【凌統 side】
「はあ~…どうしてこんな事に……」
何が原因でこうなったのか、そんなことを考えながら目的地へと足取り重く向かっています。
はじまりは少し前、小蓮様の言葉から始まります。
「どうしてなの…」
「?どうしたのですか小蓮様?」
いつもの様に小蓮様と二人でおやつを食べていると、小蓮様がそうおもむろにつぶやきました。
「どうしてお兄ちゃんはシャオに何もしてこないのよっ!」
「何も、とはどういうことですか?」
「そりゃぁもちろん、こうガバッとなんで襲ってこないのよ!」
「え~っ!?それってつまり一刀様と一夜を共にするという」
「夜でも朝でもいいけど、シャオはいつでも準備バッチリなのに、お兄ちゃん、全然シャオのこと襲ってこないのよっ」
小蓮様の話によると、一刀様にいくども色気で迫ってみたが、一刀様は反応してくれなかったのこと。
「それはやっぱり、一刀様はシャオ様の事を妹としか見ていないからなのでは」
「でも姉様はもうお兄ちゃんとしたのよ」
え?雪蓮様と一刀様が。
「それに冥琳も思春も穏も、それと亞莎と明命もよ!
もうこの城でお兄ちゃんと関係を持っていないのって、私達ぐらいじゃないの」
え~!雪蓮様以外にも冥琳様やよりによって甘寧とも艶事を!
次々知らされる事実に、私の頭は破裂寸前です。
「うぅ~…このままじゃぁ、私どもは一刀様に愛されないまま終わってしまうのでしょうか」
「……」
その時頭を抱えて唸っていた私は、小蓮様の目が一瞬光ったことに気がつくことが出来ませんでした。
「ならぁ~、シャオに考えがあるんだけどぉ、一緒にどう?」
この時気が付くべきでした、この笑顔が悪魔の微笑みだっていうことに。
そして冒頭に戻ります。
小蓮様の提案とはズバリ『襲わぬなら、襲って見せようホトトギス』作戦だそうです。
つまり、動きがない一刀様にこちらから動いてゆこうという、少し積極的な作戦です。
何故ホトトギスなのかはわかりません、あと語呂も悪いです。
はじめに小蓮様に言われたことは、一刀様を小蓮様の部屋に連れて行くとこと。
この時間一刀様は確か、一人で修練をしているはずと小蓮様の情報を元に、私は鍛錬場へと向かいます。
鍛錬場に着くと、遠くの方から一刀様の掛け声が聞こえてきました。
「一刀様!」
「…ん?烈火?どうしたんだ?」
私の呼び声に気が付いた一刀様が汗を拭いながらこちらにやて来ました。
鍛錬の後なので汗をかき、少し上気した一刀様の顔、素敵です!
「…はっ、いけないいけない。
あの、一刀様、小蓮様がお呼びになっていたので、一緒に来てもらえませんか?」
「シャオが?分かった。じゃあ、着替えてくるから少し待っててくれるか」
そう言い、一刀様はお着替えのため一度自分の部屋へと戻られて行きました。
はあ~ん、汗をかいた一刀様、素敵だった。
あの服、クンカクンカしたいわぁ……
そうこう考えていると、一刀様が戻って来られ、一緒に小蓮様の部屋へと向かうこととなりました。
「シャオ、俺だ入るぞ」
小蓮様の扉の外から声を掛けても中から返事がありません。
「シャオ?居ないのか?おい…「敵将、討ち取ったり!」」
ピコッ、一刀様が扉を掛け中に入った瞬間、小蓮様の声と共にそんな音が聞こえませた。
「うげっ!?」
すると一刀様は私の目の前で、いきなり前のめりに倒れこんでしまいました。
「え?えっ!?か、一刀様!」
小蓮様の方を見ると、手には赤色をした少し変わった形の槌を持っていました。
「まさかそれで殴ったのですか!一刀様~死んじゃいや~!」
「大丈夫よ、烈火。この槌は殴った相手を傷つけずに眠らせることが出来るの。
もちろん後遺症も無いわよ」
そんなもの一体どこから手に入れたのでしょうか……
「さて、烈火。ちょっと手伝って。ふふふっ、ここからが本番よ」
その時の笑顔は小悪魔と言うより、もう悪魔でした。
【凌統 side end】
【孫尚香 side】
