No.220449

鳳凰一双舞い上がるまで 雛里√ 6話

TAPEtさん

真・恋姫無双の雛里√です。
雛里ちゃんが嫌いな方及び韓国人のダサい文章を見ることが我慢ならないという方は戻るを押してください。
それでも我慢して読んで頂けるなら嬉しいです。
コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。

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2011-06-03 20:08:55 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:4941   閲覧ユーザー数:4130

一刀SIDE

 

「今夜も来た」

 

グルルー『…貴様には礼を言わなければならん』

 

「……」

 

『貴様のおかげで、飢えていた俺の群れがここ10日しのげてきた。これからは得た体力を持って他の森へ動くつもりだ』

 

「…お前らもここを出るつもりか?」

 

『この森はもう俺たちを養う余力がない……「も」だと?』

 

「…明日俺はあの塾を出る」

 

『行く宛もないはずだが?』

 

「そんなものはない。だが…」

 

 

「これ以上あそこに残っていてはいけない」

 

『……何があったか』

 

「……それを教える義務はない。こっちの問題だ」

 

『そうか……だが、一人で行く道は辛いぞ。旅には連れがいなくては、いつか行く途中で倒れてしまう。そしたら、そのまま一人で寂しく逝くまでよ』

 

「…余計なお世話だ」

 

 

 

 

「この塾を出ようと思います」

「……どうしてそんなに急に……」

 

水鏡先生のところに、ここから出る決心を伝えた。

 

「まだ自分がどうするべきかも決めてないはずです。一体どうしたのですか?」

「……自分がここに来て雛里や孔明たちに迷惑になっています。そして何よりも自分のことです」

「…と言いますと……」

「……おかしいんです」

 

雛里を見ていると、どうしても自分が変になる。

いつも人と距離を取っていたはずなのに、雛里にだけは距離がどんどん縮むばかりだ。それを追い払うこもない。むしろ自分から彼女に歩いて行っている。自分からまた絶望の種に向かって進もうとしている。

もう嫌だった。

誰かを失うことも、誰かに近づくことも……

なのに雛里は……

 

「昨日雛里が私のところに来ていました。街にあった予言が書かれた文について相談をしに……」

「…それは」

「私はあなたは朱里の思いが間違っているとは思いません。ですが、雛里にこうは言ってあげました。もしあなたがその道を選ぶとすれば、それはとても険しい道のりになると。誰かが彼を支えてあげなければ彼は途中で倒れてしまうと……」

「……………」

「乱世が始まって、私がまだ心の準備出来てないうちに多くの教え娘たちがあっちこっちに自分の夢を広げにここを去ってしまいました。だから私はつも私の教え娘たちがここから出ても良いように、準備をしていたのです。もし雛里があなたに付いて行くとしても、私はあの娘を止めないつもりです」

「…会ったたった半月の人に、自分の一番の弟子を託すというのですか」

「……あなたと雛里が会ったこと、きっとただの偶然ではないはずです。きっとそこで出会う運命だったのですわ」

「運命……」

 

もしそれが運命だとすれば…

それもまた私にとって未来の絶望になるしかない。

 

「……自分が一人がいいです。雛里を巻き込むつもりはありません」

「………」

「世話になりました」

 

俺は水鏡先生に最後の挨拶をして、部屋を出て行った。

 

 

 

「鞄に私物はいれといて……」

 

がちゃ!

 

「…うん?」

 

鞄の中にランタンとキラキラして目立ちそうな制服上着は締めておこうと鞄を開けたら、

 

「何故木刀が……?」

 

鍛錬に使う木刀が入っていた。

鍛錬に使うというのは普通の木刀とは少し違って、前の方が重くなっていて、素振りの姿勢を正す時や、腕の持久力をあげるために使う奴だ。

前服と時計を取ったから、何も入ってないはずだったのに、何故こんなものがまた……

 

「一刀さん…入りますね」

 

がらっ

 

「…一刀さん?」

「…!雛里、なんの用だ」

 

そんな風にしていたら雛里が部屋に入ってきた。

 

「あの、……ごめんなしゃい!」

「……?」

 

突然彼女が謝って(しかも噛んで)俺はちょっと驚いた。

 

