No.206181

真・恋姫†無双 ~死んでも俺は叫び続ける~ EPISODE 02『一刀』

futureさん

第二話です。


現在削除処分としてある、この作品についての予告では述べたのですが、念のためもう一度述べておきます。

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2011-03-12 22:50:31 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3993   閲覧ユーザー数:3249

 

俺「―――――――――っは!!」

 

目を覚ます。そこには見知らぬ天井があった。

 

俺「はっ・・・はっ・・・・はっ・・・・・何処だよここは・・・・俺は――――――」

 

 

 

『死んだ』

 

 

 

俺「――――――――――っ!!!!!」

 

そうだ・・・あの事故が原因で俺は死んだんだ。脳梗塞で、何も言葉を発せないまま。

 

俺「琴音・・・最後まで泣いてたな・・・・ホント・・・駄目な兄ちゃんだったよ。俺は――――――って、アレ?」

 

俺・・・喋ってる?

 

俺「え? え? え? あれ・・・何で・・・?」

 

分かった。夢だ。起きたら多分、鳥か何かに生まれ変わって、空を優雅に飛びまわっているんだな。おk、理解した。

 

俺「・・・・痛い。夢じゃない」

 

頬って結構伸びるんですね。初めて知りました。

 

俺「参ったな・・・そもそもなんで俺はベッドに寝かされていたんだ?それにこの布団の材質・・・・現代の物とは思えないわな」

 

SA○ODAとか、ニト○とかで働いたことはあるけど・・・こんな“古い感じ”の物は置いてなかったと思う。

 

??「ふむ? やっと目が覚めたか」

 

俺「――――!? 誰だっ!!」

 

気がつくと、部屋の中に俺以外の人物も居た。

性別は女だろう。むしろ、この露出度が高い服で男だったら困る。

まぁ他にも脚線美とか、明らかに穿いてないだろとか、胸が大きい女性だなとか言いたいことなら色々あるが。

 

彼女を一言で言い表すのならば、

 

俺「・・・・マジ天使」

 

俺は天使と巡り会った。

 

 

 

 

天使「頭は大丈夫か? ・・・うん。大丈夫そうだな」

 

何を根拠に。しかも何故頭から。

 

天使「なら良いだろう。ちょっと来てくれ」

 

俺「え? ちょ、何をいきなり手を引っ張ってってオイ―――――――」

 

天使(乱暴)はそのまま俺を家の外に引きずり出す。

 

天使「皆の者!! 御使い殿が目を覚ましたぞ!!」

 

御使い? え、何、なんか沢山人が集まってきましたけど。

 

村人A「あれが御使い様か・・・・」

村人B「なんと凛々しいお姿じゃ・・・・流石天のお方は違うのぉ」

村人C「見ろよあの服!! 陽の光を浴びて光ってるぜ!!」

 

ワイワイガヤガヤ。

何なんだこの状況。さっきから天やら御使いやら何やら。

俺は唯の一般市民だぞ? ・・・・・・・や、死んだけれど。

それに陽の光って――――――あぁ?

 

俺「何で着替えているんだ? しかもフランチェスカの制服じゃないか・・・・」

 

ついでに所持物を確認してみる。

 

俺「使いかけのメモ帳に、ボールペン(黒)が二本・・・・それと芋けんぴか」

 

何故に芋けんぴ。いや、好きだけれども。芋けんぴだけで一ヶ月は生きていけるぐらい好きだけれど。

 

村人D「なぁ! 御使い様は、何て名前なんだ!?」

 

天使「ふぅむ。そういえばまだ聞いてはいなかったな。差し支えなければ、聞かせて頂きたい」

 

俺「名前? 俺のなま・・・え・・・?」

 

名前・・・俺は・・・・・

 

一刀「北郷・・・そう。北郷一刀だ」

 

今日の天気は――――――快晴だった。

 

 

 

 

俺が天の御使いとしてこの村に歓迎されてから、幾日が経った。

 

天使にいろいろ聞いたみた。

例えば、俺が天の御使いと呼ばれ、慕われている謂れだ。

 

一見平和そうに見えるこの村も、毎日野党に怯えながら過ごしているらしい。

村の外に出た日なんか、二度と帰ってくることは出来ないと言われるほどだ。

 

何故このような生活を強いられなければいけないのか?

