No.346371

真・小姫†無双 #39

一郎太さん

性獣討伐話を恋姫祭りまでには終わらせたいので、サクサク投稿。
たぶん、明日のこの時間くらいに#40上げたい。
どぞ。

2011-12-12 00:19:53 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:6889   閲覧ユーザー数:4961

 

 

 

【CAUTION!】

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、

 

『( ´⊿`)y-~~』

 

と一服してからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#39

 

 

「ぜはー…ぜはー……」

 

大陸の南西に位置する都市の城門にて、荒く息を吐き続ける少女がいた。

 

「なんじゃ、情けないのぅ」

「ぜはぁ……そ、そうは言うがな………南陽から益州まで、この荷物を背負いっ放しというのは………まったく、なんという拷もげはっがはっ!………ぜはー」

 

それを見て溜息を吐く妙齢の女性―――祭。彼女は馬に跨っていた。

 

「ホントよね。たったこれしきの距離で息も絶え絶えなんて、それでも将軍やってたの?」

「あぁ、鍛錬が足りぬな」

 

追随する雪蓮に華雄。彼女達も馬に乗っている。

 

「まぁ、よい……とにもかくにも、宿をとろうではないか………」

 

そんな理不尽に晒されながらも気丈に振る舞うのは、青い髪に白い衣服の映える少女―――趙雲だった。汗で蒸れるので、仮面は南陽を出て30分で外している。

 

「あ、一刀からの指示で、趙雲は厩らしいから」

「………」

「馬たちの世話、よろしくねー」

 

厩に馬を預け、去っていく雪蓮たちを見送りながら、趙雲は馬用の井草の上に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「さて、それじゃさっさと城に行って制圧でもしましょうか」

 

祭と華雄を率いて城へ向かうは―――。

 

「ちょっと待て。なぜ伯符が仕切っている?」

 

向かうは………。

 

「そうじゃな。いまの儂らは等しく一刀の傘下の将。なれば、策殿が先陣を切る必要もあるまい」

 

………。

 

「決まってるじゃない。この中であたしが1番強いからよ」

「待たんか。策殿に武を教えたのは誰だと思うておる」

「そうだ。文台にこそ遅れは取ったが、お前達に負ける私ではない」

 

早朝の往来。3人の露出過多の女が殴り合いの喧嘩をしているという報告が、城に届けられた。

 

 

 

 

 

 

「―――まったく、早朝から騒ぎの報告があったと思えば、まさか貴女達とはね」

「面目もない…」

 

3人の猛者が暴れれば、警備の兵に止められようはずもない。だがしかし、それにも終わりは訪れる。

 

「ふむ…祭の矢で破壊された屋台が4つ、華雄の斧で破壊された家屋が5つに、其奴の剣が3つ………と」

 

同等の力の者が争えば、勝負などつきようもなく、三者三様に体力を使い果たしたところで城から来た2人の将に捕縛された。

 

「私の勝ちだな、伯符よ」

「何言ってるのよ。あたしはあまり迷惑がかからないように戦ってたんだから、あたしの方が技術は上よ」

「言ったそばから喧嘩するなっ!」

「ぐぁっ!?」

「いったぁぁ……」

 

正座のまま互いの武を競う2人の頭に、立っていた2人の将の片方―――厳顔が拳骨を落とす。

 

「2人共甘いな。儂など、屋台の提灯しか壊しておらぬわ」

「あら、祭?貴女はまだお説教が足りないのかしら?」

「ぐっ…」

 

そんな2人を笑う祭を笑顔で睨みつけるという器用な事をこなす女性―――黄忠。

 

「………まぁ、いいわ。もうお昼だし」

「確かにな。さて、それではそろそろ来訪の目的でも教えてもらおうか」

 

ようやく説教も終わりだと安堵の息を吐き、立ち上がろうとした3人は固まる。

 

「どうしたのかしら?」

「………足が痺れた」

「「同じく…」」

 

当然だ。午前中いっぱいを正座に費やしたのだから、そのくらいの副作用も生まれよう。

そして、早朝から自分たちでは収拾をつけられないと涙ながらに訴える兵に叩き起こされた2人の鬱憤も、もちろん残っている。

 

「む?紫苑よ…何故そのような笑顔で近づいてくるのじゃ?」

「待て、桔梗…まさか………」

 

動けない3人に、黄忠と厳顔―――紫苑と桔梗は笑顔で手を伸ばし、その動かない脚を思い切り――――――。

 