「…何故謝る」

「あの、私、いろいろと一刀さんにご迷惑かけていsまって…だから、一刀さんここから出ようとしてるんですね」

「…お前には関係ない」

「じゃあ、どうして急に…」

「もうここに居る理由がないからだ」

 

鞄から木剣を取り出して、上着を入れてから鞄を締め持ち上げながら俺は言った。

 

「これ以上ここに居たところで、雛里たちに迷惑でしかない」

「わ、私たちは別に………」

 

雛里は言葉を終わらせないで目を逸らした。

俺のことが迷惑でないとは言い切れないのだ。

 

それでいい。それなら俺も調子を崩さずにここを出ることができる。

 

「あの時お前に助かれたのは幸運だった」

「あ……」

「ありがとう、雛里。孔明と一緖に、後で立派な策士になれ」

 

今まで人を仲良くしようと努力したことなんてない。

だけど、一人になったときもまだ短い。

 

いつも誰かが側にいた。

両親が亡くなってからは祖父さんが、祖父さんが亡くなってからは及川が居た。

そして、及川も失った短い間、雛里がその代わりであったのかもしれない。

 

…だけど、きっと一人でも行けるはずだ。

俺は………

俺hあこれ以上失いたくない。

だからこれ以上俺に関わるな。

 

「それじゃ……」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

待つな。振り向くな。

今振り向いてもしあいつがお前に付いてくると言ったらお前に断ることができるのか?

 

「……せめて街のところまでは一緖に行かせてください」

「……」

 

それぐらいなら…

 

「好きにしろ」

 

俺はそう冷たくいい当たって、片手には木刀を持ち、もう片手には鞄を転がしながら振り向かずに先に進んだ。

 

 

 

雛里SIDE

 

 

一刀さんが塾から出ると突然言い出した時、私は自分が何かをしたせいだと思って謝りました。

一刀さんはそういうのではないと言いました。だけど、どうして急にこんなことをするのかは教えてくれませんでした。

きっと、私や朱里ちゃんが自分のせいでひどい目に会ったことを見て、早くここから出るべきだと思ったのです。

 

もうちょっとじっくり話とかがしたかったです。

天の御使いとしてのことももう少しじっくり話し合いたかったです。

一刀さんがもしその気になってくれたら、私は一刀さんと一緖に行くのも悪くないと思っていました。

仕える人を探すなら、乱世を鎮めるという、そういう優しい考えを持っている人がいいなと思っていました。自分の野望のためではなく、人たちを幸せにするために戦う人なら、きっと優しい人で、こんな私でも頑張ったら人たちの力になれると、

そんな思いで、私はあの夜星に願ってたのです。

 

だけど、こんなことになってしまいました。

今の一刀さんは、もし私が付いて行くと言っても許してくれそうにありません。

何故か、あの時以来の一刀さんは、以前とは違います。

初めて会ったときでもちょっとおかしくて、言うことが整然としてるように見えてすごい変なことも平然とする人でした。

でも、今は違います。むしろこっちの話に合わせてくれようとしてくれないのです。

ポイっと一言出しては会話が終わります。まるで態と私を遠ざけようとしているみたいです。

 

とにかく、今は少しでも一刀さんの気を変えるべく、ならべく近くに居たいです。

幸い、街まで一緖に来ることは駄目とは言いませんでした。

なんとか街まで行くところで、一刀さんの気を探ってみたいと思います。

 

「一刀さん」

「………」

 

返事がないです。

 

「…一刀さんは、これからどうするつもりですか」

「………さあ」

「どこか決まったこととかも…ないんですか」

「…お前とは関係ない」

「っ」

 

な、なんですか、それ!

いつもの一刀さんと全然違います。

 

「酷いです!そんなふうに言うことはないじゃないですか」

「………」

 

無視してます。

完全にこっちのことを無視しようとしています。

何なのですか、一体。わけわかりません。どうして急に私にこんなふうにするのかも分かりませんし。

 

「一刀さん!」

 

ちょっと大きく声を出して一刀さんを呼びましたが、

 

タッ!