全ての原因は、国の中央――――朝廷にあるらしい。

 

帝は十常侍という者たちに唆され、酒と女だけを与えられて、外の世界に興味を持たぬように仕向けられているそうだ。そのせいで、朝廷は野党討伐などという事はしていないのだ。

 

・・・まぁ、こんな小村にさえ十常侍の成す事が知られているという事は、十常侍もたかが知れているのであろう。権力を振りかざし、暴力を振るう。典型的で、無能な悪役という事だ。

 

朝廷がそのような態度なものだから、民たちは当然絶望の淵に立たされている。

 

しかしその様な中、一人の占い師がこう言ったらしい。

 

 

占い師「黒天を切り裂く一筋の光。彼の者を天の御使いと呼ぶ。彼がこの大陸に光を与えることの出来る、唯一の希望だ。」

 

 

・・・・・馬鹿らしい。話を聞いただけの俺でさえもこう思うほどだ。実際にその場に居た者たちも「戯言だ」「気が触れたか」などの言葉で占い師を嘲笑し続けたらしい。

 

するとアラ不思議。本当に空から人が降ってきたじゃありませんか。

 

要するに、その落ちてきた人間が、偶々俺だった。それだけの話だ。

 

実際俺は何も出来ずに、こうして平和な農村で、ただ悪戯に時間を費やしているだけだ。

 

状況が良く飲み込めていない俺の相談役である天使は、近々公孫瓚とかいう将軍の所へ仕えに行くそうだ。

 

そうなれば、俺もいつまでもこの村には居られないだろう。

 

いつかは旅立たなければならない。だけれども――――――――――

 

一刀「・・・何処に? 何の為に? そもそも俺は死んだんじゃなかったのか? 何故今もこうして存在し続けられている? 第一此処は何処なんだ? 日本ではない。それは確かなんだけど――――――」

 

・・・・止めた止めた。毎日同じことばかり考えている。何時まで経っても何も変わらないままだ。

 

――――――――だけどさ。

 

一刀「・・・此処の生活って、凄い楽しいんだよな。・・・・なぁ琴音。何でお前は此処に居ないんだろうな。二人だったら、もっと楽しかったかもしれないのにさ」

 

此処にいる人たちも、毎日が楽しいから生きていけるんだよな。

 

一刀「・・・お前は楽しかったのか? 俺と過ごした人生が」

 

俺は――――――楽しかったかな。

 

それに、この村の人々は皆、笑っていた。泣いていた。ふざけあったり、共に喜びあっていた。生きていることを証明するかのように。そして皆――――――

 

一刀「―――――――死んでいった」

 

 

 

 

ある日。俺は何時も通りの時刻に目が覚め、窓を開けて空を見上げる。

 

雲一つない、現代日本ではまず見られない、澄み切った青空が俺を迎えてくれる。

 

だが、その日だけは違った。

 

一刀「――――――え?」

 

その日の空は赫かった。血のように。ドロドロとした気持ち悪い感情が俺の中に入り込んでくる。

 

一刀「―――――――――――ッ!!???」

 

思わず力強く窓を閉めてしまう。息が苦しい。今まで生きてきた中で、一度も嗅いだ事の無かった異臭が俺に襲い掛かってくる。

 

吐きそうだった。いっそ、吐いてしまいたかった。

 

だけど、胸の中からこみ上げて来る、何か別の感情が俺を思い留まらせた。

 

 

??「よぉニーちゃん。なかなかいいモン着てんじゃねえか」

 

 

何時の間に入ってきたのだろうか。声に気づき、伏せていた思い頭を上げる。

部屋の中には、俺以外の男が三人。野党か何かだろうか。その手に携えられている刀には、血が付着していた。

 

アニキ「天の御使いがいるとか聞いて来て見りゃ・・・・何だこりゃ? 唯の腰抜けじゃねぇか」

 

チビ「本当にコイツなんですかい? アニキ。とてもそうは見えやせんが・・・・」

 

アニキ「馬鹿。あの光る服を見りゃ分かるだろ。あれは間違いなく天の御使いとかいう奴だ」

 

チビ「言われてみればそうでやすが・・・・それよりも、とっととズラかりましょうぜ、アニキ。獲るモンは全部獲り尽しましたぜ」

 

デク「チビの言う通りなんだな・・・今夜は女と酒で宴会なんだな・・・」

 

アニキ「お前はそればっかだな。お前らの言う事にも一理あるが、ちょっと待て。せっかく目の前に獲物がいるんだ。逃す手はねぇだろ? あ?」

 

・・・・何なんだ。さっきから獲っただの女だの宴会だの・・・・まさか。

 

一刀「お前等・・・・この村の人を殺したのか?」

 

アニキ「おぉ。話せるんじゃねえか。あぁそうだ。奴ら予想以上に抵抗するもんだからよ。思わず殺してしまったぜ。まぁ、未だに一人戦い続けている槍を振り回す青い髪の女が居るが・・・・もうじきくたばるだろ」

 

青い髪の女・・・・天使か。

 

アニキ「それよりもニーちゃん。俺らはその白い服に用があるんだよ。ソイツさえ渡してくれればニーちゃんの身体には何もしない。怪我したくなかったら、とっとと渡すんだな」

 

白い服――――この制服のことか。

 

一刀「・・・・嫌だね」

 

アニキ「あ?」

 

一刀「この服にはいろんな思いが詰められていてな。そう簡単に渡せる品じゃないんだよ」

 

そうだろ? 琴音。

 

アニキ「・・・・チッ。ツマンねぇな。チビ、デク、殺っちまいな」

 

チビ「へいっ」

 

デク「分かったんだな」

 

アニキと呼ばれた男が命を下すと、その配下であろう男たちが動き始める。その手には、それぞれ槍が構えられていた。

 

一刀「おい。何を――――――――」

 

 

 

聞く前に、俺の身体に電流が走る。

 

痛みという名の、電流が。

 

 

 

一刀(え・・・・何・・・・・刺さってるのか・・・・・・? あの槍が・・・俺の・・・・・腹に・・・? 冗談だろう・・・・?)

