真・恋姫無双 黒天編 裏切り*** 第10章 「黒天」 前編2 予期せぬ報
白帝城から東の平原
その一面には砂埃が舞い、風が吹くことによって上空へと巻き上げられていた。
また、その風は砂埃だけでなく、戦場独特の血の臭いも一緒に運んでくる。
辺りからは剣戟が重なり合う音が鳴り響き、兵士たちが気合を入れるため、あるいは恐怖を打ち消すために大声で叫ぶ声も聞こえてくる。
そして、次々と人の生命が儚く消えていく・・・
蜀軍兵士「関羽将軍!!敵軍勢、勢い強く止まりません!!」
兵士は愛紗の前で片膝をつきながら、先陣の戦闘状況の報告をおこなう。
愛紗「ちっ、敵の士気が昨日の奴等とまったく違う・・・。弓兵、私の合図で敵陣に一斉射二回!!敵軍の勢いを殺し、撃破にあたる!!」
様々な雑音が鳴り響く中で愛紗の力強い、そして透き通る声が戦場に響いていく。
その号令の下に後方に控えていた弓兵たちが一斉に弓を斜め上空へと構える。
愛紗「弓兵・・・、放てぇぇぇぇぇぇ!!!」
愛紗の号令の下、弓兵たちが漆黒の軍隊に向かって一斉射撃をおこなった。
放たれた無数の矢は綺麗な放物線を画きながら、敵軍勢に無慈悲に降り注がれる。
その矢の雨によって先ほどよりも少し、勢いがなくなったように思えるが、まだまだ動きを止めるまでにはいたらなかった。
愛紗「二斉射目構え!!・・・・・・てぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
一斉射目が撃ち終わるとすぐに愛紗は二撃目の号令を下す。
弓兵たちはそれに応え、すぐさま準備を行い、合図と共に二斉射目を打ち放った。
愛紗「全軍抜刀!!!!突撃準備!!!!!」
二撃目の矢がまだ空中を泳いでいる間に愛紗は前方の兵士達に対し突撃陣形を組ませる。
兵士たちは何も乱れなく、すぐさまに陣形を整え、剣を、槍を、それぞれの武器を構える。
そして、放たれた矢が漆黒の軍隊に降りかかる頃合いを見て
愛紗「私が突撃を開始したら弓隊は厳顔将軍の指揮下につけ!!全軍!!突撃ィィィィィィィィィィィ――――――――!!!」
と馬上から偃月刀を前方へ振るい、突撃の命令を下す。
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!」」」」」」
三国の兵士たちは剣を高らかと掲げながら、槍を前方へと突き出しながら突撃を開始する。
愛紗「では・・・私も行くか・・・はあっ!!!!」
愛紗は馬に活を入れると、そのまま血と鉄の臭いがする戦場へと駆け出していった。
先陣 右翼部隊
春蘭は自らが最前線に立ち、魏武の大剣の名に恥じない武を敵味方問わずに見せ付けていた。
味方の部隊はその武勇に士気を高揚させ、敵を殲滅する勢いを見せている。
敵は春蘭の勢いにのまれ、恐怖に身を震わせ、戦意すらも喪失する・・・はずだった。
いままでの漆黒の兵士たちならば・・・
敵兵士たちは多少の覇気の影響はあるだろが動じず、冷静に春蘭を取り囲んでいた。
先日の敵ならば無謀にも突撃していき、殲滅させられるか、春蘭の気に飲み込まれ動くことすらも出来ない者達の集まりであった。
しかし、此度の敵は春蘭に対してサシでは当たらず必ず三人以上の隊列を組んで挑んできていた。
春蘭「ほぅ・・・、今回はちゃんとした戦ができそうだな」
春蘭は左から右へ七星餓狼をなぎ払うようにして敵を吹き飛ばそうとする。
しかし、春蘭から見て左の敵兵がそれを受け止めようと剣でそれに応戦する。
春蘭の斬撃が少しだけでも見えているようだった。
だが、一般兵士に春蘭の斬撃は受けきれるはずがなく、他の二、三人を巻き込んで後方へ飛んでいく。
致命傷を与えることができなかったため、再びその兵士たちは立ち上がり、隊列を組みなおして春蘭の方へ突撃してくる。
そうしている間にもまた別の隊列を組んだ者達四人が春蘭に襲い掛かる。
