No.393860

IS−インフィニット・ストラトス−三種のISを操る者−

“女性にしか反応しない”、世界最強の兵器「インフィニット・ストラトス」、通称「IS」(アイエス)の出現後、男女の社会的パワーバランスが一変し、女尊男卑が当たり前になってしまった時代。
そんな中ISを動かした男が現れて、常識が覆された。そして一人の少年レイ・ラングレンもまた、ISを起動させた。だが、それが一つの長きにわたる戦いの始まりだった・・・・

2012-03-18 16:42:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3968   閲覧ユーザー数:3792

 

Story2 決意

 

 

 

そして・・・港から少し離れた倉庫・・・・

 

 

 

「ふぅ・・・何とか撒いたみたいだな」

 

と、あそこから逃げたレイが倉庫の壁にもたれかかった。

 

レイは海に潜った瞬間に、ゲシュペンストの光学迷彩とステルスシステムを起動させ、そのまま海中を進んで行き、この倉庫の陰に隠れ、ゲシュペンストを収納した。

 

「・・しかし・・・これがあのISなのか・・。なんだか信じられないな」

 

と、左腕の白い腕輪を見ながら半分独り言のように言った。

 

「・・さてと・・・家に帰るとするか・・・」

 

と、レイはそこから離れ、家へと向かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃・・・・

 

町より少し離れたところに道に、一台の大型トラックが止まっていた。

 

 

 

中では、ISの整備がされ、その奥で、パソコンのモニターを見る千冬と、山田先生がいた。

 

「・・たいした動きだ。まるで慣れているかのようだな」

 

「・・・そうですね・・」

 

「・・それで、さっきも聞いたが、本当にあのISの反応をロストしたのか?」

 

「はい。海に潜られた途端に、反応が消え、更に姿も消えました・・・」

 

「そうか・・。(・・ISのハイパーセンサーをもってしても、反応と姿を捉えることができないか・・。かなり高性能のステルスと光学迷彩を使ったのか・・・)」

 

と、考えながら、モニターに映るゲシュペンストを見た。

 

(・・・しかし、なぜゲシュペンストが・・・。それにあの男・・・)

 

千冬はレイの顔を思い出す。

 

(・・・まさか・・・・いや、考えすぎか)

 

そうして山田先生のISのレコードビデオを見ながら、とあることを考えた・・・

 

 

 

 

 

 

 

同時刻・・・レイは家に到着した。

 

レイの家は、他の建物と比べると、結構古く、ボロボロであった。

 

「ただいま」

 

と、家の戸を開け、家に入った。

 

「おっ!・・帰ったか・・レイ」

 

すると、家の奥から、一人の老人が出てきた。

 

結構年が行っているみたいで、頭はすっかりハゲて、若干薄毛があるくらいだった。

その顔には、優しい表情であった。

 

「しかし・・・帰ってくるのが早いということは・・・まさか・・?」

 

「・・・そのまさかだよ・・・じっちゃん」

 

と、ため息をついて、答えた。

 

「なんと・・・これで4度目だぞ!?・・全く・・お前さんは不幸なことばかりだな・・・」

 

「いつものことさ、もう慣れているよ・・・。はい、これが今月分」

 

と、ポケットから、お金が入った封筒を渡した。

 

「じゃが、店は潰れても、給料だけは貰うと言うことばかりは、悪運は強いようじゃな・・・・じゃが、また新しいバイトを探さないといけんのう・・」

 

そうして老人は給料が入った封筒を懐に入れた。

 

「そうなんだよ。次のバイトを探すのが大変なんだ・・・。何せ安すぎるのは生活に不安があるし、高いには何か危ないから・・・などなど・・」

 

と、色々と言っていると・・・

 

「・・すまんな・・。わしが少し若かったら、お前さんに苦労を掛けずにすんだのに・・」

 

「・・・別に、そうは思っていないよ」

 

「そうか・・・・まぁ、明日から頑張るのじゃぞ・・さてと、夕飯の支度をしないとな」

 

「分かった。俺がやっておくよ」

 

と、レイはじっちゃんと家の奥へといった。

 

「ところで・・・頭の怪我は何じゃ?」

 

