No.452881

ハイスクールD×D~最強の戦車と最強の兵士(予定)~

今回のでストックが切れたので次回からは更新が遅くなります。

2012-07-14 20:56:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6523   閲覧ユーザー数:6174

第二章

第十五話「苦く、辛い敗北」

 

 

朱乃と祐斗がやれら一瞬呆然としていたが、直ぐにその現況を思い出し、キッと空を見上げた。

そこには焼き鳥野郎の『女王』が浮遊していた・

 

「テメェかァ!小猫に祐斗、それに朱乃をやったのわ!!」

 

「ええ。本当はあなたを撃破しようかと思ったのだけれであの『騎士』の坊やに邪魔されてしまったわ」

 

『女王』は残念そうにため息を吐くが俺はそんな事を気にしている余裕はない。

 

「上等だ。テメェはさっきから色々と目障りだったんだ。今ここでぶっ潰す!!」

 

ドンッ!っと地を蹴り一瞬で女王の所まで跳んだ。

 

「くたばれぇぇぇっ!」

 

「くっ!」

 

ガキィィィンッ!!

 

放った拳は女王に届く前に障壁で防がれた。

こんなモンで止められると思ってんのか?だったら・・・・

 

「なめんなぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「クゥッ!?」

 

ブォンッ――――――――ドガァンッ!!

 

しかし、障壁は壊れず障壁ごと新校舎の中へと叩きつけた。

 

「・・・・なんだあの障壁」

 

やけに堅かった。並みの障壁ならいくら『女王』のクラスだからといって下級悪魔程度の張った障壁程度なら簡単にぶっ壊せんのに・・・・。

 

「あの女何しやがった?」

 

そんな疑問を持ちながら大穴があいた新校舎へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

静雄が新校舎に入ると・・・・

 

ドォォォォンッ!!

 

「っ!?」

 

「フフフフッ!!どうだ!?いくら貴様が頑丈でもこの距離でこれほどの威力の爆撃を喰らえば――――」

 

「どうだっていうんだ?」

 

爆煙の中から静雄の声が聞こえライザーの『女王』ユーベルーナは驚愕に目を見開いた。

 

「な、なんだとっ!?」

 

爆煙が晴れると、そこには無傷の静雄が立っていた。

 

「思い出したぜ。そう言えば朱乃が焼き鳥野郎の『女王』は爆発系の魔法を好んで使うことから『爆弾王妃(ボムクイーン)』ユーベルーナだったか?」

 

「っ!」

 

爆弾王妃(ボムクイーン)』そう呼ばれた女王―――ユーベルーナは不快感で眉を歪めた。

 

「どうした?まさかこの程度じゃねぇだろう?」

 

「減らず口をっ!!」

 

ドッドォォォォォン!!

 

ユーベルーナは先ほどより強力な爆破二連発で放った。だが、

 

「ば、馬鹿な・・・」

 

静雄は平然と先ほど変わらずにそこに立っていた。

 

カツンッ・・・・。

 

「ヒッ!」

 

静雄が一歩前に出るとユーベルーナはそれに呼応する様に一歩後ずさった。

 

「う、うわあぁぁぁぁっ!!」?

 

ドォンッドォォンッドドォォォンッ!!!!!!

 

一歩ずつ近づいてくり静雄に対してユーベルーナは恐怖し狂った様に爆破を連続で放った。

しかし、それは静雄の歩みを止めるには至っていない。スピードも落とさずゆっくりとまるで死神が近づいてくるようにゆっくりとした足取りでユーベルーナとの距離を縮めた。

そして・・・

 

「ハァハァッ!!」

 

「よお、もうお終いか?」

 

「ヒィッ!?」

 

魔力も底をつき肩で息をするユーベルーナの目の前に遂に静雄が辿り着き凶悪な笑みを浮かべながら拳を振り上げた。

 

ドスンッ!!

