No.444604

そらのおとしもの〜天使と仮面騎士の物語〜第18話『Tを司るメイド/銀色の太陽』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-07-02 12:29:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1296   閲覧ユーザー数:1283

梅雨真っ盛りの日本。

 

たまたま非常に蒸し暑い気候の日、刹那達はリビングの縁側で寛いでいた。

 

 

「あついですぅ〜」

 

 

アストレアはとろけたゼリーの様にテーブルにへばりつく。そのほっぺたを、カオスがつついている。

 

 

「はい、冷たい麦茶ですよ。カオスちゃんも」

 

 

「うわあ、助かります!!」

 

「ありがとう、リインお姉ちゃん」

 

「どういたしましてです」

 

 

リインがトレーに載った麦茶を2人に渡すと、続いて刹那とイカロスの方にも近づく。

 

 

「はい。お兄ちゃんとイカロスさんもどうぞ」

 

「ありがとう、リイン」

 

 

イカロスも軽く頭を下げてお茶を受け取る。アストレアは、そんな刹那をじっと見つめていた。

 

 

「どうかしたか?」

 

「刹那さんって……私達と同じシナプス人なんですか?」

 

「どうしてそう思う?」

 

「この間、ダイダロスさんの部屋で見たんですよ。ゲイザーが私達とよく似た翼を生やして戦っているところを。」

 

「分からないんだ……」

 

 

刹那はうつむきながらそう答えた。

 

 

「? どういうことですか?」

 

「そのままの意味だ。俺は、両親の出身地についてあまり詳しく知らない。母さんに関しては、確実に普通の人間じゃないと感づいていたがな」

 

「私も似たような感じです」

 

 

リインも刹那に追随するように答える。

 

 

「他にも……妹がどうとか言ってましたね。よく聞こえませんでしたが」

 

「そう言えば、昔お母さんから生き別れた妹が凄腕の剣士だったって聞いたことがある」

 

「奇遇だな。亡くなった俺の母さんもそうなんだ」

 

「ねぇ、それってもしかして――」

 

 

何かに気づいたアストレアが口を開こうとした瞬間、ナイフが飛来してきた。刹那は難なくそのナイフを左手で取る。

 

 

「このナイフは……」

 

「さすがね、刹那」

 

 

門の方から長い銀色のおさげ髪を持つメイド服の女性がやってきた。

 

 

「その様子だと、訓練は怠っていないようね」

 

「咲夜姉、なぜここに?」

 

「あら? 義弟の顔を見にきちゃいけないのかしら?」

 

 

咲夜と呼ばれた女性は微笑みながら喋る。

 

 

「よく言いますよ。その呼び方だって、翔太郎さんを羨んで自分もそう呼んでほしいって頼んだくせに……」

 

「あら? リインもいたの? あいかわらずお兄ちゃんにべったりしてるのかしら?」

 

「あなたには関係ないです!!」

 

 

互いに牽制しあうリインと咲夜の間で火花が散る。

 

 

「誰ですか、この女性は?」

 

「十六夜咲夜、19歳。アロガンスから翔兄の師匠が助けだして以来、母さんにいろいろ教わっていたんだ。俺にとっては姉弟子だ」

 

「ああ、義弟ってそういう意味なんですね」

 

「そういうことだ」

 

 

リインと睨みあっていた咲夜は、刹那の隣にいるイカロスに目を向ける。

 

 

「ところで、貴女は誰なのかしら?」

 

「イカロスと申します」

 

「イカロス? どこかで聞いたことのある名前ね」

 

「数年前、俺が一目惚れした女だ」

 

「現在、刹那とはお付き合いさせて頂いています」

 

 

イカロスがそう言った瞬間、空気が凍った。

 

 

「へぇ、詳しく聞いていいかしら?」

 

 

咲夜の目はさっきまでとはうってかわって敵意を帯びる。

 

 

「? どうかしたんですか?」

 

「咲夜姉、面倒見が良くて、いろいろ遊びに誘ってくれたりするんだよ。でも、何故かリインとだけはあまり馬が合わない。後、たまに人の話を聞かなくなることがある」

 

 

いったい何故なんだ?と刹那は首を傾げるが、カオスは何か感づいたようだ。

 

 

「つまり、あの人も刹那お兄ちゃんのことが好きなんだね」

 

 

カオスの爆弾発言により空気が更に凍る。今度は、誰が敵意を発したのか言うまでもない。

 

 

「……それは、こちらの台詞です。少しOHANASHIしましょう」

 

「別に構わないわ」

 

 

突如、銀色のカブトムシが飛来し、振りかざされた咲夜の右手に納まる。

 

 

「カオス!! ニンフと翔兄達に連絡を取れ!!」

 

 

刹那は間髪入れずにドライバーを取り出し、装着する。

 

 

「「変身!!」」

 

《HENSHIN》

 

《KAMEN RIDE:GATHER》

 

 

2人は同時に姿を変え、それぞれ白い鎧と白銀の鎧を身に纏う。ゲイザーはアストレアとアイコンタクトし、目の前のカブトMに突っ込んでいく。

 

 

「落ち着いてください!! こんなところでやり合ったら、大惨事になります!!」

 

「離しなさい、アストレア。私にはやるべきことが……」

 

「もしもし、フィリップお兄ちゃん。今すぐこっちに来てくれないかな? すごく大変な状況になってるの」

 

 

事態を収拾すべくアストレアはイカロスを後ろから羽交い締めにし、カオスも鳴海探偵事務所に連絡を取っていた。

 

 

★★★★★

 

 

 

ゲイザーは、カブトMをイカロスから引き離し、なんとか河原まで引き離すことに成功していた。

 

 

「あんなところで何やってるんだ、咲夜姉!! イカロスはあくまで一般人だぞ!!」

 

「怪しい奴は、片っ端からぶっ飛ばせ。それが、私達のルールよ」

 

「いや、そんなルールは存在しないから!!」

 

「見知らぬ女が義弟に近寄ってたら、警戒するのが普通でしょ?」

 

「イカロスのことはきちんと話してたが」

 

「許せないじゃない。私の刹那に他の女が触れるなんて……」

 

「聞く耳なしか」

 

 

ゲイザーは右手のスナップを効かせる。

 

 

「なら、腕ずくでも止めさせてもらう」

 

 

ゲイザーはライドブッカーⅡをソードモードで構える。

 

 

「やれるものならやってみなさい」

 

 

カブトMもクナイガンをクナイモードで構える。

 

 

「貴方がどれだけ強くなったのかその剣で示しなさい」

 

「言われなくてもそのつもりだ」

 

 

ゲイザーとカブトMは互いに駆け寄り、その刃を交差させた。

 

 

 


 
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