No.406102

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 snow wind -episode3-

中々話が進まない気がする。

あ、ちなみに時間軸はルウィーにネプギアが初めて来るちょっと前辺りです(言うの遅ぇよ)

2012-04-10 16:09:38 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:737   閲覧ユーザー数:708

「…? フウちゃんじゃ、ないの…?」

 

名前を告げると、ロムがそう聞いてくる。

…半分正解で、半分間違い、だね。

 

「…そうだけど、そうじゃない」

「ど、どういうことよ?」

 

ラムがさらに追及してくる。

まぁ、今ので分かったと言われたら困るけど。さて…

 

「……二重人格って知ってる?」

 

落としたセプターを拾いに行きながら、そう聞く。

 

「え、えーっと…」

「あ…前に本で読んだこと、ある…一人の人間に二つの人格が宿ってるって…」

「そう、そのまんまの意味。そういうこと、理解した?」

「う、うー…びみょーに理解したっ!」

 

…。…大丈夫なのか、これが女神で。

 

「私の事を聞くのはいいけど、それよりもアレをどうにかした方がいいと思う」

 

ビッとセプターでアイスフェンリルの方を指す。

――いや、アイスフェンリルだったモノ、と言うのが適切か。

 

「そういえば、さっきから静か…って、何よアレ!?」

 

二人が私の指した方を見て、ラムが驚きの声を上げる。

なぜなら、さっきまで水色だったアイスフェンリルが突然光り、禍々しい色へと変貌したからだ。

この現象は正しく…

 

「汚染モンスター…!?」

「そうね、間違いないと思う」

 

汚染モンスター。

それは、犯罪組織マジェコンヌがこのゲイムギョウ界に現れてから起こるようになった、モンスターの突然変異のようなもの。

汚染されたモンスターは体が禍々しい色になり、通常種よりも能力が上がってしまう。

さらにその場に他のモンスターが存在するとそのモンスターも汚染される可能性が上がるという、危険な現象だ。

幸い周りには他のモンスターがいない為これ以上汚染モンスターが増えることはないだろうが、危険種が汚染されたなんていう話は聞いたことが無い。

 

「さて、あっちはやる気十分みたいだけど。どうする女神様?」

「どうって、戦うにきまってるでしょ! あとその女神様ってゆーのやめなさいよ、普通に名前でいいわ」

「そう? なら普通にラムって呼ばせてもらう」

 

本人がそういうなら呼び捨てでいいだろう、自分の住む国の女神だけど。

 

「…そろそろ痺れを切らして来ると思うけど、作戦あるなら早く決めた方がいい」

「ラムちゃん、あの魔法、どうかな…?」

「あの魔法…あぁ、あれね! ロムちゃん頭いいー!」

 

何やら二人ではしゃいでいる我が国の女神様(候補生)。

何でもいいから早くしてほしい、もう来るよ?

 

「決まった?」

「えぇ! わたしとロムちゃんで、とっておきの魔法を喰らわせるのよ!」

 

へぇ、それはまた…けど。

 

「…詠唱時間、長い? あまり長いと妨害されると思うけど」

「そこはー…アンタに任せるわ!」

「…えー」

 

ビシィッと私を指差すラム。

一応、私も後衛魔法タイプなんだけど、囮役ですか。

…仕方ない。

 

「いつまでもつか、わからないからね」

「だいじょーぶよ。このラムちゃんとロムちゃんにまかせておきなさい!」

「…頑張って」

 

そう言って、ラムとロムの二人は詠唱を始める。

…こっちも、始めようか。

 

「…疾風(ハヤテ)

 

素早く動けるようになる自己強化魔法の簡易版を素早く唱え、汚染フェンリルの背後に回り込みセプターで殴りつける。

 

風刃(フウジン)。……悪いけど…手加減する気は、無い」

「グルゥ…グゴアアアッ!!」

 

セプターに風を纏わせ剣の代わりにし、汚染フェンリルを挑発する。

すると、汚染フェンリルはいとも簡単に標的を私に定めた。

汚染フェンリルは吠えながら私に飛び掛かり、左、右と爪で引っ掻いてくる。

 

「…はっ!」

 

それらを全て最小限の動きで避け、隙ができたところを斬りつける。

小さく悲鳴を上げる汚染フェンリルだがすぐさま体制を立て直し、今度はかなりの速さで私に飛び掛かってくる。

 

「っ…危な…」

 

突然の加速に一瞬ついていけなかったが、咄嗟に左手を前にかざし魔力の盾を展開し、攻撃を防ぐ。

速さもそうだが、やはり力も上がっているようだ、抑えるのが辛い。

 

「あっち…行け…っ!」

 

左手で汚染フェンリルを抑えつつセプターを突き付け、纏わせた風を解放して汚染フェンリルを吹き飛ばす。

ゴロゴロと数回転がった後、汚染フェンリルは再び私に向かってくる。

…汚染により体力も無駄に増えてるわけだ。

 

