第五技 現状と惚気?
キリトSide
「それにしても随分とこっちの生活に馴染んできてしまったな」
「うん…。私も最近ではリアルでの記憶がいまいち思い出せなくなってきたのよ」
俺が漏らした一言に、アスナは答えた。それは俺も同じである。
家族とか大切な事とかは覚えているけれど、その他のこととかはあまり思い出せなくなっている。
「それに、最近は攻略の速度が落ちたと思わない?」
「そういえばそうだな。攻略組も最大の時は2000人ほどはいたが、今では700人ぐらいしかいないしな」
アスナの言葉に俺は思い返してから答える。
迷宮を上層にいく毎にモンスターも強くなり、被害者も増えていっている。
攻略を諦める奴らもでてきて、いまではさっき言った人数になってしまった。
「皆がこの世界に馴染んできてしまった……、またはこの世界で生きていくことを完全に決めてしまった…か」
「そうなんだとおもう。だけど、私は諦めない。まだ、向こうでやりたい事とかたくさんあるんだから」
彼女は諦める気などさらさらないようだ。俺も諦める気など毛頭ないけどな。
「そうだな…。俺達が諦めたらサポート組のやつらにも、申し訳がたたないからな……それに――――――にもな」
俺が最後に言ったことはアスナには聞こえなかったようだが、何故かまじまじと俺の顔を見ている。そして、
「あ、あ~。やめて、そういうの」
何故か分からないが、いきなり何の脈絡もなくそう言ってきた。
「えっとね、前にもそういう顔して結婚の申し込みをしてきた人達がいたの」
その言葉に俺は少しの間、唖然としていたがすぐに腹を押さえて笑ってしまった。
「ちょ、ちょっと! いきなり笑うなんて酷いじゃない!」
「くっ、くくくっ。わ、わるい。あまりにも、おかしかったもんで…くくっ」
アスナは心外だと言わんばかりの表情をしている。どうやら気に障ってしまったらしい。
「いや。俺がおかしいって言ったのは、俺なんかが君みたいな美人と釣り合う筈がないっていうことだよ」
アスナはポカンとした顔をしていたが、俺が言った事をすぐに理解したのか一瞬で顔を真っ赤に染め上げた。
「え、えっ、あ、あの、えと、その……/////////」
言い返す言葉が見つからないのか顔を俯かせてしまった。可愛いなと思ったりしたのは内緒にしておく。
すると今度は少し涙目で上目使いに睨んできた。その彼女の愛らしい行動に浮かび上がった感想はやはり……。
「(ボソッ)かわいい…」
「っ~~~~~/////////」
小声でいったのだが、どうやら聞こえてしまったらしい。またもや顔を俯かせてしまった。
「えっと、落ち着いたか?」
「う、うん。もう大丈夫//////」
少ししてから、まだ顔が紅いようだが本当に落ち着いたようだ。しかし、
「「………」」
会話が出てこない。どうしようか。取り敢えずは謝っておこう。うん、それがいい。
「その、すまない。まさか、あそこまで取り乱すとは思わなかったから」
「う、ううん。ホントに大丈夫だから……。(ボソッ)それに、嬉しかったし……///」
「そ、そっか。なら、良かった…」
アスナは最後に言ったのが聞き取られていたのに気付いて、また頬をほんのりと赤らめた。
「「………」」
そして、また沈黙。うう、さすがに気まずい。う~ん、なにかないか…。
あれ、そういえば彼女は俺の事を探していたんだよな? なら、それが本題のはずだ。
「そういえば、何か俺に用があったんじゃないのか?」
「あ、うん。えっとね……」
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
原作と違ってキリトがアスナを手玉にとりました。
うまく書けたと思いますが・・・。
それとですね、キリトがアスナに聞こえないようにいったセリフはこうです。
『それに死んでいった奴らのためにもな』です。
こんなことアスナに聞こえるように言ったら、空気が暗くなってしまいますからね。
それでは、次回で・・・。
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キリトのナルシストぶりが大いに発揮されてると思います。
まあ、そこらへんは皆様の基準で判断してください。
どうぞ・・・。