No.298690

真・恋姫†無双 ~死んでも俺は叫び続ける~ EPISODE 08『張角』

futureさん

天和がかなり可愛いと思う今日この頃。
ところで天和の個別ルートはないのかね? 無印みたいにさ。

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2011-09-12 18:46:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3127   閲覧ユーザー数:2675

一刀(かずと)「まぁ、このくらいかな」

 

陽も落ち、薄暗い街の中で俺は食料調達という何とも面白みの無いことをしていた。

男女比が1:3というパーティの中でなぜ俺がこんな事をしなければならいのか。悲しいことに3人中3人が武闘派なのだ。仮に料理を作ってもらったとしても、得体の知れない何か。あるいは栄養バランスに難のある物が出来上がるはずだ。きっとそうだ。そうに決まっている。

 

一刀「一体今までどうやって食い繋いできたんだろうな。気になるけど気にしたら負けな気がする。・・・・お?」

 

人気の無い道を一人の少女がフラフラと歩いてくる。しばらく見守っていると・・・・倒れた。

 

一刀「・・・・・え?」

 

イヤイヤ待て待て。こんな街の中で行き倒れか?

 

一刀「オ、オイ。大丈夫か?」

 

少女「う・・・・う~ん・・・」

 

一刀「死んではいないな。キミ、名前は?」

 

少女「うぅ・・・・減った・・・」

 

一刀「減った、か。随分と変わった名前だな・・・・・じゃなくて」

 

困った。時間も時間なので周りには誰もいない。その上少女は何かうわ言を呟いているだけだ。・・・・・と、なると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ただいまー。ってまだ誰も帰ってないのか」

 

少女「・・・・・・・んぅ・・・・」

 

とりあえず宿に帰ってきたものの見事に誰もいない。まぁ居ないなら居ないで説明をしなくて済む分楽っちゃ楽なのだが。

 

一刀「とりあえずその辺りで休んでいてくれ。今何か作るから」

 

ここに帰ってくる道中、ずっと彼女のうわ言を聞いていて分かったのだが、彼女はただ単にお腹が空いていただけのようだ。最初の減ったもそういうことだろう。

少女は俺の言葉が聞こえたのか否か。そのままベッドに倒れ込んでしまった。

 

一刀「・・・さて。何を作りますかね」

 

 

 

 

雀の鳴く声で目が覚めた。

此処はどこだろう。私はいつの間に寝台で眠っていたのか。

・・・あれ? なんか昨日の記憶が曖昧だな。そもそもこの男の人は誰かな?

今はまだ寝ているけれど・・・・え。あれ。私、何でこの人と同じ寝台で寝ていたの?

同じ布団で、知らない男の人と一緒に・・・・えぇ? も、もしかして、もしかしなくてもそういう事なの!?

 

昨日の記憶が曖昧なのも、もしかして・・・・・

 

・・・・うぅ。そう思うと何か恥ずかしくなってきたよ・・・。でもこの人よく見るとカッコいいし・・・。

 

男「ん? ・・・・ふぁ~あ」

 

あ、あわわっ!? お、起きちゃった!!

 

男「・・・・・あぁ。おはよう。昨日の疲れはとれたかい?」

 

疲れ!? 疲れってやっぱりそういう意味の!? それに私が隣にいる事について何もつっこまないなんて・・・・! これはもう本当に・・・・

 

少女「せ、責任取ってください!!」

 

男「・・・・はぁ?」

 

ゴメンね皆! 私はこの人のモノになります!

 

 

 

 

・・・・やだ。恥ずかしくて死にそう。

 

一刀「あー。落ち着いたかい?」

 

少女「うぅ・・・・。すみません・・・・」

 

彼の出すお茶を飲む。きっと美味しいお茶なんだろうけど、今の私にはその味が分からなかった。

 

一刀「さて。いきなりで悪いけど聞きたいことが幾つかある。まず、名前は?」

 

少女「うぅ・・・張角(ちょうかく)っていいます・・」

 

一刀「!! 張角・・・ねぇ。まぁいいか。じゃあ張角。君はどうしてあんな発言をしたんだい?」

 

張角「あ、あんな発言って?」

 

一刀「ほら、責任がどうのこうのって言ってただろう?」

 

張角「あ、あれはだって・・・・同じ布団で寝ていたし・・・・・私が隣にいたの事にも驚かなかったし・・・・それに・・・・」

 

そこまで言うと一刀はやれやれと言った様にため息を()く。

 

