バイトが終了してから2日間が経った
この日軽音部全員で再び平沢さんのギターを見に行くため放課後10GIAに向かった
すぐにまだ安いギターのところを見に行こうとしたとき
再びあのレスポールと対面
「(まだ残っていたのか・・・)」
俺はそんなことを頭で思いながらもスルーして向かおうとしたところ
後ろにいた平沢さんが
「・・・・・」ジーッ
「よっぽどほしいんだな・・・」
秋山さんが少し微笑みながら言った
「よっしゃ、またバイトを・・・!」
「あっ・・・ちょっと待ってて」
琴吹さんが何かを思い出したかのように全員に言うと
「どうかしたのか?」
正樹がそう返す
「大丈夫だからちょっと待ってね」
そう言ってカウンターにいた店員さんと何か会話を交わしていた
盗み聞きするのは性に合わなかったので、周りのギターを眺めていると・・・
琴吹さんが戻ってきた
すると、笑顔で・・・
「このギター五万円で売ってくれるって♪」
「「「「「・・・・・・」」」」」
「えっ!?マジで!?」
「どうやったの!?」
「まさかこのカシューチャの・・・」
「やかましいッ!!!!!!!!」
「で、何!?何やったの!?」
平沢さんが少し髪が乱しながら言うと・・・
「このお店、実はうちの系列のお店で」
「そ、そうなんだ…ムギちゃん、ありがとう!残りはちゃんと返すから!」ニコッ
やはり喜んでいる、秋山さん曰く「よっぽどほしいんだな」はまさに正当論であった
それにしてもすごい・・・ただでさえ毎日高いお菓子や紅茶を持ってきているのに一体どこまで金持ちなんだ・・・
しかし、良かった
これでようやく音を合わせることが出来る
つまり、本格的な練習もここから始まるんだ・・・
俺も頑張らないと・・・・・
ギターはどうも家にそのまま持って帰るらしい
よく持って帰ろうなんていったもんだ、届けてもらえばいいのに・・・
でも少しでも練習したいならその方がいいかもしれない
10GIAを出るとすぐに解散した
田井中さん、琴吹さん、秋山さんとそこで別れて
俺と正樹と平沢さんが一緒に帰えることにした
平沢さんがソフトケースに入ったギターを背負っている、足元がフラフラしている
やはり重たそうだ・・・ここは俺が・・・
「大丈夫?持って行ってやろうか?」
「え!?そんな悪いよ・・・」
「いいよ、俺もう何度もギターこれで背負っているし」
「(おっ!泰広がまた・・・コイツ大分成長してるな)」
「あ、ありがとう!!んじゃ、はい」
「泰広~、俺が鞄からってやるぜ、ホラ平沢も」
そういえば桜高では指定はないが、もちろんの事学校の校章がついた鞄は必ず持参しなければならない
俺はこの日普通の手持ち鞄と小さいエナメルを持ってきていた
平沢さんは手持ちの鞄だけだ
「え!!そんな、まーくんにも・・・」
「いいから、ホラよ」
そう言って、平沢さんの手から鞄を取ると
「ありがとう!!二人とも」
満面の笑みでそう返すと
「こ、これぐらい当たり前だって・・・・・\\\\\」
「赤くなってんぞー・・・・」ニヤッ
「しーっ!・・・」
「どうしたの!?」
「な、何でもない!!」
「何でもない」
そう会話を返すうちに
「あっ!!私の家見えてきたよ~!早く、早く~!!」ブンブン
平沢さんが走って家の門前で手を振っている
自分から言ったから言うのもなんだけどこっちは重くはないけどギター背負っているから少し配慮していただきたい・・・
「泰広~、大丈夫か~?」
「い、意外と重たいもんだね・・・・・・ハハハ・・・」
そう会話を交わしていたら、俺たちは門前に既に到着していた
そうして、平沢さんに俺はギター、正樹は鞄を返すと
「今日は2人ともありがとうっ!!」ニコッ
10GIAの喜んでいたときくらいの笑顔で返した
「それじゃ俺たちは帰るから・・・」
俺たちが門を背に向けようとすると
「あ、待って!!2人とも!!ご飯食べていかない!?お礼もしたいし~!」
「いや、気にするなよ、親御さんにも迷惑だし」
「うちの両親今海外に旅行行ってていないんだ~」
「え?じゃあ、平沢さん一人暮らし?」
「ううん、妹の憂と一緒なの」
「すげぇな、妹と2人で家事こなしてるとは・・・」
「いや、料理の得意正樹がそんな事言っても全然アレだから・・・w」
「2人とも食べていってよ~」
「そいじゃ、少しお世話になるか、お前もいいだろ」
「そうだね、ここまで言ってくれてるなら断るのもあれだし」
「決まったみたいだね~、こっちこっち~!!」
そういって平沢さんは喜んで玄関の中に入っていった
俺達も平沢さんに続いていった
そうして、今はめているローファー(革靴)を脱いで並べて部屋に入ると
「あっ!!お姉ちゃんお帰り、そちらの方達は?」
「前に話していたやっくんとまーくんだよ~」
平沢さんが俺たちをざっと紹介したので
「どうも、同じ軽音部の辻泰広です」
「同じ軽音部の東正樹だ」
俺達もとりあえず名前だけ紹介した
「どうも、初めまして、妹の憂です。姉がいつもお世話になっています」
「今日ね、ギター買ったんだけどその帰りにやっくん達が鞄と一緒に運んでくれたからそのお礼に夕ご飯食べていってもらう事にしたの。いいよね、憂?」
「うん、いいよ!御二人ともぜひ食べていってください!」
「それじゃお世話になりますか」
「そうだね」
「それでは夕ご飯の支度をしますのでこれで失礼します」タッタッタッタ
俺達は顔を見合わせた
「(礼儀正しいね・・・)」ヒソヒソ
「(とても妹とは思えないな)」ヒソヒソ
「(姉と妹が反対だったりして)」ヒソヒソ
「(実は血が繋がっていないとか?w」ヒソヒソ
「なに~?どうしたの~?何の話してるの?」
「いや、泰が姉と妹は血が繋がっているのかとか聞いてきてな」
は?
