情になっていくのでなんとも言えねえや。

と、3人から視線をフェイトに戻すとフェイトのホッペにお弁当さんがついてるのを発見。

それに気づかずに、フェイトはホクホク顔のままオムライスを食している。

「お~い。フェイト、お弁当くっついてるぞ」ニヤニヤ

「ふえッ!?///ど、どこッ!?///」

俺がニヤニヤと笑いながら教えてやるとフェイトの顔が紅潮していく。

かなり恥ずかしかったのか、フェイトは顔に朱を差しながら大慌てで口元を拭う。

しかし近すぎるだけにどこにくっついているのか分からず、取れないままだ。

しょうがねえなぁ、と苦笑を浮かべて俺は手を伸ばす。

「ほーれ、ここだ」

「あっ…う、ぅう///」

指先がチョンとフェイトの頬に一瞬だけ触れた感触がしたかと思うと、フェイトの顔も沸騰していく。

1本伸ばされた俺の人差し指の先に卵で黄色く染まったご飯粒が付いてる。

フェイトはそのご飯粒と俺の顔を見比べている。

その顔は「どうするの?」って疑問に染まっている。

え?どうするかって?そんなの決まってんじゃございませんか(笑)

「あ~~」

「ふ、ふぇぇぇぇぇぇッ!!?」

そう、俺はそのままそのご飯粒を自分の口に向けてゆぅっくりとフェイトに見せ付けるように持っていく。

こんな面白そうなからかいの種、放置するわけなぁ~~いじゃなぁいのよぉうッ!!!

俺の行動に大人二人は微笑を浮かべ、エイミィさんはなんかワクワクした感じだ。

クロノは、はぁ~と溜息をついて額に手を当てている。ユーノは苦笑いをしてる。

アルフはなんか……指を咥えて羨ましそうな表情をしてる。まぁ、もちろん途中で止めるけどね。

そんな感じで頭の中で止めるタイミングを計りながらフェイトを見てみると……

「あう///…あわわわわ///」

なんか目がグ~ルグルと渦巻きになってますた。

やっべえ、面白れえ……と、そろそろ止めるか。これ以上やったらフェイトが倒れちまうかも知んねえし。

そう考えて、口の中に入れそうになった指をフェイトに向けて声を掛けようとしたところ……

「わわわわ///ダ、ダメェッ!!!?///」

テンパッたフェイトがグルグル目のまんま俺の指に向かって身を乗り出して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はむっ

ザ・ワールドッ!!!

『最高にハイってやつだあっ!!!』

 

……その時、その場の時が止まったと後にクロノは述懐する。

 

 

 

最初こそ自分の行動に目を見開いたフェイトだったが、次第にその表情は恍惚とした表情になり……

そのまま咥えこんだ俺の指先のご飯粒ごと口に含んで舌で転がし、舐っていく。

吸って舐めて転がして舌をぐねぐねと躍らせて。

ちゅっぱちゅっぱちゅっぱっちゅっぱぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃちゅるちゅるちゅる

エロい。なんだかとってもエロい。どこで覚えたそんなテク。

そう突っ込みたくて俺は仕方ないのに、何でだろう、声が出てこない。

喉を振り絞ってもあーうーと呻き声しか出やしねぇ。フェイトの瞳は俺の顔を上目遣いに覗き込んでくる。

俺の指を咥えたまま……ヤバイ、飲み込まれそう。

助けを求めてアルフの方に視線だけでメーデーを送るも、アルフもアルフでいきなりの主人の色っぽい仕草に唖然として固まり、また指を咥えて羨ましそうな表情をする。

ダメだ、やっぱり藁に縋っても溺れるだけか。

ならばと、他の皆に視線でメーデーを送るも……

「「「「「………」」」」」

ガッチリ、固まっていました。泥舟もダメか、こんちくしょお。

あとフェイト、どうしてそんな表情がだんだん恍惚な感じから妖艶な感じになってるんでしょうか?

あぁ、そんなに激しく吸い上げられるとッ!!

ちゅ~~~~~~~~………………………………ちゅっぽんっ

 

「………はふぅ///」

溜息をつくその声は途轍もなく、淫らに聞こえます。

何か生気っぽいのをを散々吸い取った直後のような擬音と一緒に、ようやくフェイトの唇は離れた。

確かにそんな感じがしないでも無い。ペロリ、と唇を舐め上げる仕草がなんともそれっぽい。

何故かフェイトの肌はさっきよりも艶めいてるし、俺の口からは白い魂が抜け出ようと――――

『ゼーーーーーンッ!!!、カンバーーーーーーック!!』

残りの全員の声で俺の魂は黄泉に逝かずに済んだ。

「はっ!?俺は一体何を!?ここは誰ッ!?私はDOKOッ!?」

危うくお迎えが来かけた俺を余所に、フェイトは薄く……それでいて感謝と嬉しさの籠った微笑を浮かべて……

「ゼンの………美味しいね///」

フェイトの口の端から垂れる一筋の涎がなんとも……エロいです。

 

フェイト……恐ろしい娘ッ!!!