中央から二人、左右から一人ずつという隊形で一気に剣を振るう。
春蘭「前とは違い少しはやれるようだが・・・」
春蘭は七星餓狼を大きく振りかぶり
春蘭「私を倒したくば、4人でなく100人ぐらいで来い!!!はぁぁぁぁぁっっ!!」
そのまま縦に勢い良く、豪快に振り下ろした。
辺りの空気も巻き込んで大きく渦を巻いたかと思うと、その渦が破裂し当たりに強風を巻き起こす。
4人のうち三人がこの風に吹き飛ばされ、残りの中央の一人が七星餓狼の餌食となり体が左右に切り裂かれていた。
春蘭「ふっ・・・、前よりかなりマシだが、所詮この程度か・・・」
季衣「春蘭様~~~!!」
春蘭はそういいながら、新たに一人の敵兵を切り伏せると、後方から馬に跨った季衣が向かってくる。
春蘭「どうした、季衣?」
季衣は春蘭の隣に馬を止め、身軽な動作で馬から飛び降りる。
季衣「はい!隊の一部が敵兵の勢いを止めきれず、少し押されています」
春蘭「何っ!!どこの軟弱な者共だ!!」
季衣「入隊してからあまり日がたっていない人たちで構成された隊ですね。指揮官は僕も知ってる優秀な人なんですけど、
やっぱり兵士たちが・・・ねぇ」
春蘭「帰ったらめいいっぱいしごいてやろうか・・・」
春蘭は七星餓狼を地面に突き刺し、指をコキコキと鳴らしている。
季衣「それでですね。・・・・って!!春蘭様、後ろ!!!」
すると、春蘭の後ろから一人の兵士が春蘭に向かって剣を構え飛び掛っていた。
季衣はすぐさま構え、春蘭を助けようとするも、春蘭はその敵兵に向かって後ろ蹴りを放っていた。
「ぐぁはぁっ!!」
その蹴りはちょうど敵の鳩尾に突き刺さっており、そのまま後方へと飛んでいく。
春蘭「それで何だ?」
春蘭は何事もなかったかのように、季衣の言葉の続きを促した。
季衣「あっ、はい!僕の部隊が応援に行こうと思うのですが?」
春蘭「援軍を要請するほどでもなさそうだしな・・・。わかった。季衣、頼んだ」
季衣「はいっ!!では、行って来ます!!!」
季衣は再び馬に飛び乗って馬を反転させると、自軍後方へと馬を走らせて行った。
春蘭「皆の者!!そのまま敵の殲滅に尽力をつくせ!!」
春蘭は兵士たちをさらに鼓舞すると、戦乱の中に再び突入していった。
戦場の様子はさらに熱を帯び、苛烈さが増す一方だった。
その戦場の中を星と翠の騎馬隊は縦横無尽に駆け回っていた。
翠「よっしゃああ、どんどん行くぜぇぇ」
星「翠、あまりとばすな。隊が縦長に伸びすぎるぞ」
翠と麒麟を先頭に遊撃隊は次々と漆黒の兵士たちを吹き飛ばしている。
翠「この隊に霞と白蓮、蒲公英がいたらもっとよかったのにな!!」
星「なら、遊撃部隊を増やしてどの隊が優秀か競い合う方がまだ楽しかろう」
翠と星はこのような雑談を交わしながらも、的確に一人ずつ馬上から敵を突き殺していく。
「報告!!中央部隊右翼、敵カラクリ兵器により進軍できません!!至急応援を求むと言うことです!!」
星「カラクリ兵器?」
「はい!無数の矢を飛ばすカラクリの他に、鉄球なども飛んでくるため隊に大きな被害が出ています」
翠「わかった!!すぐに行くぞ!!星!!」
翠は麒麟を反転させると、そのまま敵を蹴散らしながら目的地へと駆け走っていく。
星「遊撃隊反転!!中央部隊右翼へ急行する!!」
遊撃部隊はすぐに命令どおり反転すると、星と翠の後を追従する。
翠と星がその戦場に到達すると、辺りに矢が散らばり、鞠ぐらいの大きさの鉄球がごろごろと転がっていた。
地面には矢が突き刺さり、鉄球が落ちたであろう地点には凹凸ができていた。
そして、それらは次から次へと発射され、三国の軍を攻撃しながら徐々にこちらの方へ近づいてきていた。
星「ふむ・・・稟の報告どおりだな。本当に地面から矢が生えてるかのようだ・・・」
翠「あっ!報告書の絵に描かれたやつと同じやつが向こうに置いてあるな。“弩砲”だったか?」
翠は目を細めながら敵陣の方を指差している。
