No.393048

プロローグ

十河さん

両親に捨てられた少年・織斑唯。

さまざまな力と知識を身につけ、世界で唯一ISを操れる男になった。

しかし、唯には秘密があった。

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2012-03-17 14:54:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4881   閲覧ユーザー数:4650

おれは両親に売られた・・。

姉たちは何も知らされず死んだと思い込んだ・・。

どこにあるかわからない大きな病院で人体実験を施され、一瞬の隙をついて逃げた。

世界、そしてこの世のすべてに絶望した瞬間、手を差し伸べてくれたのは・・。

 

「にゃ?ゆいにゃんだ~。」

「・・あ?おれをその名前で呼ぶのは・・。」

 

不思議の国のアリスを地で行く絶賛行方不明中の幼馴染の姉だった・・。

その人物・束の下で半年の療養生活を送り、回復後は超能力のコントロール、ISの知識・開発、コアの製造方法、病院から奪ったデータのGNドライブの製造(コピーはとっておらず、このデータしかない。さらに開発にかかわった人物をすべて殺した。2基だけ作り、データは抹消。)、専用ISの製造、肉体鍛錬、さまざまなことをやった。

 

数年後

 

そして今おれはある人物の依頼によりある場所に来ている。

その依頼とは親友の妹の奪還の手助けというものだ。

中にいた怪しい人物をすべて気絶させ、あるひとつの扉の前に立っていた。

 

「ここか・・。」

 

少年は目を閉じ、右手を前に出し力を集め、頭の中でトリガーを引く。

 

「はぁ!」

 

ドゴン!

 

あの病院で身につけた超能力のひとつ・衝撃波を放つ。

ドアが吹き飛び、そこにいたのは少女だった。

 

「大丈夫か?」

「う、うん・・。」

 

少女は少年がつけているバイザーで顔がよく見えなかった。

美しく光る黒い髪は長く、腰ぐらいにまで伸びている。

 

「あと少ししたらお姉ちゃんがくる。」

「お姉ちゃんが・・?でも、今日は決勝戦・・。」

 

少年は少女の頭をなで、穏やかな声で話し始める。

 

「心配するな。どんな人間でも家族を見捨てるようなやつはいない。だからきっと来る。」

「うん!」

「さて、後は・・。来たか。」

 

足音が聞こえ、少年はドアに向かうが少女が呼び止める。

 

「あ、待って!お兄ちゃんのお名前はなんていうの?」

 

少年は少女のほうを向かずにこういった。

 

「・・唯だ。またどこかで会おう。・・一夏。」

 

最後のほうは小さくて聞き取れなかった少女・・一夏。

唯と名乗った少年はその場を去る。

 

「唯・・。」

 

ポツリとつぶやく一夏。

そこに・・。

 

「無事か!?」

「千冬おねえちゃん!うわ~ん!」

 

姉である千冬が一夏に抱きつく。

一夏は安堵から泣き出す。

 

「よかった・・。いったい誰が見張りを・・?」

「唯っていう人が助けてくれたの。」

 

唯という名前を聞き千冬は驚く。

 

「唯・・だと?一夏、もう少ししたらドイツの人たちが来る。それまでここで待っていろ!」

「え?あ、お姉ちゃん!」

 

千冬は一夏をその場に残し後を追う。

 

施設の外

 

外に出た唯は依頼主と連絡を取っていた。

手にはバッタの様なロボット、バッタカンドロイドがありそれで通信を行っている。

 

「一夏は無事だ。束。」

『そっか~。いっくんが無事で何より。んじゃ、早く帰ってきてね~。』

「了解。ミッションコンプリート。これより帰還する。・・!?」

 

唯はバッタカンを缶に戻し、ISを展開しようとするが気配を感じ後ろを振り向く。

そこには千冬がたっていた。

 

「何のようだ?ブリュンヒルデ。」

「な~に、妹を助けてくれた恩人に一言お礼を言いたくてな。あと、私をその名前で呼ぶな。織斑千冬と呼べ。」

「・・わかった。それと気にするな。おれは依頼主の依頼であんたがスムーズに動けるようにサポートしただけだ・・。」

「それでもだ。・・話は変わるがお前に聞きたいことがある。」

(空気が変わった・・。これがブリュンヒルデのオーラか・・。)

 

その言葉を発した瞬間、千冬の空気が変わる。

普通の人ならばプレッシャーに飲み込まれるが唯は特に気にしていなかった。

 

「何だ?聞きたいこととは。」

「お前・・唯か?」

「・・なぜそんなことを聞く?」

「お前なら知っていると思ってな、何年か前に行方不明・・いや、死亡扱いになった私たちの弟のことを・・。」

「知ってどうする?」

「何か知っているのなら・・力づくで聞き出すまで!」

 

千冬は襲い来るが唯は冷静に攻撃を回避。

 

(相手は生身・・。こっちはISを展開している・・。ならこちらが有利だ!)

(と思っているのだろうが・・そうはいかないな。)

 

唯は攻撃を回避した後ミドルキックを放つが受け止められ、しばらく白熱した展開が続いていたが千冬が振り下ろした剣がバイザーにあたる。

バイザーが割れ、素顔が明らかになる。

 

「唯・・!どうして・・!」

「!チィ!来い!黒百合!」

 

千冬は呆然となる。

オッドアイとはいえ死亡扱いされた弟が目の前にいるのだから。

素顔を見られた唯は専用IS・黒百合を展開。

闇のように黒いISをまとった唯の姿を見て千冬は驚く。

 

「何・・!男なのにISを起動しただと・・!?」

「悪いな!ブリュンヒルデ!こっちも依頼人に任務完了の報告に行かなきゃ行けないんだ!」

 

ブースターを吹かせ、あっという間に姿が見えなくなる。

その様子を見ていた千冬は・・。

 

「唯・・。」

 

とつぶやいていた。

それと同時に疑問が浮かび上がる。

 

(唯・・いなくなってからいったいお前に何があった・・。なぜお前がISを持っている・・?なぜISを動かせるんだ・・?)

 

その疑問に答えるものは誰もいない・・。

千冬が見上げた空は満月が美しく輝いていた・・。

 

この事件から数年後、姉弟は再会する・・。

 


 
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