「う~ん…ここは…あれ?俺は一体何を…って何じゃこりゃ!」
お兄ちゃんは目を覚ますと自分の置かれている状況に気が付き、叫び声を上げた。
「お兄ちゃん、おはよう」
「シャオ!一体これは何なんだ?」
寝台に結び付けられた手を動かしながら、お兄ちゃんはこの状況について聞いてきた。
お兄ちゃんを眠らせた後、烈火と2人でシャオの寝台まで運び、両手を寝台に縛り付け、目が覚めるまで待ったのだ。
「どうしてこんな事を。悪戯なら許してやるからすぐに辞めるんだ」
「嫌よっ!どうしてシャオ達がこんな事をしたのか分からないのなら教えてあげる」
お兄ちゃんの上に馬乗りになると、着ている上着を脱がし、上半身を裸にさせた。
「ふわぁ~……」
鍛えられた肉体にドキッとした、離れて見ていた烈火もお兄ちゃんの裸に顔を手で多いながらも指の隙間からしっかりと見ている。
その上半身を手で軽くさすりながら、
「ふふ、気持ちいい?お兄ちゃん」
「くっ、何をするんだ…」
「ホラホラ~、こことかどう?」
「うっ」
「はわぁ~…」
「今度はこっちね」
手を下の方に伸ばそうとした時、
「…シャオ、どうして…」
まだそんなことを言っているの、お兄ちゃん。
「まだ分からないの…シャオはお兄ちゃんのことが好きなの!」
ここまでしたのに朴念仁のお兄ちゃんも分かるように、おもいっきり大きな声で叫んであげた。
「わわわ、私も大好きです!一刀様!」
一拍遅れて烈火も釣られるように自分の気持ちを叫んだ。
「えっ…」
「シャオがいくら誘惑してもお兄ちゃん、全然襲ってくれなかったんだもん!
だからシャオ達から一刀お兄ちゃんを襲うことにしたのよ!」
「そうです!一刀様は私たちの事、妹としか見ていません!
でも、私達は一刀様のことが好きなのです、愛しているのです!」
「シャオ…烈火…分かったよ。これを解いてくれないか?」
お兄ちゃんは結ばれた手を示しながら促してきた。
「嫌よ。解いたら逃げるんでしょ」
「逃げないよ。シャオと烈火の気持ちを知って、逃げることなんか出来ないよ。
でも、このままだとかっこわるいだろ」
苦笑いをしながら、再び縄を解くようにお願いをするので解いてあげた。
すると、縄がほどけた瞬間、お兄ちゃんは私を包むように優しく抱きしめてくれた。
「シャオ、俺の事を好きだって気持ち、うれしいよ。俺も好きだよ、小蓮」
「お兄ちゃん…」
泣きそうになる顔をお兄ちゃんの胸に埋め、その感触を楽しんだ。
「あうあぅ……」
「烈火、あんたもこっちに来なさいよ」
部屋のすみで所在悪そうにしていた烈火に声をかけた。
「でも…」
「烈火もこっちにおいで」
お兄ちゃんの優しいその声に烈火もはいと小さく返事をして、私の隣で一緒にお兄ちゃんに抱きしめられた。
結局、あれこれ策を巡らせなくても、きちんと自分の気持ちを伝えたらお兄ちゃんはシャオ達を受け入れてくれた。
シャオ優しいお兄ちゃん。
「お兄ちゃん」「一刀様」
「「大好き!」」
【孫尚香 side end】
〈おまけ〉
「恋殿恋殿ー!」
「…どうしたの?ねね」
「さっき確認したのですが、どうやらねね達は一刀殿と結ばれないらしいですぞっ」
「…それは仕方が無い。…恋達はこのお話では『さぶひろいん』だから」
「なんですとー!ねねはいいとしても、恋殿がさぶひろいんですとー!許すまじ作者!」
「残念」
「あっ、でも恋殿が『めいんひろいん』になったら、あのドスケベに恋殿の純潔がー。
しかし恋殿の軍師としては、恋殿に活躍してもらいたい…どうすればー!!」
「…目立つときは、ねねも一緒」
「恋殿~。さすが恋殿はお優しい。この陳宮、感激です」
「ありがとう。…………次回から本編に戻る」
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連続拠点も最終!
今回はシャオと烈火の拠点です。
ではどうぞ!