そこには虎が口を開けている様子を模したカラクリがずらりと並べられていた。
またそのカラクリとカラクリの間には兵士が控えており、なにやら肩に担いでいるようだ。
星「詳しくは見えんな。しかし、桔梗の豪天砲のようなものか?」
翠「ああ、あれか・・・。でも、あそこから撃ってここまでとどくもんなのか?」
翠は一番近くにあった穴と敵がいるところを交互に見やっている。
すると、向こうからなにやらドーンという爆音が聞こえてくる。
そして、こちらに放物線を画きながら黒い物体が飛んでくる。
「逃げろーーー」
どこからともなく声がすると、その声と同時にその黒い物体は地面に落下する。
その地点は上空高く砂塵が舞い散り、軽い爆発を起こす。
翠「とどくんだな・・・へぇ~、なかなか強そうじゃないか」
翠がそう言っている間にも弩砲からは矢が放出され、三国の兵士たちを襲っている。
星「これをどうやって攻略するかだな」
翠「あの速度なら……麒麟なら何とかなるかも…」
星がカラクリ軍攻略の算段を練っていると、横で翠が麒麟のたてがみを撫でながら何かを考えていた。
星「ん?どうした?何かよい方法があるのか?」
翠「よし!!星、お前はここで合図があるまで待ってな」
星「は?」
翠は麒麟の鞍の上に立ち上がると、遊撃隊の兵達の方へと振り向く。
翠「みんな!!いまからあのカラクリを止めにいくために突撃をかける!!涼州兵のすごさを見せ付けてやんぞ!!」
星「っって!!おい!!」
翠のあまりの突然の宣言に、星は馬上から滑り落ちそうになった
翠「でも、強制はしない。我こそはと思う奴だけあたしについて来な!!」
翠はそう宣言した後、体を反転させながら麒麟の鞍に跨り、銀閃を取り出した。
星「おい!!待て!!」
翠「行くぜ!!涼州魂を奴らに見せ付けに行くぜぇぇ!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉ」
翠は麒麟の腹に蹴りを入れると、全速力で駆け出し、遊撃部隊も涼州兵を中心に一気に敵兵に突撃して行った。
星「・・・・・・・・・、まぁ、大丈夫か。残った者は迎撃と怪我人の救護にあたれ」
翠やその他を見送った後、星は翠からの合図があるまでその場に待機することになった。
翠と麒麟は風を切るように草原を駆け抜けている。
その後方から十数人の涼州兵が翠を追い越こす勢いで駆けていた。
敵兵はその様子に気付いたのかカラクリの照準を翠達に合わせている様子が分かった。
翠「来るぞ!!」
翠の言葉に皆が片手に武器を持ち、さらに馬の速度を加速させる。
そして、ドドドドッという矢の発射音が聞こえてきた。
矢は放物線を画きながら翠に目掛けて襲い掛かる。
翠は銀閃を大きく円を画くように回し、自分や麒麟に当たる矢だけを次々と弾いていく。
麒麟は矢と矢の間を縫うように走ることで、主への負担を軽減している。
翠は自分の身に降りかかる全ての矢を弾き終えた後、今の矢で兵が脱落してないかと思い、一瞬だけ後ろを見やる。
しかし、その心配は無用で脱落者、落馬者はなく、ほぼ同じ速度で翠の後をついてきていた。
敵兵までの距離はまだ遠い
その様子に安心していると前方から今度はドーンという大きな破裂音が聞こえてくる。
翠「鉄球が来んぞ!!弾こうとするな!!躱せ!!」
もともと鉄球を放つカラクリを装備している兵士の数は少なく、空中には数えられる程の鉄球しか飛んではいなかった。
しかし、直接あたらずとも大きな音や砂塵により馬が驚いてしまう可能性はある。
そうなってしまうと落馬してしまい、矢で狙われる良い的になってしまう。
翠は飛んでくる鉄球の位置を予測し、その地点から麒麟を離すようにしていく。
後方の兵士たちもそれに習って、次々と鉄球をかわしていく。
あちこちで鉄球が落下し、砂柱が立っているが、馬達も動じた様子もなく、速度も維持したまま駆け抜けていた。
敵兵との距離がだんだんと近づいていく
