<蜀 城>
「魏の曹操様、以下張遼様、程昱様、典韋様、楽進様がお見えになられました!!」
………………………え?
Ω ΩΩ<な、なんだってー。
……じゃなくてだな。
そ、曹操…だと…。
聞いてないぞ…。
オレがこの世界に来てまだ片手で数える程度の日しか経ってないよな。
魏ってたしか洛陽が首都だよな?大陸の北の中央あたりの。
で、今ここが成都…西のあたり、と。
……凄いな。
オレって確か、魏の人間だったんだよな…。
うっ…でも例の呼び名もあるし。
覇王・曹操の下でオレはどんなことをしてたんだ。
……ものすごく不安になってきたぞ。
…大丈夫なのか?
いや、近いうちに行くつもりではあったけど、いくらなんでも心の準備って奴がさ…。
なんて一人で悶々としている内にも話は進む。
「えっ!!か、華琳さん!?しゅ、朱里ちゃん。ど、どうしよう~。」
「あわわ。え~と、お、お待たせするわけにもいきませんし、す、すぐにお通しするしかないかと。」
「だ、だよね。う~ん。じゃあすぐにご案内して差し上げて下さい。」
桃香が兵に指示をだす。……華琳って曹操の真名か?
…?
なんだろう。聞いたことがあるような…。
「御意!すぐにご案内致します。」
「その必要はないわ。」
……!?
兵士さんが答えた直後に、不意に入口の方から声が聞こえてきた。
「……?」
……なんだ?
その声を聞いた瞬間懐かしいような切ないような気持ちになった。
…気がした。
入口の方へ眼を向けると…。
そこには、金髪ツインテールの小柄な女性がいた。
左右にカールが入ってるな。
なんかすごい堂々としていて、遠目にも圧倒されるような雰囲気がある。
覇気というのかな?
その後ろには、紫色の髪で胸にさらしを巻いた露出の多い女性や、銀髪で身体に傷のある姿勢の良い女の子、頭の上に人形らしきものをのせたふわふわ金髪ロングの女の子、薄緑の短めの髪に大きなリボンをつけた鈴々くらいの女の子がいる。
…あれ?
なんでオレ泣いてんだ?
自然に涙が出てきた。訳わかんねえよ。
すぐにオレは涙をぬぐう。
でも、なんだろうな。
悪い気分じゃない。
オレが一人でそんなことをしている内に、彼女たちは桃香たちと二言三言会話をしたかと思うとこちらに近づいてきた。
「………。」
「「「「「……………。」」」」」
…えーと。
無言でじーっと見られてる。
な、なんて話せばいいんだ?
ふいに金髪ツインテールの娘が呟いた。
「………一刀?」
「…えっ?」
「…………本当に……一刀…なの?」
その声は震えていた。
オレは相変わらず正座のままで答える。
「う、うん。オレは北郷一刀で間違いないよ。」
「…一刀!」
「…一刀!」
「…隊長!」
「…兄様!」
「…お兄さん!」
「うわっ!!」
突然彼女たちが抱きついてきた。
バランスを崩して床に倒れてしまう。
「ばか…ばかぁ……。なにが…愛していたよ…よ…。」
「一刀のあほぅ…。勝手にいなくなりおって。一緒に羅馬に行こうって言ったやないかぁ…。」
「隊長…。本当に…隊長だ。お、お会いしたかった…お会いしたかった…です。うわああああああ。」
「…兄様……兄様ぁ。寂しかったです…。兄様ぁ。」
「…む~。お兄さんは…ひどい人なのですよ…。風をこんなにしておいて…勝手に消えるなんて。」
あまりよく表情は見えないが…皆声が震えていた。
そして、こんなにも率直な好意を浴びて素直にうれしい反面、記憶がないことがとても申し訳ない。
だから…。
今の想いを率直に言う。
「ありがとう。皆の気持ちがとても嬉しいよ。そしてごめん。オレには以前この世界にいた記憶がないんだ。」
彼女たちはゆっくりと顔をあげて真剣な顔でオレの顔を見つめる。
…目は真っ赤だった。
「でも、皆の顔を見た瞬間…なんか懐かしくて切なくてやっぱりうれしい気持ちになったんだ。記憶がないのが本当に悔しいよ。
…ははっ。でもオレ最低だな。勝手に消えて勝手に記憶失くして…。自惚れかもしれないけど…こんなに可愛い娘たちにこんな顔をさせてさ。
だから、もう一度言わせてくれ。
本当にごめん!そして…会えてうれしいよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そう言って一刀は微笑む。
彼女たちは思う。
記憶がなくても、あの頃から大分大人っぽくなっていても、やはり一刀は一刀だと。
正直記憶がないのはとても悲しい。
でも、一刀が帰ってきた。その事実の嬉しさはその比ではない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「謝る必要はないわ。」
「えっ?」
「記憶があろうとなかろうと、今こうして私たちは再び出会った。それだけで十分よ」
「せやな。」
「「はいっ。」」
「そですね~。」
みんな…。
記憶がないにも関わらずこうして受け入れてもらえる。
胸が熱くなった。
「さて、ではあらためて自己紹介をしましょう。我が名は曹孟徳。真名は華琳よ。」
「ウチは張遼、真名は霞や。」
「私は楽進、真名は凪と申します。」
「わ、私は典韋、真名は流琉と言います。」
「風は程昱、真名は風です~。」
「わかった!あらためてよろしくな皆!」
こうして無事(?)再会を果たしたと思っていたオレだった。
でも…、オレは忘れていたんだ。
ここがどこかということを…。
あとがき
すいません。
気づけば2か月経過(汗)
しかもほとんど進まず(´・ω・`)
さらに駄文。
でもまだめげずに続けますよ。
次回は修羅場かなぁ?
ではまたいずれノシ
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お久しぶりです。
懲りずにまた来ました。
では相変わらずの期待外れの駄文を置いていきます。