No.393025

IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・

ISさん

第5話『決着』

2012-03-17 13:52:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9844   閲覧ユーザー数:9448

 

 

 

「エクシア、目標を駆逐する!」

 

 

 

 そういえば俺っていままで、

 

 技能 会長>俺

 機体性能 会長>俺

 

 で戦ってたんだよな……あそこまでガンバった俺に拍手だな。

 いや、かなり手加減されてたけども。

 

「はあぁぁぁっ!」

 

 さっきまでの0ガンダムとは世代の違いを見せてやるよ!

 体感で分かってるが、見える景色の流れるスピードが明らかに違う。

 そのまま会長向けてさらに加速。

 はっ、驚いてるな。ただ外見が変わっただけじゃない!

 GNソードの刀身を展開。

 ランスのガトリングを避けながら、ソードの範囲内に入って、機体を一度左に振ってから右に振りつつソードを振る。

 加速と機体重量を乗せた一撃だ。スピードも十分。

 

 ガギィッ!!

 

 重い音を立てて会長はランスでソードを防いだ。

 これなら、押し切れる!

 

「うおおおっ!! ――でもって、おまけっ!」

 

 押し切りながら、右腰からGNショートブレイドを抜き放ち、会長の機体の非固定部位《アンロック・ユニット》である右側のアクア・クリスタルに突き立てる。

 水のヴェールで守られていたが、それはGNフィールドのようなもの。実体剣のショートブレイドなら!

 思惑通り、水のヴェールを突き破りショートブレイドはアクア・クリスタルに突き刺さる。

 引き抜くことはせず、アクア・クリスタルが爆散する前に、ランスを押し切って距離を取った。

 そのすぐ後にショートブレイドが突き刺さったアクア・クリスタルは爆散、ショートブレイドは地面に落下して突き刺さる。

 

「どうです?」

 

「っ……ふふ、やるわね。おねーさん、そろそろ本気になろうかしら?」

 

「やっぱり手加減されてましたか……来てください。俺はあなたの全力と戦いたい」

 

「それなら、行くわよ?」

 

 茶化したような言い方だが、接近してきている会長の機体の動きは今までと違う。

 全体的に速く、鋭くなっている。

 

「望むところ!!」

 

 GNロングブレイドを左手で左腰から抜く。

 そしてソードをライフルモードにして会長向けて撃つ。

 さっきまではもう『少しで当たるかも』という感じだったが、いまは『当たらない』までになってしまっていた。

 慣れてないから当たらねぇ!

 その間に接近してきた会長は、ランスでの突きを連発してくる。

 左手のロングブレイドでいなしてはいるが、いかんせん技量が違う。

 何度も何度もギリギリに迫ってきて俺のS・Eを削っていく。

 ソードをソードモードに戻して突きをはなっても、残った左側の水のヴェールでその矛先をずらされて決定打にはならない。

 

 ――ティエリア、何とかできないか!?

 

 ――やれやれ、今回やっと登場か。

 

 ――あ? なんか言ったか?

 

 ――別に何も。コレはなんとも出来ないな、君の技量次第だ。

 

 ちっ、これ以上機体には頼れない!

 

 そんな間にも、

 

「ちょっ、激しすぎますよ!」

 

「あはっ、どうしたの?」

 

「このっ!」

 

 会長のランスでの猛攻。

 マジで本気だろ、コレは!

 それなら、と振り下ろした右のソードを振り上げて――

 

 ガキッ!

 

 会長の左手にはいつ展開したのか、蛇腹剣《ラスティー・ネイル》が。

 それでソードは押さえられた。

 左手だけで何とかするしかねぇか!

 

 ――ティエリア、オーバーブーストいけるか?

 

 ――それならトランザムの方が良いと思うが?

 

 ――それは危ないだろ? いまはオーバーブーストでいい。

 

 ――了解、いつでもいける。合図を。

 

 ――オーライ。

 

「なら、これで! オーバーブースト!」

 

『GNドライヴ、セーフティーアンロック。オーバーブーストモード』

 

 背中にあるコーン状スラスター周りの3つのツメのようなロックが解除され、GNドライヴの出力が最大まで上がる。

 それに同調するように胸の円形クリスタルも強く輝きだした。

 トランザムは出力が大幅上昇する関係上、威力も大幅に上がって……絶対防御を貫通させる威力になる可能性がある。だから使えない。

 

「おおおぉぉっ!」

 

 ジジジジィィ――!