敵兵はこれ以上近づかせまいと弩砲を上方斜めから、ほぼ地面と水平に照準を合わせなおす。
さらに弓兵も増員させ、射程範囲に入ればすぐに放てる体勢に入っていた。
そして、翠たちがその射程範囲に入ったとき、敵の指揮官からの“放て!!”と怒号のような号令が聞こえてきた。
ドドドドドッというカラクリ音とヒュンヒュンという矢を射る音が聞こえ、地面とほぼ水平な低い軌道で翠たちに襲い掛かる。
翠「跳べぇぇ!!麒麟!!!」
翠は麒麟の手綱を上に思い切り引っ張り、腹に蹴りを入れて合図を送る。
それに呼応し、麒麟は後ろ足で地面を蹴り上げ、高らかに空中に跳び上がった。
しっかり翠たちを引き付けて、低い軌道で放たれた矢は跳び上がった麒麟の下をくぐるようにして通り過ぎていく。
そして、跳び上がった馬体はそのまま敵陣の中で着地する。
その大きな馬体により、敵兵の何人かは踏み潰されたり、吹き飛ばされたりしていた。
麒麟が着地した後、それに続くように後方の騎馬も大きく飛び上がり、敵陣に次々と着地していった。
敵陣に無事突撃成功
翠「よっしゃあああ、そのまま各個撃破にあたれ!!あと、“せんこうだん”だったか?アレを打ち上げろ!!!」
翠の言葉に三国兵士たちは鬨の声を上げると、戦闘に移っていった。
ヒュ~~~~~~ン ドーーン
星は赤色の煙が空に打ち上げられているのが見えた。
星「うまくいったか。無茶をするなとは思ったが・・・まあ、失敗するとも思ってないがな」
その煙を確認すると星は愛馬白龍に跨った。
星「行くぞ!!遊撃部隊・・・突撃!!」
星を先頭に前方の敵を駆逐するため、遊撃部隊はそのまま敵陣向かって突撃していくのだった。
その後、数刻も経たないうちに敵兵の殲滅が完了し、幾つかのカラクリを奪取することに成功したのだった。
三国側 本陣
その場には稟や冥琳、亞莎、詠が居り、その四人は地和と大きな鏡を取り囲むようにして立っていた。
地和は坐禅を組みながらなにやらブツブツと唱えている。
そして冥琳と亞莎の姿が写っていた鏡の景色が徐々に変わっていき、戦場の様子を映し出し始めた。
冥琳「詠の話は本当だったんだな・・・」
詠「でしょ?前もこれで戦況を見てたんだから」
冥琳は鏡に写る景色をまじまじと見つめている。
その隣では亞莎も興味深そうに冥琳の後ろから鏡を覗いていた。
地和「だから~~、ちーのことカラクリかなんかと勘違いしてない?これ結構疲れるんですけど~」
地和は目を瞑り、坐禅を組みながらも詠に対して文句を言っている。
地和「興行の費用もうちょっと出してくれるって言うから手伝ってるんだからその辺忘れないでよね~」
詠「分かってるわよ。私から華琳に言ってあげるから・・・稟も口ぞえ頼むわよ」
稟「それは分かっていますが・・・それにしてもすごいですね・・・」
今まで詠の隣にいた稟もいつの間にか冥琳と亞莎と同じように鏡を覗き込んでいた。
冥琳「人の声とかは聞けないのか?」
亞莎「もう少し近くで見たいですね」
稟「一緒に他の所は見れないのですか?」
三人は次々と自分の思ったことを地和に問いかけていく。
地和「だぁぁぁぁぁぁぁ!!そんないっぺんに話しかけないで!!集中できないじゃない!!音はムリだし、いっぺんに別の所を移すのもムリ!!もう少し近づくことはできるかもだけど、あんま期待しないで!!」
地和は坐禅を組む姿勢は変えないものの、声だけを荒げ一気に質問に答えてあげた。
声を荒げた際、鏡に映る景色が一瞬だけグラついた。
地和「集中しないとできないんだから・・・ったく・・・」
詠「見れるだけで十分じゃないの。それで、今映ってるのは中央部隊の様子かしら?」
冥琳「そのようだな・・・」
詠も三人と同じように鏡が見える位置まで移動し、覗き込んだ。
亞莎「・・・・・・・・・、これを見るに戦況はほぼ変わらずと言った所でしょうか?」
稟「そうですね。昨日の戦は目に見えてこちらが優勢だったのですが・・・」
