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IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・

ISさん

第17話『アンノウン』

2012-03-17 22:57:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8672   閲覧ユーザー数:8316

 

 

 

 

 

 管制室から外に出てきた俺と楯無。

 

 

 

「で、どうするつもりなの?」

 

「単純。アリーナのシールドバリアーを破って、俺とお前で突入。一夏と凰を下がらせた後で撃墜」

 

「ん。了解」

 

 

「『マイスターズ』起動」

 

『『マイスターズ』起動。GNY-001F2『ガンダムアストレアTYPE-F2』』

 

「行くよ、ミステリアス・レイディ」

 

 俺はともかく、楯無の場合ISを緊急展開したからエネルギーが余計に減ってるだろうけど……楯無なら心配無用だろ。

 緊急展開はISスーツを着用しないで展開するもので、ISの中に格納されるISスーツの構築から行われるからエネルギーを余計に消費する。

 なので、普通はISスーツに着替えてから展開するのがベターだ。

 

 

 ――ティエリア、ヴァーチェの準備を。

 

 ――了解した。平行してGNバズーカへ圧縮粒子のチャージを始めておく。

 

 ――ああ、よろしく。

 

 

「楯無、行くぞ」

 

「わかってるわよ」

 

 俺の深紅と楯無の水色の機体は、並んで飛び立った。

 急いでアリーナ上部に上昇する。

 

 

 ――ティエリア、モード選択。ヴァーチェ

 

『了解、モード選択GN-005『ガンダムヴァーチェ』』

 

 GN粒子が、装甲を創りなおす。

 深紅の装甲から、白と黒の装甲に。

 右手には大きなGNバズーカ。肩には二連式ビーム砲塔であるGNキャノンが両肩一基づつで二基。

 外見は、今まで使ってきたスリムな機体と全く違う。装甲は大きく鈍重なイメージを見るものに与える。

 が、実際はGN粒子の質量軽減効果で外見から想定されるよりもずっと軽い……といっても今までの機体と比べたら十分重いが。

 てか、原作だとこれでフラッグより軽いらしい。

 

 

「その機体って、技術公開されて無いわよね?」

 

「ああ。オーバーテクノロジーの塊だ。だから、基本はあの機体に固定してるんだよ」

 

 

 ――喋って良いのか?

 

 ――いいさ。

 

 ――そうか……。

 

 

「……技術提供してもらえない?」

 

「無理。それよりお喋りはお終いだ。準備しとけ……ヴァーチェ、目標を破壊する」

 

 バズーカを正面に両手で構えて砲身を展開、内部から砲身が延長するようにせりだす。胸部装甲を開き、GNドライヴと直結。

 

「GNバズーカバーストモード、粒子チャージ完了……圧縮粒子開放!」

 

 バズーカとキャノンから放たれた、ゆうにヴァーチェの四から五倍はあるような図太いビームがシールドバリアーにぶち当たり貫通。バリアーに大穴をこじ開けた。

 

「すごい威力……行くわよ」

 

「分かってる」

 

 まず楯無がその穴からアリーナ内に侵入。すぐに俺も、機体をアストレアTYPE-F2に戻して突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 突入すると、一夏と鈴は固まっていた。

 理由は……ヴァーチェのビームだな。コイツらの目の前に撃ったし。

 楯無にアンノウンは任せて、俺は二人の元に飛ぶ。

 

「救援登場ってか? 一夏、凰、二人で引け」

 

「な、そんなこと……!」

 

「ボロボロのヤツらが居ても邪魔だ。早く引け! アイツの押さえにも限界がある!」

 

 視線をアンノウンのほうに戻すと、楯無が一人で相手をしてる。それでも普通にやってるのはさすがってとこか。

 

「アリーナからはまだ出れない。だから隅っこに行ってろ!」

 

「わ、わかったわよ! 行くわよ一夏!」

 

「お、おい!」

 

 凰が一夏を引きずってたが……ま、いいだろ。

 いつの間にか仲直りはしたみたいだしな。さて、俺も戦闘参加だ。

 

 

 

 楯無の前に出て、ビームの一発をシールドで受ける……威力はそれなりか。

 

「待たせたな!」

 

「遅いわよ?」

 

「そんなすぐ墜ちるタマじゃないだろ、お前は」

 

「まあね」

 

 ビームを回避しながら、会話をかわす。

 

「じゃ、接近するから援護よろしく」

 

「なんなら、私が行くけど?」

 

「女を前に出すようじゃだめだろ」

 

「そういう言動は、さらに私の気持ちを駆り立てちゃうんだけどなあ」

 

「……ちっ、ミスったか。まあいい、援護任せた!」

 

 シールドを構えながらも、右腕のプロトGNソードを展開。楯無のガトリングの援護を受けつつ、ビームをかいくぐって接近する。

 ソードの距離まで接近したところで、斬撃を放つ。

 

「スラスター、多すぎなんじゃね?」

 

 が、簡単に回避された。

 このアンノウン、体中にスラスターが付いてて加速力がハンパ無い。零距離から一秒とかからず離脱してくれやがった。

 そして、体をコマのように回してのビーム射撃。これで離れての回避を余儀なくされる。

 

 

 

 

 

「打開策無いか?」

 

 さっきのを少しづつ変えて攻めてみたが、結果は同じ。

 大量のスラスターが生み出す加速力で、一瞬で接近の間合いから離脱される。

 そしてその後の回転ビーム、これで近づけない。

 

