No.293953

GROW4 第十七章 孤高の頂

しゃなさん

ゴーレムさん、おまえがナンバー1だ

2011-09-05 22:00:11 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:570   閲覧ユーザー数:570

 1

 

 フィールドの中心部から現れた80体弱のゴーレム。フィールドの中心付近にいた舞姫に、一斉に向かっていく。未だ、吹き飛ばされ鉄格子の外にいた薪南は、舞姫が破壊した隙間から中へと侵入する。

 薪南とゴーレムの距離は150m。ゴーレムは薪南の存在にはまだ気が付いていないようだ。

「あんなにたくさんのゴーレムに囲まれてるのに笑ってる?」

「ふふふ。どかさないといけないです」

 すっ

 左拳を、左後方に向ける舞姫。これだけのゴーレムに囲まれているにもかかわらず、一体だけを狙うのか?

「消えなさい。城覇錐發(エミルドレードルグ・ブレルマルガ)」

 ガコォン

 シュゥゥゥゥ

「思ったより硬いです・・・」

 舞姫の拳を受けたにも関わらず、ゴーレムはびくともしない。それどころか攻撃を受けながら前進してくる。

「仕方ないです・・・」

 更に舞姫に接近してきたゴーレムたちとの距離はゼロ距離。しかし、舞姫は微動だにしない。

 ドドドドドドドドドッ

 

 舞姫を取り囲んでいたゴーレムたちが、50m程吹き飛んでしまった。舞姫は、先ほど薪南を攻撃したのと同様に、攻撃のモーションすら見せていない。何かの術なのだろうか・・・

 吹き飛んだゴーレムは、倒れはしなかったもののダメージがないわけではないようだ。少し綻(ほころ)びが見られる。

 ほとんどのゴーレムが吹き飛ばされたものの、すべてのゴーレムが吹き飛んだわけではなく、十数体のゴーレムが舞姫の5m圏内に散らばっている。

 

 すっ

 舞姫は、散らばっているゴーレムのうちの一体に左手を向ける。

 ゴーレムも、それに気づき反撃の体勢を取り出す。

「遅いです。罐舂堵弩怒絨の拳(かまつどどどじゅうのけん)、“黒”(こく)」

 ガコォォォン

 ガラガラガラガラ

 

「咲陰曲香月(さんいんまがりかげつ)っ!!」

 ドシュゥゥゥ

 舞姫の左拳は、ゴーレムの攻撃ごと吹き飛ばした。ゴーレムは、拳をまともに喰らい半壊するものの倒れない。しかし、ゴーレムは舞姫の追加攻撃によって動かなくなってしまった。

 斬られたところは、内部の部品が丸見えになるほどで、拳を受けた腹筋部分は黒く焦げて変形している。頑丈なゴーレムに傷を付けるなど相当な威力なのだろう・・・

 

「一体でこれだけ手こずるですか。しかも今のは人間サイズ。完成形ゴーレムは怖ろしく頑丈です・・・」

 舞姫は、倒れたゴーレムを見つめ焦りを浮かべる。そんな舞姫の周りには、新たなゴーレムたちが迫ってきていた。

「これじゃ、対戦者同士が戦えないです」

 

 変わって薪南のほうはというと、飛んできたゴーレムの相手をしていた。吹き飛ばされてきたゴーレムのうちの3割程度が、薪南の存在に気付き向かってきたのだ。

 薪南のほうは、ゴーレムのあまりの頑丈さに圧倒され、対処の仕様に困っているようだ。

「ハァハァ。攻撃が、効かない?」

 シュゥゥゥゥ

 薪南の前方には、10m級のゴーレムが6体。それを追いかけるように十数体の大型ゴーレムが接近しつつある。6体をまとめて攻撃しても、分散された攻撃になってしまう。数を前に冷静になりきれてない薪南はどんどん後退している。

「ふふっ。向こうはもう終わりみたいです。こちらが手を下す必要もなかったです・・・」

 ガコォォォン、ガコォォォォン

 舞姫も、ゴーレム相手に苦戦しているものの、一体一体確実に破壊していく。

「向こうはあっさり破壊してる。これじゃ、修行の意味が・・・」

「あきらめんじゃねぇぇよ、薪南ァァァァ」

「えっ?」

 ゴーレムの強さに絶望し、傷心している薪南に対し、大声を上げたのは衣さんだった。その声に、

反応するかのように見る薪南。

「お前はそんなガラクタ人形なんかに負けるほど弱かったか?本気を出せ、薪南」

「衣、さん・・・」

 

