No.316802

真・恋姫無双~妄想してみた・改訂版~ 第五十一話

よしお。さん

一刀ハーレム√です。
今回の話はVS白装束(愛紗、紫苑、鈴々、翠)前編になります。
書き溜めが尽きたので、次回の投稿はまた時間を頂きます。

―白装束との衝突―

2011-10-11 22:02:11 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5305   閲覧ユーザー数:4292

 

 

 

一刀達がオセロで暇を潰していた頃。雪蓮、春蘭、霞の3人は白装束の者達と接触していた。

白装束の先頭に立つ者からは並々ならぬ闘気が感じられ、同時に華琳や雪蓮が持つような覇気も纏っていた。

 

「……………」

「さっきからだんまりじゃない? 何か言いたい事があるなら言いなさいよ」

 

雪蓮達が敵と遭遇してから既に幾許(いくばく)か経っているが、敵に未だ動きはなかった。

武器を手に持ってはいるものの、構えてすらいない。ただ雪蓮達を見定めているようだった。

一方、霞と春蘭はそれぞれ武器を構えていた。

 

「こいつら、言葉通じへんとちゃう?」

「面倒だ。叩き切る!!」

 

ついには痺れを切らした春蘭が敵に突っ込もうとするが、

 

「っ! く、また弓か!」

 

足元を狙う弓による攻撃によって防がれていた。

 

「ま、ええやん。うちらが時間稼いどれば周瑜が兵まとめて来てくれるやろ。

向こうが何考えとるか分からんから気色悪いけどな」

 

突撃しようにも弓によって阻まれ、霞の横で“がるるる!”と白装束達を威嚇する猛虎をなだめる。

 

「…………気色悪いとは失礼な。我らは見目麗しい美人だぞ。一人を除いて」

「あらあら、うふふ。“美髪”ちゃんが自分で自分を褒めるだなんて……誰の影響かしらね、“虎娘”ちゃん」

「にゃー……どうでもいいけど、鈴々以外、おっぱいおっきいのだ。みんな死ねばいいのだ……。

ん? 一人をのぞいて? ……鈴々のことなのかあああ愛紗あああああ!! おっぱい格差なんてなくなっちゃえばいいのだ!

今ここに、ひんにゅーのひんにゅーによるひんにゅーのための戦争をおこなうことをここに宣言するのだああああ!!」

「おい、せっかく“美髪”が決めた秘密の名前(コードネーム)を無視してんじゃねーよ“虎娘”」

「うるさいのだ“馬”」

「“馬”じゃねぇよ!? “(きん)”だろ!?」

「ふふふ、仲がいいわね二人とも」

「黙るのだ、“年増”」

「…………愛紗ちゃん。ちょっと鈴々ちゃんを借りてもいいかしら」

「落ち着け“年増”。虎娘、“年増”には“チチタレ”という秘密の名前(コードネーム)があろう」

「……………………うふふ。私の秘密の名前(コードネーム)は“蒼弓((そうきゅう)”であって、“年増”でも“チチタレ”でもないわよ。

大体あなたたちも、年齢を重ねれば垂れるところは醜く垂れるのよ。まぁ私は? 日頃からきちんと気をつけていますから?

垂れてなどいないんですけどね? あ、鈴々ちゃんにはそもそも垂れるような胸もなかったわね」

「……やっぱり関羽達なのね」

「な、なんでバレたのだー! それと紫苑、後で覚えてろなのだ」

 

どういう動きをするか、雪蓮達が警戒していると、あろうことか4人は漫才を始めた。

他の3人は顔が隠れる程に深く装束を着ているものの、鈴々は邪魔に思うのか、白装束を浅く着てしまっているため、顔が見えてしまっている。

それに、他の3人は最初の方こそ秘密の名前(コードネーム)を交えて会話していたのに、鈴々は一人称が鈴々の為、その人を知っている者にはモロバレだ。

普段、比較的冷静な部類に入る紫苑も、鈴々が煽ってしまったことで冷静さを欠いている。

 

