No.361517

真・恋姫無双 三人の天の御使い 第二部 『一刀くん』参上! 其の二

雷起さん

第二部『一刀くん』参上 其の二をお送りします。

前回に引き続き今回は呉、魏(数え役満しすた~ず含む)、袁家の前に参上する『一刀くん』です。


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2012-01-10 19:06:02 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4512   閲覧ユーザー数:3504

 

桃香を始めとした蜀の武将たちに『一刀くん』を配り終えてから三日後。

そして呉の一団が到着した日の午後。

「よいしょ、よいしょ。」

「よいしょ、よいしょ。」

朱里と雛里が現代では『ネコ』と呼ばれる一輪車に『一刀くん』を乗せて城内を運んでいた。

目指すは穏の部屋である。

「穏さ~ん。昨日お伝えしていた品を持って来ました~。」

「はいは~い。朱里ちゃん、雛里ちゃん、ご苦労様です~・・・・・あれ?その荷車面白いですね~、私初めてみました~。」

「あ、これですか?これは私が考えた『流馬』っていう荷車なんですよ。蜀の細くて険しい道でも使えるように考えたんです。」

「へ~、流石天下に名を馳せた諸葛孔明さんですね~。すごい発明です~。」

「えへへ、それほどでも~・・・・あっと、それよりこちらの数の確認をお願いします。」

「あ~、は~い。・・・・ひい、ふう、みい・・・・・・・・はい、ちゃんと揃ってますね~。」

「穏さんにも配るのを手伝ってもらって、申し訳ありません。」

「いえいえ~。私たち軍師のみんなで考えた作戦なんですからこれくらいなんともないですよ~。明命ちゃんとかにも手伝って貰いますから心配いりませ~ん。えっとぉ、雪蓮様と冥琳様にはもうお渡ししてたんですよね?」

「はい。凪さんからそう伺いました。」

「お二人は何か仰ってましたか?」

穏はそれまでのほわほわした表情から一転して引き締めた表情で質問した。

「雪蓮さんは満足されていたそうですが、冥琳さんが・・・その・・・」

「冥琳様が?」

「最初に見た時に『擂り粉木』と勘違いされたそうです・・・・・・・」

「あはは~。一刀さんの大きいですもんね~確かにアレだけなら見間違えそうですね~。」

朱里と雛里は照れ隠しで一緒に笑って誤魔化した。

「さてさて。ではその『擂り粉木』さんを拝見させて貰いましょう。」

穏はそう言って山積みされた包みの一つから『一刀くん』を取り出した。

「ほほう~。これはこれは・・・・確かに一刀さんの逸物そっくりですね~・・・・これがあれば素晴らしいご本を見てもみなさんに迷惑をかけずに・・・・」

「は?なにか仰いましたか?」

「いえいえ!こっちのことですのでお気になさらずに~。」

「では、私たちはこれで失礼しますね。よろしくお願いします。」

「は~い。」

朱里と雛里は穏の部屋を出て深呼吸を一つ。

「朱里ちゃん。後は成都に帰ってからの作戦を練るだけだね。」

「うん、雛里ちゃん。がんばって考えよう。」

 

 