 

「ひゃうっ!」

 

前の一刀さんの背中にぶつかってそのまま倒れてしまいました。

一刀さんが足を止めていました。

 

「…一刀さん?」

「……街が…燃えてる」

「…へ?」

 

立って街がある方を見ると、本当にすごい煙が街の方から上がっていました。

 

「あわわ!」

「どういうことだ。何故……」

「まさか、街が賊に襲われたんじゃ……」

「何!」

 

でも、そんなはずは…

荊州でもこのあたりは比較的賊が良く迫ってこない街でした。

ここは水鏡先生もあるわけで、いくら賊たちも先生の人望を知っるならここには攻めてこないはずなのに…

まさかこんな……

 

「くっ!」

「あ、一刀さん!」

「お前は帰ってろ!絶対付いてくるな!」

 

一刀さんはそう叫んで鞄をその場にそのまま置いておいてすごい速度で山を降りていきました。

 

「一刀さん!」

 

一刀さんの後を追うつもりで下を見たのですが、一刀さんの姿はもういません。

 

一人に行かせて大丈夫なのでしょうか。

大丈夫なわけないです。でも、私が行ったところで何の役にも立ちませんし、むしろ邪魔です。

というか、もしかして本当に賊だとしたら……怖いです。

 

「……うっ」

 

バタン

 

「あ」

 

後すざりしていたら、一刀さんが置いていった鞄が倒れて蓋が開いてしまいました。

 

「………あれ?」

 

何か中から何か出てます。

 

「これって……なんでしょうか」

 

四角い形の硬みのあるものが落ちてました。

端のところに何か鉄が挟まれています。

 

「……あ、これって」

 

そしてその横に、以前のランタンのように押すような装置(たしかすいっち)があります。

 

がちゃっ

 

ジジジーーー!!!

 

「あわわ!」

 

何か、ジジーってしました!

驚いて落としたら、また静かになりました。

 

「な、何なの?」

 

またそれを拾ってみると、

 

「あ、何か書いてる」

 

なんだか読めない文字が混ざってました。多分、一刀さんの国の文字だと思いますけど……

それでも、読める文字もいくつかありました。

 

「人…向……作動…感電……痴漢退治…………子供」

 

良くわかりませんが……これを使えば……

 

ジジーー

 

「………」

 

なんだか、自分がすごく危険な考えをしているような気がしてなりません。

だけど、今の一刀さんを一人で行かせては行けない気がします。

良くわかりませんが、これがあればなんとかなる…と思います。

 

 

 

一刀SIDE

 

「コレは……!」

 

酷い様だった。

 

街のあっちこっちで火があがっていて、またあっちこっちから人の悲鳴が上がっている。

 

「助けてー!」

「おかあさーーん!」

「や、やめてくれー!」

「へへーっ。死にやがれー!」

「っ!」

 

ガチッ!

 

「うおっ!なんだ、貴様!」

「くたばってろ!!」

 

ぐすっ!

 

「うぐぅっ!」

 

木刀で家族一同らしき人たちを殺そうとする賊のみぞおちを突いたら、相手はそのまま気絶。

 

「大丈夫か!」

「あ、ありがとう……」

「どうなってんだ。ここは荊州でも安全なところではなかったのか!」

「わ、分からん!!いきなりこいつらが迫ってきて………」

「…何故こうもなるまで対抗できなかったんだ」

「…………」

 

男の人は何も言わなかった。

平和ボケしていたってわけだ。

賊たちが来るのがわからず、そのまま奇襲された。

そう思わなければこんな朝はやくにこんな状況までなるなんて、考えられない。

まるで賊相手に戦ったとかそういう跡がない。

 

「キャーー!!」

「ちっ」

 

他のところからも……

 

「街の男たちを集めて対抗しろ。座って死ぬのと賊から家族を守るのでどれが良い!」

「……わ、わかった!」

 

……ちっ、腰抜けた連中が……

もうこのままじゃキリがない。

早くこいつらを統率している頭を探さなければ街が完全崩壊する。

 

「……き、…貴様…よくも…」

「なにっ!」

 

気絶させたと思った賊の奴が立ち上がった。

どういうことだ。急所を狙ったはずだ。こんな簡単に立てるはずが……

 

「先の剣の鈍い感覚…木刀なせいだと思っていたらまさか鎧を付けていたのか?」

「はぁ、俺たちをただの賊と思ったら困るぜ。しねーーー!」

「ちっ!」

 

来るぞ!」

 

ジジジーーー!!