「ヒドーイ!やっくん!憂はちゃんとした私の妹だよ~!」プゥーッ
平沢さんが俺に頬を膨らませて近づきながら見てくる
ち、ちょっと、顔が、顔が・・・近いッス!
「いやいやいや!!!俺じゃないよ、正樹が!!」
「まーくんもヒドーイ!」
「へいへい、悪かったって」
この後俺達は2階の部屋に案内された
平沢さんの部屋だ
「じゃあ2人とも、夕ご飯待っていてね」ガチャン
平沢さんが勢いよくドアを閉めた
そういえば俺初めて女子の部屋に入ったな~
何だか不思議な感じだ
「おっ、漫画だ、読ませてもらうか」
正樹が本棚から本を取り出して読み始めた、俺は予習を始めた
真面目すぎる、ここまで来てしなくても・・・とも自分で思ってしまったが、明日はかなり進路が早くなるのでできるだけ家での負担を減らしたかった
「おいおい、ここまで来て勉強って・・・」
「家で勉強なんかしたくないからね、それに量多いし・・・」
「確かにそうだな、でもほどほどな」
「了解っと」
俺はそう言うと、シャーペンつまりシャープペンシルを動かし始めた
~10分後~
「(ここは解の公式を使って・・・えっと、D=・・・」
ガチャン
「やっくん、まーくん、夕ご飯出来たって」
「そうか、んじゃ、行くか」
「うん」
俺はノートと教科書、筆箱を鞄になおして降りていった
そして、テーブルの上を見ると
「すごい・・・!!」
俺は目を見開かされた
「なあ、憂ちゃん、これ全部君が作ったのか?」
かなりの豪華な料理が皿に盛り付けてあった
「はい。今日はお二人が来ていただいてますからね」
「ご、ごめんね、わざわざ。俺たちが来なければこんな迷惑・・・」
何だか少し申し訳ない気持ちも溢れて来た
「いえいえ、とんでもないです、遠慮しないでいいですよ」
「じゃあもう食べようよ~」
「そうだな、じゃあいただきます」パクッ
「いただきます」パクッ
俺と正樹はさっそく一口ずつ食べてみると
「美味い!」
「これおいしいよ」
「よかった。どんどん食べてくださいね」
パクッ
パクッ
パクッ
この効果音が部屋全体に広がっていく
「(美味いな、正樹とどっちが上手いんだろうか?)」
実は正樹はかなりの料理が上手である
なんせ趣味の1つが料理でもあるのだ
俺も多少はできるが、正樹はかなりの腕だ
どれくらいかって言われても、例えが表現しにくいな・・・
まあ少なくとも中華料理的なのは作れるだろう
そう考えていたら俺はいつのまにか茶碗の中のご飯を既に食べ終えていた
「「ごちそうさまでした」」
俺と正樹の声がハモった、どうやら正樹も同時に食べ終えたみたいだ
「それじゃあ俺たちは帰るか」
「え~もっとゆっくりしていけばいいのに・・・」
「これ以上遅くなると迷惑かけるからね、それじゃ、おじゃましました」
「憂ちゃん、おいしかったぞ、今日はありがとうな」
「いえいえ、またぜひ来てくださいね、では、またいずれ、泰広さん、正樹さん」
「また明日~、やっくん、まーくん」
「おうじゃあな、寝坊すんなよ」
「またね、平沢さん」
こうしてようやく1日を終えた・・・・・
楽しかったけど、なぜかちょっと疲れたな・・・
~翌日放課後~
平沢さんは俺も含めた残りの軽音部の前でギターを構えていた
「ギター持つとそれらしく見えるね」
「何か弾いてみて!!」
田井中さんがそそのかすように言う
すると・・・
♪~チャチャチャ〜ンチャラ♪ チャチャチャラララ〜ン♪♪
「(…チ〇ルメラ?)」
あとの4人の表情を見ていると表情は苦笑い気味であった
ギターでよくチャ○メラを弾こうと思ったな
まあ何も弾けないよりは全然マシではあるけど・・・
「まだ全然練習はしてないの?」
秋山さんがそう質問した
「いや~、ギターってキラキラピカピカしてるから何か触るの怖くて・・・」
頭を掻きながら平沢さんが言うと
「あ~分かる分かる」
「鏡の前でポーズ取ったり、写真撮ったり、添い寝したりはしたんだけど・・・」
「「弾けよ」」
正樹と田井中さんが全くごもっともな意見を放つ
「そういえば、ギターのフィルムも外してないね?」
俺がそういうとほとんど全員の視線はギターに集まって
ほとんどの対象外である田井中さんの右手がギターにそろそろと伸びていき・・・
ビリッ!