「穏さま!周幼平、呂子明、お呼びにより参上いたしました。」

明命が背筋を伸ばしぴしりと告げる。

その後ろには亞莎が静かに立ち右の拳を左の手のひらで包む『礼』をとっている。

「は~い、待ってました~。そんなに畏まらなくてもいいですよ~。」

「はい!しかし、穏さま、重大任務とお聞きしたのですが・・・・?」

確かにいつものんびりしている穏だが引き締めるときは引き締める。

穏はキリリとまじめな顔になり、

「そうなのです。これは重要な任務・・・」

と、言ったところで空気の抜ける風船のようにぷしゅ~と元に戻ってしまった。

「・・・なのですが、とりあえず先にお二人にはこれを渡しておきますね~。」

そう言って二人に『一刀くん』の入った包みを手渡した。

「あの・・・なんでしょう、これは?」

亞莎が不思議そうに包みを見つめて質問する。

「それは先程朱里ちゃんと雛里ちゃんが届けてくれたものでして~。」

「ええ!あのお二人がいらしていたのですか!?」

亞莎には朱里と雛里が自分よりも年下ではあるが尊敬、いや憧れていると言ってもいい存在だった。

「臥龍先生と鳳雛先生が託していかれたお品とは一体・・・・」

「それ作ったのは真桜ちゃんですよ~。」

「は?・・・・・・真桜さん・・・・・作った・・・・・・ではこれは!」

「ん~~~。亞莎ちゃんは察しがいいですね~。」

穏はニコニコしながら亞莎の慌てふためく姿を眺めている。

一方明命は訳がわからずきょとんとしていた。

「亞莎、これには何が入っているのですか?」

「そ、そそそ、それは・・・・は、は、はり・・・・」

「針?針が入っているのですか?」

「針だなんてそんな~、むしろ杭と入ったほうが合ってるような。」

「穏さま!その冗談は笑えません!」

亞莎は顔を真っ赤にして抗議した。

「でも、冥琳さまは擂り粉木って言ったそうですよ~。」

「あの、穏さま。この包みの中身は結局何なのでしょう?」

「あれ~?明命ちゃん、孫呉最高の工作員とまで言われたあなたが今日はどうしたんですか~?情報はほぼ出揃いましたよ~。」

「はあ・・・杭の様な、擂り粉木の様な・・・真桜さんが作った・・・・・・・・・・って!もしかして一刀様の張り形ですか!?」

「はい。よくできました~。と言う訳で~、これはまずお二人の分です。」

「は、はい~・・・・」

亞莎は真っ赤になって袖の中に仕舞い込んだ。

「は、はい・・・・・その・・・・ありがとうございます・・・・・・」

明命も真っ赤になってなんと言っていいか分からず、取り敢えずお礼を言った。

そこで部屋の扉が勢い良く開き小蓮が飛び込んで来た。

「穏―!一刀のおちOちんの張り形が届いたんですって!?シャオの分早くちょうだーい!!」

「しゃ、小蓮さま!そんな大声で・・・・」

明命が慌てて小蓮をたしなめる。

「はい、小蓮様。こちらがそうですよ~。」

「わ~~い♪」

この光景を一刀が見ていたらクリスマスプレゼントを渡しているみたいだと思っただろう・・・・入っているのは大人のおもちゃだが。

「ですけど、小蓮様。わざわざ来ていただかなくてもこれからお届けにあがろうと思っていたんでですよ~。」

「もうすぐ一刀に会えるけどこっちの『一刀』には何刻後に会えるか分からないもんね~。だから先に見ておきたくなっちゃって。」

そう言いながら小蓮は『一刀くん』を取り出した。

「うわ~・・・・よく出来てるわね~・・・・あれ?明命も亜莎もそんなに赤くなってどうしたの?二人だって受け取ったんでしょう?」

「そ、その、私たちはまだ包みを開けて中身を見ていなかったものですから・・・・」

「お~っと、そうでした。お二人の重要任務をまだ伝えていませんでした。実はこれを蓮華様と思春さんに届けてもらいたいのです。」

「ええ!?」

「わ、私たちがですか!?」

「あ、面白そう!シャオも一緒に行こうー!お姉ちゃんがどんな反応するか楽しみ~♪」

明命と亜莎は任務ということで渋々了解して包みを受け取った。

「・・・しかし、意外です。思春殿もこれを頼んでいたとは・・・・」

明命は思春の仏頂面を思い浮かべると、この包みの中身との違和感に戸惑った。

「まあ、思春さんもあれで結構ムッツリさんだったって事じゃないですかね~?それじゃ、私は祭様の所に届けてきますからおねがいしますね~。」

「はい!」

そうして、四人は『一刀くん』を持って部屋を後にした。

 

 

「お姉ちゃ~ん!届け物だよ~、一刀の。」

小蓮が声も高らかに蓮華の部屋にやってきた。

「小蓮!陛下と呼ぶようにと言っているでしょう!・・・届け物?」

蓮華は小蓮を怒るよりも「一刀からの届け物」の方に気が引かれたようだ。

思春も蓮華の護衛として部屋にいたので小蓮の持ってきた包みに目を向ける。

「なんだあやつは。いくら帝となったからとはいえ蓮華様への贈り物なら自ら渡せば良いではないか。気の利かんやつだ。」

(小蓮様。そのような言い方では誤解しているようですよ。)

明命が小声で小蓮に耳打ちする。

(わざとに決まってるでしょ!そのほうが面白いじゃない♪)

「あら、明命と亜莎がシャオの護衛についてくれていたの?」

「あ・・・いえ、その・・・」

「そのお届け物は実は私たちがお渡しするようにと言われたものでして・・・」

「はあ、なるほど・・・シャオ、あなた中に何が入っているのか気になって付いてきたのね。」

「まあそんなところ♪ねえねえ、早く開けてみなよお姉ちゃん。」

「はいはい。」

蓮華は「しょうがないわね」といった様子で包みを解き、箱を開けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・閉めた。

「しゃ・お・れ・ん~~~~~~!!」

「ぷはははははははは~~!お姉ちゃん顔真っ赤~~~♪」

「一刀からの贈り物だなんて嘘まで吐いて!あんたって子は!!」

「シャオは届け物が『一刀の』っていっただけだも~ん。嘘は吐いてないよ~」

蓮華と小蓮が言い争いをしている間に思春が箱の中を確認する。

「成程、張り形ですか。明命、亞莎、これは真桜から直接預かったのか?」

「私たちは穏様から預かりました。」

明命が背筋を伸ばし答える。

「その・・・穏様は朱里さんと雛里さんから受け取ったって言っていましたね・・・」

亞莎は明命とは対照的におずおずと答えた。

その言葉を蓮華が聞きとがめる。

「ちょ、ちょっと!それは私がこれを手に入れることを蜀の人たちが知っているってこと!?」

「今更何言ってるの?お姉ちゃん。シャオたちだって桃香とか愛紗が手に入れるの知ってるし、それに華琳のことも知ってるんだから当然・・・」

「魏の人たちも知っているっていうの!?」

「状況から察するにたぶん・・・」

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「れ、連華様!落ち着いて!陛下と関係を持った呉の武将は全員持っているのですからきっと蜀と魏も同じですよ。」