「来るなって…!」

 

向かってきた汚染フェンリルの前足に氷の刃を放ち、足止め。

ただ、汚染モンスターなんかにこんな足止めが長く続く訳がないから、足止めと同時に別の術でセプターに氷の槌を纏わせる。

 

「潰れろ…っ!」

 

そのまま汚染フェンリルの頭に思いっきり振り下ろし、打ち上げる。

まともに喰らった汚染フェンリルは拘束していた氷を砕きながら、数m吹き飛ぶ。

…が、すぐに体制を立て直してまた向かってくる、どれだけタフなのかと。

 

「レーレ! 準備OKよ!」

 

と、そこでようやくラムのそんな声が聞こえてきた。

短い時間なのに長く感じたな、うん。

とりあえず巻き込まれたりしたら嫌なので、まだ効果の残っていた自己強化魔法で二人の所に戻る。

 

「来たわね。わたし達の実力、見せてあげるわ! いくよロムちゃん!」

「…うん!」

 

ラムとロムはお互いに頷きあい、まずラムが三つの魔方陣を展開しそれを杖で一気に砕く。

それと同時に汚染フェンリルのいる場所が一瞬で凍りつき、汚染フェンリルを氷の中に閉じ込めた。

そしてロムが杖を振るうと、凍った汚染フェンリルに向けてさらに氷の塊が直撃し、さらに巨大な氷と化す。

…ちょっと手を加えてみようか。

 

「ふっふーん! どーよ…って、あれ? レーレは?」

「あ…ラムちゃん、あそこ…」

 

風を足に纏わせて空高く飛び上がり、セプターに魔力を集中させて氷の槌よりもさらに硬度の増した魔力の槌を纏わせる。

ここまでやったら後は何をするか、わかる?

 

「砕け、ろ…ッ!!」

 

地上から大分離れた場所から氷漬けになった汚染フェンリルに向かって急加速し、槌を氷に思いっきり叩きつける。

風魔法の加速と重力が重なり、その一撃で汚染フェンリルは巨大な氷ごと粉々に砕け散った。

 

「…ふー」

 

地面に着地してすぐに、私はその場に座り込む。

地面の雪が冷たい。

 

「やるじゃないレーレ!」

「すごかった…」

 

後ろから女神化を解いたロムとラムがやってくる。

…女神、か。

 

「二人も、あれだけの魔法を使えるのは凄い」

「ま、とーぜんよ! なんたってわたし達は女神なんだから!」

「…まだ候補生、だけどね」

 

そう言って楽しそうに話す二人。

元気だね…子供だから? いや、私も今は子供と変わらない身体だけど。

 

「…じゃ、今度こそ帰ろう。また危険種なんかに襲われるのは嫌だから」

「そうねー。さすがのラムちゃんもちょっと疲れたわ」

「わたしも…」

 

スッと立ち上がり、出口に向けて歩き出す。

この二人はどうかしらないけど、私は魔法の使いすぎで結構疲れたから。

とはいえ、妙な子と知り合ったものだ。ただの子供だと思ったら女神(候補生)だったなんて。

…まぁ、今日はたまたま一緒になっただけ、明日になればまたいつも通りの日常…

気だるい身体を気力で動かしながら、私は女神二人と一緒にダンジョンを後にした。

「チュー…ルウィーの女神候補生がこのダンジョンに来るっていうチュから折角危険種の汚染ディスクを借りたっチュのに、失敗に終わったっチュ…」

 

三人が去った後のルウィー展示館にて、物陰から黒い影がそう呟く。

 

「候補生とはいえ侮っていた女神も女神っチュが、もう一人いたあの子供も強かったっチュよね…」

 

黒い影は何かをブツブツと呟きながら、三人が戦っていた場所に落ちていたディスクの欠片を拾い集めていく。

 

「…ま、気になると言えば気になるっチュが、もうすぐあの…名前は忘れたっチュけど、ガサツな下っ端娘がここに来るって聞いたっチュし、僕は別の国に行くとするっチュ」

 

そして欠片を全部拾い集めると、黒い影はどこかへと去っていった。

☆status☆

レーレ・シェルツ

☆状態:疲労

☆装備情報

└使い慣れたセプター(○短い棒きれの様な飾りっ気の無いセプター。かなり前から使われている)

└ホワイトリング(○いつも腕に付けている白い腕輪。何かの魔法がかかっていて防御力が上がる)

(デザート)イーグル(○今は亡き人物の形見。サブ武器)

(ホワイト)コート&マント(○買ってもらったコートとお気に入りのマント。双子候補生と同じデザインのコートだが、それはたまたまである)

└なし

☆メモ

・アイスフェンリル討伐の依頼をルウィー女神候補生と共に請け負う

・現地でさらにアイスフェンリル×2と汚染フェンリル×1にエンカウント

・魔法の使い過ぎで疲労中


 
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