文字サイズ:
幅:
「お祭り?」
「せや。今回の戦の終結祝い……ちゅうたら不謹慎かも知れへんけど」
先の官渡の戦いから一月たったとある日。許昌城の執務室にて政務中の一刀の下に、姜維がそんな提案をしに来ていた。
「戦が終わって確かに街は平穏無事で落ち着いてはおるけど、みんないろいろ疲れているはずや。とくに、今回の戦で家族を亡くした者たちは」
「そう、だな……」
戦で死人が出ない。そんなことはそれこそ稀有なことであろう。己が死人になるか、他者を死人にするかの違いはあっても、戦に出れば、死というものは必ず付きまとうもの。そして、それによって悲しむものが、数多生まれるということも。
「今までに、戦で死んだ連中の魂を慰撫する。その意味合いも兼ねて、街をあげて派手にぱーっとやりたいおもうねんけど、どうやろかな?」
「私もいいと思いますよ?こんなご時世なんですもの、たまには少しぐらい派手にしても、罰が当たことはないと思います」
姜維の想いに同調したのか、一刀の隣に立っていた徐庶も祭りの開催に同意し、親友の意見を後押しする。
「わかった。じゃあ、早速手配のほうを」
「さっすがカズや!話がわかるで!あ、手配はうちに任してや?みんなが驚くような、それでいてめっちゃ楽しい祭りにしたる!ほな早速行って来るわ!!」
一刀からの返事を聞くのもそこそこに、姜維は大喜びで部屋を飛び出していく。
「……伯約のやつ、相当はりきっとるの。何か思うところでもあったのかのう?」
そんな姜維の様子を見て、徐庶とは反対側で一刀の隣に立っていた李儒が、少々あっけにとられた感じの声を出す。
「まあ、基本的にはあの娘、そういったお祭りごととかが大好きですから。さて、どれだけ予算が要ることになるやら」
「予算については、後で朔耶さんに由としっかり話し合うよう伝えておいて。あんまり使いすぎないように、釘をさしておいてほしいって」
「はい」
「……しかし、この時期の祭り、か。……小さいころに行った縁日を思い出すなあ」
「えんにち?なんじゃそれは?」
少々遠い目をしながらつぶやいた一刀に、李儒が初めて聞くその言葉の意味を、首をかしげて問いかける。
「ああ。向こうの世界でこの時期……夏になると行われるお祭りの一種さ。あ、そだ」
がた、と。突然何かを思いついたかのように、席から立ち上がる一刀。
「一刀さん?どうかしたんですか?」
「今の祭りがらみでちょっと思いついたことがあってさ。街の仕立て屋に行ってくるよ。ちょっとだけ頼んだよ、二人とも」
たた、と。二人の返事を聞かぬまま、先ほどの姜維のように足早に部屋を飛び出す。
「ちょっと一刀さん!お仕事まだ終わってないですってば!!」
「そうじゃぞこら!そういうことはやることやってから行かぬか!!」
そう叫びつつ、その一刀の後を追って二人も部屋を飛び出す。……未処理の書類の山を、机の上に残したまま。
それから数日後。
「おお~。これはまたなんとも……」
「きらびやか、という感じね。通りのあちこちに飾ってある、あの光ってるもの。あれが“提灯”という物なのね?」
街の大通りに軒を連ねる、各商店の軒先につるされた、色とりどりの優しい光を放つそれらを見て、思わず感嘆のため息を漏らす、公孫賛と曹操。
「ああ、そうさ。……もっとも、由がこれを用意していたの知ったときには、俺も結構驚いたけどね」
この時代にはまだ存在していないはずのそれらを、今回の祭りの実行責任者である姜維が用意したのを知ったとき、一刀はただ驚いて、その知識の出所を本人に聞いた。それに対する姜維の答えはというと。
「貂蝉はんやけど?」
……まあ、ほぼ予想通りというか。とりあえず、王淩は本当に何者なのかという疑問が、一刀の頭の中でさらに大きくなった一件であった。
さらに、である。
通りのそこかしこに並ぶ、たくさんの屋台。そこで行われている出し物や、売られている食べ物も、一刀にとってはすべてが懐かしいものばかり。