 バチバチバチバチィィィ

 薪南の身体が激しく電導する。しかし、ゴーレムは拳を振りかざし薪南を打ち抜く寸前だった。

『ゴゴゴゴゴゴッ。排除する・・・』

 ギュゥゥゥン

 バシィィィィッ

「なっ!?」

『オオオ』

「死武羅電流(ジブラでんりゅう)」

 ジュァァァッ

 ゴシャァァァァッ

 

 ゴーレムの攻撃を右片手で止めた薪南。反対側の手で、高電圧を放った。ゼロ距離の薪南の電流は、ゴーレムに流れると思いきや一瞬にして身体を貫通させた。

 身体の中心部を直径3mもの巨大な大穴をあけられたゴーレムは、機能停止し地面に倒れてしまったのだ。

「あの子。手加減でもしてたです?比にならない攻撃です・・・」

「やっと一人前の顏(ツラ)になったな、薪南。こっからがあいつの“真価”だな」ニヤリ

「覚悟しなさいボロ人形。一瞬で片付けてあげるから」

 シュゥゥゥゥ

「“裏”禁呪、黒白電(こくはくでん)・・・」

 

 

 

 

 

 2

 

 薪南の身体は真黒に染まり出す。その周りを透明な電流が張り巡る。

 薪南が使っているのは裏禁呪。大きな力には変わりないが、大丈夫なのか?

「ゴーレムさん。先ほどはつまらない攻撃、すいませんでした。わたしもやっと“次の段階”に進めたみたいです・・・」

『ゴゴゴゴゴゴッ』

「爆電(ばくでん)っ」

 バチィィィィ

『オオオオオオオオオオオオオオオオオッ』

 ドサドサドサドサドサッ

「さて、と。あとはおねーさんだけ、か・・・」

 薪南の電流が見えなかった。ただ、雷鳴だけが小さく鳴り響き、ゴーレムが次々と倒れていく。最後の一体を倒した時には、フィールドに立っているのはたった二名の“人間”だけだった。

 

「すごいです。まさかこんなにあっさりゴーレムを倒すですか?」

 明らかに本心で言ってない舞姫は、含み笑いで薪南を見つめる。舞姫のほうも、薪南が一斉にゴーレムを破壊したのを見ると、動きが豹変した。一分後には粉々になるゴーレムの上に立つ舞姫の姿があった。

「おねーさんも全く本気じゃななかったじゃない」

「わたしに“本気”は出させないほうがいいです。一瞬で死に目を見るです・・・」

「意地でも出させてあげる。見是白鬼龍(みぜしろきりゅう)っ」

 ゾゾゾゾゾゾッ

 バチバチバチィィィン

「なるほどです。見えない電流は白電。急激な電流の上がり方は黒電・・・

付け焼刃の裏禁呪です。AIがポンコツレベルの雑魚ゴーレムに通用する程度のレベルです」

「簡単に消えた!?」

「おしかったです。わたしが相手でなければもっと上に行けたです」

 ドドドドドゥン

 ガシャァァァァン

 

「また、あの攻撃!?」

「鉄格子があって良かったです。地球の反対側まで飛んでたです・・・」

 舞姫の攻撃がつかめない。またもや会場の端まで飛ばされた薪南。ゼロ距離であの攻撃はきつい。

「げほっ、げほっ。気や魔術でもない?一体なんの攻撃なの?」

「これから潰れるあなたには分からなくていいです」

 ゴシャァァァァ

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」

 またもや離れた所からの攻撃。舞姫は何もしていないのに、薪南は地面に埋まってしまったようだ。

「ま、まだ・・・」

「それ以上立ち上がっても無駄です。それとも何か分かったです?」

 薪南の身体はボロボロだ。周りを囲む電流も消えてしまう。

「なるほど、わかったわ」

「ん?」

 薪南はニヤリと笑う。一体何が分かったのだろう。

 ざざっ

 舞姫に向かって前進する薪南。それに対し、冷や汗を流しつつある舞姫。今現在、激しいやり取りが行われているのだ。

「まさか、気づいたですか。わたしの攻撃に・・・」

「虚空掌(こくうしょう)」

 ボッ

「ああああああああああああああああああああああああああっ」

 寸止めだ。薪南は、舞姫に攻撃を当てずに直前で止めた。しかし、舞姫は吹き飛んでダメージを受けてしまう。

 吹き飛んだ舞姫は立ち上がることはなかった。一体どういったからくりなんだ?

