私は忘れないだろう・・・
しっかりと握られた手の温もりを・・・
私は忘れないだろう・・・
この慈愛に満ちた笑顔を・・・
私は忘れないだろう・・・
この手の温もりに・・・
笑顔に・・・
救われたことを・・・
~城内・ぱーてぃー会場~
「月は!?」
華雄を連れて、城に戻るなり、一刀は興奮気味に声を張り上げた
「ど、どうされたのですか、ご主人様!?」
黒髪のポニーテールを揺らしながら、関羽こと愛紗を先頭に、数人が驚いたように近づく
「月に会わせたい人がいるんだ!あ、恋と霞と音々音と詠も!!」
一刀の声に反応して、数人の女性が一刀の方に近づく
「・・・(もぐもぐ)・・・!」
「うるさいですぞ!馬鹿主人!!・・・って、えぇぇぇぇぇ!?」
「か~ずとぉ、なんや用かぁぁぁぁぁ!?」
「ははっ」
「・・・久し・・・ぶりだな・・・」
一刀の隣にいる人物を見て、いつもは無表情な恋でさえも反応してしまった
「な、なななな!?か、かか華雄やないか!?あんた生きとったんか!?」
まず始めに、まとも(?)な疑問を投げかけたのは霞・・・
「う・・うむ・・・まぁ・・・な」
華雄も戸惑いながら、どうにか返す・・・
「・・・そうかぁ・・・そうか!まぁ、簡単に死ぬような奴じゃあらへんと思っとったしな!!」
華雄の肩をバシバシと叩きながら、霞は久しぶりの再会を喜び・・・
「・・・まったく!・・・しぶとい奴なのです・・・」
音々音も口では悪態をついてみるも、その目にはしっかりと涙が浮かんでいた
「・・・・・・って、あれ?恋は?」
ついさっきまで見えていた恋の姿を探す一刀だったが・・・
「・・・・・・」
ヒョイ、ヒョイ・・・・・・
「お、おい・・・恋」
「「「「「「・・・・・・うわぁ・・・・・・」」」」」」
周りの将が苦笑いを浮かべながら、次々に皿に料理を盛り付けていく恋の姿を見ていることに気づいた
「・・・・・・?」
華雄も不思議そうに眺めていたが・・・
「・・・・・・」
やがて、盛り付けられたその皿が
「・・・・・・食べる」
ゴトッ
「恋?」
華雄の目の前のテーブルに置かれた・・・
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
「・・・・・・ははっ」
皆と同じように心配に思っていた一刀だったが、恋の考えがなんとなくだが伝わった・・・
きっとこれは・・・
恋なりの労い・・・
不器用だが・・・
恋の精一杯の表現・・・
「華雄さん」
「ほ、北郷・・・・・・ど、どうすればよいのだ?」
未だに戸惑いが抜けない華雄・・・
そんな華雄に一刀はニカッと笑い、言った・・
「料理は食べるものだよ」
その言葉に華雄はハッとする
「う、うむ・・・それでは・・・」
戸惑いながらも・・・料理を口にする
「・・・(もぐもぐ)」
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
将たちが見守るなか・・・
「・・・・・・美味い・・・・・・」
一言・・・そう、もらした・・・
「・・・・・・」
恋の顔にも、どこか安心したような笑みが浮かぶ
「ありがたく食べるのですぞ!」
音々音は相変わらず・・・
「腹減ってるやろ?もっと食べ・・」
霞は自分自身も酒を呑みながら笑顔で・・・
「・・・・・・」
そして・・・
華雄自身も何かを考えるように・・・
「・・・霞・・・恋・・・音々音・・・」
「「「・・・?」」」
心の底から温まる料理を・・・
ここにいれることの幸せを・・・
噛み締めながら・・・
------”・・・・・・ただいま”------
少し照れくさそうに・・・
小さな声で言った・・・
「・・・おう」
「・・・し、知らないのです・・・」
「・・・(コクッ)」
しかし・・・
例え小さな声であろうと・・・
その声は・・・
届くべき人に・・・
人たちに・・・
届いた・・・
たったったったった!!
