side 雪
転生から約6年、私は今のところ幸せです。
優秀というほどではないですが、それなりの太守が治めているためにこのあたりは特に賊が出ることもなく平和です。
少しこれまでの6年を振り返ってみましょう。
まず生後3ヶ月のとき力加減を間違えてお父さんの人差し指を折りました。・・・今では良い思い出です。
そんな私を両親はしつこいくらい可愛がってくれました。
けして、あまりのしつこさに折ってしまったわけではありません。
そのこともあり、前世の二の舞にならないように力を抑えて生活するようになりました。
そして1歳のとき私にも友達ができました。
性は周、名は泰、字は幼平、真名は明命。1つ年上の猫好きな女の子です。
それからは明命ちゃんと一緒に巴の子供たちと遊んだり、農作業を手伝ったり、森で木の実を取ったりと前世でできなかったことを思い切り楽しみました。
その後、私が5歳になる頃にお父さんが病で他界しましたが、お母さんは相も変わらず私に構ってくれます。
そんな幸せの日々が今も続いています。
今日も明命ちゃんと遊ぶために、とりあえず気配を消して会いに行きます。
ちょうど自分の部屋からでてきたところのようです。
なのでいつものように明命ちゃんの気が緩んでいるところに背後から話しかけます。
「・・・明命。」
「はぅあ!」
直立状態からかなりのところまで飛び上がりました。明命ちゃんさすがです。
「悪戯、成功。」
「雪ちゃんの悪戯は悪戯の範疇を越えてます!」
「今日、遊ぶ。」
「はぁ。ちょっとだけ待っててください。」
そう言って明命ちゃんは準備のために部屋へ戻っていきました。
そういえば明命ちゃんに気配の消し方を教えたら『いつか仕返しします。』といって練習していました。
最近やっと気配が消せるようになってきたようですが、まだまだです。
『せっつちゃあああん!元気にしてるっ?』
『元気。』
『そっかそっか。今日は森にある湖に行くといいよー。それじゃ!』
いつも思うのですが、雅と両親は同じ匂いがします。
「お待たせしました、雪ちゃん!」
明命ちゃんが仕度を済ませて戻ってきました。
「今日、森、湖。」
「了解です。では、行きましょう!」
歩くこと一刻。ようやく湖が見えてきました。
っ!私のアホ毛が何かに反応しています!
視覚を強化してみると畔に3mほどもある大きな狼がいるようです。
眼と毛並みは私と同じ銀色です。名前は
そんなことを考えているうちに大分近くまで来てしまいました。
「お、御猫様ぁぁ!モフモフさせてください、モフモフ~」
明命ちゃんはそう言って突っ込んでいきました。ちなみにあれは狼です。
「はぅああああ!御猫様食べないでくださいぃぃぃ!」
明命ちゃんは下敷きにされました。ちなみにそれは狼です。
仕方ないので話しかけてみます。
「銀、どく。」
素直にどいてくれました、いい子です。明命ちゃんより賢いかもしれません。
「ぅぅぅ。もうだめかと思いました。御猫様ごめんなさいです。」
「猫、違う。狼。」
「えっ、御猫様は狼だったんですか!?」
「・・・銀、殺る」
「はぅああああ!!助けてくださいぃぃぃ!!」
家に連れて帰ったらお母さんも喜んでいました。
私に新しい家族ができた1日でした。
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雪の日常。
恋姫無双の二次創作小説です。
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