No.449315 believeipさん 2012-07-08 20:26:38 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1459 閲覧ユーザー数:1453 |
「
あれから、どのくらいたったんだろうか。
桜の木の下、柔らかな風のなか……私は一人。
背中に感じる桜の樹から降り注ぐ桜光は、幸せのハジマリを祝福するようで。
桜の花びらが舞う中で私は、再会の時を待っている。
私の大切なマスター、レイジが来るのを…………。
そういえば……、いつも私は、まってる側だった。
ーー最後の戦い……。
なぎさちゃんと私は、想いを……すべてをぶつけあった。
思えば、あんな時でもマスターは私を助けてくれたっけ。
死ですらも巻き戻して、私を……遠くからでも守ってくれたんだよね。
信じあって、乗り越えた。
どうにもならないって諦めかけたし、どうにもならないとも、思った。
それでも、最後には……、乗り越えた。
私はーーーー。
信じて、信じ抜いてーーー、結末を変えた。
あの後、私が泣いてたことはマスター知らないんだろうけど。
信じることしかできないのは、とてもつらいことだった。
一人でオーディンに立ち向かったマスターを、私がどれほど心配したか。
それから……。
ーー龍一君との戦い、あの時だって。
私がどんな想いをしているのかわかっていても……。
マスターは私のためにすべてを尽くしてくれた。
それはわかってるけど、それでも……やっぱり、寂しかったし、怖かったんだよ。
譲れない想いがあるっていうことはわかっているんだよ。
そんな、優しいマスターだからこそ。
私も、本気で信じられたのかもしれない……。
そう、辛くても、悲しくても、信じられたんだよ。
あー、でもマスター、女の子には鈍いんだよね。
全くっ、私がどんなにマスターを好きかがわかってないんだよ。
だから平然と無茶するし……、強がるし、誰でも助けようとするし。
紅葉ちゃんを”人間として”生き返らせたり。命を掛けて、現実を超えて。
あの時だって、一歩間違えたら死んじゃってたんだよ。
でも、ずっと……、信じ続けて、私はーーーーー特別になれたみたいなんだよ。
二心同体だからわかるんだけれど……、わかっちゃうんだよ、でも。
なかなか、私のこと特別だとは言ってくれないんだよね。
……そういうところは、意外と素直じゃない。
っていうか二心同体なんだからその……私の気持ちにはどうして気づかないのかって、知りたいんだよ。
まぁ、マスター自身色々とあったから、そこは多めに見てあげよう。
あぁ~……好きな人のことって、なんでも許せちゃうね。
「まぁきっと、いつか紅葉ちゃんの言ってた惚れた弱みってやつなんだよ」
そう、自分に言い聞かせて納得する。
というのも私はだいぶ落ち着いてないみたいで……、マスターに再会するのが楽しみすぎてどうにもならないよ。
え、笑顔で再会したいんだよっ。
ーー「やっと、会えたね……マスター」
不意に思い出した、顕現したあの日の記憶。
あの時からどれほどの時間がたったんだろう。
とても長かった気がする、ほんの一時だった気もする。
そもそも、初めてマスターと会うまでだって、私は待ちっぱなしなんだよ。
自我が芽生えてから約三年。
あの平和な一時には、カレーライスが食べたいって思った。
……実際食べたら辛かったわけだけれども。
「美味しかったな。初めて食べた、マスターのカレーライス」
「(そっか、じゃ、これから作ってやるよ)」
ーーーっ。
不意打ち過ぎ……なんだよ。
どうやら、私の存在は完全に認識されているらしい。
……マスターらしいっていえばマスターらしいよ。
「ーーーーーーーーーー」
「……久しぶりだな……」
マスターは、”私そのもの”とも言える桜の樹にそっと手を触れる。
神妙なその表情は、私が現界したあの日よりもちょっと大人びていて。
そんなマスターを見て、私の心にも幸せな日々の記憶が駆け巡る。
「お前のお陰で、俺は……色んなものを手に入れたんだ」
頬を濡らす涙を拭い、想う。
私も、マスターに、たくさんのものを……貰ったんだよ。
「幸せも、不幸も、喜びも、怒りも、悲しみも、楽しさもーーーーーーそして、大切な想い出も」
たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん……戦って、たくさん受け止めて。
そして…………、ずっと想ってた。
「ありがとなーーーーーー」
ーーっ、相変わらず、ずるい。
優しく桜の樹に語りかけるマスターを見てて……、
今わかったーーーーー。
マスターは、レイジは……、私のことを、戦略破壊魔術兵器としてでも無く、普通の人間としてでもなく、
”サクラ”として見ていてくれたんだーーーー。
ーーーーーーーーーーーーーー。
一陣の風と共に、私はこの世界に戻った。
そして、レイジはこちらを振り返って告げた。
「ーーーーーーおかえり、サクラ」
その声に私も、最高の笑顔で答える。
「ーーーーーーただいま、レイジ」
ひとときの静寂の後、
「待たせたな……サクラ」
「ホント……だよっ、私はずっと……いっつも、マスターのこと、待ってばっかりなんだよっ!」
目元が熱くなってるのを気にせずに走りだす。
「いや、だけど冷静に考えてみれば今回待ってたのは俺な気ーー」
「ただいまっ!レイジ!!」
うん、マスターが何か言ってるけど正直全く頭に入って来なかった。
私の胸は、再会の喜びでもういっぱいになってる。
だから……駆け寄ってそのまま、抱きしめる。
「ちょサクラっ、落ち着けっ」
そのまま髪をなでられ、涙でぐしゃぐしゃになった顔であっても、今までで最高の笑顔を見せる。
「ただいまなんだよ、レイジっ!!」
「あぁ。おかえり、サクラ」
桜舞う光の中で。
私の想いは、きっと、いつまでも続いて行くんだと思う。
と、いうよりも……私とマスターで、絶対に幸せな未来を気づいていくんだよっ!!
「レイジっ、私、今最高に幸せだよっ!」
「……俺も、そうかもしれない。待ってたぜ、サクラ」
優しく微笑むマスターと手をつないで歩き出す。
「待ってたのは私も一緒なんだよっ。レイジはいっつもいっつも、私のこと待たせるんだから」
他愛もない会話、そんな時間を大事にしながら。
これからは、きっと……ううん。
絶対にーー。
この日常を大切に守って、生きていきたいと思う。
何があっても、私は……、絶対に、笑顔で生きていく。
レイジと一緒なら、できるって信じてるから。
「ーーーーーー行こうか、レイジ」
マスターが信じ抜いて、私達が、創りあげた、”皆がいる大切な日常”に向けて。
宝石みたいな日々に。
「あぁ、幸せの連鎖をーーーーここから、始めよう」
ーーーーーーーーーっ。
「うんっ、うんーーーーっ!!」
誰かを犠牲にする物語なんかじゃない。
誰もが幸せになれる、そんな世界を信じて。
今までも、これからも、自分達の想いを信じてーーーーー。
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サクラ好き過ぎてヤバイipと申します。
人生初の二次創作です。脳内はそれなりに中二病なんじゃないでしょうか。
ラストシーンでのサクラの想いを想像して綴ってみました。
信じぬくことが、世界を変える一番の力になるとーーー信じて。