「・・・帰る途中で、こけてしまったんだ・・・」

 

「・・・とことん・・・不幸じゃのう・・・」

 

「・・全くだよ」

 

と、レイはため息をついた・・・・

 

 

 

 

そして、所戻って大型トラック・・・・

 

「山田・・・ISは発見できたか?」

 

「いいえ・・・教師部隊で全面捜索しているのですが・・・発見できません」

 

「そうか・・・なら、引き続き捜索を続けるように通達しろ」

 

「はい・・・」

 

そして、キーボードでメッセージを打ち込み、教師部隊に伝達した。

 

「・・しかし、どうしてそこまであのISを追うのですか?」

 

「・・見逃せないからだ」

 

「え?」

 

「・・・あのISを使っていたのは・・・男だからだ。」

 

「えぇ!?・・で、でも、つい最近、織斑先生の弟さんが、ISを使ったばかりだって言うのに・・・もう・・」

 

「・・それに、やつは自分のISを持っていた・・・。その為、学園側としても、男であり、自分のISを持っているやつを見過ごせないのだ」

 

「・・確かに・・見過ごせませんね・・」

 

ISには、『専用機』と呼ばれるものがある。ISのコアはかなり少なく、その貴重なコアは、各国、及び特殊な研究機関に僅かながら引き渡される。

しかも、専用機は各国代表、もしくは企業の所属の者にしか持つことができない・・・。

しかし、レイは自分のISを持っていた・・。

そして、言うまでもないが、ISは女性にしか反応しない・・・しかし、それでも織斑先生の弟と、レイはISを動かしている。それは特殊なことで、かなり貴重である。

 

それを踏まえ、レイが貴重で稀な存在であることは間違いない。

 

ISを動かし、自分のISを持っている・・・・これを逃すわけにも行かないと言うのも分かる。

 

「・・それに、色々と確かめたいことがある」

 

と、千冬はボソッと呟く。

 

「織斑先生?」

 

「・・いや、なんでもない」

 

「そう・・ですか・・。でも・・・仮に見つけた後は・・どうするのですか?」

 

「・・・もし、あのISの操縦者がいいのであれば・・・やつを『IS学園』に入れようと考えている」

 

「あ、IS学園にですか!?・・・し、しかし、もう入学式まで一週間しかないんですよ!?」

 

「・・もしもの話だ・・・。だが、いいと言うのであれば、学園初の異例だな」

 

「・・・・・・」

 

「・・・とにかく、今は探すのが先だ」

 

「・・はい」

 

と、センサーを見て、ISの反応を調べた・・・・

 

 

 

 

 

 

同じ頃、レイの家では・・・・

 

家では、夕食の時間であった。

 

狭い台所の隣にある狭いリビングで、レイとじっちゃんは夕食を食べていた。

 

「もぐもぐ・・・・・うむ、うまい!今日のご飯はうまいぞ!」

 

「そ、そうかな・・?いつものやつなんだけど」

 

と、照れくさそうに言った。

 

「・・しかし・・・わしが若ければなぁ・・・・稼いだ金で、お前さんをうまいところへ連れて行けるのに・・それ故にうまいがボロイラーメン屋しか連れて行けず・・・わしが老いぼれなばかりで・・・」

 

と、泣いているかの様子で、語った。

 

「・・・いいんだよ・・・。別に・・」

 

「・・・・あっ・・・そうだ、今日の昼の速報を見たか!」

 

「えっ・・・見てないけど・・」

 

「すごいぞ・・・なんと、デパートから落ちた赤ん坊を助けるために、一人の少年が飛び降りて、バルーンのロープに捕まったらしいが、その直後にデパートの壁にぶつかったみたいじゃ」

 

「・・・・・・・」

 

「それでな、しばらくして少年がロープを放してしまって、その瞬間、少年が光に包まれてな、その中から黒い機体が出てきたそうじゃ。」

 

「へ、へぇ・・・」

 

「そいつは助けた赤ん坊を母親に渡したら、どこかへ飛んでいったらしい・・・・。しかし、つい最近世界で初めて男がISを起動させたって言うニュースが流れたばかりだと言うのに・・・すごいのう」

 

「・・・そう・・だね」

 