『――――――――――――』

 

直後、声にならない叫びが場内に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

「――――――まったく、死ぬかと思ったわ」

 

中庭の四阿で卓を囲う5人。卓の中央には大徳利が幾つか並べられ、5人の前にもそれぞれ杯が置かれている。そのうちの1つを空にしながら、雪蓮は溜息を吐く。

 

「朝からくだらない喧嘩で起こされる私達の身にもなって欲しいものだわ。ねぇ、桔梗?」

「そうだな。兵では抑えられぬときたから、どのような猛者かと思えば………確かに猛者ではあったが」

 

同様に杯を傾けながら、紫苑と桔梗はからからと笑う。

 

「それより、祭」

「なんじゃ?」

「知り合いならさっさと教えなさいよね。久々に戦が出来ると思って楽しみにしてたのに」

「言わなんだか?」

 

出会った当初から、疑問に思っていた事を祭にぶつける雪蓮は、人目も気にせずに卓にぐでる。

 

「華雄もよ。貴女も知り合いなんでしょ?」

「最後にあったのはだいぶ昔だがな」

 

考えてみれば、華雄は雪蓮の母・孫堅とも武を競った間柄である。祭と同様の年期故に、その交友関係も案外広いのかもしれない。

 

「でもま」

 

卓に身体を乗せたまま雪蓮は口を開く。

 

「祭や華雄と知り合いって事は、紫苑に桔梗もだいぶ年上って事みたいね――――――」

 

否、開いたのは禁断の扉だった。

 

 

 

 

 

 

「謝るから解いてよー!あたしだって飲みたいのにー!!」

 

簀巻きにされて木に逆さに吊るされた雪蓮を無視して、4人は会話を再開させる。

 

「それで、今日はいったいどのような用事なのかしら?」

 

紫苑が切り出す。実際問題として、他所の領地の将が訪れるのは常態とは言い難い。

 

「うむ、報告がひとつ。そして相談がひとつ」

「ほぅ、祭が相談とな?」

「まぁな。先に報告じゃが、孫家はかつての領土を取り戻した」

 

特に感慨もなげに祭は告げる。事実、あのような幕引きでは感慨の持ちようもなかった。それが決定された時、祭自体は居酒屋にいたわけだが。

 

「その事は聞いてるわ。なんでも袁術と和解したとか」

「そのようなところじゃな。江東の地は取り戻し、袁術とは同盟の間柄じゃ。その同盟国の御偉いさんから、指示が降ったのじゃ」

「指示だと?」

「うむ。北の曹操に対抗すべく、益州を落とせとな」

 

途端、空気が冷え込む。目に見える殺気はない。だが、それでもその雰囲気を作り出してしまうのは、歴戦の将故か。

 

「――――――で、相談なんじゃが」

 

その空気を壊したのは、それを作り出した本人だった。

 

「同盟結ばんか?」

「「は?」」

 

 

 

 

 

 

祭の相談に、紫苑と桔梗は揃って口を丸く開く。

 

「待て待て、宣戦布告に来たのではないのか?というか、上からの指示を無視してもいいのか?」

 

そして、慌てたように桔梗が胸の前で手を振る。手の動きに合わせて、巨大な果実が優しく揺れた。

 

「前者に関しては、否じゃ。落とせとの指示を出したくせに、遠征には儂らしかおらん」

「待って、祭。という事は、貴女達の主……あぁ、もう主にするわね。主はそんな無謀な事を言ったの?」

「言葉だけを捉えればそうだな」

 

紫苑の問いに、祭ではなく華雄が応える。

 

「我らが主は真面目な事は何も考えていないようで、その実、我らでは計り知れない智謀の持ち主だ」

「そうかの?」

「お前達との諍いの解決法こそ、顕著だろう?積年の恨みを持っているお前達が、ひとつの剣も合わせる事無くこうして此処にいるのがその証だ」

「そうかのぅ」

 

よく分からないと言った風に、祭は杯を空にした。

 

「まぁ、よいわ。それで先の2つ目の質問に対する答えじゃが、是じゃ。たった3人で広大な益州を落とせるはずもなかろう。よって、同盟を結びたいと思うてな」

「その通りだ。まぁ、お前達も勝手に決められる立場ではないだろう。しばらくは我々も滞在するから――――――」

「かまわんぞ」

「えぇ、同盟結びましょうか」

「――――――は?」

 

 

 

 

 

 

