あともう少しで遠い異国の地へ着く日が近づいた時のことでした。少女ベティーとクラブの女性が乗られた船が突然に嵐に巻き込まれ、大波が押し寄せ大きく縦や横に揺れて操縦が困難になりました。少女ベティーは船室の中で恐怖に怯えてその小さいゴム鞠のような大変愛らしいまんまるな体躯をビクン、ビクンと小刻みに振るわせにおなりになり周囲に響き渡るほどの張り裂けんばかりの大きな声で延々と泣き喚かれていました。
「お船が揺れる怖いよぉ~!ベティー怖いの大嫌い、お姉さま、助けてぇえ~~~!」とクラブの女性のスカートにしがみ付いて声を張り上げて泣き叫んでおられました。「ベティーちゃん!しっかりするのよ、もうすぐ新しい町に着くからそうしたら船も元通りになるからそれまでの辛抱よ!」
クラブの女性が言った通り、暫くするとあれだけ激しく大きく揺れていた船がいつの間にか静かになり少女ベティーの機嫌もすっかり良くなり元通りの状態に戻っていました。大きな黒い船がとうとう新しい町の港に着いたのでした。
クラブの女性と少女ベティーが新しい町に着いて初めて目にした物は、沢山の人々の行きかう姿でした。御座を敷いて果物や野菜を売っている者の姿もありました。頭の上に大きな籠を乗せている者もいました。駱駝に乗っている者もいました。
新しい町の住まいになる宿に向かう途中に通行人達が話していたある噂話は耳を疑うような驚くべき内容でした。
その噂話の内容は、少女ベティーが夢にまで見たマリア様のご出現のお噂でした。町の大広場の中央にある噴水の前に時折、突然その尊いお姿をお供の天使と共に現しては町の人々に有難いとても高尚な幸運の真っ白な光を投げかけていらっしゃるのだそうでした。
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突然の嵐の後に雨降って地固まるで少女ベティーとクラブの女性は新しい町に辿り着きました。そこで聞いた噂はびっくりするような内容の物でした。