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side一夏
いろいろあった初日の授業後、俺が教室で今もなお注がれている視線の中にいると
「一夏」
簪がやってきた。
「どうしたんだ?簪?」
「おねえちゃんが生徒会室に来るようにって。」
「わかった。じゃあ行くか。」
「うん。本音も行くよ。」
「は~~い。お嬢様。旦那様。」
いきなり本音が爆弾を投下した。この多くの女子が集まっている中でそんなことを言えば
「え?!旦那様ってどういうこと?!」
「更識君とあの子つきあっているの?」
「そういえばあの子、4組のクラス代表の更識 簪さんよね?」
「更識!?更識君と同じ苗字!ということは二人は既に!」
なんかカオスな空間になってしまった。
「おい本音!いきなり何言うんだ!」
「え~。でもほとんどおなじようなものだよ~。一緒に寝たり~お風呂に入ったり~」
《きゃああああ~~~》
「すごいわ!更識さん。そこまで進んでいるなんて!」
「やっぱりもうキスはしたのかな?」
まずいこれではうわさが独り歩きしてしまう。そしてなし崩し的に告白する羽目になる。
そんなのは嫌だ!俺はちゃんとしたプロポーズがしたいんだ!
「だー!!それは小学生の時の話だろうが!誤解を招く言い方をするな!」
「でも~。冬休みにかんちゃんが風邪になったとき付きっきりで看病していたよね~。三日三晩~」
《《きゃああああああああーーーー!!!》》
さっきよりも強力なバイン〇ボ〇スが!
「付きっきりってことは汗を拭いたり、パジャマを着替えるのを手伝ったってこと?」
「しかもおかゆも食べさせてもらったの?!」
「うらやましいよ~~」
もう収集がつかなくなってきた。おのれ本音め!こうなったら本音が友樹と付き合っているということをばらしてやろうか。友樹というのは、俺たちの仲間で本音の彼氏だ。歳は俺たちより一つ下だが戦いに関しては俺たちより幼いころから戦っていたので経験は上である。4年前のとある事件のあと、本音が告白し付き合い始めて、今では立派なカップルだ。
本音に仕返しに以上のことを言おうと思ったときふと簪がやけに静かだなと思ってみてみると
「キ、キス、い、一夏と、そ、、それに、お、お、お風呂、そ、そのまま、ふとんへ、、へ、えへへへー」プシュウウウ~~~~
オーバーヒートしてる!しかもなんかやばいこといってるよ!?いや確かに俺も簪とそういうことしたいけどまだちゃんと告白してないんだよ!そういうのはちゃんと告白して父さんたちに了承を得てからだと僕は思います。あれ?これ作文?とにかく!
「さっさと生徒会室に行くぞ!簪!本音!」
そういっておれは簪と本音の手をつかんで走って教室を後にした。ヒートアップした女子たちを残して。だってあれは絶対に収まらないでしょ!収められる人なんて、あ、いたわ義姉さんと織斑先生。
side out
side秋人
僕は兄さんたちの様子を見ていたが
「なんかすごいな」
「ああ。すごい」
僕はそうとしか言えず隣にいた箒もそうかえした。だって突然兄さんに会いに女の子が来たと思ったら、布仏さんが女の子をお嬢様、兄さんを旦那様と呼んだ。そして、二人のエピソードを語りだした。兄さんはあわてていたけど、その顔は、僕にはどこか楽しそうに写った。その顔は、幼いころの僕の覚えている兄さんが決して浮かべることのなかった顔で、とても寂しい気持ちになった。
Side out
side楯無
やっと私の視点ね!おねえさん待ちくたびれたぞ☆
「どうかなさいましたか?お嬢様」
今話しかけてきたのは布仏 虚ちゃん。この私更識家十七代目当主更識 楯無こと更識 初音の幼馴染みにして専属メイド。この学校の三年生で学年主席。IS整備に関してはもうプロといってもいいと思う。
「なんでもないわ。それよりお嬢様はやめてよ~」
「そうですか。申し訳ありません楯無様」
ただ少し硬いのよね~。でもでもそんな虚ちゃんも彼氏である輝二くんの前だと結構甘えるのよね。見てるこっちが恥ずかしいぐらい。