明命が駆け寄ってなだめる。

「そ、そうなのかしら・・・・」

「確信が持てないのであればこの周幼平にお命じ下されば調べて参りますよ、連華様。」

「そう・・・・・・・?・・・・・それじゃあ・・・お願いするわ・・・・」

「はい!」

明命は元気好く返事をして蓮華の命令を受諾した。しかし、よく考えてみれば何の解決にもなっていない命令なのだが、今の蓮華にはそこまでの判断能力はなかった。

「・・・あの、思春殿は流石、冷静ですね。」

亞莎は始終落ち着いている思春に感嘆していた。

「ん?まあ、私は・・・」

「ではこれを。思春殿の分です。」

『注文していないからな。』と言おうとしたところで、亞莎から袂に仕舞ってあった包みを手渡された。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こ、これは・・・・・私の分・・・・?」

「・・・私が真桜に頼んだ時・・・思春のも頼んでおいたの・・・」

未だ涙目になっている蓮華が説明した。

「・・・・・・・・・・そ、その・・・・・・蓮華様・・・・・・・あ・・・・・ありがとうございます・・・・」

思春は内心葛藤しながらなんとかそれだけ声に出すことができたのだった。

 

 

「ほう、これが北郷の張り形か。」

祭は穏から包みを受け取り呟いた。

その声は何か懐かしむかのような響きがあった。

「どうかしたんですか?祭様」

「・・・・・・・いや、北郷が初めて現れた日のことを思い出してな・・・・あやつが今では皇帝陛下と呼ばれておるんじゃ、なにか可笑しくなっての。」

「そうですね~。あのころの一刀さんてこの国のことほとんど分かってなくていろんな騒動を起こしてましたもんね~。」

「なにを人事のように言っておる。騒動の一端はおぬしも関わっているではないか、穏よ。」

「え~?それは祭様もじゃないですか~。」

「ふふ、違いない・・・・・・本当に良い男になったものじゃ。」

「しかも三人もいますからね~。」

「そうじゃな、普通双子や三つ子といっても違いというか雰囲気に差があるもんじゃがあの三人にはそれが感じられん。これも天人だからなのかのぉ?」

「そうですね~、一刀さんや貂蝉さんの話では元々一人だったのを天の意思が三人に分けたのではないかって事ですけど・・・・要するに誰も分かんないってことですね♪」

「それはつまり我々は在るがままを素直に受け入れれば良いということだな。」

「はい。」

二人はどちらとも無く蒼天を見上げた。それはまるでそこにある意思を感じ取ろうとしているかのように。

「さて、件の皇帝陛下にお目通り適う前に、策殿と冥琳に挨拶申し上げねばな。行くとするか。」

「ではご一緒にまいりましょう~。」

「おう。しかし策殿も冥琳もこの儂より先に隠居するなどずるいとは思わんか?」

「え~?それは何度も説明したじゃないですか~。冥琳様はご病気の治療に専念するためと、雪蓮様は一刀さんの後見役と王としての教育係りをするためだって。」

「ついでにさっさと懐妊なさってくれんもんかの。言い出しっぺなんじゃから責任を持って欲しいわい・・・・・おお、そうじゃ!儂が懐妊すれば隠居できるな!」

「そんな!祭様には呉の軍を鍛えて戴かなければいけないんですから困りますよ~!!」

「それこそ天の采配如何じゃ。儂は天命にしたがうだけじゃ。」

「祭様~!」

祭は豪快に笑って雪蓮の下へと向かうのだった。

 