 

 

余談だが、その後アルフにも同じことをされて俺の魂が鰹節の如くガリガリと削られたことをここに明記しておく。

 

 

教訓、イタズラは程ほどに、まる

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「さて…ゼン君。今回ここに来てもらったのは今起きてる『事件』について話しておこうと思ったの」

「母さっ艦長ッ!?」

「事件…ですかい?」

ちょっとヤラシイ感じの(原因は完全にゼンのイタズラ)夕飯も終わって、缶ジュースを飲んでマッタリしている中でリンディさんはイキナリ話を切り出した。

クロノが怒ってるがなんぞ?

「クロノ、彼が巻き込まれない可能性はゼロでは無いのよ?それに、彼に力を貸してもらえば…」

「ゼンは一般人なんですよッ!?コイツはバリアジャケットが無いのに、平気で無茶をやりますッ!!下手したら次 こそ命はないかも知れないんですよッ!!」

その言葉に、リンディさんは押し黙る。特にプレシアさんは顔を強張らせている。

まぁ確かに危ないっちゃ危ないからな……プレシアさんは俺の無茶を間近で見てるし。

「クロノ?とりあえず何が起きてるかだけでも教えてくれねぇか?何も知らずに渦中に飛び込むのはゴメンだから  よ?」

「…そうだな、すまない。取り乱した…」

「なぁに、そんだけ俺のこと心配してくれたんだろ?ありがてえことだぜ」

「んなッ!?///ち、違うッ!僕は一般人が巻き込まれることを言ってるんだっ!べ、別にお前のことだけを心配したわけじゃないからなッ!?」

恥ずかしがって言っても説得力のカケラもねぇぜ?

「ハイハイ、ツンデレ乙b」

「誰がツンデレだッ!?」

「クロノ」

「何だッ!?」

「ありがとうよ」

「………ふんッ」

とりあえず皆さん微笑ましい顔やめて本題に入りません?

クロノの口から語られたのはなんともブッ飛んだ面倒事の話だ。

今この町である事件が起きてる。

起きている事件は「魔導師襲撃事件」といわれているらしい。

なんでも、先日なのはがいきなり他の魔導師に襲われたようで魔力の源、リンカーコアとやらを蒐集されたと。

事態を察知して駆けつけたフェイトやユーノも歯が立たなかったそうだ。

その時の戦闘でデバイスも砕かれたらしい。

今はアースラのデバイスメカニック……マリエル・アテンザって人が修復&カスタム中だそうだ。

そして、今はなのはが魔法を使えないのでフェイトが護衛をしているらしい。

……あんにゃろうめ、魔法が使えないの黙ってやがったな……フフフ。

俺は頭の隅で地味になのはへの仕返しを考えつつ、話を聞いていく。

「治すだけなら俺でもできるが…」

「うん、でも、新しいシステムを組み込んでいるから治すだけじゃダメなんだ」

そう、新しい装備を組み込むなら『クレイジーダイヤモンド』の出番はねえ。

……役に立てねぇのは歯痒いな。

「とりあえず襲撃してきた犯人はわかってんのか?」

「一応は…な…」

なんか苦い顔してるがなんでだ?

「これが襲撃してきた犯人達だ」

クロノが展開したディスプレイにはピンクのポニーテールの女

犬耳を生やした褐色マッチョの男

長い三つ編みをした赤いドレスの少女

緑色の帽子をかぶった金髪の女性が映っていた。

「彼等は『ベルカの騎士』と呼ばれている」

「『騎士』?魔導師とは違うのかよ?」

「僕等が使っているのは『ミッド式』と呼ばれる魔法形態なんだ」

クロノの説明を引き継いで今度はユーノが説明を入れてくる。

「そして彼等が使っている魔法形態が『ベルカ式』…遠距離や広範囲攻撃をある程度、度外視して対人戦闘に特化した魔法で、優れた術者は『騎士』と呼ばれる」

確かに映像を見る限りじゃ派手にドンパチというより近寄って叩くことが多いな。

「最大の特徴はデバイスに組み込まれたカートリッジシステムと呼ばれる武装なんだ。儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間的に爆発的な破壊力を得る」

ユーノの説明が止んだタイミングで映像の中の相手のデバイスの一部がスライドコッキングしてスライドしたデバイスの穴から薬莢が排出される。

……なんつうか銃みてえだな。

「そして、彼等は『闇の書』の守護騎士プログラムと呼ばれる存在だ」

闇の書?なんだそりゃ?新しい単語のオンパレードだな。

「クロノ、闇の書って何だ?」

「闇の書は魔力蓄積型のロストロギアだ。魔導師の魔力の根源であるリンカーコアを食って、全666ページを埋めるとその魔力を媒介に真の力を発揮する。次元干渉レベルの巨大な力を…」

「本体が破壊されるか所有者が死ぬかすると、白紙に戻って別の世界で再生するの……新たな所有者の下に……」

闇の書とやらに関してはユーノではなくクロノが説明をして、エイミィさんがその補足をしてくれた。

まぁたロストロギアかよ……ん?『別の世界で再生』?……あれ?