と、レイは苦笑いして答える。

 

「・・・なんじゃ・・・あんまりすごそうに思ってないのう?」

 

「いや!思っているよ!あのISを使える男がまだ他にいたなんて・・・ハハハ・・・」

 

「そうか・・・そうじゃろうな・・・はっはっはっは!」

 

「ハハハハ・・・・(それが俺だって言うのは言えねぇよな・・・)」

 

「はっはっはっは・・・・・・!」

 

すると、さっきまで笑っていたじっちゃんが、急に笑うのをやめ、立ち上がった。

 

「・・?どうしたの?」

 

「静かに!」

 

と、口に指を当て、シー、といった。

 

そして、ゆっくりと歩いていき、窓を覗いた。

 

すると、何かが動いたのが見えた。

 

「!!いかん!!レイ、伏せろ!!」

 

「えっ!?」

 

と、急に走り出し、レイのも元へ駆け寄った。

 

その直後、外から銃弾が飛んできて、窓を破り、飛んできた。

 

そんな中で、じっちゃんはレイを掴み、床に伏せた。

 

「くっ・・・・じっちゃん・・・今のは!?」

 

「・・・ちっ!・・・斉藤組が押し寄せて来よったわい!」

 

「さ、斉藤組!?・・でも、何で今頃!?」

 

「分からんが・・・狙いはわしじゃろうな・・・ここから逃げるぞい!」

 

と、レイを立たせ、壁に立てかけてあった猟銃を手に取り、裏口から出た。

 

そして、表へ出ると、銃弾が飛んできた。

 

「おっと!!」

 

じっちゃんは見かけによらず、素早い動きで、銃弾を避け、電柱の陰に入った。

 

そして、猟銃で反撃した。

 

「くそ!あやつらめ・・・今頃わしを狙ってきてなんになるんじゃ!!」

 

と、猟銃を撃ちまくった。

 

「レイ!ここはわしに任せろ!お前さんはここから逃げるんじゃ!」

 

「な、何を言っているんだ!?じっちゃんを置いて行けるわけないだろう!!」

 

と、反論するが・・・

 

「このままでは、どっちもやられる!急げ!」

 

と、レイは後ろへと突き飛ばした。

 

「うわぁ!!」

 

レイは後ろに突き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられた。

 

「ぐわぁ!!」

 

と、じっちゃんの声がして、レイがとっさに立ち上がると、じっちゃんが右腕から血を流して倒れていた。

 

「じっちゃん!!」

 

「に・・・逃げるんじゃ・・・レイ・・お前さんだけでも・・・・行くんじゃ!」

 

「!!」

 

すると、前には、何人かが接近してきて、銃を構えた。

 

「っ!!やめろぉぉぉぉ!!!」

 

と、レイはとっさに前へ走り出し、じっちゃんの前に出た。

 

その直後、銃から弾が発射された。

 

「ゲシュペンスト!!」

 

すると、左腕の腕輪が光り輝いた。

 

 

 

 

 

 

「!!これは!!」

 

「どうした!」

 

どうやら、こちらは反応をキャッチしたみたいだ。

 

「あのISの反応を確認しました!」

 

「本当か!・・場所は!?」

 

「ここからそう遠くではありません・・。しかも、そこで発砲事件が発生しています!」

 

「何だと!?・・・今すぐお前もISで出撃しろ!教師部隊には私が連絡する!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・うぅぅ・・・・・・!?」

 

じっちゃんが目を開けると、目の前には、ゲシュペンストを纏ったレイが立っていた。

 

「!!」

 

弾はISのシールドエネルギーによって、装甲に触れる前に、弾は防がれ、地面に落ちた。

 

「うおぉぉぉ!!」

 

と、レイはメガ・レーザーライフルを展開して、トリガーを引いてレーザーを放ち、地面をなぎ払って砂煙を上げた。

 

「摑まって!」

 

と、レイはじっちゃんを抱え上げ、飛び立った。

 

「まさか・・・昼のニュースは・・・お前さんじゃったのか!?」

 

「話は後!とにかく今は逃げよう!」

 

と、そのまま飛んでいった。

 

 

 

斉藤組は、体勢を立て直していた。

 

