No.439129

新魏・恋姫†無双 5話

yasuさん

新魏・恋姫†無双の続きです。

一刀は倒れてから目覚めなかった・・・。


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2012-06-19 00:34:49 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5754   閲覧ユーザー数:4726

村が襲われてから3日後、復興は進みだした。

ただ、一刀はまだ目覚めずにいた。そして、夜。華琳の執務室に、春蘭、秋蘭が集まって居た。

華琳「・・・まだ、起きないの?」

秋蘭「はい。」

春蘭「何故起きないんだ!!」

華琳「医者は、なんて言っていたの?」

秋蘭「わからないと。体のどこにも異常がなく、至って健康体だと。ただ・・」

華琳「ただ、どうしたの?」

秋蘭「氣があきらかに少ないと。使ったのではと、聞かれたのですが・・」

華琳「氣が?あの子氣使えないはずよ?それに、氣使いすぎた場合動けなくなるはずなのに動いていたわよ」

秋蘭「確かに、そうなのですが。医者はよくある事と言っていたのですが、それは、緊張が張りつめていた為じゃないかと。そして、倒れたのはその張りつめられてた糸が緩んだからと。それと、もう一つ原因があるとすれば心に問題があるそうです」

 

春蘭「心か・・・。」

華琳「・・・」

 

侍女『大人しくしてもらわないと困ります!!』

穂琳『大丈夫よ。華琳ちゃんいるかしら?』

 廊下から、賊に襲われ2日目の夜目を覚ましたが。すぐに、寝てしまった穂琳の声が聞こえ、そして、扉を開き部屋に入ってきた。

 

華琳「お母様!!起きたのですね!」

穂琳「ええ。さっきね。それより、一刀くんが目覚めないって本当なの?」

春蘭「・・・。はい」

穂琳「そう・・。やっぱり・・・」

秋蘭「やっぱり?何か知っているのですか?」

華琳「お母様、話してください」

穂琳「そうね・・。」

 

 穂琳は、近くにあった椅子に座り話し出した。

 

穂琳「私が、助かったのは。あの子のおかげなのよ」

華琳「どういうことですか?」

穂琳「意識を失って死ぬ寸前だった。自分でわかるのよ。あの時、感じたのは私の中に流れ込んでくる温かい氣。たぶん、一刀くん無意識に使ってしまったんでしょね。助ける為に」

春蘭「使えないのですよ?」

穂琳「いくら、つかえないって言っても。使えるわよ。」

華琳「命の氣ですか・・?」

秋蘭「命の氣?」

穂琳「そうよ。人は常に一定の氣を消費して生きている。その生きる為に必要な氣。命の氣。禁忌されているね」

春蘭「なくなれば・・死ぬのですか?」

穂琳「そうよ」

華琳「ちょっと待ってください。普通使い切ってない場合、一日くらいで回復するはずですよ」

穂琳「そうね。でも、あの子が回復しないのは。一刀くんが、天の御使いだから回復が遅いのかもしれないわ。」

秋蘭「だからですか。一刀の氣が封印されているは、気を使って死なない様にするため」

穂琳「ええ。多分ね。それより、一刀くんの部屋に行きましょう。ちょっと気になる事あるのよね」

 

 そういって立とうとした時、ふらつき倒れそうになったがなんとか、春蘭、秋蘭が倒れない様に支えて助かった。

 

春蘭「穂琳様!無理しないでください!」

穂琳「ごめんなさいね」

秋蘭「大人しく部屋で寝ていてください!」

華琳「はぁ・・。無理ね。どうせ、部屋に戻してもすぐに出て来るのでしょうから。春蘭、秋蘭連れてってくれるかしら?」

穂琳「ありがとう。好きよ華琳ちゃん♪」

華琳「私もですよ。お母様。さて、行きましょう」

 

 そして、4人は一刀の部屋に向かって歩き出した。

穂琳「部屋に着いたのだけど、一刀くん着替えさせたかしら?」

華琳「誰にも、一刀の裸見せたくないから。私たちが交互で着替えさせているわ」

穂琳「乙女ね、華琳ちゃん♪あの時、一刀くんが着ていた服どれかしら?」

春蘭「そこのカゴに入って居ます」

穂琳「それね」

 

 穂琳は、徐に一刀が着ていた服を引っ張り上げて、袖口から手を入れた。その、光景を見て華琳達は唖然としていた。

 

華琳「あの、何しているんですか?」

穂琳「前見せてくれた、刀だったかしら。あれを探しているのよ」

春蘭「何故あの刀を?今は関係ないのでは?」

穂琳「ん~と。違うわね。これは、くない?また、同じものだわ。なにかしら?大きい物が。これ何?まぁ、ちがうわね」

 

 穂琳は一刀の服の中から、くないや、フライパン、など。武器や調理器具をひっぱりだしていく。そして、いつのまにかカゴの周りは出したもので、一山作り上げていた。

 

 その光景にまたもや、華琳、春蘭、秋蘭は唖然としていた。

 