 

「うわわわわわわわわわあ・あ・あ・あ・あ・あ」

「!?」

 

仕掛けてくると思った賊は、その場で呻き声を出しながらそのまま倒れてしまった。

 

「一刀さん!」

「…雛里?」

 

そして、その後には雛里の姿があった。

彼女は手にスタンガンを持っていた。一体どこからそれを……

というか

 

「何故ここに居る!帰ろって言ったはずだ!」

「一刀さん一人で行かせるわけにはいかなかったのです」

「馬鹿を言え!こんな状況でお前まで守っていられる暇はないんだ!早く戻って……」

「おい!あそこにうちらの仲間が倒れてるぜ!」

 

周りを見ると、他の賊たちが迫ってきていた。

 

 

前に見えるのだけ五人。後からもまた現れている。

 

「小娘……いい度胸してるな!」

「ひっ!」

 

賊の一人に睨まれた雛里は俺の後に隠れた。

 

「貴様…俺らの仲間に手をだしといて、覚悟はできてるのだろうな」

「雑魚に用はない。頭がある場所を教えろ」

「はぁ?知るかよ、んなもん」

「俺たちゃここで好き勝手やってんだ。賊になってまで上の言うこと聞いていてたまるかよ」

「何!」

 

まさか、上の命なしで自分たちで街を襲いかかったというのか?

どんだけ腐れ外道だ!

 

「それより、気に入らねーな。俺たちに逆らうなんて」

「そんなおもちゃみたいなもので俺たちに勝てると思うなよ」

「ふん、そういう貴様らはどうだ。そのような剣の持ち方、基本がなってない。子供に厨房の包丁を握らせてもそれよりはうまく使い切るだろ」

「んだとー!もう許さん!ええい、行くぞお前ら!」

「「「おおお!」」」

 

挑発されやすい連中だ。

頭の命を無視して来ただけはある。

 

「雛里、下がってろ」

「で、でも」

「いいから下がってろ!」

「は、ひゃいっ!」

 

思わず大声を出したら雛里はその後にいた家族らのところに行った。

 

「すーっ」

 

集中しろ……

道場にて人たちと対練する時と同じだ。

一つの道場の師範たるもの無様な姿は許されない。

いつも剣を持っているならその場において誰よりも強くなければならない。

 

「来い、手合わせの時間だ」

 

「しゃーーー!」

「腰か空だ!」

「へぶしっ!」

 

「くらええーーー!!」

「剣を振るう時間が長すぎる。体ががら空きだ!」

「うぐぅっ!」

 

一人、一人。

集中して、常に全力で相手する。

 

「足が動いてない!」

 

「頭まっ二つにされたくなけりゃ敵の動きを読め!」

 

「貴様は素振りからやり直してこい!」

 

「貴様ーー俺たちをなめんじゃねー!」

「舐めてるんじゃない!」

 

空中に上がるな、死亡フラグだ。

 

「貴様らが基本がなってないんだ」

「へぐぅっ!」

「……貴様らが俺の弟子だったら全員道場の掃除からやり直しだ。身の程をしれ」

 

これで大体片付いたか。

手加減はしてない。ちゃんと気絶するほどの急所を狙っている。

木刀が少し重くて厄介だったが、こうなると逆にその重みがあったから良く使えた気もする。

 

「う、うごくんじゃねー!」

「!」

 

後を向くとどこから湧いてきたのか賊の一人が雛里ちゃんの首筋に剣を立てていた。

 

「一刀さん!」

「雛里!」

「くへへ、この娘を死なせたくなければ大人しくしてもらおうか」

「くふっっ!!やってくれたな、下衆が……」

「知るか!勝てばいいんだよ、勝てば」

 

「…………殺せ」

「んなっ!」

「一刀さん!?」

 

 

雛里SIDE

 

一刀さんを囲んだ数十人の武装した賊たちを、一刀さんは木刀だけで一人一人確実に仕留めていきました。

まったく緊張した色もなく、焦ることもなく、ただ着実に、1:1の状態で戦い続けてます。

 