「む、関羽なのか?」

「得物に白装束を巻いて誤魔化してるみたいだけど、さすがに特徴があるから」

「あー、確かに。あの青龍の飾りは関羽以外やとウチしかおらんもんなぁ」

「そういうこと」

 

雪蓮達は、話ながらも警戒を怠ることはしていない。なにせ相手は、あの万夫不当の呂布を退けたのだから。

 

「私が知っているあなたは、“一刀好き好き従者”だったんだけど。違ったかしら」

「ふ……違わんよ、孫策殿。今もそれは変わらん。いや、想う大きさは変わったか」

 

今でも愛紗を突き動かす原動力は“一刀”だ。その根底は変わらない。

一刀の為なら死ねるし、一刀の為ならなんだってできた。だがそれは、もはや以前の愛紗。

今の愛紗は、一刀を手に入れられるならなんだってする。それこそ手段を選ばず。

だから目の前の“障害”を踏み潰す事だってなんら躊躇いはないし、一国を敵に回す―例えその国主が一刀だとしても―事も厭わない。

その愚直なまでの一途さは、これまでの外史には存在し得ないものだ。

 

「さて……ギャグパートは終わりだ。武器を置け。お前達を斬り殺すのに一切の迷いはないが、一刀様は悲しむだろうからな。

口惜しいところではあるが、半殺しで勘弁してやる」

 

武器を構える愛紗。その後ろでギャーギャー騒いでいた筈の鈴々達も、いつの間にか戦闘態勢に入っていた。

 

 

 

 

 

 

雪蓮達は歴戦の強者(つわもの)だが、愛紗達から発せられる闘気にはただただ驚愕するばかりだ。

しかし―――。

 

「あちゃー、めっちゃやる気やないの」

 

一見イヤそうに聞こえる霞のセリフ。だが、得物を片手で、横に構えるその格好はあまりにも堂々としていて、表情からは強者と戦える事への喜びで、凄みの入った笑みを浮かべていた。

 

「半殺し……ね。言ってくれるじゃない。でもあなた達如きに躓いてる時間はないの。……今更泣いて謝ったって許さないから♪」

「ようやく殺る気になったか。呂布を倒したその実力、この夏侯元譲が見てやろう!」

 

そして、元から戦闘狂である雪蓮と春蘭は、強者と本気で打ち合えることが至上の喜びなのか、やはり霞と同じ表情を浮かべていた。

 

「ほざけ雑魚共。己の武を弁えよ。鈴々、翠、紫苑、この場は任せたぞ。私は一刀様に逢いに行く」

 

愛紗は一人、船室を目指して進もうとする。

が、黙って通れるはずもなく。

 

「させるかボケッ!」

「行かせないわよ!」

「相手しろおお!」

 

雪蓮達が一斉に愛紗に飛びかかる。が、各々の武器が愛紗に触れることはなかった。

 

「お前の相手は鈴々なのだ」

「そういうことだ。ちーっと付き合ってもらうぜ」

「色々と溜ってるから、発散させてもらうわね」

 

霞の武器を鈴々が、雪蓮の武器を翠が、春蘭の武器を紫苑がそれぞれ受け止めた。

一方の愛紗は何事もなかったかのように、颯爽と歩いている。

 

「くっそおおおお! どけえええええ!!」

 

春蘭が吠える。愛紗が向かう先には一刀だけではなく、春蘭が愛する華琳もいるのだ。兎に角必死だった。

あと、やっぱり戦うなら鈴々か翠が良かった。相手が弓使いとか、戦いづらいにもほどがある。

 

「失礼ね。弓でもあなたと対等に戦えるわよ?」

 

言いながら、自分を退けようと突進してくる春蘭を弓矢でいなす。

 

「ええい、やりづらい! 正々堂々と戦わんか!!」

「戦ってるわよ……」

 

遠距離の紫苑と近距離の春蘭。距離を詰めることがままならない状況で、早くも春蘭と紫苑の戦いは頓着していた。

 

 

 

 

 

 

「うりゃりゃりゃりゃーっ!」

「チッ、速いな! それに重い……どんだけバカ力やねん!」

「鈴々はバカじゃないのだーっ!」

 