 

自らの腹を見下ろす。そこにはやはり槍が刺さっており、服からは血が滲み出していた。

 

一刀(嘘だろ・・・・・? また死ぬのかよ・・・・オレ)

 

痛い。

 

いたいいたい。

 

イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ――――――――

 

一刀「こと・・・ね・・・」

 

あの時のように。また俺は妹の名を呼んでいた。

 

 

 

 

【回想】

 

『ねぇ・・・お兄ちゃん・・・・』

 

「・・・・・・・・」

 

『何で起きないの・・・・? もう学校は始まってるよ? 』

 

「・・・・・・・・」

 

『お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・・・おに・・い・・・ちゃん・・・・』

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・・置いていかないでよ・・・・・一人ぼっちはイヤ・・・・』

 

「・・・・・・・・」

 

『お兄ちゃん・・・・私を・・・・私を置いて逝かないでえぇ―――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

チビ「アニキ・・・良かったんですかい? 服が汚れちまいましたぜ?」

 

アニキ「別にいいさ。天の御使いっつーぐらいなんだから、他にも何か珍しいモン持ってんだろ。探せ」

 

チビ「へい・・・あれ?」

 

チビが一刀の身体から槍を抜こうとする。

本来ならば直ぐに抜くことが出来るであろう槍。だが、その行動は阻まれた。

 

なんと、北郷一刀自身の手によって。

 

チビ「この男・・・ッ!! 自分で槍を掴んで離さない!?」

 

一刀「・・・・・っけんな」

 

息も絶え絶え。それは見るも明らかだった。だが一刀は言葉を発し続ける。

 

一刀「俺が死んだら・・・・またアイツを泣かせちまう事になる・・・・・・二度目は・・・・ねぇんだよ・・ッ!!」

 

一刀がチビの身体を蹴飛ばす。その衝撃で槍は持ち主の手から離れ、一刀の手元に残る。

一刀はその槍を引き抜き、デクの身体に突き立てる。

あまりの行動の早さに、傍観者は愚か、被害者さえも何が起こっているのか解らないままだった。

 

デク「ぐ・・・うぅ・・・」

 

チビ「デクッ!? てめぇ何を――――――ヒィッ!?」

 

腹部に穴が開いているにも関わらず、血を大量に流しながらも、重い足を引きずりながらも、一刀は敵へと近付いていく。

 

その目に生気は無く、あるのは憎しみだけだった。

 

一刀「お前等は許さない・・・・人の命がどれだけ重いものなのか・・・・・分かっているのか・・・・?」

 

そう言いながら、一刀は胸ポケットの中からボールペンを取り出し、其れを使い、チビの目を抉り取る。その男も、デク同様、微かな呻き声を上げて死んでいった。

 

アニキ「な、何だよお前!? 人の命がどうこう言う割には簡単に人を殺してんじゃねえか!! お前こそ何をやっているんだよ!?」

 

一刀「人・・・・? 俺が今殺したのは獣だ。人の皮を被った・・・な」

 

アニキ「く、狂ってやがる・・・!!」

 

部屋から逃げようとする男。それを見逃す程、俺は馬鹿ではない。

 

アニキ「ヒッ・・・!!!」

 

金を稼ぐ為にやっていた、非合法的なバイト。それは時に暗殺や暴力団を潰すなどと、バリエーションに富んでいた。

そこで、歴戦の猛者たる先輩方に、直々に特訓を受けていたのだ。

冷静な状況判断さえ出来れば、獣ごときに負ける道理は無い。

 

一刀「呪うなら・・・・自らの運命を呪うんだな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の天気は雨だった。真っ赤な。真っ赤な雨。

 

 

 

 

 

                                     TO BE CONTINUED

 

 

 

あとがき

 

 

どうもfutureです。

 

地震の被害が凄まじいですね。幸いにも私は鹿児島市に住んでいるので何とも有りませんでしたが・・・・。

 

この状況下で作品を投稿していいものか迷いましたが、予告をしているので、一応期日は守らさせて頂きました。

 

何はともあれ、今は地震による被害者の方々の安否を気遣うばかりです。こんな時に、何も出来ない自分が悔しいものです。

 

・・・・コホン。では、次の作品で会いましょう。それではまた。

 

 

 


 
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