やはりフィルムを剥がしてしまった
もちろん平沢さんは唖然・・・
「・・・なんちって~・・・」
なんちって~・・・って普通に剥がしてるじゃないか
「律!!謝れ!!」
「今回はお前が悪いから謝っておけ!」
「ご、ごめ~ん!!ほんの出来心だったんだ!!」
田井中さんが両手をついて謝る
しかし、平沢さんは放心状態
すると秋山さんの隣の琴吹さんは
「唯ちゃん、お菓子お菓子」
「(さすがにそれで機嫌が・・・・・)」
「(そんなもので機嫌が・・・・・・)」
パクパクパクパク
「「(直った~!?)」」
平沢さんがお菓子を食べ終えると
「そうだよね・・・やっぱりギターって弾くものだよね・・・ただ大事にしてるだけじゃギターもかわいそうだよね!ありがとう りっちゃん 私やる気でてきた!」
やる気が出てきたのはいいけど、それじゃ今までは・・・
「そ、そうか?唯がギターを練習するきっかけになればと思ったんだ!流石 わた・・・・・・」
「せいっ!|(調子にのるな!)」
「 うっ!!」
調子にのる田井中さんに制裁するように秋山さんの右、正樹の左の肘鉄が炸裂。
的確に人体のツボをついたらしい、中々痛そうだ
まあ、少なくとも正樹は必ず軽くはやっているだろう
正樹の本気は後遺症が残ってもいいくらいヤバイ
「じゃあ練習するか!」
「ねぇ思ったんだけど、ライブみたいな音を出すにはどうしたらいいの?」
「アンプに繋いだら出るよ」
秋山さんが簡易的に説明した
ジャラーン♪
部室に鳴り響くエレキの音色。
「カッコいい〜!!」
「やっとスタートだな…」
「私達の軽音部…」
「ええっ!」
「……」
感慨深けに語る三人・・・
やはりこの3人は特に軽音部が廃部に追われていたことがよく分かる
「夢は武道館ライブ!!」
「「「えぇ!?」」」
「卒業までに!!」
「無理だろ」
正樹が4人を現実に引き戻す
「コラッ!そこっ!盛り上がってるのに水を注さない!」
♪〜チャチャチャ〜ンチャラ♪ チャチャチャラララ〜ン♪♪
「「「「「・・・・・」」」」」
平沢さんがチャ〇メラを弾きだした。
エレキの音色でチャル〇ラか・・・
何だか不思議だ・・・
「ゴメンまだこれしか弾けない・・・アンプで音を鳴らすのはもう少ししてからだね〜」
そう言いシールドを抜こうとアンプに近付く平沢さん
「あっ!!唯、危ないっ!!」
秋山さんが大声で止めに掛かるもそれは後の祭りであった
俺と正樹は急いで耳に指を詰め込み、耳たぶでさらにカバーした
そして、ついに・・・
『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
耳を塞いでも、雑音は少し聞こえた
雑音が止んだのを確認して耳の穴を防いでいた指を緩めた
見ると雑音の犠牲になったのはどうやら平沢さんのみらしい・・・
「・・・アンプのボリューム下げる前にコード抜くと、そうなちゃうんだよ・・・」
「・・・・・・は、早く言って・・・」
「本当に大丈夫なのか・・・・・」
「まあ仕方ないよ、知らなかったみたいだし・・・」
俺と正樹は顔を見合わせて会話をした
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うーん、本当に4月8日までに間に合うのかな...
間に合わない気がしてきました
まあそれより皆さんが僕の小説を気軽に読んでいただければ幸いです
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