霞と鈴々は、お互いの武器をぶつけ合っていた。

鈴々はただひたすらに攻め、霞はそれを防いで相手の力量を測っている。

隙があれば攻勢に出るが、相手に隙らしい隙が見当たらない。

 

「……ん?」

 

今一瞬だけ隙ができたような……。とおもいきや、怒涛の勢いで猛攻が迫ってくる。

 

「っく! 調子に乗んなアホ!」

「アホじゃないのだーっ!」

 

防戦一方だったが、またしても隙ができたので後退して距離を取る。

 

(まさか……)

 

「自分、もしかして煽り耐性ない?」

「……煽り耐性??」

「いや、バカとかアホとか、言われてカチンてくる?」

「クるに決まってるのだ! 鈴々をバカにしてるのかー!?」

 

(やっぱりや……)

 

「アンタ、猪武者って言われへん?」

「言われるのだ」

 

以前、董卓軍で共に戦った、煽り耐性ゼロのもう一人の猪武者と目の前に少女が、ダブって見えた霞であった。

勝ちを確信したと同時に、どこかやるせない気持ちになってしまったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

「っしゃおらーッ! おらおらおらぁッ!」

 

翠の攻撃をひたすらに南海覇王で受ける雪蓮。受け切れないと思った攻撃は無理なく避ける。

そんな冷静な戦いを、性でもないのにしていた。

 

「はぁ……よっと。もっと、勢い良くばーっと戦いたいんだけどなぁ」

「やりゃーいいじゃん。おらよっと」

「馬上相手じゃそうもいかないでしょ……っ」

 

そう。雪蓮が相手にしている翠は、いつの間にか馬に乗っていた。

来る時には馬はいなかったのに。というか、船上という不安定なところで馬に乗って戦うという発想自体がそもそもおかしい。

 

「……常識外れもいいとこね」

「お、褒めてるのか?」

「褒めてないわよ。というか余裕そうね? あたしも余裕だけど」

「受け止めるのに精一杯なクセに、なに言ってんだ」

 

内心で舌打ちをする。そもそも馬力(ばりき)の加わった錦馬超の槍を掻い潜って決定的な一打を与えるのはほぼ絶望的だった。

翠が馬から降りてくれれば、少なくとも今の不利な状況からは脱することができるだろう。

 

(あれ、なんだ。簡単じゃない♪)

 

―錦馬超を馬から降ろしたいなら、馬を倒せばいいじゃない by私

 

目的が決まった雪蓮の行動は早かった。今まで防御しかしていなかった雪蓮は、攻勢に出た。

無論、翠も向かい打とうとするが、雪蓮の目的は翠ではない。

馬が嘶き(いななき)、前脚を上げると同時に翠が上段で槍を構え、馬の体重と翠の丹力を乗せた上段攻撃を雪蓮に当てる。

それだけで雪蓮は真っ二つ。仮にこれまでのように南海覇王で防ごうが、折れるのが目に見えている。

決まった。この戦いが終わったらご主人様とイチャラブセッ◯◯するんだ……。

 

「アタシの為に死ねぇぇぇ孫策ッ!」

 

凶刃が、雪蓮に迫る。

 

「隙が有り過ぎるわよ。とりあえず馬は殺っとくわ」

 

油断をしている翠ならば、トドメは間違いなく自分の必殺技でキメてくるだろうと雪蓮の勘が言っていた。

ならばあとは、その攻撃が来るまで待ち、馬が前脚を上げた瞬間に距離を詰めればいい。

ここで翠を斬りつけてもいいが、すぐに距離を離されて体勢を整えられるのがオチで、深手を与えるのには一打欠ける。

だが馬を倒せば、翠の体勢は崩れる。斬りつけるのはその後でもいいだろうと考えた。

 

「―――なっ……えっ」

 

だから、馬の首を貫通して、自らを襲う剣を見て、絶句せざるを得なかった。

 

「ッ! くそ!」

 

胸元を貫く前に、馬から落ちる翠。受身を取れなかった為、背中を強打して肺から空気が一気に抜ける。

 

「ッグ! げほっ、ごほっ」

「慢心しすぎじゃない? あなた、私より弱いんだからもっと慎重になりなさいよ」

「げほっ、な、なんだと!?」

 