「焼きそばにたこ焼き。まあ、この辺はまだともかくとして、綿飴やりんご飴まで売っているとは……!!しかも金魚すくいや射的、輪投げに型抜きまでやってるなんて。これもやっぱり、貂蝉さんが情報源なのか?……何者なんだ?あの人はほんとに」
う~む、と。手に持っているりんご飴をパクつきつつ、一人でうなっている一刀。
「まあ、彦雲の正体うんぬんについては、そのうち本人を問い詰めればよかろ。のう?孟徳よ」
「そうね。……ところで李儒どの「命で良い♪」……では命どの?私たちが着ているこれなんだけど、これもやっぱり出所はおなじかしら?」
と。曹操が自身の着ているそれの袖を眺めつつ、李儒にそう問いかける。
「いや。これについては、一刀が用意したものじゃ。の?」
「ああ。やっぱり縁日ときたらこれは外せないと思ってね。うん、大急ぎで仕立ててもらって大正解だったな。みんなよく似合ってるよ、“浴衣”」
そう。
現在一刀と一緒に街を歩いている面々-徐庶、李儒、公孫賛、曹操-の、四人が着ているそれは、数日前に一刀が仕立て屋に頼んで作ってもらった、人数分の浴衣であった。
「そ、そうですか?えへへ。なんか恥ずかしいですけど、嬉しいです」
赤を基調とした地に花火の柄の描かれた浴衣姿で、少しばかり紅潮させた両頬に手をあてて、一刀のその言葉に恥ずかしがる徐庶。
「そうじゃな。……ちっとばかり、締め付けている胸が苦しいがの」
白地に菖蒲(あやめ)の描かれた浴衣を着、その下にはさらしを巻いた、自身のその胸に手をあて、ふう、と李儒が息苦しそうにつぶやく。するとその横で、
「……背丈はさほど変わらないのに、どうしてこうも差が出るのかしら……」
と。青色の地に向日葵が咲き誇る柄の浴衣を着た曹操が、小声でそう呟いていた事については、ここではあえて何も言うまい(笑。
「白蓮の浴衣も中々良いの。そうして髪を下ろしておると別人のように見えるぞ?」
「そ、そうですか?」
「ああ、とっても素敵だよ、白蓮。いつもの髪型より断然映えて見えるよ」
「そ、そうか///……あ、ありがとう、一刀」
いつものポニーテールではなく、髪を下ろしてストレートにし、黒地に白い蓮の花をあしらった浴衣に身を包んだその姿を、一刀からほめられた事で顔を真っ赤にしてうつむく公孫賛。
「……ほんとにこの天然無自覚の女たらしは」
「元直よ、こやつのこれに関しては、もはやあきらめるしかなかろ。たとえ側室が何人になろうとも、正室がしっかり手綱を握っておればそれでよいと、妾は最近そう思うようにした」
「……その“正室”、というのは、もしやご自分のことですか?」
にっこり。そう笑顔を向けて李儒に問いかける徐庶。
「はてさて?妾は別に誰のこととは言うてはおらんぞ?……まあ、それに一番近いのは妾だとおもうがの」
「(むむ)……いえいえ。それはまだわかりませんよ?……私だって負けてませんから♪」
ふっふっふっふっふ、と。互いに気持ちいいぐらいの笑顔を交し合う二人であった。
「……ねえ、一刀?何か後ろで、素敵な笑い声が聞こえるんだけど?」
「……とりあえず、気にしない方向で……」
あら、修羅場になって面白いかと思ったんだけど、と。一刀に対し、いたずらっぽく笑う曹操。するとその横にいた公孫賛が、
「あんまり一刀をいじめてやるなよ、華琳。ところで一刀?これからどこに行くんだ?」
「ああ、とりあえず、街の中央広場に行こうと思ってるけ「あ~!華琳だ~!お~い!!」へ?」
公孫賛の問いに答えようとした一刀の声をさえぎり、その機嫌の良さそうな声が、彼らの少し手前から聞こえてきた。
「今のは雹華の声よね。どこにいるのかしらあの娘」
「孟徳と同じで小さいから見つけにくいのお」
「……背丈なら貴女の方が低いでしょうが」
「あ、あれじゃないかな?あの金髪のツインテール」
と、雑多に行きかう人々の中、とある屋台の前で振られているその腕に、一刀が気づいてそちらを指差す。
「どうやらそうみたいね。行ってみましょうか」
その屋台のほうに向かい、歩みを進める一刀たち。そこで彼らが見た光景はというと。
「……ふっ!!」
