No.438699 【獣機特警K-9】マキ署長の地球訪問【交流】古淵工機さん 2012-06-17 23:22:53 投稿 / 全10ページ 総閲覧数:802 閲覧ユーザー数:749 |
地球、インバシティ・ナリタ国際宇宙港。
ここには毎日、さまざまな星からやってくる数多くの宇宙船に加えて、
地球の各地からも数多の航空機が発着する、ニホン地域の中でも屈指の宇宙港である。
そのターミナルビルの到着ロビーで、一人のテラナーの女性が待ち合わせをしていた。
トーキョー・ベイ警察署の署長である
「うーん、まだかなー…あ、来た来た」
アリサはターミナルから降りてくる人影の中に、やや小ぶりなネコ形ファンガーの女性を見つけると、すぐ彼女のもとへと歩み寄る。
そのネコの女性はマキ・ロックウェル警視。ファンガルド星ラミナ警察署の署長である。
いつもは底抜けに明るく、笑顔を絶やさないマキだが、なぜか様子がおかしい。
全身の体毛はボサボサに毛羽立ち、明らかに疲れきった表情であった。
「マキ!?どーしたのあなた一体!!」
「うぅ…もうやだ…。エコノミークラスで地球まではやっぱりしんどい…」
それはマキがファンガルドを発つ3日前。
マキはその日の夜、とある居酒屋で生活相談課のセシール・デュラン警部、
K-9隊のエルザ・アインリヒト警部、会計課のサラ・セイバーズ警部と呑みながら話をしていた。
「というわけで、久々の休暇なんだけど、地球に行こうと思うの」
そんなマキの言葉に、グラタンをほおばりながら目を輝かせるセシール。
「へー、地球ですか。いいですねぇ。私も一度行ってみたいです」
「地球…か。私も久しぶりに弟と行ってみたいですね」
と、エルザがそれに続く。
「まあ、いいですけど…あまり無駄遣いはよくないですよ」
と、頬杖をつき焼き鳥串を頬張っているサラに、マキは笑って返す。
「大丈夫大丈夫。だって署の経費じゃないんだし、自分のポケットマネーで行くからね」
「甘い!!」
突然サラは机を叩いて立ち上がり、マキに詰め寄ってさらに続ける。
「その考えが甘いんです。たとえ自分のお金であれ、何事も節約ですよ?」
「そ、それはそうだけどぉ…」
「だからせめて飛行機代ぐらいは抑えませんとね…はい、コレ」
と、サラはマキになにやら紙切れのようなものを手渡した。
それは宇宙船のチケットだったのだが…その券面を見た瞬間、一同が凍りつき、マキに到っては顔が引きつっていた。
「えっと…サラ?これは…一体…」
「地球行きのチケットですけど?」
「いや、ここ。座席」
「エコノミークラスです。一番安い座席ですが何か問題でも?」
「せ、せめてビジネスクラスにならないかしら…」
「節約は絶対ですw」
マキは思った。この人の節約の仕方はどこか間違っているんじゃなかろうかと。
「…というわけで、ずっとエコノミークラスだったからもう疲れきっちゃって…」
「あらら、それはご愁傷様…」
「
「ま、まぁまぁ、帰りの分は何とかしてあげるから元気だそう!ね!!」
と、アリサはマキの肩を支えながら宇宙港ターミナル駅へと向かっていった。
ナリタ宇宙港からトーキョー・シティは、特急NSX(ナリタ・スカイエクスプレス)で一直線。
いくつもの街を越えていくと、やがて目の前に巨大な建造物が見えた。
高さ634m、今となっては数百年もの歴史がある「トーキョー・スカイツリー」である。
アリサはスカイツリーを指差しながら、にっこりと笑顔を浮かべて言った。
「せっかくトーキョーに来たんだから、あそこ寄ってきましょ」
「そうね!せっかくの旅行だから楽しまなきゃw」
「その様子だとすっかり回復したみたいね」
「ええ、栄養ドリンクが効いてきたかしらねー。ありがと、アリサ」
アサクサ地区、スカイツリーの展望台からトーキョーの街を見下ろすマキとアリサ。
「ねえ、ところでマキ」
「ん?」
「早速なんだけど、お昼ご飯どうする?」
と、質問を振られたマキは、余裕の表情を浮かべてこう答えた。
「お昼ねえ、ここってやっぱりお寿司が美味しいんでしょ?」
「ええ、江戸前寿司ね。あ、寿司で思い出したんだけど…夫が寿司屋やってるのよ。よかったら寄ってかない?」
「いいわね!行く行く!」
ツキジ地区、寿司屋「ことぶき」。
アリサが現在暮らしている家にして、トーキョーでも屈指の寿司の名店である。
「ただいまー」
「おう、アリサか!」
