No.215019

虚々・恋姫無双 虚参拾壱

TAPEtさん

同じ過ちは繰り返さないさ・・・・・・

2011-05-04 20:58:57 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2482   閲覧ユーザー数:2191

――Lv3、No.0135コードネーム左慈、を解放します。

 

チィーーー

 

「…………」

「左慈さーん♡」

 

白い部屋の中、真っ先にみえたのはあの忌々しき微笑みを晒している我が仇だった。

 

「………管路か」

「はいー」

「……うぅぅっ、あれからどれぐらい経った」

 

あの貂蝉との戦い。

結果は俺たちの負けであった。

俺たちに助力していた元老や重職の管理者たちは粛清され、首謀者である俺と于吉、そして管路は裁判に行かされた。

だが、管路はすでに逃げ道を作ってあり、于吉と一緖に俺に全ての罪を負わせて逃げてしまった。

結果、俺は身を崩壊され、100年間身を封じられるはめになったわけだが……

 

「かる~く30年…ぐらいでしょうかね」

「軽く言うな……はぁ……」

「鏡見ます?」

 

生々しい問いに拳があったら殴ってやりたいぐらいだった。

 

「……殴るぞ」

「うふふっ」

「強制排除されて精神も入れ替えられて体も力も失ったことは知っているつもりだ。誰かが抜け出たおかげで更に気分が悪い」

「ふふふふふっ」

「貴様のことを言っているのだがな」

「あら、そうでしたか?てっきり于吉のことかと……」

「……で、なんの用だ。解放された後も、多分また10年ぐらいは監視が付くはずだろ」

「だからわたくしめがここに来たのですわよ」

「……監視役が貴様か……貂蝉もかなり人力が足りてないようだな」

「まぁ、仕方ありませんわね。大体、わたくしめが生き残った理由もまさにそれですし…」

「要は奴の政治的負けというわけだ……」

「さぁ、それはどうでしょう……」

「まぁ、いい。俺ももうその辺りのことは興味はない。おかげで全てをゼロに戻されたんだ。しばらくはゆっくりとできるところで居る方がいい」

「イイですわね……ちょうどいいところを用意してありますわ」

 

自分を捕縛していた機械から出てきて出口に向かう。

 

「…………なあ、管路」

「はい?」

「俺が力を貯めたら、一番目に俺を使い捨てにした貴様を殺すつもりだが…」

「あら、そうですか。嬉しい気分でお待ちしていましょう。」

「………」

 

こいつはいつもそうだ。

感情を見せない。

いや、もしくが何も感じないのかも知れない。

何もかもが自分の思い通りになっているこいつに、

世界はどれだけつまらないものなのだろう。

きっと俺たちが負けることも、彼女の中ではすでに決まった事実だったのだろうと思うと、なんともこいつのことは恐ろしく覚えてしまう。

 

 

「それは良しとしましてです。わたくしめと遊戯を一つやりませんか?」

「遊戯?」

「ええ」

 

・・・

 

・・

 

 

 

「……ここは……また他の外史の世界か」

「はい、あなたが眠っている間、外史はどんどん広がって今では管理者たちの手にも負えないところまでもたくさん枝が広がっていますわ」

「ふっ、だから俺が最初から言ったのだ。こんな大きな木、いつか我々を越えることになる。そうなる前に芽を切るべきだったんだ」

「恐らく、貂蝉もそれに気付いているでしょう。だから、あの人は第二段階に進もうとしています」

「………育つ枝を選ぶというのか」

「ええ、醜いものになりそうな枝は早く切り落とし、いいものだけを残す。さすれば、大きな外史という木を思うがままを育つことができるでしょう」

「あいつらしい考えだな………機械的で、理想的だ」

 

良く育たれた木にはいい実が実る。

だが、それでは足りない。そのような外史に何の意味がある。

外史という木は実を実るための、木材を得るための木ではない。

それはまさに葛藤。

葛は土の中を規則なく探り、

藤は支えがあればどこまでもその枝を絡み続ける。

 