孫呉の一団が到着した翌日。

曹魏の方も房都に到着した。

房城は四つの玉座の間がある特殊な城で、帝の間と魏呉蜀それぞれの王の間である。

そして今、魏王の間において武将軍師が勢揃いした中で真桜、沙和、凪の三人は華琳への挨拶の後『一刀くん』の報告を行った。

「華琳様、これがウチの最高傑作『からくり一刀くん壱号』です。どうぞご確認ください。」

真桜が恭しく華琳に化粧箱を差し出す。

「ご苦労様、真桜。沙和と凪もね。」

華琳は三人を労い受け取った。

その様子を見ていた春蘭が秋蘭に問いかける。

「なあ秋蘭。あの箱の中身は北郷の人形でも入っているのか?以前私の名を騙ったような・・・」

「なんだ姉者忘れてしまったのか?まあ、華琳様がご覧になるからすぐにわかるさ。」

それを横で聞いていた流琉が目をまん丸にして驚く。

「あれをここで出すんですか!?」

「あれ?流琉はどんな物が入ってるか知ってるの?」

季衣が無邪気に問いかける。

「季衣、あんた私と一緒に真桜さんから説明聞いていたでしょう・・・」

「そうだっけ?覚えてないや。」

そんな喧騒のなか、華琳が箱から『一刀くん』を取り出す。

「へえ、流石ね真桜。よく出来ているわ。」

華琳が『一刀くん』を手に持ち眺める姿を見て流琉は真っ赤になって俯き、春蘭と季衣はまだ良くわかってない表情で見つめ、秋蘭と風は冷静に、霞はニヤニヤし、桂花と稟は・・・・・顔を紅潮させて妄想の世界に旅立っていた。

「・・・・・・・・あーーーーー!わかった!あれ兄ちゃんのちOちんだ!!」

「季衣!そんな大声で言わないで!!」

流琉が季衣の口を抑えて黙らせる。

「なに?ああ、なるほど確かに・・・・・って、えええ!?か、華琳様そそそ・・・・・」

「姉者、落ち着け。」

「あら春蘭、季衣。真桜から説明は聞いていたはずよ。忘れてたの?」

「えへへ~。すっかり忘れてました~♪」

「え~と・・・その・・・・・・・・・忘れてました。」

「しょうのない子たちね。」

沙和が今のやり取りを見て真桜と凪に耳打ちをする。

(ねえねえ、真桜ちゃん凪ちゃん。季衣ちゃんが『隊長の』って限定したってことは・・・)

(やっぱ、形が記憶に残るぐらい見とるっちゅうことやろ・・・・・)

(・・・・・・・・・・・)

「あの~みなさ~ん。そろそろ凛ちゃんがイっちゃいそうなので気を付けてくださいね~。」

風から『凜の鼻血警報』が発令された。

そして風は凛の背後に回り、一番の安全地帯をちゃっかり確保する。

その直後「かりんさま~~」という声と共に恒例の鼻血を噴出し稟が卒倒した。

さすがに全員慣れたものでうまく鼻血を避けて何事もなかったかのように会話を続ける。

「はい、稟ちゃん。トントンしますよ~。トント~ン。」

一方、もう一人妄想の世界へと旅立っている桂花は太ももをもじもじとこすり合わせ今にもイきそうな様子だった。

「あらあら、桂花ったら・・・そんなに一刀のおちOちんが恋しかったの?」

華琳は分かっていながら意地悪く目を細めてそんなことを言う。

華琳の声に我に返った桂花は慌てて抗議の声を上げた。

「か、華琳様違います!私は華琳様に閨でこの張り形で嬲って戴けるのを想像していただけで、決してあの全身精液男のことを考えていたのではなく・・・・・」

「桂花ったらこんな大勢の前でなんてはしたない事を言うのかしら?」

華琳のドSのスイッチが入ってしまようだ。

「あ~、またはじまってしもたか・・・」

霞が呆れ顔でつぶやいた。

「まあ、これもいつもの事ですから~。春蘭ちゃんが乱入してうやむやにしてくれるでしょ~。」

「ありゃ?風、稟の手当てはもうええんか?」

いつの間にか霞の横に風が来ていた。

「いくら風でも毎度毎度凜ちゃんにトントンするだけで出番が終わってしまったらさすがに怒っちゃいますよ~。責任者でてこ~い。」

「さ、さよか・・・(それを言うたら、鼻血噴くしか出番のない凜はどないなんねん)。」

「そんな訳で霞ちゃん。我々はここにいてもすることがないので、さっさとお兄さんのところにいってしまいましょう~」

言われて霞が華琳のほうを見てみると、風が言ったとおりいつも通りの展開になっていた。

「ま、それもそうやな。季衣、流琉、一刀んとこ行くで。ついてきい。」

「兄ちゃんのトコ!?いくいく!!」

「は、はい・・・でも、あの・・・勝手に行ってしまっていいんでしょうか?」

「別にかめへんやろ。華琳も楽しそうやし。」

「久しぶりに生身のお兄さんに会えるんですから、作り物のお兄さんは後からでもいいでしょう。」

「という訳でや。凪、沙和、真桜!後はたのむで。」

いきなり話を振られた三人はうろたえる。

「し、霞様!こ、この場を我々が治めるんですか!?」

「沙和たちも連れてってなの~!」

「姐さん!そら殺生やで!」

「ナニゆうてんねん!自分らはうちらが一刀に会えん間ずっと一緒におったんやろ。これくらいがまんせい!」

霞がそう言うと四人とも部屋を出て行ってしまった・・・と、思ったら風が戻ってきた。

「凜ちゃんのこともお願いしますね~。それではまた後ほど~。」

それだけ言い残して行ってしまった。

「・・・・・・・なあ、予想以上にウチら妬まれてへん?」

「う、うんなの・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

打ちひしがれた三人の後ろでは、いまだ華琳が桂花と春蘭で遊んでおり、それを微笑ましく眺める秋蘭と鼻の穴に綿を詰めて倒れている凛の姿があった。

 