しゅぱぱっ!と。その美しい銀色の髪をアップに纏めた女性が、目にも止まらぬその腕の動きで、水槽の中の小さな魚を三匹纏めてすくい上げた瞬間だった。
「やった!さすがは彩香!おみごと!」
その瞬間をその女性の後ろで見ていた、青地に水仙が描かれた浴衣姿の少女-曹洪が、ぴょん、と軽く飛び上がって、まるで我がことのように喜ぶ。
「ふふ、これぐらいそんなに褒められることじゃあないわよ。……あら華琳?それに北郷さんたちも。……やだわ。お恥ずかしいところをお見せしてしまいました」
と、頬をほんのり赤く染めて照れる曹仁。紫地のその浴衣には、色彩鮮やかな紫陽花(あじさい)が描かれていて、彼女のその雰囲気によく似合っている。髪をアップにしているために見えているそのうなじからは、なんともいえない色香が漂う。
(……うん。大人の女性って感じでいいよな~……華琳とは確か血が繋がってないんだっけ。うん、納得納得)
「……ちょっと一刀?今何か、失礼なことを考えなかったかしら?」
「いえ!そのようなことは決して!!」
「……デレデレと鼻の下伸ばしおってからに」
「……ちょっとばかり、O・HA・NA・SHI、しますか?」
ごごごごご、と。そんな音が聞こえてきそうな雰囲気で、曹操、李儒、徐庶の三人が一刀を思いっきりにらみつける。
「ごめんなさい。私が悪うございました。どうかお怒りをオシズメを」
そんな彼女たちの迫力に負け、その場で土下座をする一刀であった。
「……北郷くんて、こういう時は結構情けないね」
「……女性に優しいというか弱いというか。よく分からない人ね、本当に」
やれやれ、と。肩をすくめてそんな光景を見ている、曹仁と曹洪の二人であった。
それから少しして、曹仁と曹洪の二人も合流した一行は、街の中央にある大きな広場へとやってきた。ここに通りと同じく沢山の屋台が開かれており、そこに群がる大勢の人々でごった返している。広場のその中央には、かなりの高さのやぐらが組まれ、そこを発信源とした、太鼓と笛のリズミカルな音が周囲に響き渡っていた。
「ここもまた、ものすごい人だかりじゃの~」
「そうですね。あ、あのやぐらの上にいるのって、蒔姉さんと瑠里ちゃんじゃ」
「え?……あ、ほんとだ。太鼓叩いてるの蒔さんだったんだ。それにこの笛は瑠里か?……へえ、あの娘にこんな特技があったんだ」
やぐらの一番上。そこにおかれた大きな太鼓を、黒い浴衣を着て片方の肩を露出させた徐晃が、かなりの上機嫌で叩いている。そしてそのすぐ傍では、白い浴衣を着た銀髪のツインテール少女・司馬懿が、その太鼓のリズムに合わせて横笛を吹いている。
「太鼓と笛の競演ね……。まったく音質も音量も違う楽器同士なのに、こうも綺麗に調和して聞こえるなんてね」
「そうだな。音楽に疎い私でも、思わず聞きほれそうなぐらいだ」
曹操と公孫賛が二人そろって、流れてくるその軽快な音楽の感想をそう述べる。
「よし。それじゃあここらで一旦別れるとしようか」
「そうですね。それじゃあ一刀さん、“私と”、あっちの屋台に行って見ましょうよ(がしっ)」
「うむ、それは良い考えじゃ。では一刀。“妾と”、あの屋台を見に行こうではないか(がっし)」
「いだだだだ!ちょ、ちょっと二人とも!二人同時に違う方向に体を引っ張らないでくれ!」
一刀のその、一旦別行動という言葉を聴いたその瞬間、徐庶と李儒が一刀のその腕をそれぞれにつかみ、別々の屋台を目指して移動しようとする。
「もてる男はつらいわね、一刀?それじゃあ私たちは向こうに行きましょうか、彩香、雹華」
「フフフ。わかったわ、華琳。それじゃあ北郷さん、また後で」
「ほいほ~い♪北郷く~ん、ガンバッテネ~♪」
「それじゃあ私も。……一刀、まあとりあえず、頑張れ」
と。そんな状態の一刀たちを笑顔で見つつ、曹操、曹仁、曹洪、そして公孫賛は、その場から離れていく。
「ちょ!?四人ともお願いですから見捨てないで!」
「一刀さん?もちろん私と来てくれますよね?」
「一刀?もちろん、妾と一緒が良いよな?」
ぐいぐいぐいぐい!!
