No.453116

楽しく逝こうゼ?

piguzam]さん

第11話~俺の意思はどこへ?

2012-07-15 02:06:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:16518   閲覧ユーザー数:14202

「………」ニコニコ

 

「………」ニコニコ

 

「………」ニコニコ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

 

……誰も、一っ言も喋ってくれねぇのが、余計に恐怖を煽ってくるぜ…

現在進行形で俺の胃がプレ、プレ、プレッシャーでマッハです。

床に正座してるので、見下ろされて効果倍プッシュ。

 

「アイツ最低ね。女の子を泣かせるなんて…」

 

「うん…あれは、いくらなんでもヒドイよ……」

 

アリサさん?すずかさん?ドンだけ理不尽なんすか?あんた等。

 

「ねぇ?…ゼン君?私の聞き違いかしら?…今、あなたはフェイトと違う学校に通ってるって私には聞こえたんだけど?…」

 

ニコニコと目以外が笑っているプレシアさんが俺に聞き返してくる…

できればその目も笑って頂けると素敵なんですが…

 

「あ~その…聞き違いじゃねえですよ?俺は聖洋小学校じゃなくて海鳴第2小学校に通ってます。はい」

 

この場で嘘言っても仕方ないのでしっかりと答えたんですが……お三方は相変わらず沈黙してる。

その沈黙に居た堪れなくなった俺は恐る恐るプレシアさん達の後ろにいるフェイトを覗き見る。

 

「ッ………」ポロポロポロ

 

うげぇッ!?フ、フェイトの涙がヤバイことになってるし!?

涙の量、絶賛増量中ですた。

あ、あんな捨てられた子犬みたいな目で見られると罪悪感がまるでハーヴェストの大軍の如く襲ってきやがる!?

……あ、あんな目ぇされたら俺は何もしてねぇのに俺が全部悪いって気持ちにさせられるぜぇ…

フェイトの涙に比例して、俺に対する非難の眼差しもヤバくなっていく。

そして…目の前のお三人様のプレッシャーも跳ね上がっていく。

 

いやいやいやっ!?仕方ねぇじゃんよ!?

私立なんて面倒なとこには入りたくなかったんだよ!!

そもそも俺はそこに居るなんて言ってねぇんだけどっ!!?

なんで俺が聖祥小学校に通ってる前提で話が進んでたわけさ!?

 

「フ、フェイトちゃんッ!!ゴ、ゴメンね?私が禅君と学校でも会えるよなんて期待させちゃって…」

 

よぉし、なのは。

お前が諸悪の根源だなコノヤロォ。ぷちっと潰しちゃうぞ?コラ。

だが、フェイトはなのはを責めることをせず、濡れた瞳で俺を横目に見ながら口を動かした。

 

「う、ううん…きに、しない、で…なの、はは悪く…ぐずっ…ないよ…わた、わたしが勝手に…期待し…ちゃった…だけ、だか、ら…ひっく…ゼン、も…ご、ごめんね?…迷惑…だよ…ね?…」ポロポロポロポロポロポロ

 

ぎゃあぁぁっぁぁあっ!!

 

そんな涙流しながら無理した笑顔向けないでえぇぇぇっえぇぇえっ!!?

もう俺が悪いでいいからどうか泣き止んで下さい!!フェイト様ァーーーー!!!

そして、フェイトの涙を召喚条件に、俺の目の前にカーズ様並のプレッシャーを持ったお二人が顕現された。

 

 

 

 

 

 

あ、俺死んだわ。

 

………ってあれ?ちょいと待て?2人?

 

「ハァ…仕方ないわねぇ…」

 

目の前のリンディさんは「やれやれだわ」とでも言いたげに、頬に手を当ててるが……チョイ待てコラ。

 

その台詞は俺が言うべき台詞であって間違ってもアンタじゃねぇよッ!?

そんな俺の心の叫びを意にも介さずにリンディさんはなんとも、なんとも黒い笑顔を俺に向けてくる。

………やっべえ。滅茶苦茶いやーな予感がするぜぇ…こ、ここは何をされても耐えなければっ!!

俺は黒い笑顔のまま喋ろうとするリンディさんを警戒心MAXで見ながら言葉を待つが……

 

「ゼン君?アナタのお家の住所、教えてもらえるかしら?」

 

あまりにも想定外の台詞に頭が混乱してきたぜ。

何故に住所を聞くの?その笑顔の裏に一体どんな意図があんですか?

 

「じゅ、住所?な、なんでですかい?」

 

とりあえず疑問を返してみたけど………

 

「このままo・ha・na・shi続けてもいいんだけど?」

 

「こちらになりますッ!!」

 

やっべえ!!会話が成立してねぇんだけど!?