冥琳「上空から見ると敵の陣形がよく分かるな。・・・・・・しっかり統率がとれているようだ。この点も昨日の部隊とはまったく違う」
鏡に映る景色は中央部隊の上空を旋回しながら映し出していた。
三国側、敵側にも大きな戦況の変化はなく、ある地点で戦線が維持されている状態だった。
冥琳「・・・・・・、別の場所は映し出せるのか?」
地和「うん、できるわよ。でも、さっきも言ったけど、別の景色を同時に見ることはできないわ」
冥琳「充分だ。敵本陣を映し出せるかやってみてくれ」
亞莎「えっ?戦況は見ないんですか?」
冥琳「それも重要だが、この力は細作活動にも応用できると思ってな。いままで、不明な点が多かった敵の正体も暴けるかもしれん」
詠「そういう使い方もあるんだ・・・」
詠は感嘆の声を上げながらも、鏡に映し出される風景から少しでも情報を得ようと食い入るように眺めていた。
地和「何かちーの仕事がまた増えたような気が・・・、まぁ、いいけど。それで、どこにあんのよ?」
冥琳「それを捜すのも細作の仕事だ」
地和「ちょっ!!どんだけ、ちーをこき使うつもりなの!?」
詠「お願いよ。興行の費用・・・ちゃんと考えてあげるから」
地和「はぁ~~~、絶対だからね」
地和は呪文とは違い、文句をブツブツと言いながら再び瞑想にはいる。
すると、今までの映し出していた景色から離れ、戦場を隈なく映し出していった。
稟「これで敵の情報を少しでも得れれば大きいのですが・・・」
稟が話し始めようとした時、入り口にいる人影に冥琳は気付く。
冥琳「誰だ!!」 地和「ひぃっ!!」
冥琳の怒号に執務室の空気が一気に変わる。
地和もその声に驚き肩をビクつかせると、鏡に映っていた景色が暗転してしまう。
一同がそこを見てみると、傷ついた兵士が警備兵の肩を借り、足を引きずりながら入ってきた。
兵士「もうしわけ・・・ありません・・・」
傷ついた兵士は声を出すのも苦しそうだったが、一言一言言葉を紡いでいく。
警備兵「もうお前は喋るな!無礼をお許しください!!ですが、大変です!!」
冥琳「どうした!」
警備兵「許緒将軍敗走!!味方兵士、これに動揺し、士気低下!一気に右翼戦線一部が押されています!!援軍求むとのことです!!!」
稟「季衣が・・・敗走?詳細は!?」
稟はすぐさま警備兵と傷ついた兵士の下へ向かい、警備兵の肩を掴んだ。
警備兵「詳細は分かりませんが、今は救護班の所にいらっしゃるようです!!ですが、動揺が広がっており、とても戦線維持できません!!至急援軍を!!」
冥琳「亞莎!!すぐに予備部隊を率いて右翼へ向かえ!!!思春と遊撃部隊にも伝令を!!」
亞莎「はい!!」
亞莎は両手に持っていた書簡を両腕の裾にしまいこむとすぐさま執務室を出て行った。
稟「季衣が・・・敗けた?」
その場の空気が一気に冷え込む
END
あとがき
どうもです。
いかがだったでしょうか?
前回のあとがきで第10章は6回構成というお話をしましたが前編3、さらに中編3が追加され8回構成となりそうです。
また、第10章において試験的におこなっていた台本形式なのですが、やっぱり小説らしくないとの意見もあり、止めることにしました。
ですが、一から修正していくと時間がかかることから第10章の8回のみ台本形式のまま進めさせていただきたいと思います。
私の勝手な意見ですが、消している時間があるなら、書くことに時間を費やしたいのです。
時間が出来次第、修正していきたいとも考えておりますので、第10章のみ仕様だとお考えいただければと思います。
では、タイトルだけの次回予告を一つ
真・恋姫無双 黒天編 裏切り*** 第10章 「黒天」 前編3 季衣敗走
ではこれにて失礼します。
次回更新は11月中に何とかします。
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どうもです。第10章前編2になります。