No.396883

ゲイム業界へようこそ!その17

バルス!

2012-03-23 21:54:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1832   閲覧ユーザー数:1745

先ほどの小さいなハプニングから少し時間が経ちブラックハートが大分落ち着いてきた頃、ケーキが残りわずかとなったので今度は俺が取ってくることに。残り時間も半分を切ってお腹の具合もそこそこ満足しているので持って来るケーキの量は少なめにしよう。

 

 

 

「何か食べたいケーキの推薦はあるか?」

 

 

 

「う~ん、特にこれと言った食べたいものは無いけど。そうね…、甘いものばかり食べたから抹茶とか少しあっさりとしたケーキいいかも。」

 

 

 

「了解。抹茶と他に適当に見繕って取ってくるよ。」

 

 

 

「あんまり沢山はいらないわよ?私は後食べれて3個くらいかしら。」

 

 

 

「分かってるよ。俺はノワールと違って分量を間違えないさ。」

 

 

 

「もぉ~~!私だって今度行く時は失敗しないわよ~~!!」

 

 

 

プンプン怒り始めた彼女を置いて俺はケーキを取りに席を立った。実際俺も彼女と同じようにこれ以上は多く食べれないだろう。それに確かに甘いものばかり食べたおかげで口の中がとても甘ったるい。

 

 

 

ケーキが置いてある場所に辿りついた俺はとりあえず抹茶ケーキを探すことに。

 

 

人気店だけあって膨大な種類のケーキが置いてあり、その中から目的のものを探すのに一苦労だ。確かにこれだけの美味しそうなケーキが並んであると目移りしてしまい、ノワールの言っていたように食べたいものを手当たり次第取ってしまいそうだ。これでは俺も彼女を馬鹿にすることが出来ないな。戻ったら一言謝ろう。

 

 

 

それにしても先ほどから抹茶ケーキを探しているのだが一向に見当たらない。これだけの種類があるのだ、無いということは無いのだろうが…。これは店員にでも聞いた方が早いか…?

 

 

 

 

その時に右側から近寄ってくる人影があった。振り向くとそこには先ほど俺達を席まで案内してくれた店員がいた。丁度いい、ケーキの場所を聞いてみよう。

 

 

 

「すみません、抹茶ケーキを探しているのですがどこに置いてあるか教えていただけませんか?」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「??あの~~すみません?」

 

 

 

「はっ、はい?どうしましたか?」

 

 

 

どうやらこちらのことに気付いてくれたようだ。しかし、明らかに俺の方を見ているようだったのに気付かないとは…。何か考え事でもしていたのだろうか?

 

 

 

「えっと抹茶ケーキを探しているのですがどこに置いてあるか教えてくれませんか?」

 

 

 

「あっ、そっそれならこちらになります!!」

 

 

 

店員に連れられて俺は別の場所へと向かう。そこには先ほどまであったケーキとはまた違うものが数多く存在していた。あれだけあったのに更に違う種類があるとは…。これでは一度来ただけで全ての種類を食べきれないな。

 

 

 

俺は目的の抹茶ケーキをそこから取り他のものを見繕っているのだが、どうにも熱い視線が気になる。その視線の先にはあの店員だ。そんなに俺のことを見つめて何か気になることがあるのだろうか?

 

女性から見つめられることは男性の俺にとって本来喜ばしいことなのだが、現在の状況では話が大きく変わってくる。理由は皆の知っている通り、今の俺は正真正銘“女性”だからだ。漫画によく有りがちな「外見は女性だが、下半身にはしっかり息子がついている」と言った話ではない。100パーセント女性の体なのだ。

 

 

 

そんな俺を店員さんは今も見つめている。これは一体どういうことなのだろうか?ここまで執拗に見られていると碌にケーキを取ることも出来ない。仕方が無く俺は話かけてみることした。

 

 

 

「あの~~そんなにこちらを見てどうかしましたか?」

 

 

 

「えっ!?あっ、べっ別に見ていたつもりは…。」

 

 

 

「いやどう考えてもこちらの方を見ていたでしょ?視線がとても気になってケーキ選びが出来ないんですが?」

 

 

 

「ううっ…バレバレでしたか…。」

 

 

 

店員さんは申し訳なさそうな顔してらっしゃる。さすがにそれだけこちらも見つめていれば、嫌でも気付いてしまうだろう。

 

 

 

「初対面のはずの俺をどうしてそこまで見るのか理由を教えてないか?」

 

 

 

「あの…その前にお連れの方はブラックハート様で間違いないですよね?」

 

 

 

「…その様子だと彼女のことを知っているようだな?」

 

 

 

彼女の変身後の姿はそこまで周りに認知されていないはず。それを知っているとなるとマジェコンヌの手先の者か何かだろうか?

 

 

俺を店員を目の前に思わず身構える。ノワールの方に視線を送るが特に彼女に変化は無く、残りのケーキを美味しそうに頬張っていた。彼女の無事を確認し再びの店員の方へと視線を戻す。店員の方は俺の変化に気付いてか急におどおどし始めてた。

 

 

 

「特に怪しい者じゃないですから、どうか身構えるのは止めてください…。私達がブラックハート様に危害を加えるなど有り得ませんから。」

 

 

 

「そうなのか…?それなら悪かったな、急に身構えてしまって…。」

 

 

 

どうやら店員はマジェコンヌとは無縁のようだ。理由はなんとなくだが彼女の言動から嘘は言っていない気がしたからだ。しかしそんな彼女の言葉にはいくつか気になる点がある。彼女を信用することを含めてその点について聞いてみることにしよう。

 


 
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