一刀「いいか。君は幾つか勘違いをしている。まず俺は童貞だ。女を抱いたことも無ければ、女性の裸体なんざ妹のしか見たことが無い。二つ目。隣にいたことについてだが、あれは君が原因だ。俺が眠りにつこうとした時、君が急に起きたかと思うと何を思ったか俺に抱きついてきてね。最初は驚いたけど、そのまま寝ていたことだし、寝相が悪いってことで放置しといた」

 

張角「放って置かないでくださいよ! それに、わ、私も処女ですよ!」

 

一刀「君はどこかずれているな。主に頭の中が」

 

茶を飲み窓の外を見る。風が冷たそうだな。なるべく外には出たくないものだ。

 

一刀「さて、次の質問だ。最も、これを始めにするべきだったのかもしれんが。なぜ君は腹を空かして街中を彷徨っていた? 手ぶらな事から、よもや連れがいない訳でもないだろう」

 

張角「そ、そうですよ!」

 

ガタッと椅子を倒して勢いよく立ち上がる張角。

 

張角「私たちは三人で音楽を奏でながらいろんな所を旅する旅芸人なの! それで昨日はこの街に来て、宿も決めて、時間までは街でお昼ご飯でも食べようって言ってたのに、二人とも迷子になっちゃったの! それで探しているうちにお腹も減ってきて、二人とも見つからなくて、それで・・・・」

 

一刀「・・・・あー。んじゃあ、その迷子の連れ二人を探しているうちに自分も迷子に」

 

張角「なってないよっ! 私が二人を探していたの!」

 

うん。何だろうね。その連れの苦労が手に取るように分かるのだが。

そういや「私たち三人」って言ってたな。んで目の前にいるのが張角・・・・。

 

一刀「もしかしてその連れ二人って張宝(ちょうほう)張梁(ちょうりょう)か?」

 

張角「わぁ! よく知ってるね! もしかして貴方、私たちの演奏を聞いてくれたことある人?」

 

一刀「いや全く」

 

張角「え・・・? そうなの? なぁーんだ・・・」

 

む。落ち込ませてしまったようだな。どうも女の子の扱いは不慣れなんだよな。琴音(いもうと)にもずっと文句を言われていた気がする。

しかしこのまま落ち込んでもらってる訳にもいくまい。とりあえず行動を起こさないとな。

 

一刀「まぁ旅をするぐらいなんだから、自分たちの演奏には自信があるんだろう?」

 

張角「む。それは私たちへの挑戦と受け取っていいのかな?」

 

一刀「こちら自身に挑戦材料が無いんだがな。まぁそう受け取ってもらっても構わない」

 

張角「ふっふっふっ。実は隠していたけど、私たちの演奏は凄いんだからね」

 

一刀「隠すも何も一度も聞いたことないと・・・・あぁ。うん。つっこんだら負けですか。そうですか」

 

張角「地和(ちいほう)ちゃんも人和(れんほう)ちゃんもすっごく上手いんだからね! もちろん私も上手なんだよ!!」

 

一刀「分かった分かった。じゃあそこまで言うなら是非聞かせてもらわないとな」

 

外は寒い。既に使い古した感じの外套を羽織り、部屋の外へと出る。

 

張角「あれ? どこへ行くのかな・・・・・あ。どこへ行くんですか?」

 

一刀「まだ寝ているのか? 演奏を聞かせてもらえるんだろう。早いとこその迷子の妹達を捜してあげないとな」

 

やっと気づいたのか、嬉しそうに後をついてくる張角。例に漏れず可愛い笑顔だ。

・・・・にしても張三兄弟ならぬ張三姉妹か。早いとこ見つけられればいいんだけどな。

 

 

 

 

張宝「あーっ!! 姉さん見つけたー!!」

 

張角「あーっ!! 地和ちゃん見つけたー!!」

 

一刀「・・・・・・」

 

うん。結構すぐ見つかっちゃうんだね。仕方ないね。

再開を喜び合う二人の横を通り過ぎて、こちらへと向かってくる少女が一人。張角とは違って落ち着きのある雰囲気を漂わせている子だ。

 

一刀「え~と。君は?」

 

張梁「愚姉が迷惑をお掛けしました。妹の張梁です」

 

一刀「北郷一刀だ。よろしく」

 

張梁「北郷・・・聞いたことがあります。天から遣わされた御使(みつか)い様だとか」

 

一刀「そいつは違うな。実際は何の当てもなく、大陸中をブラブラとしている何処にでもいるような男だ」

 

張梁「しかし、現にこうやって天和(てんほう)姉さん・・・・張角を助けてくださったのでしょう?」

 