物語とは常にそうでなければならない。

 

「ふふふっ」

「で、遊戯というものは何だ?」

「彼ですわ」

「………?」

 

あれは……

 

 

 

管路が指した場所は、公園。

 

そこでは、まだ幼稚園にも通わない子供たちが集まって、ドッジボールをやっていた。

 

「かじゅとー、そっち行ったぞー!」

 

「…へ?!あ、あわ!」

 

そして、外野に向かったボールが一人の男の子に向かって飛んでいく。

 

「へぶし!」

 

対応できなかった子はそのまま顔面でボールを受け取った。

顔面セーフだが、既にアウトされてるので意味はない。

 

「だいじょうぶー?」

「………い、痛い……」

 

大体ドッジボールとかあんな子供たちがするような遊びじゃないのではないかと思ってしまう俺は古くなってしまったのだろうか…

 

ところで、

 

「あいつか?」

「ええ」

 

さっき盛大にボールに当たった子、彼がこの世界の北郷一刀だった。

管理者なら誰でも分かる。彼こそがあの外史の世界に行って、乱世を鎮める天の御使いになるべく存在であると……

 

「初代は自分が思ったよりも遙かに愚かなことをしてしまったものだ」

「そう思いますか?」

 

初代というのは、始めて外史に足を踏み入れた北郷一刀のこと。

彼があの鏡を通して、自分の理想を尽くし、そして外史という種を芽生えらせた。

全てがそこから始まって、そして今に至る。

北郷一刀という存在は、全てのパラレルワールドにて天の御使いの任を果たさなければならなくなってしまった。

 

「自分の決定一つがどれだけ大きなものだったのかあいつには知るはずもない」

「ですが、それもまた仕方のないこと。わたくしめから見れば、あなただってそういう愚かな者の一人でありましょうから」

「っ」

「まぁ、わたくしめはそういうあなたも好きですけど……」

 

そう言いながら管路は体のない俺の魂を、まるで子供が食べるのをもったいぶっているキャンディーのように探る。

 

「ッ…!」

「残念ですわ。男の時のあなたをめでることができなくて…あのゲイ野郎さえ居なければわたくしめがあなたの側に付いていましたのに……」

「俺はどっちもごめんだ。一人がいい」

「でも安心ください。わたくしめは異性でも同姓でも行けますから」

「ホモよりバイの方が引くわよ!」

 

思わず盛大に突っ込んでしまった。

何か言い方も変わってるし……

管理者は一度排除されると時間をかけて転生するが、その魂の転生は一瞬で決まる。

それは完全にランダムで、男だったり女だったり、子供だったり老人だったり、臆病者だったり強気な者だったり、知性派だったり脳筋だったり、何もかもが以前の自分とは変わってしまう。

変わらないのは記憶のみ。性格さえも変わってしまう。

だから、管理者たちは『排除』を『死』と称する。

その自分が自分でない何かに変わってしまう恐ろしさは、まさに人間が死に向かって思うようなものであったからだ。

 

「で、何、遊戯って?いっとくけど、何でもしってるあなたに弄ばれるようなものならごめんよ」

 

俺……いや、俺ももうおかしくなってきた。

僕は顔を俯いて泣きかけている北郷一刀を見ながら言った。

 

「あの、天の御使いについてです」

「……彼が何だって?彼が外史に行くのはこれから十年以上過ぎた…」

「五年です」

「……は?」

 

何を……

 

「あの天の御使いは五年後に外史に落ちます」

「…どういうこと?いくら何でも早く早過ぎるでしょう?」

「そういう運命を持った子ですわ……そして、凄く辛い人生を生きる天命を持った天の御使い…」

「………」

 

同じ天の御使いの任務を定められたといっても、その結果は異なる。

あるものが幸せの中で乱世を鎮めることができる一方、誰かはその身を犠牲にしなければならない。

だが、あれが五年後に?