「くそ!・・あのじじぃ・・・あんなものを持っていたのか!」

 

「・・・ならば、あれを使うしかあるまい」

 

「何だと!?・・・もうあれを使うのかよ!?」

 

「今使わず、いつ使うと言うのだ?」

 

「・・それは・・そうだが、あれはようやく取引で手に入れた貴重なものだぞ・・・もし万が一破損したら・・・」

 

「・・・その心配はない・・。どうせ素人だろう・・やれ!」

 

と、後方にあるトラックのコンテナが開き、そこから、グレーの色をした機体が出てきて、緑のバイザーが発光すると、スラスターを噴射してゲシュペンストを猛スピードで追いかけた。

 

「これで・・・あのじいさんを葬れるな・・・」

 

「・・・いやぁ・・・・それはできないと思うぞ・・・」

 

「何?・・・・・!!!」

 

と、男が後ろを向くと、そこには降りてくるISの部隊がいた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の空を、スラスターを噴射してゲシュペンストが飛んでいた。

 

「・・・大丈夫なの・・・じっちゃん?」

 

「・・あ、あぁ。腕をかすめただけじゃ・・・じゃが・・お前さんがISを使えるとは・・・」

 

「俺も思っていなかったよ・・・」

 

と、話していると、ISのセンサーが何かを捉え、警報が鳴った。

 

[未確認のISが後方より接近中!]

 

「っ!?」

 

レイが後ろを向くと、一体のISが接近していた。

 

全身装甲のグレーの色をしたISで、緑のバイザーが発光しており、ゲシュペンストと比べるとスマートな形状であった。

 

「何だ・・あの機体は!?」

 

すると、そのISが右手に持っていたライフルをレイに向けると弾丸を放ってきた。

 

「くっ!」

 

レイはとっさに回避した。

 

「あいつめ!」

 

と、そのまま下へ下り、コンテナ置き場に行った。

 

「じっちゃんはここに!・・・あれは俺が何とかする!」

 

そして、じっちゃんをコンテナの陰へ置き、レイはグレーのISに向かって行った。

 

「でりゃぁぁぁ!!」

 

レイは左腕にあるプラズマカッターを抜き放つと、グレーのISに向かっていく。

 

そして、プラズマカッターを振り下ろしたが、ISは左手にダガーを展開すると、斬撃を受け止めた。

 

「くっ!」

 

ISはそのまま押し返し、右手のライフルを放つ。

 

弾はファントムのシールドに直撃し、衝撃が起きた。

 

「ぐぅっ!!」

 

それによって、ファントムは地面へと落ちていったが、レイはとっさに体勢を立て直し、何とか着地した。

 

それに続き、ISも下りていき、ファントムの前に立った。

 

それによって、ISの姿がはっきりと見えた。

 

形状はシンプルな箇所が多く、背中の中央に一枚のウイングらしくパーツが装着されていた。そして両サイドアーマーにはブレードらしきものが装着されていた。

 

「くそっ!」

 

と、レイはプラズマカッターを振り回したが、ISは素早い動きで避けていった。

 

そして、ISはライフルを収納すると、両サイドアーマーに装着してあるブレードを取り出すと、トンファーのように構えると、先端を勢いよく突き出してゲシュペンストを殴る。

 

「くっ!」

 

ファントムはそのまま後ろへと下がっていった。

 

そしてそのままISはレイにブレードトンファーを次々と突き出して殴りつけていく。

 

「ぐっ・・・ぐはっ!?」

 

そして強い一撃がレイの腹部に直撃して、レイは吹き飛ばされてコンテナに叩きつけられる。

 

「・・つ、強い・・・」

 

レイは前を見ると、ISはブレードトンファーを構えていた。

 

「・・だ、だが・・・このまま負けるわけには・・・」

 

そしてISがスラスターを噴射してレイに向かって行った。

 

 

しかしその直後、どこからか何かが飛んできて、ISの左腕と右足を撃ち抜いた。

 

「な、なんだ!?」

 

それによってISはバランスを崩してレイの脇に逸れる。

 

「よく分からんが・・・今がチャンス!」

 

そしてレイはとっさに立ち上がると、プラズマカッターを構えてISに向かって行った。

 