「ビームは避けられる、接近戦でもいままでのスラスター出力なら結果は見えてるわね」

 

「なら不意打ちか……。ん? ちょっと待て」

 

「どうかした?」

 

「アイツ、さっきから動きが機械じみてないか? 一夏たちのときから」

 

 本当を知ってるんだけどな。悪い。

 

「そういえば……そうね。なんていうか、パターンで動いてるもの」

 

 このパターンというのは、アイツが回避の後に必ず回転ビーム攻撃をしてくることだ。

 

「それに、生身の人間から感じ取れる乱れとかが無い」

 

「無人機ってこと? でも、どこの国も開発には成功してないわよ」

 

「普通の生徒から言われたなら信じないんだが、更識家の人間から言われるとな……」

 

「でもあれ、どう見ても無人機よ……現にこうやって会話してても攻撃してこない。人が乗ってたら、こんな作戦会議でもされるような隙を見逃すわけ無いわ」

 

「どっちだよ。……なら、結論は無人機ってことで良いな?」

 

「ええ、そのつもりで攻めましょう」

 

「オーライ。そういや、水分身って使えないのか?」

 

「相手が機械なら、すぐに見分けられるでしょうね」

 

「だよなあ……よし」

 

 ――ティエリア、GNセファー展開よろしく。

 

 ――使うのか……了解した。GNセファー、展開。

 

 背中のスリースラスタータイプのスラスターが、エクシアなどのようなコーンスラスタータイプに換装。それにコアブロックがかぶさるように展開され、コアブロックの両端から左右に広がるように片側三つのGNプロトビットが装備された。

 

『ガンダムセファーアストレアTYPE-F2』

 

 機体名称の意味的には、『正義の女神の書』――とでもいったところか。

 

 ――ビットの制御は任せる。

 

 ――了解した。

 

 コアブロックだけを残し、プロトビットが俺から離れて無人機に向かっていく。

 

「その機体性能に加え、あの大出力ビーム。さらに独立機動兵装(ビット)なんなの? その機体」

 

 楯無に軽く呆れられたんだが……まあ、これがなにかと聞かれたら―――

 

「『ガンダム』だ、このISの機体名称じゃないけどな。さっさと終わらせる。合わせるぞ」

 

「オッケー」

 

 俺と楯無は、プロトビットに翻弄されている無人機へ接近していく。

 至近距離まで接近すると、俺はプロトGNソード。楯無はランスで攻撃を繰り出す。

 ビットで動きを制限されているぶん回避行動を取れないアンノウンに、さっきまでのが嘘のように攻撃が当たる。

 俺がソードを振りぬく、それで出来た隙を突いてこようとする無人機に楯無のランスが当たる。ランスを弾かれ、隙が出来た楯無を俺がフォローする。

 ビットは粒子の切れたものから、コアブロックに帰ってきて粒子を補給・再展開を繰り返している。

 

 

 

 

 こちらの圧倒的攻勢の中、数分で無人機は地に伏せた。

 

 

 

 ◆

 

「拓神、お疲れ様」

 

「お互いにな」

 

 ISを展開したまま(俺は頭部装甲と追加のセファーを解除した)、楯無と労いあう。

 徹底的に攻撃して停止も確認したため、原作のように墜ちた後でビームの不意打ちを撃ってくるようなことは無かった。

 

 

『お、おい。拓神大丈夫か?』

 

 一夏からプライベートチャンネルで通信が入る。

 

『ん? お前に心配されるレベルじゃねぇよ。俺もこいつも』

 

『あ、そうだ! その、お前と居るのは誰だ?』

 

『直接話せ。つーかいつまでもそこに居ないでこっちに来い』

 

『そうだな。了解』

 

 

 俺が指示したとおり、隅に行ってた一夏と凰がこっちに戻ってくる。

 

「ありがとう、助かったわ」

 

「いや、礼はいいさ。それより……」

 

 

『凰って、一夏のこと好きなのか?』

 

『にゃっ!? そ、そそ、そんなわけ無い……じゃないっ』

 

 確定。やっぱりこうやって人を弄るのは楽しいぜい。

 

「拓神、とにかく助かった。で、そっちの人は…?」

 

「初めまして、織斑一夏くん。私は更識楯無。2年生よ」

 

「あ、先輩だったんですか……ありがとうございました」

 

「別に良いわ、私は拓神についてきただけだからね♪」

 

 そう言った楯無は、ISの腕を解除して装甲のない俺の首に後ろから巻きついてくる。

 

「楯無っ! ヤメロっ!」

 

「ぶー、いいじゃない」

 

「良くないから! それに―――っ!?」

 

 嫌な予感がする……なにか黒いモノが近づいてくるような……なんなんだこれは?

 

「どうかした?」

 

「…………」

 

「お、おい。拓神どうした?」

 

「アンタ、どうしちゃったのよ?」

 

 

「来る。なにか、禍禍(まがまが)しいものが……どこから……?」

 

「拓神?」

 

「楯無、離れろ……」

 

「う、うん」

 

 楯無は俺が真剣になったのを感じて、普通に離れてくれた。

 なんだ、なんなんだこの嫌な予感は――っ!

 

 

 ガキャン

 

「っ!?」

 

 とっさにその場から振り向く。

 居るのは、俺のほうを向いている楯無と―――

 

 

 

 

 

 

 さっき倒したはずの、無人機。

 


 
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