休日の昼下がり──
「ん?」
頬に当たる冷たい感触に、買い物帰りの少女が空を見上げる。
「……雨?」
パラパラと小雨が降り注ぐ。
「間に合うかなぁ?」
近くの喫茶店で雨宿りするか悩んでいると、ふいに自分を呼ぶ大好きな声。
「おせぇ……」
そう言って彼は、自分の傘に少女を入れ、彼女の手をとる。
「帰るぞ」
グイッと少女の手をひっぱり歩き出す。
少女は慌てて付いてゆく。
そのまま、手をつないで歩く形になる。
「ありがとう」
照れた様に少女が言えば、彼は『フン』とそっけなく返事した。
≪恋人繋ぎ……したいな≫
そう思い、少女が彼の指に自分のそれを絡めれば
答える様にしっかりと握り返してくれた。
自然に少女の顔がほころぶ。
「もう少し……歩きたいな」
繋いだ手に力を入れ、引っ張る。
雨が苦手な彼が迎えに来てくれただけでも、十分満足なのだが
繋いだ手が離れると思うと、寂しい気がした。
「風邪ひくだろうが」
繋いだ彼の手に力が入り、少女を自分の方に引き寄せる。
「晴れたら、いくらでも歩いてやる」
その言葉に顔を上げれば、穏やかな笑みを浮かべた彼の顔。
「うん」
ギュッと彼の手を握り返し
彼にくっつく少女
次は 晴れます様に──
fin...
Tweet |
|
|
3
|
0
|
追加するフォルダを選択
大好きな貴方が隣にいれば、どんな日だって素敵な時間に変わる。