今日も朝日登り、夕日が沈んでいく。
マストの上にはい上がり空を見上げる。
昼間蒼かった海が今では赤く、あのサンジがつくるトマトスープみたいに赤く染まっている。
いいや、違う。
本当はトマトスープみたいだなんて思っていない。
今、俺が思ったことは…
まるで血だ。
そう、思った。
マリンフォード頂上決戦から数週間たった。
今、俺はトラファルガーという奴の船にかくまってもらっている。
歴史に大きく刻まれることとなったマリンフォード頂上決戦。
俺もその場所にいた。
そして、戦った。
エースを助ける。
絶対に。
そう、思ってた。
エースの胸を貫いた赤犬の拳を見る、あの瞬間までは。
エースの胸から赤い滴が落ちる。
それが俺の頬に落ちた。
温かった。
驚いて声がでない俺にエースは笑って言った。
『俺を…愛してくれてありがとう。』
その言葉とともにエースは動かなくなった。
なあ、どうしたんだよ、エース。
なんで目つぶってんだよ。
赤犬から逃げなきゃならねえのに、なんで目つぶってんだよ。
起きろよ、エース!
こんなところでおまえの十八番の居眠りかましてる場合じゃねえんだぞ。
涙で視界が滲んでくる。
エースを揺さぶるが壊れた人形みたいにグラグラと揺れるだけだ。
瞼もまるで眠っているように静かに降りたままだ。
起きてくれよ、エース…。
いつもみたいに俺の情けない顔を見て叱りとばしてくれよ。
お願いだ、エース、目をあけてくれ…。
必死にエースに呼びかける俺を尻目に赤犬は薄笑いを浮かべて言った。
俺が一番恐れていた言葉を。
『火拳のエースは死んだ。』
その瞬間、俺の世界はブラックアウトした。
船のマストに腰掛けなおし空を見上げる。
今や夕日は完全に落ち、夕闇が空を支配している。
さっきまで赤かった海も底なしの沼のような漆黒の海に変わっている。
再び俺が世界に戻ったのはこの船の上だった。
目が覚めても俺はエースが死んだ事が受け入れられなかった。
どこかで生き延びていて突然ひょっこり出てくるんじゃないかって…。
あのエースが死ぬはずがないって思っていた。
…でも、本当はわかっていたんだ。
俺を濡らしたエースの血が尋常な量じゃないって事ぐらい。
それに、胸を貫かれたんだから傷が致命傷だってことぐらい俺にだってわかっていた。
だけど、それでもエースは生きているんだって、思いたかった。
でも、それも終わりにしようと思うんだ。
いつまでも逃げてたらだめだよな。
だって、おまえはきっと…今のこんな俺を生きさせるために庇ったんじゃないだろう。
だから、エース、俺は海賊王になる。
エース、おまえの夢は海賊王になることだ。
そして、俺の夢も海賊王になることだ。
おまえの夢であり俺の夢である海賊王に俺はなる。
だから、俺の夢の中で生き続けてくれ、エース。
夕闇にキラキラと一番星が瞬いている。
悲しみさえ等しく照らしそうなほど綺麗に輝いている。
信じているんだ。
いつかひとつに繋がる未来を。
だから、一緒に見つけに行こう、エース。
「We live together.」
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
ワンピース二次小説です。
エースを亡くしたルフィの独白です。
ワンピースの新opを見て感動のあまり思わず書いてしまった作品です。
新opの曲『fight together 』を聴きながら書きました。
続きを表示