No.421813

超次元ゲイムネプテューヌ Original Generation Re:master 第20話

ME-GAさん

20話です ルウィー編終わり
あれ? ペース早くね?

2012-05-12 14:38:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1193   閲覧ユーザー数:1151

少女、ブラン

いや、ここでは女神ホワイトハートと呼ぶべきか。

彼女は中央協会の謁見の間に、いた。

 

過激派ギルド襲撃事件も弾圧し、数日が経った頃の話であった。

ホワイトハートに招かれ、一行は中央協会へ赴いていた。

 

暫し、無言で向き合うホワイトハートとネプテューヌ一行。

その静寂を破ったのはアイエフだった。

「んー、しばらく一緒にいたせいかもしれないけど女神って感じがしないわね……」

その言葉に、ホワイトハートは少し不機嫌そうな顔つきになりつつも不承不承口を開いた。

「……その女神様がお礼を言うためにわざわざ呼んだの」

「あいちゃん、流石に女神様の前で失礼ですぅ……。それより、あの後は結局どうなったですか?」

あの事というのは恐らく協会襲撃事件のことだろう。

ホワイトハートは

「……過激派の連中も散り散りに逃げたり、一部の人間を捕らえたりもした。教会の修繕も時間は掛かるけど、問題はないと思う」

「良かったです! それじゃあ、ひとまずは一段落ですね」

コンパの言葉にホワイトハートはゆっくりと頷く。

「今回のことがない限り、私も自分の大陸のことを改めて見直したりもしなかったと思う。

だから、今回だけは言っておく。……ありがとう」

「……女神様にお礼を言って貰えるなんて最高の誉れじゃないか」

テラは、何処か妙な雰囲気を漂わせてそう呟く。

しかし、そんなことを気にすることもなくネプテューヌは両手を差し出す。

「で、お礼を言うだけ? 何かあるなら出してくれても良いんだよー?」

どこまで図々しいんだ、とアイエフに頭痛が襲いかかってきたが、ホワイトハートはさして気にした様子もなく淡々と口を開いた。

「……鍵の欠片についての情報が上がった。

モノのお礼がいいというなら、この情報はお預けにしてもいいけど……?」

「えー!? 嘘、今の嘘! やっぱり情報ちょーだい!」

あのネプテューヌを手籠めにするなんてこの女神様、ただ者じゃねえ! とアイエフとコンパは思った。

ホワイトハートは壇上から降り、一同の前に一枚の地図を取り出した。

「……この印の付いているところ、ここでとても強いモンスターの情報が入った。恐らく鍵の欠片で間違いないと思う」

ネプテューヌは地図を受け取り、持っていた別の地図を照らし合わせた。

距離からすれば大して遠くもない、手頃な場所であった。

「これでやっと鍵の欠片も全て集まるのねー」

「ここまで来るのに大変だったです」

「これでやっといーすんに会えるんだねー。楽しみだー♪」

彼女たちは和気藹々と談義に花をさかせている傍らでホワイトハートはクイクイとテラの服の端をその色白の指で引っ張っている。

「……テラ」

「……何?」

テラはおおよそ、人柄の良い微笑で答える。

「……テラは、その鍵の欠片を手に入れたら大陸を去ってしまうの?」

ホワイトハート、いやブランの声はとても寂しそうだった。

テラは、そっと右手をブランの頭に乗せてよしよしと彼女を撫でる。

「そうだな……。残念だけど、お別れだ」

「そう……」

彼女の瞳は潤み、今にも泣き出してしまいそうであった。

けれど、それでも、

彼女は涙を見せなかった。

「また、会えるよね……?」

「そう、だな……」

三人はすでに退室し、目的地であるダンジョンへと向かおうとしていた。

それでも、彼にはたった数日ではあったが彼女といた時間はとてもかけがないものになっていた。

今までの大陸で、彼女ら、女神達と出会ったように。

それが、何であったかテラには分からなかった。

それでも、懐かしい感じがしたのだった。

だから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マタ、会エルヨ……?』

「え……?」

ブランは目を見開く。

 

 

 

 

 

 

 

『ズット、一緒ダッテ約束シタヨナ……?』

鬼。

 

 

鬼が、いた。

 

 

 

ブランはその勢いに気圧され、後退る。

しかし、ブランが瞬きをした瞬間、テラの姿は元通りとなって映し出された。

(見間違い……?)

