『キスの練習……』
そう言って、あかりちゃんの唇を奪ったあの日から……
「はぁ。どうして、こんなにもあかりちゃんが気になるんだろ?」
影の薄い女の子。そしてとても優しくて温かい子。私の相談にも嫌な顔せず乗ってくれる。
そんなあかりちゃんが気になり始めた。
私には結衣先輩という心に決めた人がいるのに、どうしてあかりちゃんが…………
「……あかりちゃん」
「ちなつちゃん、どうしたの?」
「ひゃっ!? あ、ああ、あかりちゃんっ!?」
「うん。わたしはあかりだけど……どうしたのちなつちゃん?」
び、ビックリした……急にあかりちゃんが声をかけてくるもんだから、ほんとにビックリした。
「ちなつちゃん、顔が赤くなってるけど大丈夫?」
「…………ぁ」
あかりちゃんが髪をかきあげ、おでことおでこを合わせる。
「あ、あぁ、あ……あかりちゃ……」
ち、近い……あかりちゃんの顔が近いって! いくら熱を測ろうとしているとはいえ、
こんな測り方をしなくてもいいじゃない。
「わわっ、凄く熱いよちなつちゃん!」
「だ、大丈夫! 大丈夫だから――だから早く離れて」
「あ、うん……」
あかりちゃんの顔が私か離れる。その瞬間、ふと寂しく感じたのは気のせいだよね?
「ちなつちゃん……保健室とかにいかなくて大丈夫?」
「大丈夫っ! 大丈夫だから!」
別に風邪とかを引いてるわけじゃないから。ただ、あかりちゃんの顔が近すぎただけだから。
だからほんとに体調が悪いとかじゃないのよ。
「そっか。でも辛かったら言ってね? あかり、ちなつちゃんの辛そうな姿見たくないから」
「あかりちゃん……」
眩しいくらいの笑顔を浮かべるあかりちゃん。天使のような眩しい笑顔のあかりちゃん。
正直、あかりちゃんのこの笑顔はズルいと思う。
「えへへっ♪」
あーもうっ! 何であかりちゃんは、こんなにも愛らしいのだろう?
こんな可愛らしい姿を見せられてあかりちゃんを好きにならない人なんていないだろう。
私はずっと結衣先輩一筋だと思ってたのに。それなのに――
「?」
その無防備な笑顔がズルい。私はこんなにもあかりちゃんが気になっているというのに。
あかりちゃんは私の気持ちになんて気が付いていない。
でもいつか――
『キスの練習……』ううん。練習じゃなくて本番であかりちゃんにキスをして……
あかりちゃんに私の気持ちを気付いてもらうんだから!
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またゆるゆりですが堪忍を……
それにしても、ゆるゆりの組み合わせは多いから考えるのが楽しい。