 

今回の集結は三国会議のためなのだが、数え役萬シスターズも会議に合わせ都に戻ってきていた。

今日はこれから凱旋ライヴを行うためリハーサル中なのだが、その休憩時間。

「しすたーずのみなさん、おまたせ~。」

真桜たち三人が楽屋の扉をあけ中に入ると、

「おっそーい!どんだけちぃたちのこと待たせてくれてんのよ!」

早速地和が三人に詰め寄った。

「あ~、かんにんかんにん。」

「・・・・・すまん。」

「ごめんねなの~。」

三人とも見るからにやつれていて、声に覇気がない。

「?どうしたのよ。なんか元気ないわね。」

「いや~、ここ来る前に華琳様んトコでちょっとなぁ・・・。」

「それはご苦労様。で、例の物は?」

人和が素っ気無く労いつつ、用件を切り出した。

「人和~。それはいくらなんでも冷たすぎない?」

「こっちは結構な額のお金を出してるんだから、成果を早く確認しておきたいの。」

「・・・・・・また、このパターンかいな。」

「は?」

「まあ、今回は驚き役がおれへんから・・・・・・って、天和がおらんけどどないしてん?」

真桜が楽屋の中を見渡すが天和の姿は見当たらない。

「真桜ちゃん今頃気付くなんてひどいの~。」

天和と仲のいい沙和は楽屋に入った時から気がついていた。

「お姉ちゃんならお花を摘みに行ってるわよ。」

「花?舞台の打ち合わせ中に外に出て行ったのか?」

凪が不思議そうに首をひねる。

「ちゃうちゃう、厠に行くことを隠す暗号みたいなもんや。あいどる様が厠とか便所なんて言うたら印象わるいやろ。」

「そうそう!天の国の言葉で『イメージ戦略』って言うらしいわよ。」

地和が面白そうに補足した。

「なるほど、そういう事か。以前陛下から『天の国で昔の「あいどる」は厠に行かなかった』と聞かされていたんだが・・・・・そういう意味だったのか。」

「そら、いくらなんでもやりすぎやろ。ほんならなにか?天の国のあいどる様はカスミを食うとる仙人かい!」

「いくら有名になっても美味しい物も食べられないんじゃ意味ないじゃない!ちぃはそんなの絶対いやだなあ。」

「そろそろ話を戻してもいいかしら?」

人和の眼鏡の奥から刃以上の鋭さを持った視線が突き刺さる。

「スンマセン・・・と、その前にもういっこだけ確認や。この場に隊長がいきなり現れたりせんやろな。」

「一刀には内緒にしなくちゃいけないんだっけ?うん、大丈夫よ。一刀なら午前中に来て、もう帰ったから。」

「な・・・相変わらずそういうところはマメやな、あのお人は・・・それでは・・・」

真桜は机の上に『一刀くん』の入った包を三個並べる。

「お納めくださいな。」

「では、確認させていただきます。」

人和は包を手に取り中身を取り出し、冷静に検分し始める。その姿に地和は眉をひそめる。

「・・・ごめん、確かにこれは引くわ・・・・・ちぃは持って帰ってから開ける。」

「はい。それではこちら引き取らせていただきます。」

「毎度あり~。ほな、なんか故障とか気になることがあったらいつでも言うてな。」

無事引渡しも終了し、人和が『一刀くん』を仕舞おうとしたところで楽屋の扉が開いた。

「たっだいま~!って、紗和ちゃんだ~!ひっさしぶり~!!」

天和が紗和に駆け寄って手を握り合い挨拶する。

「天和ちゃん!久しぶりなの~!」

「真桜ちゃんも凪ちゃんも久しぶり~!あ~ん、三人が来てるならもっと早く戻ってくれば良かった~。でも、もう次の舞台合わせ時間だから行かなくちゃいけないの。もしよかったら三人とも見ていってね。さあ、ちぃちゃん、人和ちゃん、いっくよ~!」

舞台のことで頭がいっぱいなのか一人盛り上がっている天和は、いつものおっとりした様子はなく言いたいことを一気にまくし立て、机の上にあった『一刀くん』を持って楽屋を出ていってしまった。

「・・・・・・・なんでアレ持っていくん?」

あまりのことに全員がその場で固まっていた。

「・・・姉さんもしかしてマイクと勘違いして無意識に・・・」

「わあああああああああああああ!お姉ちゃんそんなモノ持って舞台行っちゃダメエエエエエエエエ!!」

全員楽屋を飛び出し天和を追いかけた。

 