「すごい」

 

強いです。一刀さん、思っていたよりもずっとすごい人です。

まるでこんな戦いを常にやっていたかのように、慌てることなく戦っています。

私なんか、最初にあのジジジーとするカラクリで一人を気絶させただけで、もう足が震えて立っても居られないのに……

 

「ねぇ、あなた」

「はい?」

 

横にいた、同じく賊から身を隠していたおばさんと娘さんがこっちに声をかけました。

 

「あの人、あなたの知り合いなの?」

「は、はい」

「一体誰なの?あんな木の剣で賊何十人と戦うなんて……」

「あ……」

 

どうでしょう。

私も良くわかりません。

一刀さんのこと、見た時間はあまり長くなくて、

ちょっと変な人だとは思ってましたけど、一刀さんがどんな人だとか、あまり知りません。

あ、でも。

 

「天の御使い……」

「…え?」

「ほら、以前にあったじゃないですか。流れ星を乗って来る、乱世を鎮める天の御使いって」

「まさか……あの人が…」

「はい、北郷一刀さんです。半月ぐらい前に落ちてきた流れ星と一緖に来た方です」

「あの方が……天の御使い……」

 

そうです。

一刀さんは天の御使いさんなんです。

乱世を鎮めてくれる、天の御使い。

 

「や、やってくれたな……」

「え、ひゃっ!」

 

あわわー!

 

「う、うごくんじゃねー!」

 

な、何!?

いきなり後から…!

 

シャキッ

 

っ!後から賊の人が現れて、私の頸に剣を当ててます。

 

「雛里!」

「か、一刀さん!」

 

ひ、ひぃぃー!

 

「くへへ、この娘を死なせたくなければ大人しくしてもらおうか」

「くふっっ!!やってくれたな、下衆が……」

「知るか!勝てばいいんだよ、勝てば」

 

ああ、私、やっぱ付いてくるんじゃなかったです。

あんなモノもったところで一刀さんの役に立つわけないのに、むしろこんな風に人質にされて、一刀さんに迷惑かけられちゃいました。

一刀さん……

 

「…………殺せ」

 

………へ?

 

「一刀さん!?」

 

一刀さん、なんてことを……!

 

「き、貴様正気か!ほんとに殺すぞ!」

「だから殺せといっている。そして次は貴様の番だ」

「何!?」

「人質とは生きていてこと意味がある。人質を殺すという脅迫に一体何の意味があるというのだ?」

「ぐぬぬ……」

 

た、たしかに一刀さんの言う通りかもしれませんけど、どうしてそんな平然とした顔でそんなこと言えるんですか?

下手して殺されるの私なんですけど!

 

「あ、あわわ!あわわーー!」

「き、貴様……」

「さぁ、どうする。大人しく放してくれたら気絶するだけで済む。ただし…俺の条件を飲まず雛里に傷を付けた場合は……」

「っ」

「……俺を相当楽しませてあげたいのだと思って、誠心誠意を持って捌いてやろう<<ニヤリ>>」

「お、鬼か、貴様…!」

「人間だ。そして貴様らもな」

 

違います!この人天の御使い違います!むしろ鬼です!悪魔です!今のニヤけた顔なんてもう悪魔そのものです!

 

「あわわーー!」

「て、てめぇ、あばれるんじゃね!」

「敵から目を離すなといつも教えてるだろうが!」

 

ガーン!

 

「ぐおぉっ!」

 

暴れる私に目を奪われている間、一刀さんの木刀が頭をまっ二つにする勢いで降りてきて、賊の人はそのまま前へ倒れてしまいました。

本当に死ぬかと……

 

「雛里!?」

「一刀さん!」

 

先のはいくらなんでもひどすぎ……

 

「大丈夫か!?怪我とかないのか?」

「…へっ?だ、大丈夫で」

「って、これって血が流れて……!ではないな。ちょっと掴まれていて充血しただけか。はぁ……大丈夫みたいだな…よかった……」

 

一刀さんは私に迫ってきては、私に何の傷もないことを見て、そのまま腰が抜けたようにその場に膝をつきました。

 