早過ぎる。

五年後といっても十歳にも至らない年だ。

 

「遊戯というものは、つまり賭けです」

「…何をだ?」

 

そして、僕はそれから彼女の口からでた言葉に驚かざるを得なかった。

 

「わたくしめは………あの子供の手によって殺されます」

「…………何?」

 

一瞬自分の耳を疑った。

 

「何の冗談を言っているんだ?」

「冗談ではありませんわ。わたくしめには見えるのです。あの子供が、わたくしの心臓を貫くその姿が……」

「……ふざけるな…」

 

僕は静かに怒りながら言った。

 

「言ったはずだろ。貴様を殺すのは僕だ」

「いいえ、あの子です」

「………そうか、つまりそれが貴様の賭けか」

「ええ、そういうわけです」

 

こいつ………

 

今死から蘇った僕になんということを……

だが、それほど鬼畜じゃなければ、話にならん。

 

「いいわ。その賭けに乗った。貴様を殺すのは僕よ。あの北郷一刀ではなく」

「もし、わたくしめが勝てば?」

「その時は、僕は貴様のものになりましょう。僕が勝てば、貴様の命は俺のものよ」

「………ふふふっ、賭けになってませんわね。どっちのわたくしめに良すぎますわ」

「ほざけ……」

「五年間の時間をあげます。その間、あの子を観察する管理者をあなたのみにしておきましょう。あなたが思うがままにしてみると宜しいですわ」

「……いいでしょう。契約成立です」

 

 

 

 

それは僕たちにとっては小さい賭けだった。

 

まるで、人が打っている碁を見ながら、誰が勝つかに賭けているようなことだった。

 

一つ違ったことがあるとしたら、

 

僕は、あの時その囲碁の盤を一度乱してしまっていたこと……

 

キィイイィイイイイイーー!!!

 

 

「かずとおーーーー!!!!」

 

 

そう、全ては僕から………

 

僕とあなたから始まったんだよ、管路。

 

もう終わりにするわ。

 

 

 

 

泰山

 

 

「どういうことですか……どうして何も言わないんですか、左慈さま……」

「……奴の気配が感じられん」

「…!」

「そして、あの御使いが持っている弓……確かあれは俗称『一矢二殺』の弓と言い、自分の命を賭け、相手を殺す弓じゃ。もともとは一度打てば、その人も相手も死ぬが……外史の間を潜り抜けた左慈は何故かあの弓を何度も使っても平気じゃった。そして、その魂を賭けてある弓を左慈は北郷一刀に渡した。それが、今左慈の魂ではなく北郷一刀の魂が射られているということは……」

「………まさか…」

「…左慈の魂がもう残っておらぬということじゃ。この世のどこにものぅ……」

「……!」

 

 

 

「何……これ…」

 

どうして矢がこんな色になっているの?

 

「……ふふ……ふふふふふっ…!」

「!」

 

突然、女の人が笑い始める。

 

「ふふふふふふっ」

「あなた、何が可笑しいのよ!」

 

華琳お姉ちゃんが問い詰めるも、女の人は笑うことを止めない。

 

「これが笑わないで居られるものでしょうか。ついに、ついにこの時が来たのですわ」

 

ただ、その笑いはどんどん形を変えていって……

 

「いい!凄くいいですわ、天の御使い!」

 

凄く大きく口を広げながら、興奮したような顔になった。

………怖かった。

 

「!」

 

人の笑いがこんなに怖く覚えるなんて、こんな笑いがあるだなんて知らなかった。

だけど、

 

「動かないで!」

 

何かは知らない。

この矢が何を意味するのかはわからないけど、

 

さっきとは違う。

確信があった。

この矢が、

 

この矢を打てば、

 

今目の前にいるこの人を殺すことができる。

 

永遠に、この人が華琳お姉ちゃんとボクの前を立ち塞がないようにすることができる。

 

「打つよ…!」

「ええ、撃ってください。それでいいのです!」

「!」

 

なのに、目の前の人の顔がさっきよりももっと興奮に満ちていた。

 

「っ!!」

「待って、一刀!」

 