 

「ガハッ!?」

 

静雄の拳がユーベルーナの腹部に突き刺さり、そのあまりの威力に彼女の体は一瞬浮き上がりまた地面へと落下した。

 

「話になんねぇな。お前本当に朱乃を倒したのか?」

 

侮辱とも取れるその言葉をユーベルーナはいい返す事ができなかった。先ほど貰った一撃の所為で喋る事は愚か息をするのもままならない状態なのだから・・・。

そんなユーベルーナを見て静雄は舌打ちをしてガシッと彼女の頭を掴んだ。

 

「もういい。寝てろ!」

 

ドガァァンッ!!

 

そしてそのまま彼女を床に叩きつけた。

 

「チッ・・・・思ったより時間を食っちまったか。急がねぇとな・・・」

 

『ライザー・フェニックスさまの「女王」一名、リタイヤ』

 

静雄がその場を後にすると同時にグレイフィアのアナウンスが流れた。

 

 

 

 

 

 

新校舎屋上。

 

そこにはイッセー、リアス、アーシアそしてライザーの四人がいた。しかし、その中でイッセーはライザーとの戦いで既に満身創痍、それでも前に進もうとするがそんなイッセーをリアスに抱きかかえて止め、アーシアはそんなイッセーを涙目で見守り、ライザーは全くの無傷の状態で優越気に立っていた。

 

「イッセー。あなた・・・こんなになってまで・・・・」

 

ボロボロのイッセーを見てリアスはポロポロと涙があふれ出した。

 

「さて、リアス。もういいだろう?いい加減―――――」

 

投了するんだ。というライザーの言葉は最後まで続かなかった。何故なら突然目の前に静雄の上段回し蹴りが飛んできたからだ。

 

ドガァンッ!?

 

「グブァッ!?」

 

見事にライザーの顔面を捉えた蹴りはそのままライザーを床に叩きつけた。

 

「悪い。遅くなった」

 

「静雄さん!!」

 

「静雄・・・・」

 

突然の登場でアーシアは驚きリアスはイッセーを抱きかかえながら呆然とつぶやいた。

 

「イッセー・・・・よくやった。後は任せろ」

 

静雄はリアスに抱きかかえられているイッセーを見て全てを察し、自身の制服の上着を彼に被せライザーへと向き直った。

そして、痛みにうずくまっているライザーに向け片足を振り上げると、

 

ドゴォンッ!!

 

「グブォッ!?」

 

後頭部に踵を落とし、

 

ドガァッ!!

 

「ガフッ!?」

 

そのまま顎をけり上げライザーを宙に浮かし、

 

「ラァッ!!」

 

ドゴォッ!!

 

「グブァッ!!!!」

 

そのままガラ空きの胴へ拳を叩きこんだ。

 

「立てよ、サンドバック。俺とテメェの格の違いを見せてやる!」

 

その眼に憤怒を宿した静雄がライザーに向けてそう宣言した。

 

「グッ・・・調子に乗るなよ貴様ぁ!!」

 

ゴォッ!!!

 

「静雄っ!?」

 

ライザーの炎が静雄に直撃した。

 

「クハハハッ!!調子に乗るからだ、馬鹿が!」

 

並みの下級悪魔なら一瞬で灰にするほどの熱量の炎が静雄を包み込んだ。が、忘れてはいけない。

 

「なんだぁ?この程度かよ、サンドバック」

 

「な・・・・」

 

目の前にいる男は並みの下級悪魔ではなく規格外(バケモノ)であるという事に。

炎に包まれているはずの静雄はまるで意に介さず、ゆっくりとした足取りでライザーに向かっている。

 

「ぬるま湯かと思ったぜ」

 

「ば、馬鹿な・・・」

 

ありえないライザーの頭の中ではその言葉で一杯だった。たかが下級悪魔がフェニックスの業火を受けて無事でいられるはずがない、ましてや何の防御もせず普通に歩くなど・・・・。

 

「ありえる筈はないのだぁぁっ!!!」

 

「ウルセェよ」

 