「何を言ってるんですか?自分だって彼のまえだとものすごく甘えて周りのみんなに砂糖をはかせていらっしゃるではありませんか?」
「え、そう?っていうか私声に出していた?」
「はい」
「う~ん、まあ否定しないけどね♪」
私たちがそんな会話をしていると生徒会室のドアがひらいて簪ちゃん、一夏、本音ちゃんが入ってきた。
side out
side一夏
あの後、追いかけてくる女子たちを何とか回避して生徒会室についた。中に入るころには簪もオーバーヒートから復活した。途中から本音に制裁のアイアンクローをかました。
「失礼します。いったいなんなんですか?」
「実は、書類仕事が溜まってしまいまして手伝ってほしいんですよ」
机を見てみるとものすごい量の書類があった。例えるなら、スカイツリーだ。
「なんですかこの書類の量は!?」
「春休みにたまったものです。今年はいろいろ例外なことがありますから。」
「あ、わかりました。すいませんご迷惑をおかけして」
「いええ、デートしてサボっていた私たちにも責任がありますから」
「はあ、そうですか、ってなんか聞き捨てならないこと言いましたよね!?」
「気のせいです」
「とにかくさっさとやるわよ、3日以内で」
「3日!?いろいろギリギリでしょ!!」
「さあさあ手を動かす!簪ちゃんはこれお願いね、本音ちゃんはこれ、一夏はこれ、よろしくね~」
「うん、わかった」
「は~い了解です~」
「会長もこれよろしくお願いします」
「う、は~い」
そうして俺たちは作業を開始した。
正直いって3日連続での深夜までの書類作業に俺は覚悟を決めた。
俺達が書類作業をしている(本音はサボろうとしたが全員の無言の圧力にしぶしぶ断念した)と、山田先生が入ってきた。
「え~と、更識君、更識さん、いますか~?」
「はい、います」
「わたしも」
「あ、よかったです。これ部屋の鍵です。お届けに来ました。」
「「ありがとうございます」」
「お二人は、2026号室です。」
「「はい?」」
「二人は同じ部屋にしておいたわ。そのほうがいろいろ都合がいいし。」
俺達は最初驚いたが、義姉さんの言葉に納得した。
In2026室
何とか今日の作業を終わらせた俺と簪は寮室で話し合いをしていた。
「とりあえず、シャワーと就寝時間なんかを決めるか」
「うん」
そうして俺たちが話し合いをしていると
ズガンッ ズガンッ ズガンッ
という音が聞こえてきた。
「これは、、」
「木刀で板を貫いた音だな。まったくどこの誰だ?」
廊下に出てみると、女子に囲まれた織斑がいた。
「なにしてんの?お前」
「あ、に、いや、更識。いやこれは」
「はあ、もういい大体分かった。」
男である俺が簪と同室ならこいつも必然的に女子と同質になる。おそらくその女子を怒らせたのだろう。
とりあえず俺は2025号室(穴があいてるのですぐ分かった)のドアをノックした。
「おーい少しあけてくれ。」
「なんだ?」
ドアからは不機嫌そうな声が聞こえてきた。この声は篠ノ之か?
「向かいの2026号室の更識だ。少し話がある。」
「な、なんだ」
俺がそう言うと少しあわてたようにドアが開かれた。
「篠ノ之、今はかなり遅い時間だ。それなのに周りの迷惑になるようなことするな。例え織斑が悪くても周りのことを考えろ」
「う、わかった」
「わかったならさっさと織斑を中に入れろ。」
「な、なぜおまえが命令する!」
「さっきも言ったよな。遅い時間だと。話し合いなら防音設備がある程度ある部屋の中でしろ。廊下で痴話げんかされたらたまらん」
「ち、痴話げんかなど!」
「こっちは生徒会の書類仕事で疲れているんだ、さっさとしてくれよ」
「う、分かった」
俺が少しイラついたように(殺気も少し混ぜて)そう言うと篠ノ之は気圧されたように返事をした。
「おやすみ~」
そうして俺は部屋に戻り、簪との話し合いも済ませて就寝した。
そして1週間後代表決定戦が始まる。
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4話です