No.393309

IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・

ISさん

第12話『クラス代表決定』

2012-03-17 21:34:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9292   閲覧ユーザー数:8877

 

 

 

 ピットに戻った俺を迎えたのは、案の定一夏だった。

 

「お前すげえな。何で避けられるんだ?」

 

「経験の差。それより、むしろたった2回のIS起動であそこまで出来たお前がすごい」

 

 ISを解除してから返す。

 これは本音。なんでたった2回しか……間違えて起動させたのを加えれば3回だが、それだけで油断しているとはいえ代表候補にあそこまで肉薄できるとか。もはや才能の域だ。

 

「そ、そうか?」

 

「お前が照れてもムカツクだけだからやめろ」

 

「ヒデェ!」

 

 一夏って弄りやすいし、弄って楽しいっていう一石二鳥なんだよな。

 

「さて、もういいよな?」

 

「なにがだ?」

 

「部屋に帰って良いのかってこと。もう終わったんだろ?」

 

「いいんじゃないのか? なんだったら千冬姉に――」

 

 バシンッ!

 

「学園では織斑先生と呼べ」

 

 デッデッデ、ドーデドー、ドーデドー……。

 一夏の頭を叩きながらダースベイダーのテーマで織斑先生登場。

 

「ああ、もう帰って良い。むしろ早く帰れ、時間が押している」

 

「了解でーす」

 

 さ、楯無さんが居ないことを祈って自室に戻るか。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 結果

 

 

「この世界に神は居ない……」

 

 いや、居たけど。実際に一回会ってるけど!

 何でまた楯無さんが居るんだ! しかもベッドに寝転んで! 今回は普通に制服なのが唯一の救いだけど!

 

「あ、おかえりー。って何言ってるの?」

 

「何でまた居るんですか? ここは楯無さんの部屋じゃないですよ」

 

「いいじゃない、あなたに会いに来たんだし」

 

 あーくそっ、感情をストレートにぶつけてくるんじゃねえ!

 

「あー、さいですか」

 

「もう、ほんとにつれないなあ」

 

 俺は、楯無さんの寝転んでいるベッドの隅っこに腰掛けた。

 

「って、抱きつかないでくださいよ!」

 

 なぜかすぐさま後ろから抱きつかれたぜい。

 服越しでも背中に二つの柔らかい感触が…!

 

「うふふ、初心ねぇ……それで? あの悩みは解決した?」

 

 俺の肩越しに顔を出してくる楯無さん。

 ちょっ、余計に背中の感触がっ!

 コレについては真面目に話をさせろ!

 

「ええ、おかげさまで。だんたん解決できてきましたよ」

 

「そっか、なら良かった」

 

「ありがとうございます」

 

「へ? なにが?」

 

「……なんとなくです」

 

「あら、そう? 別に嫌な気はしないから良いけど」

 

 この件については本当に感謝してますよ、楯無さん。

 

「で? そろそろ離れてくれないんですか?」

 

「んー、嫌」

 

 で、さらに抱きつかれました。抜け出せない!

 ……でも、役得なんだよなぁ。

 

「あら、嫌だった?」

 

「……ノーコメントで」

 

「んふふ、どうしたの?」

 

 ドSだっ!

 分かってはいたけど、この人ドSだ!

 

「ほら、おねーさんに言ってみなさい?」

 

「……胸の感触が心地良いです」

 

「あは♪ 拓神くん、えっちぃ」

 

「聞いたのは楯無さんですよ……」

 

 あー、もう。本当にペースを乱される!

 

「本当にえっちぃこと、する?」

 

「しません。俺の理性を壊そうとしないで離れてください」

 

 いろいろと確信犯な行動が多いんだよこの人……。

 

「むー、いけず」

 

「なんとでも言ってください。手は出しませんから」

 

「いけず、へたれ、えっち、それと―――」

 

「わざわざ探してまで言うな!」

 

 俺のライフ(心の)はもうゼロだ!

 

「敬語、なくなってるわよ?」

 

「あっ、うっかり……」

 

「じゃあ、生徒会長命令! 私に対して敬語禁止!」

 

「なんつーことに権限使ってるんですか!」

 

「敬語禁止だよ? じゃあ、罰ゲームね♪」

 

 は? 何を言ってるんだこの人は。

 

「えい!」

 

「は?―――げふっ!?」

 

 答:後ろに引き倒されました。

 おかげで肺の中の酸素を強制排出することになったんだが。

 

「げほっ、げほっ……なにを―――」

 

「んふふ、命令違反をするごとに私が近づいて行っちゃうぞ」

 

 引き倒された=楯無さんは俺の上。

 俺の上+近づいてくる=唇を奪われる。

 なんなんだよ、この計算式。

 

「お、俺の純情を奪うつもりですか―――あっ」

 

 相手に合わせた口調ってすぐには治らないものなんだが……。

 