あまりの恐さに、もし華琳お姉ちゃんがそこでボクを止めてくれなかったら、ボクはそのまま矢を撃っていた。

 

「あなた、この状況を知っているわ。こうなるまであなたが仕組んでいる……」

 

華琳お姉ちゃんはそう言っていた。

 

「……ふふふふっ」

「答えなさい!何故突然矢の色が変わったのか。何故あなたがそんなに笑っているのかを!」

「……天命、ですわ」

「…!」

 

また天命、そう言った。

 

「何もかもがわたくしめに見えていた通りですわ。御使いの降臨、連合軍での消失、そして帰還、覇王の墜落、そして今ここ……天の御使い、あなたが射ているその矢こそが全ての、いえ、わたくしめへの終焉!」

「…どういうこと?」

「この外史にて唯一わたくしめを殺すことができるもの、そう、そのあなたの魂を射た矢こそが……わたくしめの唯一の弱点、まさに死を意味しているのです」

「!」

「その矢に撃たれれば、わたくしめは死にます。…そう、まさにあの時見た通りに……ようやくこのありふれた世界から脱出することができるのですわ」

 

 

待って……

 

何?

ちょっと待って。

話をまとめましょう。

 

彼女はこの矢が、自分を殺す唯一の武器だと、自分の弱点だと自分の口から言った。

それが真か否かは分からない。でも、この仕草は常人のものではない。

逆にそれが嘘をいっているのではないと示しているわ。

 

だけど、彼女はこうも言った。

この矢が、一刀の魂を射ているのだと。

つまり、あの矢を使えば、

 

「一刀、今直ぐその弓をしまっといて」

「華琳お姉ちゃん」

「早く!」

 

これが狙いなの?

でも、なんのために…!

 

「邪魔をしないでくださる?」

「してもらうわよ!」

 

死にたいのなら私が殺してあげましょう。

あの子を道連れになんてさせないわ!

 

 

スッ!

 

「っ!!」

 

管路に向かって大きく振った絶が、空を切る。

 

「無駄ですわよ」

「まだ…!」

 

スッ

 

まただ。

避けれるはずのない距離、避ける時間もない。

なのに、絶を振るうと、彼女は避けてしまう。

 

こんな感覚、感じたことがある。

どんなに届こうとしても、届かないもの。

 

まるで……

 

以前の一刀のように……

そう!

 

「お気づきのようで……魏の堕ちた覇王よ」

「何を…!」

「わたくしめもあの子と同じですわ……殺されることができませんの。誰にも……この体がそれを許さない……それが管路という名を受けたわたくしめの使命と……」

「!」

 

そんな……

 

「疲れたのです……」

 

管路はそう言った。

 

「飽きてしまいました。分かりきった世界に…何もかもが定められているこの世界に……」

 

彼女は死にたいのだ。

 

「まるでもう何百回も読んで飽きてしまった、文字一つまでも覚えて朗読できるような本を、またもや読まされるような気持ちで、何百年、何千年を生きるこの辛さ、あなたたちに分かりますか?」

「……だからって、一刀を利用して…」

「あの子も同じですわ」

「何ですって?!」

「あの子に聞いてみなさい」

「!」

 

「北郷一刀、親に見捨てられて、何度死のうとしていましたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「数えられないぐらい」

 

 

「一刀……」

 

信じられない言葉を、あの子は言っていた。

 

「……始めて一人になった時は…あまりにも辛くて……何度も死のうとした。高いところで落ちたり、電車が走る線路の上に立っていたり……でも駄目だった。自殺なんてできなかった」

「そう、あなたもわたくしめと同じ…死ねない体ですから…」

「………<<こくっ>>」

 

見たことがない。

 

一刀と一緖に寝ていると、一刀についてたくさんのことを知ることができた。

それらの大体はとても辛くて、悲しいことばかりだった。

だけど、

そんなものは見たことがない。

自分で命を捨てようとする場面なんて……

 

「だけど、もう死にたいなんて思っていない」

 