と、出迎えたのは画体のいいテラナーの板前。アリサの夫である
彼はあくまでも手作りの寿司にこだわり続け、その確かな味は他の星から訪れるビジター(ここでは、地球訪問者)の間でも評判である。
「…おや?このコがアリサの友達かァ」
「どうも、ファンガルド、ラミナ警察署長のマキ・ロックウェルです」
「マキちゃんか。見るからに魚が好きそうな顔してるじゃねーかw俺は寿司郎。シローって呼んでくんな」
「まあ、ネコ形ですからねえw」
「じゃあシロー、早速だけど例の盛り合わせ握ってもらえるかしら」
「あ、私ネギトロ丼お願いしますー」
「あいよ!!」
やがてアリサの前に寿司の盛り合わせ、マキの前にはネギトロ丼が用意された。
「いただきまーす!」
マキは早速ネギトロ丼に手を伸ばし、一口、また一口と頬張る。
「…お、美味しい…。こんなに美味しいネギトロ丼、久しぶりに食べたわ!」
「はっはっは。よかったら吸い物も一緒にどうでぇ?」
「あ、じゃあお願いしますね」
「ふふ、マキったらおいしそうに食べるんだからw」
二人はしばしの間、本場江戸前の寿司を楽しんでいたのだった。
「さぁ着いたわよ」
アリサが次にやって来たのは科学博物館。
ここにはロケットや航空機、黎明期のロボットなどといった物が展示されていた。
「へー、これが大昔のロボットなのね」
「この頃のロボットはまだ単なる人間の道具に過ぎなかったのよ。今でいうマリオネットみたいな感じのものね」
「ふふ、なんか宇宙服みたいw」
と、話していたら後ろから、ホッキョクギツネ形の女性ロボットが近づいてきた。
「よろしければ、館内をご案内しますけど」
「あ、是非お願いします」
女性ロボットの案内で館内を見回る二人。
「あれから考えてみると、今のロボットってまさに人間のパートナーって感じよね。一緒に笑って一緒に泣いて。まるで家族みたい」
と、マキが言う。するとアリサも軽く微笑みを返し、
「家族…か。T-9隊もファンガーやハーフファンガー、ロボットの集まりだけど、種族も関係なく家族みたいに仲良くやってるわよ」
「へぇ、K-9隊と似てるわね。あっちの隊員は全員ロボットだけど」
「まあ、T-9隊は問題児ばっかりだけどねwww」
「それは言えたwwwww」
さらに時は進み、日はすっかり沈みトーキョーには夜が訪れた。
二人がやって来たのはロッポンギ地区のバー。
「へえ、あなたいくら飲んでも酔わないんだって?」
「そうなの。だから何杯だっていけちゃうわよwww」
「奇遇ね、実は私もなのよw」
「よーし、それじゃあ今夜は飲み明かしましょ!!」
「賛成!」
眼下に広がるトーキョーの夜景を見つめながら、二人の署長は酒を飲み交わした。
仕事のこと、趣味のこと、その他いろいろ、二人は話して飲んだ。
そして翌日、ナリタ宇宙港。
「いやー、久々の休暇は本当に楽しかったわ」
「そうね、楽しんでもらえたようでなによりだったわ。あ、そうだ」
と、マキはバッグの中から一枚のチケットを取り出した。
「これは?」
「往路はエコノミーで大変だったでしょうから、ホラ。ファーストクラス用意しといたわよ」
「うぅ…ア、ア゙リ゙ザぁぁぁ…」
「ほらほら泣かないの。じゃ、また縁があったら会いましょ」
「うん、本当にいろいろありがとう。じゃあまたね!」
そう言って搭乗ゲートへ向かうマキを、アリサはただただ笑顔で見送っていたのだった。
さらに翌日、ラミナ警察署。
「と、いうわけでトーキョー土産よ」
目の前に出されたのはアサクサ名物の『雷おこし』と、ツキジの市場で買ってきた干物だった。
「うわー、美味しそう!」
と、目を輝かせていたのはクオン。
「雷おこしはニホン茶によく合うから、K-9隊のみんなで食べてみるといいわよ」
「なるほど、じゃあ遠慮なくいただくとしますか」
「いただきまーす!」
と、笑顔で雷おこしを食べるK-9隊を見て、マキはにっこりと微笑むのであった。
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マキ署長がトーキョーを訪問しますよー。
ちなみに出発前にマキがみんなとわいわい飲んでた居酒屋は、
これ(http://www.tinami.com/view/399251 )の冒頭に出てきた店だったり。
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