 

「あなたの攻撃方法は、相手の気、もしくは魔力を使って直接打ち込むものね。こちらの気が高いほどダメージは大きくなる。イメージを浮かべただけで放てるから、攻撃の際の動きもないし隙もできない。わたしがさっき攻撃をした時、攻撃が消えたように見えたのは、こっちの打ちこむ攻撃力分を外に出してかき消したから。決して見えたわけでもないし、あなた自身がかき消したわけでもない。そして最後に、あなたはこちらの攻撃力を0にすると、対処法が無くなりダメージを受ける。これがその術式の付加能力。あなた自身の力はたいしてない。本当に強いのなら、ゴーレム相手に最初からあんなに苦戦しなかった」

「完敗です。まさかこんなにあっさりと見破られるとは思ってなかったです・・・」

 

 「勝者、三澤薪南」

 

「衣さんに感謝しないといけないね・・・」

 

 

 

 

 

 

 3

 

 薪南の試合も終わり、二回戦も最終試合となった。

 第二回戦、第十三試合目、人妻マリア(聖2)VS六道輪廻(冷門3)の試合だ。

 一回戦で圧倒的な力の差を見せつけ、勝利を収めたマリアに対し、シードで向かい撃つは三年の輪廻だ。

 趣(おもむき)のあるその風貌は、黒い制服に包まれた少女だ。身長140cm前後の黒髪ショート。真黒な制服に真黒な靴、靴下まで真黒だ。ただ、黒くないのは瞳の色だ。真っ赤に染まるその両目は、獲物をじっと見つめる肉食動物のようにマリアを見ている。

 

「噂に名高き六道一族の・・・」

「あたしは早く勝って次に行きたいのだ。はよう始めてもらおか?」

「お望みならば、一瞬で・・・」

 

 「第二回戦、第十三試合目。始め」

「黄金術式(ゴールデンスキル)、神人の創造槍(ゴッデス・プリマドルミチェ・ガブェドラツェ)」

「・・・・」

 ブンッ

 バシャァァァァァン

 

「あらら」

 粉々になりはじけ飛んだ輪廻。こんなにあっさり片がつくとは思っていなかったマリアは唖然としている。

 

 「し、死んでしまったのか?そ、それでは勝者」

 ギュゥゥゥン

「え!?」

 「再生した?」

 驚き声を上げるマリアと審判。粉々になった筈の輪廻の肉体は、まるで時間を戻したかの如く、肉片が一瞬にして集まり再生した。

 何事もなかったかのようにあくびをする輪廻。そのあと言ったセリフがとんでもなかった。

「何かあったかい、そんな顔して?審判、“試合を始めてください”・・・」

「まさか、まさか・・・・」

「ん?ああ、その表情を見るからにあたしを一回“殺した”ようだね。面白かった?再生したよね」

 ニッコリ笑う輪廻。攻撃されたことを憶えていないのか?

「まさか、“輪廻転生”(りんねてんしょう)!?」

「当たりかな?“半分”は。あたしの身体は死んだり激しく損傷すると、自動的に肉体の損傷前に巻き戻る。記憶も戻るのが痛いけどね。だけど、“半永久的に”あたしは死なない。死ねないのさ・・・」

「輪廻転生は事実上“一回”と限定されている筈。それ以上は、被術者の暴走、もしくは魂の消失になりかねない危険な術なのにそんな簡単に・・・」

「おじょーちゃん。あたしは半分って言ったんだよ。そもそも、あたしの名前に由来して言っているだけで、術式の本来の名は“時間誘導”(タイム・ルーラ)だよ。さて、ここまでいろいろと教えたんだ。楽しませてくれないか?その無駄に大きな槍とやらで・・・」

「中尊寺のフェルティマは、こいつを一度討ってる。対処の仕様はあるばずよね・・・」

 

 

 4

 

 次回予告

 

 マリアさんのチート能力に対抗させてみましたww

 輪廻転生についての論述は決して正しくありません。適当に書きました、うそですwww

 さて、次回はどうなるのでしょうか?

 こんかいは一回消えたせいでグダグダになりましたが、頑張りました。

 次回もガンバろ。

 ひどいww

 

 次回、GROW4第十八章 構築される世界

 

 ではでは

 

 タイトル格好良くて内容ひどいからねいつもww

 

 


 
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