迫りくる火球を静雄はグローブに包まれた手で軽くはじき、そのまま拳をライザーの顔面に叩きつけた。

 

「ガハァッ!?」

 

「寝るのはまだ早いぞクソ野郎ぉ!」

 

そのまま一方的な展開となった。ライザーの攻撃は静雄には大した効果は無く静雄の拳打を防御出来ず一方的に喰らっていた。対して静雄はライザーの炎など意に介さず再生の炎が出ている部分にも容赦なく拳を打ち付けた。

ここで解説を入れておくのなら何故静雄が再生の炎の部分に触れても大丈夫なのかというと、それはあ彼の両手にしてある黒い手袋に秘密がある。『飛竜の皮手袋』火に強い事はもちろん、刃物を通さず破魔の力すら防ぐ優れ物である。

 

「おい、どうした?もう終わりかよ」

 

「ハァハァッ!!・・・グッ・・・ぐぞっ・・・」

 

先ほどまで鳴り響いていた打撃音が止み静雄は床に膝をついているライザーを見下ろしていた。

対するライザーも地面に膝をつき肩で息をしながら静雄を睨みつけていた。既に先ほどまで受けていたダメージは既に再生し始めていて治りかけている。が、その眼には目の前にいる男に対する恐怖で染まっていた。今まであそこまで一方的に殴られたことなどライザーの人生では一度もなかったのだから無理はないだろう。ましてや相手が自分より下級の悪魔なのだから・・・。

そんなライザーの考えなど露知らず静雄は若干焦っていた。それはライザーを倒せないからという訳ではなく、先ほどから嫌な予感がしてたまらないからだ。それを払拭するかのように静雄は拳を振り上げた。が、

 

投了(リザイン)します」

 

「なっ!?」

 

その拳は思いもよらなぬ言葉によって止まってしまった。

静雄は後ろを振り返り信じられない様な目でリアスを見た。

 

「テメェ、リアス!一体どういうつもりだ!!?」

 

「これ以上やっても無駄だわ。ライザーには勝てない、彼は無敵、『不死』なの。静雄はよく頑張ってくれたわ。だからもうお終いよ。イッセーもこんなボロボロに・・・・」

 

「ふ、ふざけんじゃねぇ!そんな言い訳が許されると思ってんのか!?この日の為に俺や朱乃、祐斗に小猫にアーシア、それにイッセーがどれだけ頑張ったのか、テメェ知らねぇとは言わせねェぞ!!なのに、そんな俺達の思いをテメェは踏み躙んのかよ!!」

 

あまりの怒りに静雄はリアスの胸倉をつかみ至近距離で睨みつけた。その眼は先ほどより強い怒りと失望の色が見てとれた。実際、ライザーは精神的に追い詰められていた。自分の攻撃が効かず一方的に蹂躙されていく、そんな恐怖を文字通り体に叩きこまれ、このままいけば勝てる可能性があった。そんなチャンスを彼女は棒に振ったのだ。

 

「・・・・ごめんなさい」

 

そんな静雄の視線を見ず、リアスは床に倒れているイッセーに視線を向けながら謝った。

そんなリアスの視線に気づき静雄は奥歯が噛み砕けるほど歯を食いしばった。

 

「・・・・俺がお前の眷属になる時、俺はお前に言ったよな?」

 

「・・・・・・ええ」

 

「『お前の眷属にはなってやる。だが、俺の上に立つのなら不甲斐無い真似はすんじゃねぇ。したら容赦しねぇぞ』それが分かっててお前は言ってんだな?」

 

「・・・・ごめんなさい」

 

「・・・勝手にしろ!!」

 

バッとリアスの胸倉を離し静雄はリアスに背を向けた。

そして・・・

 

「クッソォォォォォォォォッ!!!!!!!」

 

新校舎屋上で静雄の慟哭が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺達の初のレーディング・ゲームは辛く、苦い敗北に終わった。

そして、俺とリアスとの間に大きな溝を生んだ。

そう、とても大きな溝を・・・・・。

 

 

 

 

 


 
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