No.392704

IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 第四話~暖かさと変化

なんかフラグ立ってるしwww 相変わらず下手な作者です。

2012-03-16 22:18:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2323   閲覧ユーザー数:2265

 声にならない悲鳴が聞こえ、目の前でその子が……。そうか、昔の記憶--僕がまだあそこにいた時の。

 

 毎日こんなものを見せられて、暴力を受けて、体をいろいろ調べられたり--その度に自分の心が壊れていくのが分かった。

 

 そして今も--。

 

 

 

「うああああっ!」

 

 悪い夢を見て勢いよく状態をあげた。でも夢にしてはかなり鮮明なんだよなぁ。というかここはどこ?

 ベットで寝ていたみたいだ。周りにはカーテンが閉めているけど、この独特の薬品の匂い……保健室っぽいな。でもなんで寝てたんだ?

 

「えっと……オルコットさんとの決闘に勝って、それから……うぅ、思い出せないよ」

 

――ガチャン

 誰かが部屋に入ってきたけど、この感じは……お母さん? でもいつもみたいに強気な感じじゃないよ。何かあったんだろうか?

 カーテンを開けた人物は、思った通り、お母さんだった。なんでそんな悲しい顔をするの?

 

「……光輝、約束したよな? サイコバーストは使わないと」

 

 そうだった。オルコットさんも全力で戦ってたのだから、僕も全力を出そうとして使ったんだ……。

 

「あの、え……っと、ごめん、なさい……」

 

 パシンッ! 僕はお母さんに平手打ちをされた。でも、約束を破ったんだ。罪は重い……。僕は何も言えずにただ俯いていた。お母さんを見るのが怖いから……。

 

「一夏や篠々乃、ましてや敵だったオルコットも心配したんだっ! しかもオルコットが助けなかったら、死んでたんだぞっ!」

「……!」

 

 驚きだった。あの見下すことしかしなかったオルコットさんが助けてくれたのだ。そうか……試合が終わった後、意識を失ったんだ。

 

「力を手にした時から誰かを傷つけることがある。光輝、まさに今のお前のことだな。かなり衰弱して命すら危なかったんだぞ……」

 

 次の瞬間、僕はお母さんに抱きしめられていた。あぁ、伝わってくる……。お母さんの悲しみが、僕はとんでもないことをしてしまった。いろんな人を心配させて、困らせて……

 僕は抱きしめられながら聞いた。

 

「僕は、僕は……こんな僕でもまだ家族ですか? こんな心配ばかりかけてばっかりの僕は……」

「当たり前だ。ずっと家族さ。私と一夏、光輝、三人で家族だ。どんなことがあってもな、血が繋がってる繋がってないは関係ない」

「あ……あああっ! グスッ、あり、ありが、とう」

 

 僕は泣いた。やっぱりお母さんには敵わない。実力がどうこうじゃなくて、心が強い。それは兵器を使っても敵わない。改めて、お母さんの強さを感じた。僕もそうなりたいと、心から思った。

 

 

 

「じゃあ、明日からまた授業再開だからな。今はゆっくり休むんだぞ?」

「うんっ。ありがとう! お母さん!」

 

 お母さんはカーテンを閉め、扉に向かい

 

「学校では織斑先生だ。まぁ、さっきまでのはよしとするがな」

 

 そう言って部屋を出たのを感じた。

 と同時に勢いよく扉がバタンッ! と開き、こっちに迫ってくる。い、一体なんなんだ!?

 カーテンを思いっきり開けてやって来たのは

 

「光輝!(さん!)」

 

 なんと、夏兄、箒さん、そしてオルコットさんの三人だった。

 

「光輝! 大丈夫なのか!?」

「そうだぞ! 試合が終わってホッとしてたらいきなり落ちていったんだからな! ひやひやしたぞ!」

「…………」

 

 ふ、二人とも、落ち着いてよ。一気に言われても困るからさ。というかオルコットさん大丈夫なんだろうか? 元気なさそうだけど。

 

「そ、そうだな……。いやでも、良かったぜ。また明日から一緒に授業が受けれるしな」

「光輝、とにかく大丈夫そうで何よりだ。調子が戻ったら、一夏の特訓に付き合ってくれ」

「もちろんだよ! 早く取り戻して、練習していかないとね」

 

 やっぱり友達たちといるのは楽しいな。勇気が湧いてくるからね。

 

「じゃあ光輝、俺達はもう行くぜ? 今日はしっかり休んで明日からまた頑張ろうな!」

「そういうことだ。また明日な」

 

 そう言うと、夏兄と箒さんは部屋を出ていった。問題はこの人か……

 

「…………」

「…………」

 

 話が出来ない。あんまり慣れてない人と話すのは苦手なんだよな。ど、どうしよう……

 この暗い空気最初に変えたのはオルコットさんだった。

 

「聞きましたわよ。あなたのISの単一仕様能力を。自分の精神を蝕むのに、なんで使ったのですか?」

「えっと……その、ね?」

「何が「ね?」ですかっ! 正直に答えなさい!」

 

 そ、そんなに怒らないでよ……ただでさえ女子と話したことなんか、あんまりないのに。

 

「えっとね、オルコットさんは自分の力を全部出してたんだよね?」

「えぇ、まぁそうですわね」

「それなんだよ。相手が全力なら、僕も全力で戦う。何かを通じて仲良くなりたいっていうのもあったしね」

 

 オルコットさん? 顔がさらに怖くなってるよ? なんかオーラが見えるよ?