 

「!? そんなっ!」

 

 会長の初驚き声ゲット。

 理由は右の蛇腹剣にソードが食い込み始めたこと。

 俺はオーバーブーストで上昇した出力の多くをソードに回して、刀身に纏わせるGN粒子の量を増大させ、切れ味を一気に上げて蛇腹剣を切った。

 そのまま押さえの無くなったソードを振り上げる。

 会長は下がって回避しようとしてるが、

 

 がしっ。

 

「これなら逃がさない!」

 

 意識が蛇腹剣のほうに向いた隙にロングブレイドを手放し、会長の右腕を掴んで下がらせない。

 俺の蛇腹剣を切り裂いて振り上げたソードは、会長の左脇腹の装甲を捕えて一部を破砕させた。

 でも正直、このオーバーブーストで上昇した出力の大半を回したソードの威力は剣を切るほどだ。高すぎる。

 そのためらいで絶対防御を多量に使わせるチャンスを無くした……傷つけるよりかは良いんだが。

 

「きゃあっ!」

 

 手首だけでランスを向けられたので、手を放して一度距離を取る。

 

「以外とカワイイ声出すんですね」

 

「……お、おねーさんをからかっちゃだめでしょ。それに、今のでやろうと思えばあなたは勝てたはず」

 

「一応は本心ですけどね……そうだったんですか? でもまあ、俺はそろそろS・Eが限界」

 

 一応ごまかしの言葉を言っておく。一応はごまかされてくれるだろう。

 

「そういうことにしておくわ…こっちもさっきので限界ね。次の一撃で終わるわよ」

 

 あちらは分からないが、先ほどの攻防でこっちのS・Eはすでに一〇〇を下回ってしまっている。

 

「なら、これで決めましょう」

 

「いいわよ。私もそう思ってたし」

 

 ソードの剣先を会長に向ける。

 会長もランスをこちらに向けて構える。

 

 

 一瞬の間――

 

 

 

 同時に最大加速で動き出す。

 GNドライヴの出力の多くをソードに集中させて、加速していく。

 

 

 ギャギャギャッ!

 

 ソードとランスとが点でぶつかり合い、互いの切っ先を逸らした。

 俺のソードは会長の先ほど装甲を壊した左わき腹に。

 会長のランスは俺の右わき腹へ。

 

 ズザッ!―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そこまで! 模擬戦終了!! 結果は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――引き分けだ』

 

 

 

 結果告げる織斑先生の声。

 俺は視界の隅のシールドエネルギー残量を確認する。

 

 ――S・E残量0―――

 

 あーあ……ははっ、なんとか機体性能で同等まで持ち込めたか……。

 俺と会長は抱き合うような格好で静止したままだ。

 自分の腹を見てみると、そこにあるランスの穂先は欠けていた。

 さっきの衝突で、威力が勝る俺のソードがやったんだろう。

 ……それでギリギリ、リーチが減少して引き分けたと思うが。

 

「あーらら、引き分けちゃった」

 

 会長は俺から離れながらそう言う。

 俺は頭の装甲を解除しながら応えた。

 

「ですね。勝ちたかったですけど」

 

「そう簡単にこの座は譲れないわよ? 次やるときは、最初から全力で行かせてもらうからね」

 

「マジですか……」

 

 というか会長、あれでまだ抑えてた感じがするし。

 トランザムを使うことも考えておかないと負けるかもな。

 

「さて、これでお終い。早く降りましょう」

 

「あ、はい。了解です」

 

 地面に足を付いたのと同時に、マイスターズを解除する。

 汗が滲んだ体に、風が心地いい。

 

「拓神くん」

 

「はい?」

 

会長のほうを向くと、俺にむけて手を差し出していた。

 

「握手。久々に面白い戦いができたわ」

 

「いえ、俺はまだ機体に頼ってますから」

 

 そう言いながら、おれは会長と握手する。

 力をもらってまだ二日目。いくら高い身体のスペックとISの才能をもらっていても、慣れるには時間がなさすぎだったな。

 

「でも……また、戦ってもらえますか?」

 

「もちろん。次は勝つわ」

 

「それはこっちの台詞です」

 

 握手したまま、お互いに顔を見合わせて――笑った。

 


 
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