「ってちょいまて?それじゃあイタチゴッコじゃねぇか?終わりがねぇってか?」

「ああ。様々な世界を渡り歩き、自らが生み出した守護騎士によって守られ、魔力を食って永遠を生きる。破壊しても何度でも再生する、停止させる事ができない危険な魔導書」

クロノが険しい表情で余り聞きたくなかった最悪な能力の説明を締めくくった。

「ジーザス…なんでまたそんな厄介なもんが海鳴市にくるかねぇ……んで?そのページとやらが埋まっちまったら何が起こんの?」

「少なくとも……ロクなことにはならない……」

トンでもねぇ話しだなぁ。おい。

「ゼン……さっきも言ったように君は一般人だ。この件には関わらないほうがいい」

クロノはいつも以上に真剣に俺に声をかけてくる。

他のみんなもおんなじ顔してるわ………

「NO WAY(嫌だね)」

「なッ!?」

「あいにく、俺は自分のダチがやられて黙ってられるようなイイ子ちゃんじゃねぇのよ…」

なのはもユーノもアルフもフェイトもやられたんだろ?

なら………落とし前はつけさせなきゃあな。

「俺は俺の意思でこの喧嘩に参加させてもらうゼ?関わらなくても海鳴市があぶねぇのは変わんねぇだろ?」

「だが……」

「それに………戦場じゃオメエが背中を守ってくれんだろ?クロノ」

俺は満面の笑みで未だに渋るクロノに話しかける。俺はお前を信じてるという思いをこめて……

「……足引っ張ったら置いていくからなッ!?」

「おうおう、テメエこそ遅れんなよ?」

俺の意図が通じたのか、クロノはそっぽを向いて返事を返してきた。

俺たちのやり取りに部屋の空気が和らいでいく。

リンディさん達もつられて笑っているようだ。

「やれやれ……」

 

ヒュッ

 

ベキベキベキィッ!!!

俺は飲み終えた空き缶を上に投げる。

すると投げた空き缶は、俺の背後から現れて守護零のように佇んでいた『クレイジーダイヤモンド』が握りつぶしていく。

ベキベキと潰れる音を立てて、『クレイジーダイヤモンド』の手の中にあった空き缶はコイン大の大きさまで圧縮された。

「キッチリ落とし前……つけさせなきゃな………」

 

俺のダチに手を出しやがったんだ……この借りは高く付くぜ? 守護騎士さん達よぉ…

 

俺は『決意』を新たに天井を睨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、そんな感じでシリアスに終わるわけも無く………

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ///////」

「えへへ♪///」

「じゃあ、ゼン君?」

「お休みなさい♪」

「説明を要求する」

何故か、フェイトとアルフと同じ布団で寝ることになってますた。

あるえ?

「いやいやいや、アカンでしょ?男女がおんなじ布団で寝るなんて」

「まだ子供じゃない」

やかましい。こちとら精神年齢は上じゃい。

「それにユーノ君はなのはちゃんと同じベットで寝てるわよ?」

フェレットモードでしょうに。ちなみに彼はさっき帰りますた。

この暗い中一人で……ユーノェ……

「まぁまぁ、これは仕方ないのよ?」

「その『仕方ない』がスッゴイ気になるんですが?」

俺はリンディさんに聞き返す。

リンディさんもまじめな顔で俺を見てくる…やべえ。マジな理由か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「引っ越したばかりで荷物、完全に出し切れてないし…」

「完壁な私事じゃないすか」

まともな理由じゃなかったぜ。ちくせう

「ゼン君…」

今度はプレシアさんかよ。

プレシアさんもマジな雰囲気だ…一体何が?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食べちゃってもいいけど責任はキチッと取ってね♪むしろ食べなさい私が許すッ!!」

「おい母親」

小学生に何を期待してんの?この人?こんなにクレイジーだったっけ?