華琳「・・・。すごいわね」

秋蘭「よく、普通に動けるものだ・・。」

春蘭「うぬぬ。私も頑張らなければ。一刀に教えてもらった、うえいこの重さを増やさねば」

秋蘭「うえいこ。ではないぞ、姉者。うぇいとだ。」

春蘭「うぇいとだったな」

 

 春蘭は、一刀に手軽に鍛えられる物はないかと、相談していた。そこで、一刀が作ったのは。布の中に砂をつめて作り上げた。リスト・アンクルウェイトだった。簡単に作れることもあって、春蘭部隊の兵は、これを全員がつけることになった。

 

穂琳「やっとあったわ♪これで、目覚めるわよ」

華琳「何故そんなに、必死になって探すのか教えてください」

穂琳「初めて見た時。この刀から、一刀くんと同じ氣を感じたの。それに、一刀くんの事を思って、氣を使えなくしたのなら」

華琳「もしもの時の為に、どこかに氣を溜めてるんじゃないか。という事ですか?」

穂琳「そうよ。しかも、一刀くんに気が付かれずにね」

 

 そして、穂琳は刀を鞘から抜く。すると、銀色に輝く綺麗な刀身が姿を現す。

 

華琳「いつみても綺麗ね」

春蘭「なぁ、秋蘭。」

秋蘭「どうしたのだ?」

春蘭「気のせいか?前に見た時より、光が強いようなきがするのだが」

穂琳「さすがね。その通りよ。明らかに、前より氣が強くなっているわ」

華琳「では、その刀をどうするのですか?」

穂琳「多分。このまま上に置けば」

 

 すると、刀身から銀色の光の粒が次々と表れ一刀を包み込んでいく。

 

春蘭「綺麗だ。だが、何が起こってるんだ?」

秋蘭「穂琳様、これは何ですか?」

穂琳「これが、一刀くんの氣よ」

華琳「これが・・・。不思議ね」

穂琳「こんなに綺麗な氣をはじめてみたわ」

秋蘭「でも、氣が戻ったからって。心が問題では」

穂琳「大丈夫よ。」

華琳「何故大丈夫なんですか?」

穂琳「私が、死の淵をさまよっている時にね。一刀くんの氣と一緒に流れ込んで来たのよ。記憶が」

華琳「え?一刀の記憶が戻ったのですか?」

穂琳「私が、思い出すきっかけを作ってしまったのよ。」

春蘭「どういうことですか?」

穂琳「私が、気を失い一刀くんに倒れてしまったのが原因よ」

秋蘭「詳しく教えてください!!」

春蘭「お願いします!」

 

華琳「私は、いいわ。一刀が絶対話してくれるはずだもの。家族だもの」

秋蘭「・・・。そうですね」

春蘭「そうだな。私たちは、家族だ」

穂琳「華琳ちゃん♪それに、一刀くんの中には・・母親がいるもの」

 

 華琳はいままで見たことないような、優しい笑顔を浮かべていた。その言葉を聞いて、秋蘭、春蘭は落ち着きを取り戻す。そして、4人はそばに行き手を握った。

 

 

― 一刀 side 始 ―

 

一刀は夢を見ていた。

家族が、殺される夢を何度も、何度も。だが、少しずつ変化が表れる。殺されるより前の0歳から事件が起きる直前までの記憶がよみがえっていく。家族でいろんなところに出かけてたり、楽しく遊んだ記憶。優しかった母親。仕事が忙しくなかなか遊んでもらえなかったけど、休みの日は一日中遊んでくれた父親の事。

そして、真っ暗なもやが掛かっていた。家族を殺した男達を殺してしまった直後の記憶の映像。

 

 

氣の暴走により、ほとんどの氣を使い切ってしまい立ったまま気を失った小さい一刀を、抱きしめる母親。

一刀「・・・」

母親「もう、大丈夫よ。もう、大丈夫」

一刀「・・・」

母親「あなたは、これからつらい目に遭うかもしれない。違う世界へ行くかも知れない。そこは、この世界と全く違うところに。人の笑顔が不条理に奪われる世界もしれない。だけど、優しさだけは覚えておきなさい。」

 

母親「そして、力の使い方を覚えなさい。あなたには、人の笑顔を守る為の力がある。そして、その力の代償を知りなさい。いつか、誰かを守る為に人を殺してしまう時が来るわ。でも、あなたは人の笑顔を守ったのよ。だから、自分を責めちゃだめよ。あなたは、優しい子だから、殺してしまった人の命まで背負ってしまうのでしょうね。でも、私は心配していないの、あなたは強い子だから。それに、あなたを支えてくれる家族、仲間がいるから。世界で一番大好きよ一刀。私が、月の真名を持つ覇王の大切な息子」

 

一刀「・・・」

母親「私の中に、残っている全ての氣をあなた・・・。頑張ってね。一刀」

 

そして、最後の力を振り絞って。すべての氣を一刀に流し込み、腰に抱き付いたまま死んでいった。

一刀は意識を取り戻すが。目の前の惨事により、記憶全てなくす。

 

映像が終わった。

 