「いだだだだだだ!!もげる!腕がもげる!体が裂けちゃうってー!あっーーーーー!!」
そういった良くある一幕はさておいて。
祭りは大いに盛り上がりを見せ、広場のそこかしこから、多くの人々の楽しげな声が、途切れることなくこだまし続ける。
結局徐庶と李儒の二人と、一緒に行動することで落ち着いた一刀も、そんな人々に混じって、この一夜限りの祭りを楽しんだ。また明日。朝日が昇れば彼らは為政者としての現実に目を向け、多くの難問が立ちふさがる現実に直面しなければいけない。それが苦難と苦痛の道であろうとも、それらの先に、それらを上回る幸せを掴むために。
今このひと時だけは、仲間と、そして人々とともに、心底からの笑顔をもって。
そして、それから一時間ほどもしたときだろうか。一刀はふと、“そのこと”に気づいた。
「……そういえば、この祭りの発案者はどこいったんだろ?」
祭りの発案者。つまり姜維の姿がどこにもないことに。
ちょうどその同時刻。
許昌城内の練兵場に、件の人物の姿があった。
「姜維さま!準備すべて整いました!」
「はいよ~!よ~し、ほな、今日の祭りの占めや。派手にいくとしますか!」
と。何人かの兵たちとともに、黄色地に楓をあしらった浴衣姿の姜維が、地面に突き立てられた何本かの筒を前にして、満面の笑顔で立っていた。
「これの本来の使い方。カズが前に言うとったのを、こうして使える日が来るとは思わんかったで。よっしゃ!ほんなら始めるで!“花火”の大競演の開始や!……全発、一斉点火や!」
『はっ!!』
たいまつをその手に持った兵士たちが、それぞれの筒に繋がっている紐に、そのたいまつの火を点ける。そして-。
ひゅるるるる~。
「ん?何の音だ?」
「あ!一刀さん、あれ!」
「え?」
どどおおーん!!
『おお~』
夜空に開いた光の花。その瞬間、周囲からいっせいに沸き起こる、感嘆の声。
「綺麗……。あれって、例の合図玉、ですよね?」
「ああ、花火だ。そっか、由のやつ、これを本来の目的に使ってくれたか」
「なるほど。これが花火とやらの、本当の使い方なのか。……美しいものじゃ」
この花火。もともとは遠距離への合図用として、一刀の発案で開発されたものである。以前、南皮での戦いの際にこれを使用し、中に事前に入っていた華雄たちに合図を送ったことがある。ただ一刀としては、正直これの開発にはあまり乗り気ではなかった。
「花火は元々、人を楽しませるための娯楽だからね」
戦のための道具にするのは、正直良い気はしないと、製作法をを教示しながらも、そのとき一刀はそう語っていた。その花火が、こうして本来の娯楽目的に使われた。一刀としては、何か少し、肩の荷が軽くなったような感じがしていた。
「……方向からすると、どうやら城の方みたいだな。ふむ、ちょっと行ってくるか」
そろ~っと。徐庶と李儒が花火に見とれている隙に、こっそりその場を離れる一刀だった。
城と街を隔てる城壁。その南側にある唯一の門の上で、姜維は一人杯を傾けていた。
「天に上るは葬送の花。光と音に導かれ、魂は天上へと駆け上がる。夜空に瞬くは導き。そは星。天にある魂のゆりかご。そは月なり……なんてな」
くーっと。自身の創作による詩を朗読し、杯の酒を一気にあおる。そこに。
「……こんなところにいたのか」
「ん~?……カズか。ようここが分かったな」
城壁の欄干部分に昇って座っている彼女の下に、一刀がその姿をあらわした。
「練兵場の方かと思って向こうに行ったら、兵のみんなしかいなくてさ。彼らに聞いたらこっちのほうに行ったって教えてくれてね」
「ほか。……飲む?」
「……ちょっとだけな」
ひゅるるるる~……どどおおおん!!