頷いたけど、一刀は直ぐにそういった。

 

「華琳お姉ちゃんたちに出会って、ボクはとても幸せになれた。そして、ボクの幸せがお姉ちゃんたちの幸せだと思っているよ。お姉ちゃんたちが傷つくとボクが悲しむように、ボクが死ぬとお姉ちゃんたちもきっと悲しむ。だから…ボクはそんなことはしない」

「そう、あなたは救われました。だけど……わたくしめにはそれさえも許されなかった」

「……」

「わたくしめの中ではなにもかもが決まっていましたわ。分かりきっている世界を生き続けることは、いつも一人でなければならなかった。救いなんてない世界でしたわ」

 

 

 

「だけど、もう終わらせることができるのです。さぁ、あなたの魂でわたくしめのこのつまらない人生を貫いてくださいませ」

 

 

管路は両腕を広げて完全に無防備状態になった。

 

「させないって言ってるでしょ!」

 

スッ

 

またも空振り。

 

「さぁ、北郷一刀。あなたが迷っているこの時でも戦は続いていますわ」

「……」

「わたくしめには聞こえますの。今でも何人がどこで死んでいくのかが、聞こえますわ。わかるんですの。それをあなたに直接伝えてあげれば…あなたはその瞬間わたくしめに矢を撃たないとたまらないでしょう…」

「駄目よ、一刀。何があっても……その矢を打てばあなたも死ぬのよ」

 

いくらそれが唯一の方法と言っても、それだけは駄目。

あなたを犠牲にした天下なんて必要ないわ。

子供の犠牲によって世の中は平和になりましたって?

冗談じゃないわよ。

 

「……ボクはもう直死ぬよ」

 

一刀…

 

「どうせ死ぬのなら、せめて皆にいいことをしてあげたい」

「あなたが死ぬことのどこが私たちにいいことになれると言うのよ!」

 

あなたを連れて帰るのよ。

 

「本当に私たちのためだと言うのなら」

 

そんなこと言わないで

 

「生きて…私と一緖に居なさい」

 

誰もがあなたが死ぬって言ったわ。

もう聞きあきたのよ。

もう一度あなたが死ぬとか垂れ流す連中があれば、私は迷いなくそいつの頸を刎ねるわ。

 

「いつまでも、私と一緖に居て」

 

 

 

「わたくしめの邪魔をしないでくださいます?」

 

ブチッ!

 

「…………へ?」

「……へ?」

 

 

 

 

一瞬、何が起こったのかわからなかった。

 

急に華琳お姉ちゃんの肩に矢が刺さって、

 

華琳お姉ちゃんはそのまま倒れてしまった。

 

「華琳お姉ちゃん!」

「……ぁ……ぁぁ……」

 

「ふふふふふふふふっ!!!邪魔をするからそうなるのですわ!」

「!」

 

あの人が…!

 

振り向いたその人の手には、さっきまでなかった矢が持たれていた。

 

「司馬仲達の時と同じものですわ。もう彼女は死ぬしかないでしょう」

「!!」

 

華琳お姉ちゃんが……死ぬ?

 

「さぁ、わたくしめが醜いでしょう?殺したいでしょう?」

 

……華琳お姉ちゃんが……

 

「……はぁっ!……ぁぁ……」

「なんてことを……してくれるの?」

 

ボクの華琳お姉ちゃんが……

ボクが死んででも守りたいと思っていた人をこんな簡単に……!

 

「さあ!愛する人の仇を取るのです!その矢をわたくしめにぶち込んで!そしてこの外史に平和を…!」

 

もう…外史なんてどうでもいい。

人たちの平和?

知ったことじゃない。

 

「よくも華琳お姉ちゃんを……!!」

 

立ち上がったボクは迷いもなくその矢の糸を引っ張った。

 

そして、憎んだ。

 

自分の無力さを……

 

華琳お姉ちゃんを守ることができなかった自分への呪いを込めて……

 

「うわぁあああああ!!!」

 

 

 

 


 
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