と、そんなやり取りも馬の耳に念仏の如く、お二人は楽しそうに話しながら部屋を出ちまった。

おい、母親。

「……寝るか…」

仕方ねぇ、寝ちまおう。うん、それがいい。

「う、ううううんッ!?///////」

「あいよ♪///お休み、ゼン///」

「あぁ、お休みアルフ…」

俺達は電気を消して川の字に布団に入る。

俺が真ん中で左右がフェイト達の構図だ。

アルフは余り場所を取らないようにと子犬モードになっている。

しかも早々に寝やがった。寝つき良すぎだろアルフちゃん?

まぁ、俺も寝ますか……

俺も布団に入って目を瞑って眠気が迎えに来るのを待ってたんだが……

「ゼ、ゼン?////」

「んぁ?どうした?」

その声に目を開けてそっちを見て見るとフェイトは期待したような、怖そうな目で俺を見ていた……なんぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、私を………食べちゃう…の…?///」ウルウルウルウル

すいません。

滅茶苦茶美味しそうなんです……ゲフンッ!ゲフンッ!

「……食わねぇから安心しろって…」

「あっ……食べない…の?」

「食べません」

「……よかったぁ」

なんかガチで安堵してやがりますよこの雷娘は。

お前は俺を何だと思ってんの?

(……噛まれたら、痛い…よね?……でも、ゼンが噛むって事は……口が私の身体…に?……は、はうぅッ!?…///)ボォンッッ!!

………何だ?今の音?…あっダメだ。眠い。

「お休み、フェイト」

「お、おおおおお休みッ!?///」

なにやら真っ赤になってるフェイトを最後に、俺は意識を落とした……

そして、朝を迎えたんだが……

「…………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

起きたら、フェイトが俺の横で正座して俺にとんでもないプレッシャーを浴びせていますた。

え?何で?ワケワカメ。

普通この場面は爽やかな笑顔で「おはよう♪」じゃないの?

朝の空気はこんなに重くないよ?爽やかだよ?採れたてトマト並みにベェリィ~フレェッシュなんだよ?

とりあえず現状把握のために起きようと手に力を入れたら………

むにゅうん

「ぁん///」

可愛らしい子犬の鳴くような声と、左手に至高の柔らかさ、そして体を包まれるような感覚があります。

あっるえ??

起き抜けの頭を何とか動かして、そちらを見ると………

「んん///」

大人モードのアルフさんに抱かれてる自分がいますた。

俺の左手は思いっきり柔らかでふにゅふにゅのスイカさんをぐわっしりと掴んでます。

むにゅむにゅと柔らかくて甘くてい~い匂いがします。

子犬モードで寝たのでパジャマの胸元が大変、窮屈そうになってますぜ。

死んだな。こりゃ。

「………クロノ?」

突如、フェイトがクロノの名前を呼んだかと思うと…

ダダダダダダダダダダダッ!!!

ズバァンッ!!

「こちらになりますッ!!」

何かが爆走する音が廊下から響き、突如扉が蹴破る勢いで開けられる。

そしてパジャマ姿で現われたクロノが90度の礼をしてフェイトにナニカを差し出す。

どうやら、念話で何かを要求したらしい……

フェイトはクロノに見向きもせずそれを受け取る。

渡した(献上した?)クロノは俺に目も合わせず走って部屋から出て行った。

み、見捨てられたぁっすッ!!?

「……ゼ・ン・?」

まさかの裏切りに愕然とする俺の耳元で甘く、しかしとんでもない冷気を纏った声が響く。

耳元に掛かる息で身震いするも、別の意味でも体がブルってきやがる。

振り向いてみればソコには俺の名前を呼ぶニッコリと笑ったフェイト様がいて、手にあるそれを愛おしげに撫でてる。

 

それは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どう見てもS2Uです。

本当にありがとうございます。

ま、待て待て待て待てッ!!!?

朝からスプラッタはごめんだぞぉッ!!?

え?……感想?

そりゃあもう、ディ・モーーールト(非っっっっ常に)べネ(良し)ッ!!!としか……

 

 

……あ……

 

 

「…ゼンのぉ~~……///」プルプルプル

 

 

 

 

俺を睨むその目には涙が少々、ほっぺたに赤みのある可愛さがグンバツのお顔ですた。

段々とフェイトの周りの空気がバチバチ鳴って帯電していきます。

 

 

 

 

 

 

………朝からそりゃ無いぜ、ベイビー……

 

 

 

 

「……えっち~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!/////」

 

 

 

 

 

 

アッーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

そして、ボロッボロになった体を引きずって、金色の死神と化した不機嫌一色のフェイトから逃げるように自宅に帰ったんだが………

 

 

「禅ッ!!!転校するわよッ!!!」

 

「たった一夜で何があった?」

 

そこには『私立聖祥大学付属小学校』のパンフレットを持った超☆笑顔のお袋がいた……

な☆ん☆で☆さ☆!☆?

 


 
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