こ、この場を納めてもらえんなら住所の一つや二つ、いくらでも出してやんよ!!

俺は急いで財布から住所と電話番号の書かれた紙を取り出してリンディさんに差し出す。

傍から見たら小学生をカツアゲしてる様にしか見えません。

 

「はい、ありがとう♪では、皆さん?少しこちらに……」

 

俺から髪を受け取ったリンディさんは女性人を引っ張って隅っこのテーブルへ移動してしまった。

あ、危なかったぜ………マジで死ぬかと思った。

とりあえず助かった命に心の中で歓喜の涙を流しながら安堵したが………

俺はいい加減、正座を解いてもいいのか?なんか勝手に解いたらヤヴァイ気が……

 

と、正座を解くか否かで迷っていると今まで避難していた恭也さんと士郎さんが近寄ってきた。

なんか二人共、本気で可哀想なものを見る目で見てくるんですけど……美由紀さんは接客に戻っちまったし。

 

「大丈夫か?…大変だったな…」

 

恭也さん。あなたの気遣いに涙が出そうですたい……でも…

 

「ありがとうございます…でも、助けてくださっても、よかったんじゃないんですかい?…えーと?」

 

「恭也。高町恭也だ…済まない、禅君…まだ俺も命は惜しい…」

 

「まぁ……そうですよねぇ…」

 

恭也さんの言わんとしてる事はよぉく判る。俺だって逆の立場ならぜってえ避難するよ。

ぶっちゃけ、まだDIO様と戦えって方が気が楽だわ。ありゃ、無理。

逆らった瞬間、問答無用でミキサーに掛けられてもおかしくないぐれえのプレッシャーだったし。

 

「ハハハ…男としては情けない限りなんだが…僕も、さっきの状態の妻には逆らえなくて…ゴメンね?」

 

……そこはむしろ、惚れた弱みぐらいに言って欲しかったです。

むしろ、あの桃子さんに逆らったら自殺志願者ですぜ?士郎さん?

 

「俺……何かしましたかねぇ?」

 

「いや…むしろ、被害者だと思うが…」

 

「女の子としては、許せなかったんだろうけど…同じ男としては…大変だったね?…今度、ケーキをサービスしてあげるよ…」

 

「俺も、いつでも言ってくれ…飲み物ぐらいは奢らせて欲しい…」

 

「……ありがとうございます…」

 

お二人の気遣いに目から汗が出そうだぜ……

と、そんな感じで男同士の友情を深めていたら、女性人が戻ってきた。

 

だが、様子が変です。

なのはは嬉しそうな顔をしているし、すずかは苦笑い、アリサに至ってはニヤニヤしてる。

……………何があった?ホントに?

大人組み3人はとっても、とっっっっても、黒いです。はい。

もうなんか、全体的に黒いです。プレッシャーがとか顔がとかじゃなくてもう存在が真っ黒です。

そしてフェイトはというと……さっきの涙はどこへやら、まるで向日葵のような笑顔を浮かべてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何があった?

 

 

俺がフェイト達の変貌ぶりに首を捻っていると、桃子さんからお声が掛かった。

 

「さて、じゃあ私は店に戻るわね♪…禅君?今度来るときはお店のケーキ、作ってもらうからね?…フフフ」

 

桃子さんはもう一度キュピーン!って感じで目を光らせながら俺を一瞥して厨房へ入っていく。

……俺、次から来てもここのケーキ食えんのか?

…なんか永遠に作らされそうなビジョンが浮かんでくる…エピタフ持ってないのに…

って士郎さん?その可哀想な者を見る目はなんですかい?恭也さんまで…もしかせんでも見捨てられた?

……もはや俺に味方はいないのかよ?

絶望した俺がうな垂れているとアリサ達も声を掛けてくる。

 

「じゃあ、私とすずかは習い事があるから…またね?フェイト、なのは…後、禅も…」

 

「またね♪フェイトちゃん、なのはちゃん…あっ後、禅君も…」

 

お二人さん?とってつけた言い方すんなや。コンチキショオ。

そのまま二人は仲良く店を出て行った。

 

「じゃあ、私達も行きましょうか?」

 

「ええ、そうね…フェイト。お母さん、『頑張ってくる』からね?期待して待ってて♪」

 

「うんっ!ありがとう、お母さん…」

 

リンディさん達もどっかに行くみてえだな。

……ん?「頑張る」って何をだ?…

そんな俺の疑問を他所に、リンディさんとプレシアさんは二人で店を出て行った。

残ったのは、俺とフェイト、なのはだけだ。

士郎さん達も店に戻っている。

まぁ、用事は終わったし俺もそろそろ帰りますか。

 

俺もそろそろ帰るとフェイト達に声を掛けようとしたが……

フェイトが俺のジャケットの裾を親指と人差し指でチョコンとつまんで、俺を見ている。

不安なのか、俺をみる赤い瞳は少々震えてる。

……滅茶苦茶可愛いんですが?