ブランは己を疑った。

「またな、ブラン……」

テラは、そう、そっと告げた。

ブランは悲しそうに、力無く、震え、手を振った。

 

怖い、

 

 

と感じたハズだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは、

 

 

 

 

 

 

彼女にとって、

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か、

 

 

 

 

懐かしい、感じがしたのだった――。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

薄暗いダンジョンの中でネプテューヌはいつも通りの笑顔でニコニコと傍らのコンパと談笑していた。

「そういえば、唐突なんだけど、こんぱ学校大丈夫?」

「……あー、すっかり忘れていたです。そういえば連絡全然来てないです」

こんぱは携帯を開いて暫し固まった後に、携帯をパコンと閉じてイイ笑顔で答えた。

「きっとモンスターさんの問題も解決してないですし、大丈夫です!」

その答えだと、きっと連絡も来てなかったんだな……と一同は思った。

だがしかし、電波は残念ながら大陸間を超えることはないらしい。

「そーだ! あいちゃんの携帯はどこでも繋がるんでしょ? こんぱに貸してあげれば良いんじゃない?」

おお、妙案

と、三人は思ったが残念ながらアイエフは首を横に振る。

「無理よ、これはギルド用だから。どこでも繋がるのはギルドの基地局を利用してるからで、ギルド以外の携帯にはつながらなくなってるのよ」

「えー、使えないー」

流石に苛立ったのかアイエフはネプテューヌの頭を思いきりスパーンと叩く。

「要は使いようでしょ! だったらプラネテューヌのギルドに連絡して聞いてみればいいって事じゃない!」

アイエフは携帯のボタンを何度かプッシュしてメールの送信を行う。

暫し、時間が経った後にアイエフの携帯が鳴る。

「ん、もう返信が来たわね。えーと……あ、やっぱり何処の学校も再開してないってさ。士官学校は別みたいだけど……」

というアイエフの言葉にコンパはほっと胸をなで下ろす。

「ま、コンパがどうしても学校に戻りたいって言うなら私は止めないけどね。こうしてる間に何時の間にか学力が落ちてもコトだしね……」

「あ、それは大丈夫です! これ以上下がるほど成績良くないので安心して欲しいです!」

もういっそ、安心というか感心なのだが改めてコンパがアレなのを再確認した出来事でもあった――。

 

 *

 

モンスターはがらがらと、まるで粘土細工のように崩れ落ちた。

ネプテューヌは変身を解き、ふうと溜息を吐く。

「やっぱり強いよー、なんでこんなに面倒くさい相手に設定されてるのー!?」

「それは、やっぱりいーすんさんを勝手に助け出されたらマズイって悪の親玉が思ってるんでしょ?」

と、少々ブーたれつつもネプテューヌはキラキラと七色の光を発している鍵の欠片をポケットに仕舞いこもうとしたのだが……。

「あー、これ合わせたら鍵になるんだよね。どれどれ……」

と、持っている鍵の欠片を照合させようとあれこれしている。

見かねたアイエフはそれを横からのぞき込む。

「ちょ、あんまり弄らない方がいいわよ……! 貸して!」

「わー、私にも見せて欲しいですぅ。ねぷねぷ、ちょっと貸してください」

と、もみ合い。

テラはハアと溜息を吐き額を抑える。

「ほらほら、いったん落ち着け」

テラはパンパンと軽く手のひらを叩いて一度三人を静かにさせる。

「目的のモノを集めたんだから、もしかすればイストワールから連絡が来るかもしれないだろ。ここはとにかく交信を待って――」

『呼びましたか?』

イストワールは割とひょっこり会話に混ざってきた。

「あ、いーすんだ。やっほー、元気してた?」

『なかなか連絡を入れられずに申し訳ないです……。実はこうして連絡が出来たのは、鍵の欠片の力のお陰なんです』

「どういうこと?」

ネプテューヌはキョトンと首を傾げる。

『私は、あの方に一度とても強い封印がなされました。しかし、鍵の欠片の魔力によってその封印が一部弱まったようですね』

「それで、アンタはこうして連絡が出来るようになった、と」

『はい。皆さん、何度も大陸を渡って申し訳ないですが、プラネテューヌへいらしてください。そこに、私が居ます……』

「「プラネテューヌ!?」」

テラとネプテューヌは同時に声を上げた。

まさに灯台もと暗しというか、自分達が始めにいた場所に彼女が封印されていたとは目から鱗である。

「えーと、いーすんさんの声は聞こえないけど、とにかく私達はプラネテューヌに行けばいいってコト?」

アイエフの問いに、テラは頷く。

「じゃあ、早速プラネテューヌに向かうです! 久々の里帰りですぅ!!」

コンパを筆頭に、一同はダンジョンを抜け出した――。

 

 

かくして、一行の旅は終わるかのように思えた。

 

 

 

 

 

 

しかし、彼らはまだ知る由もない……。

 

 

 

ここからが、『始まり』であると――。

 

 

 

 

 

 

ここからが、狂気の、怨嗟の、絶望の、入り口であると――。

 

 

 

 

 

 

 

 

『神』の、世界であると――。

 

 

 

 


 
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