「うちの州牧も奔放な御方でな。婿も取らんから跡継ぎも作っておらん。州内は可能な限りまとめてはおるが、如何せん本人にやる気がない」

 

空の杯に酒を満たしながら桔梗が愚痴を言うように語る。

 

「そうねぇ。最近では部屋から出てこないそうよ?なんでも書の執筆に忙しくて、政務どころではない、ですって。なんて言ったかしら虎…虎……」

「………『()()()』か?」

「そうそう、確かそのような名称だったわ。それに出す本の執筆をしてらっしゃるの。〆切も近いらしくて」

「うむ。まぁ、内政に関しては部屋に籠る前にすべて終わらせて、今後3年は特に変更する必要もないと豪語しておったわ」

 

桔梗に注がれた酒を口に運びながら、紫苑も溜息を吐く。

 

「本当よね。でも、その後『修羅場がぁぁ…』とか叫びながら部屋に駆け込んだらしいわよ?」

「そんな噂もあったか。まぁよい。という訳で、内政は文官に、外交は益州の入口でもある荊州の紫苑が請負っておる。西は山で交流など出来ようもないから、そこだけで十分なのだ」

「南は外交なんて関係なく遊びに来るものね」

 

その言葉に、華雄が反応した。

 

「南ということは、南蛮か?南蛮と益州は仲が悪いと聞いていたが……」

「それってただの噂でしょう?実際に被害はあるのだけれど、それも可愛いものだから、皆許しちゃうのよ」

『?』

 

紫苑の言葉に、祭と華雄はそろって首を傾げる。と、その時だった。

 

 

 

 

 

 

「にゃ!?何か美味しそうなのがぶら下がってるにゃ!」

「「「さがってるにゃ!!」」」

 

背後から可愛らしい声が聞こえてきた。

 

「って、紫苑と桔梗なのにゃ!抱っこして欲しいにゃ!」

「「「抱っこにゃ!」」」

「はいはい」

「仕方がないのぅ」

 

現れたのは、猫耳少女と、虎顔の被り物をした3人の少女。4人は紫苑と桔梗に気がつくと、許可が出るよりも早くその豊満な胸に飛び込んだ。

 

「やっぱり紫苑のおっぱいは柔らかいのにゃ」

「落ち着くにゃー」

「暖かいにゃー」

「にゃ…zzz」

 

そのうち1人は既に寝息を立てている。

呆気にとられていた祭たちだったが、はたと正気に戻り、問いかける。

 

「のぅ…紫苑、桔梗………其奴らは………」

「ふふっ、この娘が南蛮大王の孟獲ちゃんよ。ほら、美以ちゃん。私達のお友達だから、自己紹介しなさい」

「にゃ!?紫苑と桔梗の友達にゃ?だったら美以とも友達になるにゃ!美以は孟獲!南蛮の大王にゃ!」

 

その自己紹介に、再度呆気にとられる華雄たちだったが、同時に理解もした。確かにこの猫耳娘たちが何かをやらかしても、きっと許してしまうだろうと。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「のぅ、美以よ。儂もお前を抱っこしてよいか?」

「いいにゃ!祭に抱っこしてもらうにゃ!」

 

言うが早いか、美以は祭の胸にとびつき、その柔肉に頬擦りをする。

 

「ふむ、昔の策殿を思い出すのぉ」

 

その光景を見ながら、華雄も口を開いた。

 

「なぁ、ミケ。私もお前を抱っこしていいか?」

「にゃ?………おっぱいがないから嫌にゃ!」

「なっ!?………トラ?」

「柔らかそうじゃないから嫌にゃ!」

「………シャム?」

「ぺちゃぱいは黙ってるにゃ……zzz」

「………………」

 

華雄は落ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

おまけのおまけ

 

「ちょっと、祭ー。そんな昔を懐かしむような顔しないでよ」

 

木にぶら下がったまま雪蓮が声をかける。

 

「まったく。年寄りはいつも昔がよかった、って言うんだか――――――」

「美以よ。あそこに美味そうな肉があるから、食べてよいぞ」

「本当かにゃ!?」

「え、ちょ………いやぁぁっ!や、やめてぇぇぇえええ!ちょ、熱っ!?火!?火なんて使わないでよ!あっ、熱い、熱いから…ぎゃあぁぁぁぁぁああああああああああああっっ!!!」

 

学習しない雪蓮だった。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

()()()フラグを回収した。

 

40分で書き上げたにしては、なかなかの出来だと思う。

 

ではまた次回。

 

バイバイ。

 

 

 


 
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