No.409825 【獣機特警K-9】欲望の石【交流】2012-04-17 00:28:01 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:780 閲覧ユーザー数:737 |
金塊強奪事件、そして、インブル製薬の麻薬密造事件が解決して1ヶ月ほど。
ラミナ市は、平穏を取り戻していた。
「いつもこうだといいんだけどねえ…」
ウーが伸びをしながらつぶやく。
「そうも行かないのが、ままならぬところだな」
と、エルザが受ける。
「ところで、ローゼン海賊団、あの事件以来おとなしいですね」
イシスが端末を見ながら言った。
「それなんだが、ローゼンの連中は、今このファンガルドの軌道上にはいないらしい」
「え?」
「宇宙軍によると、ロサ・ギガンティアは、護衛の艦を連れて、ある惑星に向かったそうだ」
「その惑星って?」
クオンの質問に、エルザは一瞬間をおいて答えた。
「…ポレモスだ」
「「ポレモス!?」」
一同が一様に表情を強ばらせる。
惑星ポレモス。前の総監、アルジャン・コションの策略で、K-9が飛ばされそうになった、紛争の惑星だ。
「でも、どうして? あそこは、危ない星なんでしょ?」
リクが当然の疑問を口にする。
「さあな。連中だって観光旅行に行ったわけじゃないだろ。よっぽどの儲け話があるとか」
と、アレク。
と、ドアの方から別の声がかかった。
「そのとおりよ」
「「マキ署長!!」」
ドアから入ってきたマキは、まっすぐテーブルまで歩み寄った。そして、懐から何かを取り出した。宝石箱のようだ。
「税関で引っかかった密輸品を借りてきたの。これがローゼン海賊団がポレモスに行った理由…そして、ポレモスの戦乱を激しくしてる元凶よ」
芝居がかった動作で、マキは宝石箱の蓋を開けた。
「わあ…きれい…」
思わずうっとりとした声を上げるフィーア。
箱の中には、小さな宝石が入っていた。ダイヤのようにも、ルビーのようにも見える。そして、内側から淡いピンク色の光を放っている。
「丁寧に扱ってね。わたしの給料2年分の輝きなんだから」
「署長、この石って一体…」
イシスが尋ねる。
「ポレモサイトよ」
「ポレモサイト?」
マキはうなずいて続ける。
「ポレモスの特殊な地質条件の元でしか生成されない宝石。人類が到達できた銀河系の惑星の中で、この石が採掘できるのは、ポレモスの十数ヶ所の鉱山だけよ。だから、同じ重さのダイヤの数倍の価値があると言われてるわ」
「この石が…」
フィーアは改めて石を見やった。
「そして、宝飾品としてだけじゃなく、光コンピュータの素子としても理想的な素材なの。この石を使えば、今の2倍の性能の光コンピュータが半分の大きさで作れるようになるらしいわ。コンピュータメーカーも喉から手が出るほど欲しいでしょうね」
「これがポレモスの戦争の原因? グーテちょっと頭こんがらがってきたよ」
マキが答える。
「考えてもみて。ポレモスは今、無政府状態にも等しいわ。地方を武力で支配してる実力者があちこちにいて、領土拡大のために争ってる。そんな所に、莫大な富を生み出す宝石が埋まってたとしたら…」
「鉱山の奪い合いで、紛争がさらに激しくなるのは目に見えてますね…」
と、イシス。
「それは納得したけど、ローゼン海賊団と何の関係があるんだ?」
今度はウーが尋ねた。
「ローゼン海賊団は、ポレモサイトの密輸ルートを作ろうとしてるのよ」
「密輸ルートを!?」
マキは続ける。
「まず、現地のポレモサイト鉱山を確保する。そして、海賊の息のかかった輸送船に石を運ばせる。ファンガルドではゴクセイカイ辺りに売りつけて、利ざやを稼げばOK。そういうところね」
その場を、重い沈黙が支配した。
「一つ言えることは…。ローゼン海賊団は、これからもっと厄介な事件を起こすってことか…」
アレクが深く息を吐いた。
「…我らのなすべきことは一つ。無辜[むこ]の市民の盾として、彼奴らと戦うことのみ」
シスが静かに、だが決意を秘めて言い切った。
...To be continued?
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空気を読まずにシリアス話を投下してみる。
出演:K-9隊のみなさん
マキ署長 http://www.tinami.com/view/388852