ISはなんとか立ち上がってレイのほうを向くが、その直後にまたどこからかエネルギー弾が飛んできて左腕を撃ち抜いた。

 

「どりゃぁぁぁ!!」

 

そしてレイはプラズマカッターを勢いよく振り下ろしてISの胴体を切り裂いた。

 

それによって切り裂かれた胴体から機械の部品が露出して、ISは地面に倒れた。

 

「・・・無人機だったのか」

 

そして、レイはISに近付こうとすると、ISは光を放って自爆した。

 

「証拠隠滅か・・・。しかし、さっきの攻撃って・・・一体・・」

 

と、レイは周りを見回していると、警報が鳴った。

 

「!!」

 

レイはとっさに上を見ると、複数のISが下りてきていた。

 

「しまった!・・・こいつに気を取られていた!」

 

と、レイはプラズマカッターを構えると、警戒した。

 

「待ってください!」

 

すると、そのISの部隊の中から、山田先生のISが下りてきた。

 

「・・また、あんたか・・」

 

レイは一向に警戒を緩めなかった。

 

「私たちはあなたを捕らえに来たわけではありません」

 

「・・・どういうことだ?」

 

と、レイは警戒しながら聞くと・・・

 

 

「・・・言った通りだ」

 

すると、コンテナの間の通路から、織斑先生が来た。

 

「なに・・?」

 

「武器を下ろせ。別にお前に危害を加える気は無い」

 

「・・・・・・・」

 

しかし、レイは武器を下ろそうとはしなかった。

 

(・・・相当警戒しているか・・・まぁ、仕方が無いか)

 

 

 

「・・・・・・・」

 

レイは辺りを見回し、武器を向けていた。

 

(・・こんなところで・・・・俺は・・・・)

 

「・・・レイ・・・・そやつらは敵ではないようだ。」

 

と、コンテナの陰から、じっちゃんがふらつきながら来た。

 

「・・・・じっちゃん」

 

「だから・・・武器を下ろすんじゃ・・。話だけでも聞こう」

 

「・・・・分かったよ・・」

 

そしてプラズマカッターのエネルギーを切ると、刀身が消えて、プラズマカッターを左腕に戻すと、ゲシュペンストを解除した。

 

それによって、ISが消え、レイは一瞬宙に浮き、地面に降りた。

 

「・・・・・・」

 

(・・・本当に・・男の子だ・・)

 

(・・・やっぱり・・・あの時の男か・・・。)

 

と、それぞれ考えていた。

 

「・・・これから・・どうするのですか・・」

 

「・・とりあえずここで話すのは何だろう。お前の家の家で話そう」

 

「・・・自分の・・・家にですか?・・・しかし・・あそこは・・」

 

「その心配なら要りません。先ほど教師部隊で制圧しておきました」

 

と、山田先生が補足した。

 

「・・・それは・・・どうも」

 

「・・では・・・行こうか」

 

そして、そのままレイ達はコンテナの間を通っていった。

 

 

 

 

レイ達がいた場所の少し離れたところで、一体の黒いISが浮いていた。

 

全身装甲の機体で、カラーはほとんど黒で、形状は先ほどのグレーのISに似ているが、角ばった箇所が多く、背中にはコンテナが付いたスラスターを搭載していた。頭には緑色に光るツインアイがあって、額にあたる部分にはV型のアンテナが付けられていた。右手には先ほどの狙撃に使ったと思われるライフルが握られており、銃身の幅が広く、ライフル先端上下に銃口があり、全体の形状は四角のようにも見えた。

 

(ついにこの日が来たのか。・・・・急がねばな)

 

そうして黒いISはスラスターを噴射してどこかに飛び去った・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、所変わってレイの家・・・・

 

中には、レイ、じっちゃん、山田先生、千冬がいた。

 

山田先生は、床に敷いている座布団に座っているじっちゃんの手当てをしていた。

 

「・・あの・・・じっちゃんの怪我はどうなんですか?」

 

と、レイは山田先生に聞いた。

 

「銃弾が擦れただけですから、傷は浅いですの心配はありません」

 

「そうですか・・・よかった・・」

 

と、レイは安堵の息を吐いた。

 