「はぁ……はぁ……お前に傷一つでもできたら本当にどうしようかと思って…」

「あ、あの、私は大丈夫ですからそんなに驚かなくても…」

「なんでここまで来たんだよ!」

 

と、安心した側からまた咄嗟に私を責め始めました。

 

「わ、私は一刀さんのことが心配で…」

「だからって賊が荒らしているとしっていながら街に突っ込むか。しかもなんだこのスタンガンはどこで持ってきたんだ!子供の遊び道具じゃないんだぞ!」

 

たしかに、勝手にここまで来て一刀さんに迷惑かけてしまったのは私が悪かったのですが、そんな風に言われると流石にむっときます。

 

「そ、それを言うと、一刀さんだって勝手に街に突っ込んできたんじゃないですか。なんですか、賊相手に木刀振り回すなんてふざけるにも程があります」

「俺はそれほどの実力はある。お前はどっちかというと頭脳派だろうか。もう少し頭使った行動はできなかったのか」

「なんなのですか。朝から一刀さんちょっとおかしいですよ」

「お、俺が何が……!」

「心配してくれる人に無視したり、酷いこと言ったり、挙句には途中で勝手に帰らせようとして……人をどれだけ子供扱いすればいいのですか」

「この状況を見てもお前はそれが言えるか。つーか無視してねー」

「無視しました!街が襲われてたって分かる前に…!」

「アレは……っっ!」

 

一刀さんは言葉が詰まったのか視線を逸らしました。

 

「……お前は関係ない」

「絶対私と関係ある話じゃないですか。その前からも私のこと避けてたじゃないですか」

「………」

 

また無視してます。

私みたいな子供っぽい女の子にはちゃんと話もしてくれないっていうのですか?

 

「一刀さん!」

「シーッ!」

「……何ですか、話の途中…!」

「シーッ!…聞こえる?」

「聞こえるって、何が…」

「ダガダガダガ………と」

「…へ?」

 

……私には何も聞こえません。

でも…

 

「それって馬が走る音…では?」

「しかも数が半端じゃない。……まさか…」

 

一刀さんは突然走っていきました。

 

「!一刀さん!」

「今度こそ付いてくるな!」

 

また一刀さんは付いてくるなとだけ残していってしまいました。

 

「………」

「あの、大丈夫ですか?」

 

あの時までまだ残っていたおばさんが聞いてくれました。

 

「…大丈夫です。おばさんは早く娘さんを連れて安全なところに行ってください」

「わ、わかりました。あなたは…」

「私は……」

 

あの人を追います。

 

 

 

一刀SIDE

 

 

「おお、あなたは先の…!」

「!先のおっさんか!」

 

街の外に向かってる途中で先のおじさんに出会った。

 

「避難していたところから男たちが武器を持って賊たちに対応している。数もそれほどじゃなくてもうほぼ片付けた」

「良くやった………殺したのか?」

「は?……いや、殺した奴もあるし…気絶させてそのまま捕縛した連中も……」

「…そうか」

 

死んだ連中もあるか。

 

「先のところに何十人倒れてるはずだ。行って武装解除させて捕縛しといてくれ。殺すな」

「わかった。あなたは…」

「ちょっと行くところがある。後片付けは任せた!」

 

後片付けをおじさんに任せて俺は走った。

嫌な予感がする。

 

村の連中は賊が来るのを予測も出来ずにやられていた。

官軍が今更来たとか思うのは夢が大きすぎる。

となると……

 

 

「!」

 

砂塵が見える。

良く見えないけど……でも、この時代の官軍であれば何かしらの自分たちを見せる旗でもあるはずだ。

それが……

 

「あれは…」

 

みえた旗の文字は……

 

 

 

 

『黄』

 

 

 

 

 

「……あぁ、まずい……」

 

敵の増援だ。

 

 

 

 

天の御使いとしての威厳やらを発揮すべき初陣、

普通ならそのようになるはずですが、

この外史にてはそうは行きません。

いつも疑問でした。ほんとにそんなことが出来るのか。

自分が知っている人というものは、それほど強いものではないのです。

もっと愚かで、弱くて……現実を怖がる生き物なのです。

 

だから、次回はそんな一面を……。

 

 

 

 


 
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