三国会議から数日後、白蓮は一人先に成都に戻っていた。

朱里達が考えた策を携え麗羽達と対峙するために・・・・。

「とはいえ、やるのはアレを渡すだけなんだよなあ。」

白蓮はため息混じりに呟いた。

アレとはもちろん『一刀くん』のことである。

「これってやっぱり貧乏くじだよなあ、でも頼ってくれているのも確かだし・・・はあぁ、複雑だよぉ。」

白蓮は『一刀くん』の入った行李を背負い街の路地裏を歩いていた。

「情報ではこの辺に猪々子がいるはず・・・・・・だけど、こんな変装で大丈夫なのか?いくら猪々子でもさすがに気付くだろ、これは。」

白蓮の姿はいつもとは違い、髪はポニーテールからお団子に纏め服装は行商人風の物、さらにその上から外套をかけ、顔には眼鏡をしている。

見るからに『怪しい格好をした白蓮』がそこにいた。

城を出るときに留守番役の法正に「公孫賛様、どうしたんですか?そんな格好で。」と、一発でバレてたし、美以たちに至っては、

「こーそんさん、またおでかけにゃ?おみやげまってるじょ!」

「こーそんさんさま!おみやげにゃ!」

「おみやげ!おみやげ!」

「おみあげにゃぁ。」

と普通にスルーされてしまった。

余談だが『仮面白馬』の方は正体に気付かれていなかった。仮面の力怖るべし。

そうこうしているうちに猪々子発見!

「お、いたいた・・・・・しかし、暇そうに歩いてるなあ。あんな大口開けてアクビして・・・ん?なんであいつ口開けたまま角の向こうを見てるんだ?・・・そういえばあの先には肉まん売ってる店が・・・・子供かあいつは!?もう、見てるこっちが恥ずかしくなって来たよ。さっさと声かけるか・・・・はあぁ」

白蓮は猪々子に近付き、一応声を変えて朱里の用意した台本通りに話し掛ける。

「そこのカッコイイお姉さん。いいモノがあるよ。見ていかないかい?」

虚ろな目をして口の端からヨダレまで垂らしていた猪々子は瞬時に顔を引き締め、変装した白蓮の方を振り返った。

「カッコイイお姉さんか・・・ふっ。わかってるねぇ、おばちゃん!」

「誰がオバチャンだあああああああああああああああああああああっ!!」

どうやら白蓮の逆鱗に触れたらしい。背負っていた行李を振り上げている。

「うわっと!いやあ、悪い悪い。だってそんな格好してるから歳わかんなくてさぁ。」

「ああもうやってられるかあ!お前はこれ持ってとっとと家に帰れっ!!」

白蓮は行李を猪々子の足元に放り投げるとその場を去って城に戻ってしまった。

「・・・・・・ええ~と・・・・・」

猪々子は足元の行李をながめつつしばし考え、

「ああ、これくれたんだ!いやぁ、世の中にはまだまだいい奴が居るもんだなぁ。」

なんとも都合のいい解釈で結論が出たようだった。

 

 

「ただいまー!斗詩~、麗羽様~。お土産がありますよ~。」

成都の城の中、離れのような場所にある麗羽たちに与えられた屋敷に戻ってきた猪々子は上機嫌である。

「お帰り、文ちゃん。お土産って・・・・えぇ!?どうしたの?その荷物!」

丁度一仕事終わり、居間でくつろいでいた斗詩が猪々子の背負ってきた行李を見て驚いた。

「ふっふ~ん。これは・・」

「猪々子ちゃん、ついにやっちゃいましたか~。」

七乃が会話に割り込んできた。

「ええっ!?文ちゃんまさか・・・そんなぁ・・・・」

「のう七乃、ぶんしゅーはなにをやっちゃったのじゃ?」

七乃の後ろにいた美羽が不思議そうに問いかける。

「おバカな猪々子ちゃんは人の道を踏み外して鬼畜になってしまったということですよ~。お嬢さまはこんなダメなオトナになってはだめですよ~。」

「うむ、わかったのじゃ・・・って、ぶんしゅーは鬼なのか?わ、妾は食べられてしまうのか!?」

「そうですよ~。頭からガリガリ~って・・・」

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

「ちっがあああああああああああああう!変な茶々いれんなよ七乃。それに斗詩もあたいのこともっと信用してくれよ~。傷つくだろぉ・・・」

しょげる猪々子を見て、さすがにまずいと思った斗詩は駆け寄って手を握る。

「ごめんね文ちゃん!文ちゃんがそんなことするはずないもんね!」

「斗詩ぃ・・・」

目をうるませる猪々子と、笑顔の斗詩が見詰め合う・・・・

「ちょっと、文醜さん!名門袁家の家臣たるあなたが泥棒だなんて!恥を知りなさい!」

七乃の言葉をようやく理解した麗羽が猪々子を指差し声高らかに言い放つ。

「あなたも武将であるならば正々堂々正面からぶつかり力で奪ってごらんなさいっ!!」

「あ、あの麗羽様。他国を攻めるのなら確かにそうかもしれませんけど、個人でそれをしたら単なる押し込み強盗ですから・・・」

斗詩は困り果て、やさしく諭す。聞き入れるかどうかはともかく。

「だーかーらー!ちゃんと話を聞いてくださいって!これは街のやさしい人がくれたんですってば!!」

猪々子の脳内ではいつの間にかそういうことになったらしい。

「なるほど、民からの貢物ということですのね。ああ、たとえこのような流浪の身にあっても名門袁家の姫たるこのわたくしの気品と美貌と優雅さを隠し通すことなどできない。民にはわかってしまうものなのですわ。おーーっほっほっほっ!」