「・・さて・・・本題に入る前に、自己紹介でもしておこう・・・。私はIS学園の教師をしている『織斑千冬』だ・・」

 

と、千冬は自己紹介した。

 

「私も同じくIS学園の教師をしている『山田真耶』といいます」

 

「・・・そういえば、あの時のあなたの動き凄かったですよ。」

 

「そ、そうですか・・・あなたも、初めてにしては凄かったですよ?」

 

「そうですか?・・・・それに織斑千冬?・・もしかして・・・あの第一回IS世界大会『モンド・グロッゾ』で優勝した・・織斑千冬ですか?」

 

「そうだ・・・」

 

「・・・驚いたな・・。まさか元世界チャンピョンと生で会えるとは・・」

 

と、レイは驚いていた。

 

「お前は?」

 

「自分は・・レイ・ラングレン・・・といいます」

 

「レイ・・・ラングレン・・」

 

すると千冬は険しい表情になる。

 

(・・ラングレン・・・。まさか・・あいつの?・・い、いや・・そんなはずは―――)

 

 

「どうしたんですか?」

 

「・・い、いや・・。なんでもない。それと、あなたは?」

 

と、千冬はじっちゃんに聞いてきた。

 

「・・・・わしは『小林健造』じゃ」

 

「・・あれ?名字が違う?どうしてですか?」

 

と、山田先生は不思議そうに聞いてきた。

 

「・・・わしはレイの育ての親という立場でのう・・」

 

「育ての親?・・ではラングレン君の両親は?」

 

「・・・今はどこに居るかは・・・・分からん・・。ましても生きているのか、分からんのじゃ」

 

「えっ・・?それってどういうことですか?」

 

「・・・・レイの両親はレイが生まれて間もない時にわしのところに預けに来たんじゃ」

 

「えっ?それって・・・」

 

「レイの両親は何か危険なことに巻き込まれたらしく、レイを巻き添えにしないようにわしのところに預けて、二人はそのまま行方をくらましたんじゃ」

 

「・・・それから連絡は無かったのですか?」

 

と、今度は千冬が聞いてきた。

 

「あぁ・・一切な。それに両親の写真すらないのでな、レイな両親の顔を知らないんじゃ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「唯一両親とのつながりは名字だけ何じゃ」

 

「・・・そうですか」

 

と、何か同感的な感じがあったように見えた。

 

「さて・・・ここから本題・・・と行きたいが、もう一つ聞きたいことがある」

 

「聞きたいこと?」

 

「・・そのISを・・・どこで手に入れた?」

 

と、千冬はレイの左腕の腕輪を指す。

 

 

「・・・これですか?・・・なんていうか・・・・俺も、正直分からないんです」

 

「分からない・・だと?」

 

「はっきりとしては・・・あの『事故』の後に、自分が気付いた時にはこれがあったんです」

 

「あの事故?」

 

「・・・二年前に起きた・・・太平洋に旅客機が墜落した・・・あの事故です」

 

「・・・あの大惨事か・・・だが、なぜあれが関係しているんだ?」

 

「・・・それは・・・あの事故で唯一の生存者が・・・自分です」

 

「な、何だと!?お前が・・あの生存者だったのか!?」

 

と、千冬は驚き、レイはうなずいた。

 

二年前・・・太平洋上を飛んでいた旅客機が、突如墜落して、機体が粉々に粉砕したという大惨事が起きた。乗員乗客は全員死亡・・・それが学者の答えだったが・・・その後、唯一の生存者出たのであった・・・それがレイである。墜落原因は今も不明である。

 

「自分は、あの時、アメリカに行く途中でした・・・。墜落する少し前に、自分はトイレに行っていました・・・。しかし、トイレから出た直後に、突然旅客機が墜落したのです」

 

「それで?」

 

「自分は墜落している途中で、そのまま後ろの貨物室に飛ばされたのです。・・・・そして、旅客機は海に墜落したのです」

 

「・・・・・・・・」

 

「少しして自分は気がつきました」

 

「ど、どんなようすでしたか?」

 

と、山田先生が恐る恐る聞いてきた。

 