すでに何十発目の花火だろうか。夜空に開く光の花が、千差万別、色とりどりの光でもって、許昌の街を美しく照らす。
「……なあ、カズ?」
「ん?」
「カズの知ってる、“向こうの世界”のうちって、どんな人物やの?」
ふいに。それまでの笑顔から一転、まじめな顔を一刀に向けてそんなことを問いかける姜維。
「……そだな。武にも知にも優れた天才。義に篤く、親孝行。希代の天才軍師といわれた、諸葛孔明の愛弟子。そんなところかな」
「諸葛孔明?てーと、益州にいる劉備はんとこの?」
「そ。向こうでの姜維伯約という人物は、もともと魏の将だったんだけど、その才にほれ込んだ孔明の説得で蜀に降ったんだ。そして」
……最後の最後まで、蜀の忠臣だった人物だよ、と。そう最後に付け加えた。
「天才、かー。うちとは大違いやなー。武にしても策にしても、うちは思いっきり中途半端やしな。白蓮はんのこと笑えんくらい、普通な人間やもん」
くい、と。そんな自嘲気味の台詞を言いつつ、再び酒をあおる。
「そんなこと無いと思うけどな。それに、白蓮だって別に普通ってわけじゃあない。彼女はただ、一人で何でも出来すぎるだけさ。特徴的な才の無い代わりに、万遍に何でもこなせる。ただそれだけさ。……由」
「ん?」
ひゅるるるる~……どどおおおん!
さらに打ち上げられる花火の光に照らされる中、一刀は姜維の肩にその手を置き、彼女にこう語った。
「……君だって、十分以上に軍師としての才を持ってる。今はまだ勉強不足だけど、これからその才を伸ばしていけばいい。……さっきの詩が何よりの証拠だよ」
「……聞いてたん?あれ……恥ずかしいな、もう///」
「ははは。……即興であれだけの詩が創れる。それは十分に知者としての才がある証さ」
「……人を褒めるんが上手いな、カズは。……輝里みたいになれるかな、うち?」
「もちろん」
「そか♪……なら、明日っからもうちっと頑張ってみよかな?」
再び顔に笑顔を浮かべ、姜維はそう言いながら、再度杯をあおる。
「……それじゃ、そろそろみんなの所に行かないか?最後はみんなで、この祭りを〆よう?」
そう言って、一刀は欄干から一人下りる。
「あ、ちょい待ち、カズ」
「ん?……!?」
ひゅるるる~……どどおおおん!
姜維に呼び止められて振り向いた一刀の口に、その柔らかい感触が触れる。
「……由?」
「……みんなのところに行く前に、もうちょっとだけ、二人で居て欲しいです。……駄目、ですか?」
「……祭り、終わっちゃうんじゃないか?」
「それならそれで、一刀さんを独り占めします♪」
「……後が怖いよ?」
「……その時はその時ってことで」
城門の上。その楼閣の影に、二つの人影はそっと隠れた。
祭りに賑わう人々の声と、夜空に開く光の花。それはまるで、終わりを迎えることを知らないかのように、延々と許昌の街を包み続けるのであった……。
~了~
と、こんな感じでお送りした幕間の十二、でした。
一応、同人恋姫祭りへの参加作品として、夏をテーマに書いてみました。しかし、全員分の浴衣の柄を考えるのが、もう大変でしたw
一応、各キャラのイメージにあわせたデザインにしたつもりではあります。ただ、白蓮の浴衣に関しては、Siriusさんから許可をもらって、ご本人の作品のものを使わせていただきました。
この場にて、改めて御礼申し上げておきます。
さて。
今回は僕のお気に入りの絵師さんたちをご紹介しておきたいと思います。
まずは、もちろんSiriusさま。いつも最高の絵をありがとうございますですwいつだかはうちの輝里を描いても頂けましたしねw
それから、華雄を描かせたら天下一品のYAGAMIさま。
そしてすばらしい華琳を描かれる和兎さま。
焔耶が最高にかわいいMARIさま。
思春LOVEな甘露さま。
あげだしたらそれこそきりがなくなるので、以上、僕の中ではTINAMIの絵師五大神と思っている方々をご紹介いたしました。
といったところで今回はここまで。
また次の投稿にてお会いいたしましょう。それではみなさま、
再見!ですw
Tweet |
|
|
![]()
101
|
![]()
16
|
皆さんどーも。
駄文作家の狭乃狼ですw
今回の北朝伝、幕間の十二は、TINAMI第1回同人恋姫祭りの、
続きを表示