「まったくそのとおりですわ!麗羽姉さま!おーっほっほっほっ!!(ハァ・・・)」

「いやぁ、もう流浪してないし、隠してもいないし・・・ていうか自己主張しまくってましたよね麗羽様。」

さすがの猪々子もあきれた顔でツッコミをいれた。

「それはさて置き、猪々子さん。その中には何が入っていますの?」

「(聞いちゃいねぇ・・・まあ、いいや。いつものことだし)いやぁ、実はまだ中見てないんですよ~。せっかくだからみんなで一緒に見ようと思いまして。」

「あら、そうでしたの?では、早速開けてみましょう。」

(大丈夫かなぁ?まあでも文ちゃんのことだから、本当に危険な物だったら感でわかるはずだし・・・大丈夫だよね。)

そう思いながら斗詩は麗羽と猪々子が行李を開けるのをその後ろで見ていた。

そして、その更に後ろでは七乃が美羽を庇いながら後ろに下がっていく。

「のう、七乃。なんで離れるのじゃ?妾もあの中が見たいのじゃ。」

「いいですかぁお嬢さま。中に危険な物が入っているかも知れない箱は、ああいうお馬鹿な人に開けさせてぇ、安全が確認出来てから奪っちゃえばいいんですよ~。」

「なるほどのぉ!さすがは七乃じゃ。」

先ほど猪々子のことを鬼畜呼ばわりしておきながら、考えていることはそれ以下だった。

「お!けっこういい箱が入ってるじゃんか~。」

「わたくしへの献上品ですもの、化粧箱にもそれ相応の物を用意したのでしょう。良い心がけですわ。」

いつの間にか貢物から献上品に格上げされていた。

化粧箱の中に入っているのは当然『一刀くん』なのだが、麗羽たちに渡すものとはいえ粗末な箱に入れるのは躊躇われたため、他の人たちに配った化粧箱と同じ作りで北郷一刀の紋である十文字を入れない物が使用されていた。

「あらぁ、本当にいい化粧箱ですね~。」

「うむ、見事な箱じゃのぅ。」

美羽と七乃はいつの間にか行李のもとに戻って化粧箱を手にしている。

「さ~て、箱の中身はなんだろな~。」

猪々子の声に合わせたように全員が一斉に箱を開けた。

「・・・・・・なんだ、これ?」

「・・・・・・はて、何かしら?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・なにか見覚えが・・・。」

「・・・のう、七乃・・・これはもしかしておちOちんではないのかの?」

美羽の言葉で猪々子と麗羽がようやく手にしている物が何をかたどったものか理解した。

斗詩は箱を開けた瞬間に張り型であることは理解していたが、あまりの衝撃に言葉を失っている。

七乃も理解はしていた。しかし、自分の記憶にあるモノと目の前のモノがあまりに酷似していたため妙な違和感を覚えずにはいられなかった。

「・・・これは妾や七乃に生えたものより大きくて・・・その・・・主様のモノにそっくりだと思わぬか?」

「そ、そうですねぇ・・・やはり、そっくりですよねぇこの張り型・・・」

「張り型!そうだよ、張り型だよ!!いや~、やっと名前を思い出せたぜ。」

はしゃぐ猪々子の横で麗羽はまだ首をひねっていた。

「猪々子さん、結局これはどう使うものですの?」

「え゛!?」

猪々子は驚愕の表情で麗羽を見るが、その顔がしだいに緩んでいく。

こうして猪々子の『張り型使い方講座』の実技が始まり、それは朝まで続いたのだった。

 

都から遠く離れたとある邑に訪れていた華佗一行は、村長の屋敷の離れを借りて仮の診療所とし、人々の治療を行なっていた。

「おい華佗!この邑を出発して都に戻るというのは本当かっ!?」

扉を開け駆け込んできた華雄は慌てた様子で訊いてきた。

「ん?ああ、さっき治療したおばあさんから聞いたのか。あの人の病気ももう大丈夫だったからな、この邑での患者はもういないし一度報告をしに都に戻らないとな。」

華佗はいつも通り落ち着いて説明し、こう付け加える。

「華雄も月に会いに行きたいのを我慢して俺たちに付いてきてくれたんだろ。」

「お前には助けてもらった恩がある。その恩を返すまでは一緒にいると決めたのだ。董た・・・お嬢様も分かってくださるに違いない!」

華雄は汜水関から落ち延びた後、月と詠が打ち取られ恋と音々音、霞が敵の軍門に下ったと聞かされ激昂していたが、『はたしてあの呂布が董卓様を裏切ることがあるだろうか?』と思い、恋が配下になるかわりに月を逃がしたに違いないと結論づけた。