「・・・機体の天井が破れ、半身海の水が浸かっていました。飛ばされた時にコンテナに強く頭を打っていましたので、また気を失いました」

 

「・・・・・・・」

 

「そして、再び目が覚めたときには、自分は病院の集中治療室にいました。・・・そして、左腕に何か違和感があって、見てみたら、これがあった・・・ということです」

 

「・・・・そうか・・・そんなことがあったんだな・・」

 

「・・・でも、思い出してみれば、気を失う直前に、誰かが自分の目の前にいました」

 

「影?」

 

「はい。でも顔ははっきりとは見ませんでした。でも体型的に男性だと思います。憶測ですけど」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「・・これで、どうですか?」

 

「・・・大体のことは分かった・・・・。さて、ここからが本題だ・・・・もしお前がよければ・・・IS学園に入ってみないか?」

 

「あ、IS学園・・・にですか?」

 

「あぁ・・。もちろん、強制ではない・・。だが、政府の介入があれば、強制になるかもしれないが・・・・・・どうだ?」

 

「・・・・・・・」

 

レイはしばらく考えた。

 

IS学園・・・レイにも興味はある・・・入ってみよう・・とも思う・・。しかし、もし自分が入れば、じっちゃんはどうなる・・・・またやつらに襲われるかもしれない

 

「レイ・・・入ってみたらどうだ?」

 

と、レイが考えている間に、健造が言い出した。

 

「えっ!?・・・で、でも・・・」

 

「わしのことは気にするな・・・」

 

「でも、もしやつらがまた来たら・・・」

 

「その心配は要らん」

 

と、千冬が言った。

 

「健造殿の身の安全は、我々が保障しよう」

 

「・・・・・・・」

 

「・・レイ・・わしはな、お前さんに学校に通ってほしかったんじゃ・・」

 

「えっ?」

 

「・・お前さんは中学で、どんな難関高校に入れるぐらいの学力と実力があったと言うのに、わしの為に高校に行かず、バイトをして生活費を稼いでくれた。それはそれで嬉しかった・・・だが、お前と同年代の高校生を見ているとな・・・わしは悲しんじゃ・・・」

 

と、健造は涙を流した。

 

「だから・・・お前さんはIS学園に行くんじゃ・・・それがわしからのお願いじゃ!」

 

と、健造は頭を下げた。

 

「・・・・・・・」

 

レイは何も言えなかった・・・

 

「じっちゃんが・・そんな気持ちだったなんて・・・知らなかった。俺・・お金を稼いで裕福になろうとばかり考えていた・・・」

 

そして、レイはしばらく黙り込んだ・・・。

 

 

 

「・・・・・決めました・・」

 

と、レイは千冬のほうを向いた。

 

 

「・・・IS学園に・・・行きます!いや、行かせて下さい!」

 

「・・・そうか・・・。分かった」

 

と、千冬は立ち上がった。

 

「では、明日迎えを送ろう・・・。だが、入学式まであと一週間だ・・。今から入学の手続きをするのは学園初の異例だが、手続きをして、お前が学園に入れるのは入学式の後日だ」

 

「そ、そんなに掛かるものですか?」

 

「お前の場合特殊だ。何せお前のISを調べるほか、身体検査、そして模擬テストをする必要があるからな」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・模擬テストと言うのは、ISの模擬戦のことだ。IS学園の試験はISを用いて教官と戦って、その結果次第で決まる」

 

と織斑先生は補足した。

 

「あ・・・そうですか・・・」

 

「そういうことだ・・。明日まで荷物をまとめておくのだぞ」

 

「・・はい。分かりました」

 

と、千冬は家を出ろうとした。

 

その後を、山田先生も追った。

 

「で、では・・・また明日・・会いましょう・・・」

 

と、二人は家を出たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

(・・やはり・・レイはあいつの子供なのか・・・)

 

と、家から出てから、千冬は歩きながら考えていた。

 

(・・いや、考えすぎか・・。名字が同じだといっても、同じ名字を持つやつは他にもいる。・・・だが・・・・)

 

そしてレイの顔を思い出す。その顔にどことなく自分が尊敬していた人物の顔と重なる。

 

(似ていた・・・。あいつに・・)

 

そうしてしばらくその事を考え続けた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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