「・・・?」
足音が聞こえる・・・
「月!?ちょっと待ってッ」
遅れて、もう一人の足音も・・・
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・・・・」
そして・・・
その姿が・・・
「!?・・・あ・・・あ・・・」
かつての主”董卓”が・・・
「華雄さん!!」
華雄の前に
現れた・・・
すぐさま席を立ち、その場に跪き
「・・・董卓様」
臣下の礼をとる・・・
「・・・華雄さん・・・」
息を切らしながらも・・・
そっと近づく・・・
「・・・・・・ゆ、月・・・さっきから・・・って!?あんた!?」
遅れてきた少女も華雄の姿を確認して、目を見開く・・・
「・・・一刀様」
一刀の側に周泰・・・明命が近寄る
「明命が呼びに行ってくれたの?」
一刀の問いかけに静かに頷く明命・・・
「・・・そっか」
明命の頭を撫でてあげながら・・・
「・・・じゃあ後は」
その顔には優しい笑みを浮かべ・・・
「皆で・・・見守ろうか」
周りの将たちに聞こえるように問いかけ・・・
「「「「「「「「「「・・・(コクッ)」」」」」」」」」」
それに答えるように・・・
将たちも頷いた・・・
「・・・生きていてくれたのですか?」
月の問いかけに・・・
「(コクッ)」
華雄は無言で頷く・・・
「・・・ならば・・・ならばなぜ・・・」
声を震わせながら・・・
「!!ならば何故!今まで帰ってきてくれなかったのですかッ!?」
「!?」
「「「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」」」
周りも驚くような声で・・・
叫んだ・・・
「・・・董卓様は・・・・・・」
対照的に華雄は冷静に・・・
「・・・討ち死になされたと聞いていました・・・」
「!?」
華雄の言葉に月はハッとする・・・
自分は死んでいることになっている・・・
自分の我が侭な感情で・・・
そんなことも忘れてしまっていた・・・
「ですがッ!!」
「!?」
後悔の念に駆られている月を制するように・・・
華雄が声を張り上げた
「私が・・・あなたを守れなかったことには・・・なんのかわりもありません!」
徐々に感情を吐き出すように・・・
「勝手に暴走して!・・・張飛との一騎打ちにも敗れ!・・・ましてや主を守れなかった!!」
本音を吐き出すように・・・
「にもかかわらず!!・・・私は中途半端に生き残ってしまった!!」
「!?」
その言葉に月が反応する
「どうせなら私はッ!!」
------武人として・・・・・・
「あの時ッ!!死にたk「華雄さんッッ(バシンッ)!!!!」・・・ッツ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
華雄の後悔・・・
それを断ち切ったのは・・・
「・・・・・・なんでそんなに・・・」
「・・・・・・とう・・・たく・・・さま・・・」
涙で顔を濡らした月の・・・
「・・・なんでそんなに悲しいことを言うんですか?」
「・・・ッ!?」
想いを込めた・・・
頬への一発だった・・・
「・・・あなたに死ねと・・・・・・誰が言いましたか・・・」
華雄は俯く・・・
「!?」
そして・・・
感じる・・・
「(・・・これ・・・は・・・)」
自分の頬を流れる・・・
暖かな感触を・・・
「(そう・・・か)」
そして・・・
「(・・・・・・私は)」
確信する・・・
------------・・・・・・”涙”を流しているのだと・・・------------
「!?・・・董卓様」
ギュッと手を握られる
「華雄さん・・・」
涙を浮かべながらも、その顔は笑っていて・・・
「私のために戦ってくれて・・・そして・・・生きていてくれて・・・・・・本当に・・・・・・ありがとう・・・ございます・・・・・・」
「・・・と・・・う・・・たく・・・さま・・・・・・」
華雄の顔が涙で歪む・・・
「・・・・・・華雄さん・・・霞さん・・・恋さん・・・ねねちゃん・・・詠ちゃん・・・・・・皆さんが守ってくれたから・・・」
「・・ぁ・・うぁ・・・」
目を閉じて思い出すように・・・
「・・・・・・ご主人様たちに出会えて・・・」
「・・・くぅ・・うぅぁ・・・」
「・・・確かに・・・・・・楽しいことばかりじゃ・・・なかったかも・・・・・・しれません・・・」
「うぁ・・あぁぅ・・うぁぁ・・・」
「・・・・・・先の戦争で・・・・・・多くの犠牲を出してしまった・・・・・・不甲斐無い私が言うのは・・・本当は・・・いけないことなのかも・・・・・・しれません・・・・・・」
「あ・・ぁ・・・ぁぁ・・・」
「それでも・・・・・・」
「!!」
見上げたかつての主は笑って言ってくれた・・・
------------”私は皆さんと出会えて・・・幸せです”------------
「ぁ・・・うぁ・・・うぁぁ・・・・・・」
------守りたかった笑顔・・・・・・
「ですから・・・華雄さん・・・」
------その顔を・・・ずっと見たかった・・・
------------”本当に・・・・・・ありがとうございます”------------
「ッ!?」
------その一言で・・・・・・
「・・うぅ・・・うぁぁ・・・・うぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
------私は救われる・・・・・・
「うぅ・・・・・・った・・・」
周りで黙っていた将たちも涙を流し見守る・・・
「・・・うあぁ・・・・・わ・・・・・わたしは・・・・・・」
------本当に・・・
「・・・ぁぁ・・・いき・・・うぁ・・・てて」
------良かった・・・
------------”本当に・・・生きてて・・・・・・良かった”------------
私は忘れないだろう・・・
かつて、主のために戦斧をふるったことを・・・
私は忘れないだろう・・・
変わらぬ少女の笑顔を・・・
私は忘れないだろう・・・
過去を・・・
生きてこれたこと・・・
そして・・・
現在(いま)を・・・
生きている喜びを・・・
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遅れました・・・どころじゃないですよね・・・
本当に申し訳ありませんでした!!!!
覚えていますかね?
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