それから華雄は月を探す旅を続けてきたのだが、心労と鈴々との戦いで負った傷が悪化して倒れたところを華佗に救われ、更に事の真相と現在の月と詠の状況を知ることが出来たのだった。

「俺は五斗米道の教えの通りにしたまでだ。そこまで恩義を感じて貰わなくてもいいんだが・・・まあ、そう思うなら俺のためにも月たちに逢ってもらいたいな。」

「・・・どういう意味だ?」

「月は態度に出さないがお前の事を心配しているぞ。お前も覚えがあるだろ、心労は肉体にも悪影響を与えるからな、彼女たちの健康を預かる身としては是非都に来てほしい。」

「ふん、うまい事を言う。それでは私が断れんではないか・・・まあいい、その言葉に乗せられてやる。それに、お嬢様が本当に幸せな生活を送られているかこの目で確かめなければならんしな。」

「ああ、そうしてくれ。」

華佗と華雄は笑って話を締めくくった。

「ところで華佗よ。貂蝉と卑弥呼はどうしたのだ?さっきから姿が見えんが?」

「二人なら奥の部屋にいるぞ。さっき都から二人宛に荷が届いてな。何か二人にとって重要な品らしい。」

「そうか、ならばしかたがない。荷造りや村長への挨拶などすることも多いだろう、手伝うぞ。」

「ああ、ありがとう。」

華佗と華雄が出発の準備を始めた一方、貂蝉と卑弥呼は部屋の中で都から・・・正確には朱里から送られた荷、即ち『一刀くん』の入った化粧箱と対峙していた。

「こ、これが・・・ご、ご主人さまの・・・・・・・・・」

貂蝉は目を血走らせ鼻息荒くこめかみに血管を浮かばせている。

「い、言うでないっ!貂蝉よ!ワシはいまにもガラスの心臓が砕けてしまいそうなほど高鳴っておるのだっ!今その言葉を口にされたらワシの漢女の心臓は・・・心臓は・・・・ぬおおおおおぉぉぉおおおおぉお!!」

卑弥呼も顔を赤らめうっすら汗をかきモジモジしている。

「分かるわ卑弥呼っ!ワタシだって漢女ですもの!この箱の中身を想像しただけで・・・しただけで・・・・・・・・・・・・・・・・ぶるあああぁぁああぁぁあぁあぁあああああああああっ!!」

自らを抱きしめるように腕をまわしクネクネと腰を振る貂蝉。

「な、なんと!この箱の中身を想像するということは・・・つまり・・・・・・・ご主人さまの・・・・・想像するという事・・・い、いかんぞ貂蝉っ!!いかな貴様とてそんな危険な事をしては死んでしまうやもしれぬぞっ!!」

内腿を擦り合わせウルウルする卑弥呼。

「はっ!ありがとう卑弥呼。わたしとしたことが・・・とにかく今のわたしたちにはこの箱を開けるのは危険すぎるわ。」

「た、確かにそのようだ。だが我らとて漢女道を極めし者、箱を開けずともご主人さまの愛を感じてみせるっ!」

「その通りよっ!卑弥呼っ!!ワタシたちに届け!ご主人さまの愛っ!!」

二人は『一刀くん』の入った箱を熱く抱擁する。

「そしてっ!!」

「ご主人さまに届けっ!!」

「ワタシたちのっ!!」

「ワシらのっ!!」

「「愛っっっ!!!」」

 

 

「「「ぎやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」

三人の北郷一刀が同時に悲鳴を上げて椅子から転げ落ちた。

華淋、蓮華、桃香と東屋でお茶をしていたところだったのだが、いきなりの事に場が騒然となる。

「か、一刀っ!一体どうしたの!?」

「一刀っ!一刀っ!!しっかりしてっ!!」

「いやあぁ!ご主人さまっ!!」

華淋たちが駆け寄り抱き起こすと意識はあるが三人とも青い顔ですごい汗を掻いていた。

「す、すまない華琳・・・なんかすごい寒気が全身を包み込んだようなきがして・・・」

「もう・・大丈夫だ蓮華・・・だけどなんだったんだ今のは?」

「ありがとう・・・桃香・・・・・・なんか貂蝉と卑弥呼の顔が見えたような・・・・」

結局この日三人の一刀は大事を取って寝台に拘束されたのだった。

 

 

真・恋姫無双 三人の天の御使い 第二部 『一刀くん』参上    了 

 

 

 


 
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