No.391815

女神と共に 再誕は舞わん プロローグ:転生

戯言遣いさん

 【IS×マクロス】
彼女は2回の転生を経験した。
前世はマクロスの世界で、今回はインフィニットストラトスの世界。
人類を宇宙進出させるという目標に前世の技術を用いて世界に、そして束に挑む。

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2012-03-15 14:42:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6638   閲覧ユーザー数:6398

 

 私はボーっと大学の校舎の窓から広がる広大な海を現在進行形で眺めている。

もっとも、「2回目の転生が1回目の転生と同じ女性だったら、はたしてTSと呼べるのか」というどうでもいい事を考えているのだが・・・

 

 そう自分は転生者だ。

 

 前世どころか前々世の記憶(もっとも、かなり記憶が摩耗してほとんど忘れてしまっているが)も持っている。

前々世では普通の会社員、新型インフルエンザにかかって30歳で死んだ。

そして転生した前世の世界がVF《ヴァリアブル・ファイター》という戦闘機が人型ロボに変形するマクロスの世界で、前述の通り女性に生まれたわけなのよ。

 

 もちろん始めは戸惑ったわよ。

 

 なにせ前々世が男だったわけで、色々と葛藤があった。

精神が肉体に引きずられて徐々に女っぽい仕草をするようになったり、男の何気ない仕草にドキッとしたり・・・まぁ最終的に女性になったことを受け入れて好きな人と結ばれたけどね。

夫婦仲は彼、一哉《かずや》が亡くなる最後良好だったわ。エロゲー好きだったけど

死亡原因は老衰、私も彼も90近くまで生きたわ。

前世は楽しかった。

私も彼も同じ会社のVFの開発部に就いていて、そこでお互い知り合ったわ。

 

 ちょっとスケベだったけど、でもそんな彼に惹かれて行ったの。

 

 結婚して、子供も4人生まれて、全員良い子に育って、そして私たちのところから元気に巣立って行った。

そして全員綺麗なお嫁さんと結婚した。

会社を定年退職して、ゆっくりと老後の生活を送るようになったときに初孫が生まれたっけ・・・可愛かったなー。

 

 毎日が幸せで溢れた、そんな日々は彼が寝たきりの体になっても続いたわ。

ちょっと彼がアルツハイマーになった時は困ったけど、幸い治療方法が確立されていたから大事には至らなかったわ。

 

 そんな日々も終わりを迎えた。

彼と私が89歳になった翌年の春に、彼が逝った。

幸せそうな顔で、私たちの家族みんなに見守られて逝った。

 

 そして、その年の秋に私が死んだ。

私も彼と同じように、大好きな家族みんなに見守られながら、段々と重くなっていく瞼を閉じた。

 

 悔いもなにも無かった。

 

 そうして私、大城美奈は二度目の人生を終えた。

 

 

ま、そんな感じで前世を終えた私だったんだけど、気が付いたら病院のベットの上、私の体は赤ん坊。

いやはや、ちょっと驚いた

 

 

 

 さてはて、この世界がどんな世界かと説明させて貰うと、ファンタジックな魔法や宇宙からもたらされたテクノロジーによって発達した科学力などは全くない、極々普通の前々世に生きた世界とほとんど同じ世界でした。

 

 それに前々世との違いも微々たるもので、今自分が通っている大学の名前が夕描大学《ゆうびょうだいがく》と珍妙な名前であった程度だ。

もっとも、すでに述べたように前々世の記憶はほとんど無くなってしまったので確証は無いが・・・まぁ兎に角、ここがどのような世界であれ前世と同じように幸せに暮らそうと思っていた。

 

 しかし運が悪いのか、はたまた前世の幸せのツケが回って来たのか、この世界でのお母さんは私が5歳の時に前々世の自分の最後のように、インフルエンザと肺炎の合併症を引き起こし死んでしまい、お父さんも自分の高校の卒業間際にガンで死んでしまった・・・

幸いすでに大学の入試には合格していたし、お父さんが大学に通えるだけの財産を残してくれていたのでお金の心配はしなくてすんだ。

 

 でも、やっぱり悲しかった。

不思議なものね、半生を一緒に歩んだ一哉が死んだ時は、悲しみなんて抱かなかったのに、たった15年一緒に暮らしていたお父さんが死んだときには、涙が溢れちゃった。

 

(それでも、たった一カ月で悲しみが消えてしまったのは、やっぱり自分が普通じゃないからかな・・・)

 

 はぁ・・・とため息が零れる。

3度目とはいえ、実の親の死ですら割り切れてしまう自分の心が、転生という人生の延長線にいる自分が怖い。

 

(なんで自分はこの世界にいるんだろ・・・)

 

 今はずっと答えの出ない疑問と不安を抱いて、生きてます。

 

 
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