「はいダメー。んー、後二回くらいでくっついちゃうな~」

 

 よし。割り切れ、俺。

 

「仕方ない。……そろそろどいてくれ、楯無」

 

「よし、合格! ご褒美にキスを―――」

 

「やめい! されないために敬語なくしたのにされてたまるか!」

 

「えー、おねーさん残念」

 

 

 

 

 

 

 この後も散々騒いだ挙句、寝るときには居なかったはずの楯無が起きたら布団の中に潜り込んでいるというおかしい《日常|いつも》を送ることになった。

 

 

 

 ◇

 

 

「はい、ということで1組のクラス代表は織斑くんに決定しました! 『一』つながりでいいですね!」

 

 え? 勝ったのは俺だって? 面倒じゃん。ただでさえ副会長とかやらされてるのに。

 

「はい、先生」

 

「織斑くん、なんですか?」

 

「どうして俺がクラス代表なんですか? 負けましたよ?」

 

 そんなこと決まってるだろ。

 

「俺がパスしたからだ。そんでもって」

 

「わたくしも辞退したからですわ!」

 

 妙に熱っぽい視線を一夏に向けるセシリア。

 よし、俺へのフラグは回避できた。

 

「それで、まあ、わたくしも大人げなかったことを反省しまして、“一夏さん”にクラス代表を譲ることにいたしましたわ。やはりIS操縦には実戦が何よりの糧、クラス代表ともなれば戦いに事欠きませんもの」

 

 そして一夏にフラグが立った。

 よし、原作どおりだ!

 

「いやあ、セシリアわかってるね!」

「そうだよねー。せっかく世界で唯一男子が居るクラスなんだからどっちか持ち上げないとねー」

「あー、でも私は玖蘭君のほうがよかったかも」

「私達は貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で2度美味しいね織斑くんは」

 

 売られたな、一夏。

 そして三人目。あからさまに残念そうにするな、俺は絶対やらないから。代わりに生徒会の副会長やってるから。このクラスは一人を除いてみんな知らないだろうけど。

 

「なっ、そんなのって!?」

 

「抵抗するな一夏。敗者は勝者に従え」

 

「うぅ……」

 

 うんうん。本当にこの言葉を作った人に感謝だな……あるぇ?

 俺、楯無さんに負けてはいないはずなのに従わされてる気がする……まあ、あの人だもんな。仕方ない。

 順応してどうする俺。

 

 

 

 バン!

 

「あいにくだが、一夏の教官は足りている。私が、直接頼まれたからな」

 

 おっと、話が進んでたみたいだ。

 それにしても箒、もうちょっと殺気を仕舞ってくれると嬉しいんだぜい。

 それと、このクラスでは立ち上がるときに机を叩くのは絶対なのか?

 

「あら、あなたはISランクCの篠ノ乃さん。Aのわたくしに何かご用かしら?」

 

「ら、ランクは関係ない! 頼まれたのは私だ。い、一夏がどうしてもと懇願するからだ」

 

「え、箒ってランクCなのか?」

 

 はあ、一夏がまた余計なことを……。

 

 

 

 パンッ

 

 手を叩いた音が教室に響く。

 叩いたのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのなあ……」

 

 俺だ。

 

「お前ら、本当に一夏のためにって思ってるのか?」

 

「あ、当たり前だ!」

 

「そうですわ!」

 

「なら、もっとも効率の良い方法を考えろ。どっちか片方じゃなくてオルコットと篠ノ乃が得意分野でそれぞれやった方が一夏のためだ」

 

「そ、それは……」

 

「ま、まあ、そうですけど……」

 

 このくらいで良いか。

 流石に争いが醜すぎるんだよ。

 

 

 

「座れ馬鹿共」

 

 うぁ、急に辛辣だな織斑先生。

 

 バシンッ!

 

「その得意げな顔は何だ。やめろ」

 

 原作細かいところまで憶えてないな……確か一夏が馬鹿なこと考えたんだっけな。

 

「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたら平等にひよっこだ」

 

 ゴミってのは流石に言いすぎな気もするけど、それが織斑先生だぜい。

 

「それにいまのは玖蘭が正しい。お前ら二人は自分の意見を相手に押し付けようとしているだけだ、もう少し考えて行動しろ。わかったか?」

 

「「はい……」」

 

「分かればいい」

 

 やった、織斑先生に肯定された!

 やっぱり弟想いの姉なんだよな、織斑先生は。

 

「玖蘭、得意げになってまた何か失礼なことを考えていないか?」

 

「そ、そんなことはありません! はい!」

 

 姿勢をびしっと正して回答。

 ――そうすることを(雰囲気で)強いられていたんだ!

 

「……まあいい。では、クラス代表は織斑一夏。異存は無いな?」

 

 はーいと、一夏以外が一団となって返事をする。

 

 

 

 こうして、うちのクラス代表は一夏に決定したのだった。

 


 
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