No.436508

超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第十六話 敵視

久々にベール登場!

あと2~3話ぐらいで序章完結、を目安にしています。

カタストロフィでは思いっきりバトルを書けるといいなー。

2012-06-13 01:46:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1213   閲覧ユーザー数:1138

 

現在リーンボックス

 

日の光が強さを増す正午近く、教会の門の前にネプテューヌとネプギアは佇んでいた。

本来であれば2人は先日のうちにリーンボックスを訪れたかった。

だが2日間仕事を放置した結果、大量に溜まった仕事の整理に追われた為、今日になってしまった。

滅多に仕事をしないネプテューヌも先日だけはまじめに仕事をした結果、本来2日間かかる仕事を1日で終わらせてしまったのは2人の思いの強さともうかがえる。

 

ネプギア「ベールさん……どうしてるかな?」

ネプテューヌ「ベールは……私達のこと、どう思ってるんだろう…。」

 

不意に2人の口から言葉がこぼれた。

うつむきながら暗い口調で言葉は紡がれた。

罪悪感で押しつぶされそうになりながらも、2人は目の前の重々しい扉を手の甲で軽く叩いた。

少しの間を空けて扉はゆっくりと内側から開かれた。

 

チカ「ようこそ、リーンボックスの教k――!!!!」

 

扉を開けて出てきたチカの顔は2人を見ると同時に驚愕の面持ちを見せた。

その後、見る見るうちにチカの表情には怒りの色が漂い、ドアノブを握る手が震え始めた。

その様子を見ていたネプギアは恐る恐る口を開いた。

 

ネプギア「チカさん、あの『帰って!!!』」

 

チカの叫びと共に扉は凄まじい音を立てて勢いよく閉ざされた。

突然の出来事に2人はビクリと身を震わせたがすぐさま我に返り、扉に駆け寄った。

無意味だと思いつつドアノブに手を掛けたが、やはり扉は微動だにしなかった。

 

ネプギア「チカさん、違うんです! 話を聞いてください!」

ネプテューヌ「私達はベールとチカさんに謝りに『何が謝りによ!!』」

 

扉を叩きながら訴える2人の声をチカの叫び声が遮った。

それを聞くと同時に2人の扉を叩く手も止まった。

扉越しにチカは再び声を張り上げた。

 

チカ「私からお姉さまを取り上げたあなた達の声なんて聞きたくも無いわ! 分かったら今すぐにこの国から出て行って!! そしてもう二度とこの国に立ち入ら『待って、チカ。』」

ネプテューヌ・ネプギア「!!」

 

扉越しに聞こえた声はネプテューヌとネプギアにとって聞き慣れた声だった。

声と同時に2人に向かう足音が教会の中から聞こえ始め、次第にそれは大きさを増していった。

 

「2人と私だけで話をさせて。大丈夫、すぐに済みますわ。」

チカ「お姉様……。」

 

扉越しの会話が済むと、2人の目の前の扉はゆっくりと押し開かれた。

それと同時に2人のよく知る人物が扉の隙間から姿を見せた。

 

ネプテューヌ「ベール……。」

 

不意にネプテューヌの口から言葉が漏れた。

ベールは二人を目の前にして顔色を変えず、凛とした態度で臨んでいた。

 

ベール「久しぶりですわね……。もっとも、私は死んでいてその実感が無いのですけれども。」

ネプギア「っ……。」

 

ベールの言葉にネプギアは表情を曇らせた。

ネプテューヌも同様にベールから目線をはずした。

その様子を見ながらベールは少し髪をたくし上げて話し始めた。

 

ベール「あなた達がここまで何をしに来たのかはわかっていますわ。ですから……あえて先に言わせてもらいます。」

ネプテューヌ・ネプギア「???」

 

ネプテューヌとネプギアは話を聞くと首を傾げた。

右手を胸に当て、一呼吸ついた後にベールは再び重い口を開いた。

 

ベール「今後リーンボックスはプラネテューヌを敵と見なし、一切の外交を絶たせて頂きますわ。」

ネプテューヌ・ネプギア・チカ「!!!」

 

ベールの言葉は2人はおろかチカの表情さえも驚愕の色に変えた。

言葉を紡いだベールの表情だけが未だに変化を見せなかった。

少し間を空けてしばらく動揺で口が開けなかった2人も我を取り戻してベールに訴えた。

 

ネプテューヌ「そっ、そんな、ベール! 駄目だよ!!」

ベール「あら? 何がいけないのかしら?」

ネプギア「だって、私達2人はベールさんとチカさんに謝りに『必要ありませんわ』!!」

 

ネプギアの言葉をベールが遮った。

いつしか2人はベールの変わらない表情にどこか気圧されていた。

ベールは変わらない口調で続けた。

 

ベール「あなた達は謝りに来た。そう言いたいのでしょう? でもそれは無駄なことですわ。2人とも薄々気付いているのではなくて? もう元に戻らない、その現実に。」

 

冷ややかな視線を放ちつつ、ベールはその言葉をいともさらりと言ってのけた。

ベールの脳裏には諦めの表情を見せる二人の姿があった。

だが今の2人の姿はベールの予想をことごとく覆した。

 

ネプテューヌ「現実なんか関係ないよ! 私達がベールを思う気持ちに変わりなんかないもん!!」

ネプギア「許してもらいに来たわけじゃないんです。私達はただベールさんとチカさんにこの思いを伝えたかっただけなんです! いつか……皆がまた一緒になれる日まで、私達は諦めたりしません!!」

 

堂々とした態度でネプテューヌとネプギアは声を張り上げた。

その率直な言葉に、ベール自身が少し気圧される様に心の中で後ずさりをした。

2人の目はただベールの目を真剣に捉え、離そうとしなかった。

直後にベールは視線を地面に向け、俯きながら2人に背を向けた。

 

ベール「……帰ってください。ここに、あなた達のいる場所は…ありませんわ。」

 

言い終えると同時に教会の扉は音を立てながらゆっくりと閉ざされた。

その後ベールが振り向くことは無かった。

その様子を無言のまま見届けると2人はリーンボックスの地から飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉が閉まった直後、玄関脇のチカに背を向けたまま歩き出したベールをチカの言葉が止めた。

 

チカ「お姉様、さっきの話は……。」

 

深刻な面持ちでチカはベールに尋ねた。

チカに背を向けたままのベールはそのままの状態で声を上げた。

 

ベール「あんなの……嘘に決まっていますわ。」

チカ「じゃあ、なんで……。」

 

口調を強くしたチカの言葉にベールは返す言葉を失った。

俯いたまましばしの静寂が流れ、やがて呟くようにベールの口が動いた。

 

ベール「私は……逃げているだけなのかもしれませんわ。現実から……あの2人から…。」

 

呟く声はチカの耳にも微かにだが聞き取れるほどだった。

その一言を残してベールは教会の奥へと歩みを進めた。

俯きながら歩くチカの目には点在するそれ(・・)が映っていた。

ベールの後を追うような形で廊下に落ちている無数の水滴に。

 

 

 

 


 
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