 

「あ、あの…ゼン?」

 

そんなフェイトの行動に萌えているとフェイトからちょっと戸惑い気味に呼ばれた。

 

「ん?なんだ?」

 

「そ、その…い、今から私の家に、来てくれない…かな?…」

 

え?今から?

店の時計を確認すると、7時を回っている。

さすがに今からじゃ、帰りが遅くなっちまうな。

そうなるとお袋からの制裁(パニッシュメント)がきちまうし…無理だな。

また、次の機会にしてもらうか……

 

「いや、さすがに今からは…」

 

「ダメ…かな?」

 

「いや…な?…ダメというかですね」

 

「ダ、メ…かな…」

 

フェイトは少しずつ涙目になりながらそう呟いてくる。

……あ、あれ?デジャヴ?

だ、だがここで負けるわけにゃいかねえぞ!!橘禅!!

俺の死亡フラグを回避するためにもココは心を鬼にして断るんだ!!

 

「いやほら、さすがに今の時間からは…」

 

「ダ………メ…かなぁ……」ウルウルウルウル

 

あっダメだ。

 

いや、フェイトの誘いを断るのがダメなんじゃなくて………

 

これ以上断ったら、マジ泣きしちまうぞ。こりゃあ……

いつの間にか、カウンターの奥から包丁をチラつかせる笑顔の桃子さんもいるし。

 

…覚悟、決めるか…

 

「……是非、ご一緒させて頂くぜ…」

 

俺の返事を聞いたフェイトは一気に泣き顔から笑顔に変わっていく……女って恐い…

 

とりあえず、なのはに別れの挨拶をして俺達はそのまま店の入り口を開けて外に出たんだが…

そこには子犬になったアルフとユーノがいた。

初めて見たけど、子犬モードのアルフは見ていてとても癒されます。

やべえッ!?アルフの子犬モードがメチャ可愛いんですけどッ!!?そのつぶらな瞳が最高だぜ、ヒャッハアッ!!

なぜか、ユーノは可哀相なものを見るような、それでいて、深い、深い同情を感じさせる目をしている。

だが、久しぶりの再会に若干テンションがハイになった俺はそのことに気づかなかったんだ……

 

「よぉ!ユーノにアルフ!久しぶr………」

 

ガァブウゥッ!!!

 

「あんぎゃあぁぁぁぁぁあぁっぁあぁっすッ!!!?」

 

「ア、アルフッ!!?」

 

いきなりアルフが俺の顔面に飛び掛って、髪の毛と頭皮を噛みまくってきたんだけどっ!!?

なんでっ!?俺まだ何もしてないんだけどッ!!?いきなりなんなの、コレェッ!!?

 

「ダ、ダメだよっ!!アルフ、どうしたのッ!!?」

 

いきなりの事態に目が点になってたフェイトが慌てて駆け寄ってアルフを思いっきり引っ張ってくれるんだが…

フェイトさん?今アルフの爪と牙は俺の頭と髪に食いついてんですよ?従って引っ張ったら………

 

グイィィィィイイィィィッ!!!

 

「あだだだだだだだだだだだだっ!!!!!」

 

俺の頭皮とかも一緒に引っ張られちまうんですがあぁぁぁっぁあっ!!!!?

痛いって!?ちょっ!?マジで離してッ!!引っ張らないでッ!!?

毛根がブチブチいってるからああぁぁぁぁっぁあッ!!!?

 

「ど、どうしたの、アルフッ!?…他の雌!?意味がわからないよ!?」

 

念話の使えない俺にはアルフとフェイトがどんな会話をしてるかわからんが…アルフが怒ってるのは判ります。

只、何に怒ってるかは皆目検討がつきませんがね。

そのまま暫く、俺の毛根は怒れるアルフと引っ張り続けるフェイトによって蹂躙され続けますた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つうかよっ!?

俺はポルナレフじゃねえぇぇっぇえぇっ!!!!

 

現在、まさしく翠屋の前はカオスに満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ゴメン……ゼン…僕が余計なことを言ったから………)

 

店に入っていくゼンを見て、別の動物の匂いが強く染み付いてた。

とその場に遅れて来たアルフに喋ってしまった事を後悔するユーノがそこにいた…………


 
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