・・・・参ったな。バイト時代は「血も涙も無い男だな。お前は」とか言われたんだけどな。

 

張梁「この度は本当に有難うございました。本当、私たちではどうしようもなかったので・・・・」

 

一刀「姉の手綱は手放すものではないな。・・・・・さて俺はもう行くよ」

 

軽く礼をして、その場を立ち去る。背後からはまだ張角と張宝の声が聞こえている。これ以上居ても姉妹の再会に釘を刺してしまうだけだろう。

・・・にしても声が大きいな。いや、だんだん近づいて・・・・

 

張角「北郷さんっ!!」

 

一刀「うぉわっ!? ・・・・なんだ張角か。驚かせるなよ」

 

すぐ後ろに居たのは先ほどまで張宝と再会を喜び合っていた筈の張角だった。

 

張角「なんだ、じゃないですよ! 私たちの演奏を聴いていくんじゃなかったんですか?」

 

一刀「・・・・・あー。悪いな。俺にも仲間が居てな。まだ旅の途中なんだよ」

 

張角「む。そうなんですか・・・。むー・・・・・・そうだ!!」

 

一瞬しおれかけていた頭のアホ毛(?)がピンッと立つ。本当に喜怒哀楽の激しい子だな。

 

張角「私の真名、天和って言うんです。この真名、北郷さんに預けます」

 

一刀「え? いいのか? 俺はただ君を拾っただけだぞ?」

 

張角「分かってないですねー。だからこそ貰って欲しいんですよ」

 

そういうものなのだろうか。要は自分が許すか許さないか。もしかしたらそんな簡単な話なのかもしれない。

 

一刀「・・・そうか。なら俺も預けないとな。けど俺には真名というものが無くてだな・・・・代わりに一刀って呼んでくれ」

 

張角「一刀? それって宿でも聞きましたよね?」

 

一刀「真名のようなものだ。自分の親が考えてくれたものだから――・・・・」

 

そう。親が・・・・考えて・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父『よし! お前の名前は一刀だ! どうだ? カッコいい名前だろう?』

 

母『まぁ。そんなにはしゃいじゃって。とてもいい名前だものね』

 

父『だろう! この一週間、寝る間も惜しんで考えてきたんだからな! 自信作だよ!』

 

母『まぁ・・・・・ふふっ』

 

一刀「―――――――――ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

張角「んん? どうかしましたか?」

 

一刀「え? あぁ、いや。なんでもない。えーと・・・・天和」

 

天和「はい! えーと・・・一刀さん!」

 

一刀「一刀、な。あと何でか知らんがな、その敬語も止めてくれ。息が詰まりそうだ」

 

天和「そうなんですか―――・・・あ。そう、そうなの? 一刀」

 

一刀「そうだ。その方が何となく君らしい」

 

天和「えへへ・・・・」

 

頭を撫でてやると、満足そうな笑みを浮かべる天和。尻尾でも付いていようものならパタパタと振っていたことだろう。

 

天和「ん。じゃあ、私ももう行くね」

 

一刀「あぁ。またな」

 

そのまま天和は妹たちのもとへと帰っていく。しかし彼女は途中で振り返り、

 

 

 

天和「私たちが有名になったら! 演奏を聴いてもらうからねー!! その時まで、私の真名を、忘れないでねー!!」

 

 

 

・・・当然だ。

だからこそ、俺は出来得(できう)る限りの笑みを返してやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TO BE CONTINUED

 

 

 

 

蛇足(あとがき)

 

はいどうも、futureです。

EPISODE 08 いかがだったでしょうか。少しでも面白いと感じていただければ幸いです。

相変わらず定期更新は出来ていませんね。これでも幾分か現実(リアル)の方は安定してきているんですけどね。

 

さて、何故今回あとがきを書くに至ったかと言うと。

一応ニュースレターでもお知らせしたのですが、最近私ことfutureがtwitterなるものを始めました。

TINAMIとの連携機能があると小耳に挟んだので、これを使わない手はないと思った次第です。

twitterでの主な活動内容としては、今まではニュースレターやあとがきを利用して行ってきた近況報告です。むしろそれしかありません。

twitterなら割と簡単に報告がしていけると思うので、今までより細かく、かつ定期的に近況報告等がしていけると思います。

まぁたまには全く関係のない呟きもしたりしますが・・・・。

そんなtwitterへのリンクはこの作品説明欄、私のクリエイタープロフィールに置いてあります。

 

では今回はこの辺りで。今後とも頑張っていきますので、暇のある方は最後までお付き合いください。

 

有難う御座いました。次の作品でまた会いましょう。

 

 


 
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