 一刀は、真っ白い空間を漂っていた。

一刀「そうだったんだ・・・。もう、俺の所為で・・・」

??「こら。一刀!」パチン

 自分を責め始めた直後。一刀の頭にすさまじい勢いのデコピンがヒットする。そして、ゆっくりと顔を上げて固まった。

一刀「いってぇ~~~~。いた・・いよ・・」

??「自分を責めるなと言ったでしょ?」

一刀「お母さん??」

母親「そうよ。忘れたの?悲しいなぁ・・。私は、忘れたことないのに」

一刀「・・ごめん。」

母親「いいのよ。仕方ないもの。それに、思い出してくれたもの」

 

一刀は、ぽろぽろと大粒の涙を流し始める。

母親「もう、泣き虫は変わらないのね。」

一刀「な、泣いてなんかいない」

母親「そうよね。じゃ、ちゃんとしなさい。」

一刀「うん。」

母親「さて、話を戻すわよ。自分を責めないでね。私がしたかったからしたのよ。それにあの時、私は死ぬ直前だったのよ。どんなことしても、助からなかったわ。だから、母親として大好きな子供守っただけなのよ」

一刀「でも!」

 次の瞬間また、デコピンがヒットする。

一刀「痛いよ」

母親「痛いよ。じゃ、ないでしょ?もう、母親としての役目を果たしただけなんだから。だから、気にしない!!もし、気にするなら・・。」

一刀「き、気にするなら?」

母親「さっきより、強烈なおでこが引っ込むくらいのデコピンするわよ」

一刀「気にしません!」

母親「ならよし!!・・・。さて、もう時間ね。あなた事を待ってる人が大切な家族が居るのでしょ?」

一刀「・・。うん。大好きな家族が居る。」

母親「なら、目を覚まさないとね」

一刀「うん。あの、生んでくれてありがとう。幸せでした。そして、氣をくれてありがとう。」

母親「うぅ~~~。なによ。突然・・。ばか息子」

 

 涙を流しながら、一刀を抱きしめた。

母親「強くなったわね。本当にわたしより、強くなったわね」

一刀「うん。おじいちゃんや、おばあちゃん。それに、お師匠様たちのおかげでね」

母親「そうね。よく頑張ったわね」

一刀「うん。うん」

母親「えらいわ。大好きよ、一刀」

 

 そして、ゆっくりと離れていく。

母親「頑張ってね。」

一刀「うん。大切な家族と、笑顔の為に」

母親「応援してるわよ。あ、言い忘れてけど。あなたの中に、おばあちゃんの氣も混ざってるからね。私の氣だけじゃ、足らなかったのよね。あと、おばあちゃんも覇王だからね~~~」

 

一刀「はぃ~~!!!な、ななに」

母親「それと、あなたに私の真名は、月に花と書いて、月花(げっか)よ」

一刀「真名なんで持ってるの!!!」

母親「時期が、来たら貂蝉と卑弥呼が教えてくれるわよ。」

一刀「なんで、教えてくれないの?」

母親「時間ないのよね。あと、小さい頃女装させて、すごく可愛かったけど。成長して、もっと可愛くなったわね。女装似合ってるわよ。あ、時間だ。ばいば~~~い」

 

 そして、一刀は現実に引き戻されるのだった。

 

 

―一刀 side 終 ―

 

 

一刀「ちょ~~~っと!」

穂琳「・・・・」

華琳「・・・・」

春蘭「・・・・」

秋蘭「・・・・」

 

 突然奇妙な叫びをあげながら、起きた一刀に唖然としていた。そして、一刀も4人が居る事に気が付いて、しばらく気まずい空気がながれる。

 

穂琳「コホン。一刀、起きたのね」

華琳「どんな夢みてたのかしらね」

春蘭「心配かけるな!!」

秋蘭「よかった・・。」

一刀「心配かけたみたいだね・・。ごめんなさい」

 

穂琳「ふふ♪いいのよ。大切な息子だもの」

華琳「本当、心配かける弟ね」

春蘭「まったくだ」

秋蘭「本当にな」

一刀「ありがとう。あと、言いたくなったんだけど。あのね、みんな大好き」

 

 全員が、一刀の久しぶりの笑顔と言葉で、顔が一瞬で真っ赤になる。

穂琳「あらあら♪♪私もよ。もちろん、一人の男としてものね♪」

華琳「決まってるでしょ。私が、大好きなのだから。私も男としてね」

春蘭「ふん!当たり前だ!」

秋蘭「素直じゃないな、姉者は。私も、大好きだぞ。もちろん、男としてな」

春蘭「わ、私もだ」

 

一刀「うん。俺も家族として、そして大切な女性としてだよ」

 

一刀「だから、話したいことがあるんだ。あのね・・」

 

そして、一刀はゆっくり。過去を思い出したこと。強烈すぎる事件の事、その直後母親に言われた事。そして、夢に母親が出てきたことを。ゆっくり、話し始めた。

 

話が終わると。その日は、5人揃って眠りに着くのだった。

 

 

 

そして、次の日から一刀は後悔しないために、本格的に動き出す。

 

 

 


 
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