咳き込みながら、翠は挑発してくる雪蓮に対して食って掛かる。

 

「……これ以上やるなら、今度は本気で殺すわよ? ちなみに私、まだ第二形態(バーサーカーモード)が残ってるからヨロシク♪」

「うっ……ま、参った……」

 

すっかり翠は戦意を喪失していた。

 

 

 

 

 

 

愛紗は一刀のいる船室を目指し、闊歩していた。

もうすぐで愛しの一刀に逢える。愛紗の目には、先にある船室の扉しか入っていない。

 

「関羽、止まれっ! 貴様は既に包囲されている!!」

「む」

 

冥琳の声が響いたかと思えば、愛紗を囲むように水兵による包囲網が完成する。

 

「ふっ……貴様ならばここに来るだろうと思っていた」

「さすがは周公瑾殿。だがこの程度の雑兵、倒すのは造作もないぞ?」

「孫呉の(つわもの)を雑兵呼ばわりか。だがな、船から叩き落された水兵は、一味違うぞ。

見ろ、強者の目を」

 

言われて、愛紗は自分の周りを囲む水兵の顔を、目を見る。そこには、ただ怒りの表情しかなかった。

眼力も、そこらの賊が小便をチビって逃げていくほどの鋭さだ。

 

 

 

―まじ許さねェ……俺が整備した船を……by水兵1

―悪い子はお尻ペンペンだ……お尻ペンペンしたあとは(ふんどし)履かせてやる……by水兵2

―おいちょっとマテ。お前また甘寧の姉貴からパクったのか?by水兵3

―パクったとは失敬な。借りているのだ。大丈夫、私は甘寧様と同じ女だ。バレてもお尻ペンペンされるだけだby水兵2

―オイオイ。あんた一応(かしら)の右腕なんだからお茶目はやめろよby水兵1

―お茶目じゃない。これは世に褌という至高の下着を布教するいい機会なのだby水兵2

―……いやお前達。今は目の前の敵を見て欲しいんだがby冥琳

―周瑜様もいかがでしょう。褌by水兵2

―だめだこいつら……。by冥琳

―ちょっと通るぞby愛紗

―どうぞどうぞby水兵2

 

「何をしている! 止めろ!」

「「応!」」

 

内輪揉めをしている間に通ろうとした愛紗だが、機敏に察知した冥琳がそれを阻止する為に水兵達をけしかける。

 

「船の恨みぃぃぃぃ!!」

「褌の布教の為ぇぇぇぇ!!」

「転職したいいいいいい!!」

 

囲い込み、一斉に跳びかかる水兵達。

しかし、そんな状況でも愛紗は思う。

 

(水兵3…………苦労しているんだな)

 

思うと同時に、槍を頭上にかざして、一回転させた。“ブォンッ”という凄まじい音が辺りに響く。

風圧に思わず目を瞑る冥琳。目を開けた時には、取り囲んでいた筈の水兵達が倒れており――。

依然、悠々と一刀達がいる船室目指して闊歩してゆく愛紗の後ろ姿を見送ることしかできなかった。

 

 

 

「っておい待て、黙って行かせるか。私だって戦えるのだぞ」

 

 

 

そう。孫呉の軍師は戦えるのだ。他の国では考えられないが、事実だ。

 

「自慢ではないが、私とて腕に覚えがある。それに私には、隠された第三の目がグハッ!!」

「峰打ちだ。他の兵共もな。水兵3に良い職場を提供してやれ」

 

 

 

愛紗の後ろ姿を、たんこぶを抑えながら見送るしかできない冥琳。

 

 

 

「おい……水兵3……生きてるか……」

「ぎくっ……へい、周瑜様……」

「希望の職場は」

「で、できれば水兵2がいない職場がいいです……」

「どの職場にも水兵2みたいな人間がいるぞ」

「………諦めます………」

 

 

その会話を最後に、水兵3は気絶した。それを聞いて、

 

「……世知辛いものよ」

 

と冥琳が言ったとか言ってないとか。

 

 

 

<つづく>


 
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