 

「あなたはもう少し自分のことを考えになりなさいっ!」

「えっ? オルコットさん?」

 

 驚いた。まさかここでオルコットさんに説教されるなんて思わなかった……

 

「仲良くなるのはけっこうです。でもその相手がいなかったら意味がないでしょう!? 分かってますか?」

 

 そういうことか……。確かにそれはそうだ。分かりあっても、片方がいなくなれば不安になるよね。

 

「ごめん……。気を付けるよ」

「分かればいいのです。仲間なのですから、心配するのは当然ですっ」

 

 オルコットさんは顔を赤くして腕を組んで頷く。変わったね。決闘前みたいに嫌な感じがしない。見下す感じじゃなくて、優しい感じがする。

 おっと、これは言っておかなきゃ。

 

「そうだ。言うの遅れたけど、助けてくれてありがとう。オルコットさんのおかげで僕は此処にいれてるから」

 

 そう言うとオルコットさんの顔はますます赤くなる。ん? 照れてるのかな?

 

「さ、さっきもいったでしょう!? 仲間なのだから当然と!」

 

 やっぱり照れてるなぁ。完全に丸くなったよ。決闘前と比べるとギャップが激しいね。少し可愛い……。

 

「そ、そうですわ。昨日もお見舞いに来たのですが、光輝さんは誰かと話していらしたの?」

 

 はい? 僕は今日、目を覚ましたわけで……

 

「ううん。決闘が終わって初めて目が覚めたのが今日だから、誰とも話してないよ?」

 

 オルコットさんが人差し指を額に当てて、真剣に悩んでいる。こ、怖いこと言わないでよ……

 

「そうですか。気になったものですからつい……」

「気にしな」

 

 あれ? 昨日もお見舞い? 僕は一体何日寝てたんだ?

 

「オルコットさん、僕は何日寝てたの?」

「そうですわね……今日で四日目しょうか?」

「よ、四日も! どうしよう、授業かなり遅れちゃうな……」

 

 IS学園はISの授業の他に普通の五教科の授業だってある。ISの勉強はいいけど、五教科はまずい……どうしよう、夏兄に頼もうかな、大丈夫かな?

 

「そ、それなら大丈夫ですわ! わたくしがお教えしましょう!」

「本当に!? ありがとう、オルコットさん!」

 

 まさかのオルコットさんからの助け船! この厚意を無駄にはしないよ! またオルコットさんの顔が赤くなる。この人は一体どうしたんだ? 熱でもあるのかな?

 

「オルコットさん? さっきから顔が赤いようだけど大丈夫?」

 

 当然、オルコットさんは慌てて後ろを向いた。本当に大丈夫かな……

 

「お、女の子にそ、そんなこと聞くなんて……失礼にも程がありますわ!」

 

 始めの方が声が小さくて聞き取れなかったけど、聞くのはやめておこう。聞いたら殺される。そんな感じがする……

 

「で、ではわたくしはこれで失礼しますわ。早く元気になってくださいね。それと」

「な、なんでしょうか?」

 

 それと、の部分を強調気味に言ってたので、思わず敬語になってしまった。

 

「今度からはセシリアと呼んでください。よろしいですわね!?」

 

女子の名前なんて呼ばないから緊張するなぁもう……こんなことを思う僕って変なのかな……? でも呼んで欲しいって言ってるんだから断るわけにもいかないよね。

 

「わ、分かったから……落ち着こうよ、せ、し……セシリアさん?」

 

「それでいいですわ。それではごきげんよう」

 

 オル――もとい、セシリアさんは部屋を出ていった。なんか落ち着かなかったよ。でも――

 

「少しだけでも分かりあえた気がする。セシリアさんは変わったんだね。それが一番嬉しいなっ」

 

 

 

 

 保健室を出て教室へ向かうセシリアだが、様子がおかしい。ずっと顔が赤いままなのだ。

 

――織斑兄弟はどうしてここまで、わたくしの中に入ろうとするのかしら。特に光輝さんは……

 

 要するに光輝のことが好きになったのだ。だって自分を変えてくれた人なのだから。

 仲良くなるために自分を犠牲にするなんて、相当の覚悟がないと出来るものではない。しかし、光輝は真向から来たのだ。セシリアと分かりあう為に、自分の精神を削って。

 それだけではない。セシリアは光輝の強い意志を持った瞳に見惚れてしまった。その瞳は強みと暖かい優しさを感じた。それが一番の理由か。

 

――光輝さん、無理だけはしないでください……そして早く元気になってください。

 

 今は願いが届くの信じるだけだった。

 


 
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