「真・とある桂花のデレ日記」
■月◎日。
今日も今日とて、都の主であるそいつに対し、毒舌を吐きながらもその性務・・・じゃない、政務を手伝っているこの私、荀文若。真名を桂花。
「ちょっと!ここの計算また間違ってるわよ!」
「え?あ、ごめん!すぐ直すよ!」
私に間違いを指摘され、慌てて書類を手直しするそいつ。
三国の象徴にして、この都の主。
「まったく!こんな簡単な間違いばっかりして!下半身だけじゃなく、もっと頭のほうにも栄養送りなさいよね、この全身性液男!仮にも、一応、とりあえず!私たちの主なんだから!!わかった?!この種馬の御遣い!!」
「・・・・・・・・・・・・・ハイ」
私のこれでもかという罵声を浴びて、そいつは涙目になって、がっくりとその肩を落とす。
・・・・・・・・・ちょっと、言いすぎた、かな?
でも、そうやって落ち込む姿が、またなんとも母性を刺激するわけで。・・・も、思いっきりぎゅっ!!てしたい!
「一刀可愛い~!!」
って、すりすりほお擦りしてみたいっっっ!!
・・・・・・・・・・まあ、それができたら、端から苦労してないんですけどね。
実際には、ふんっ!!と、そいつから顔を背け、「自業自得よ!」・・・なんて吐き捨てている、天邪鬼な私だったりする。
「さって、と。私は華琳様の所に戻らないとだから、後は一人で頑張ってよね。じゃ」
「あ、うん。・・・・・・・・桂花」
「(!!)・・・・・・・・・・あによ?」
急に呼び止められ、ドキッとする私の心臓。それを悟られないよう、そいつに背を向けたまま応える。
「いや。今日はありがとうな。わざわざ手伝いに来てくれてさ。今度、何か御礼をするから」
うそ!?ほんとに!?
なんて嬉しさは表に出さない。あくまでも、態度はいつものまま、私はこう答える。
「・・・別に、お礼なんかいらないわよ。華琳さまのご命令で、し・か・た・な・く!!来てやっただけなんだから!」
それだけ答えて、私は彼の部屋を後にする。
・・・ほんと。なんでこうも素直にできないのやら。
部屋を出た後、私は周囲に気取られないよう、うふ、うふふふふ、と。ほくそえみながら廊下を歩きだす。・・・・お礼か~。何をしてもらえるのかな~?
『・・・桂花。お礼に俺を貰ってくれないか?・・・結婚しよう』
「な~んて言われちゃたらどうしよう~~!?やだやだ、一刀の馬鹿~!もう喜んで・・・あ」
きょろきょろと。
慌てて周囲を見渡す私。よし、誰もいない。・・・ふう。今のをもし、誰かに見られでもしてたら、もう、その瞬間から、ここには居られなくなってしまう。
私は、あいつが、大嫌い。
大陸一の種馬と名高い、天の御遣い・北郷一刀が、殺したいほど憎らしい。
周囲にそう認識されていなければ、私は私を保てない。
どれほど、彼を愛していても。
私が私であるために。
荀文若は、北郷一刀を、嫌っていなければいけない。
改めて、自分にそう言い聞かせ、今日はそのまま帰途に着いた。
×月某日
久々のお休みの日。
テクテクと一人街を歩く私。
服屋とか、小物屋とか、茶店とか。ちらりと覗いてはまた歩きだし、少し歩いては足を止め、またどこかの店を、適当に覗く。
「・・・・・・・退屈」
今日は皆、仕事で手が離せなく、誰も話し相手の居ない状況。華琳さまも、春蘭も、秋蘭も、風も稟も、皆一様に大忙し。
手が空いてるのは私一人。手伝いでもしようかと、皆に声をかけたのだが、そのことごとくに断られた。
「めったにない休みなんだから、ゆっくり羽を伸ばしていらっしゃい」
華琳さまはそうおっしゃってくださったものの、何もすることが見つからなかった。だから、仕方なく一人で街に出た。
「・・・・・一刀の手が空いてたらよかったのに。いや、でも、だったら何か出来るってわけでもないんだけど」
でえととかに誘う?とんでもない。一緒にお茶をする?まさかまさか。・・・じゃあ、閨でいちゃいちゃ・・・はあ。出来もしないことばっかり考えてる。
「・・・も、帰ろかな」
部屋で不貞寝でもしてよう。と、屋敷へとその足を向けたときだった。
どんっ!と。
誰かにぶつかった。
「あ、ごめんなさ・きゃあ!!」
男に、胸倉をつかまれた。
「ごめんですんだら、兵士はいらねんだよ。ちょっと付き合ってもらおうか?え?ねえちゃんよお」
やだ。
やだやだやだやだ。
だれか、誰か助けて。
あまりにも突然のことで、頭が恐慌状態になった。恐怖で思考が働かない。声が、出ない。
どこに連れて行かれるの?
何をされてしまうの?
彼以外の男に、穢されてしまう?
いや!そんなの絶対にいや!
男が、私を担ごうとしたときだった。
「桂花ーーーーーーーーー!!」
「え?」
ぼぐうっ!!
突然飛び出てきたその白い影に、男は思わず私を離し、派手にその場にひっくり返った。
地面に腰をぬかし、呆然とする私。その私に、その白い影の人物が、手を差し伸べてきた。
「大丈夫か?!怪我とかしてないか!?」
一刀。
「よかった。警邏の途中で出くわせて。・・・凪!そいつをふんじばって、牢にでも放り込んでおいてくれ」
「はい!隊長!」
一刀、だ。
「・・・桂花?どうした?やっぱりどこか・・・って、え?!」
ぎゅ、と。
無意識にしがみついていた。
「ちょ?!桂花?!」
一刀。一刀。一刀。
もう、何も考えていなかった。恐怖から開放され、そして、目の前に愛しい人が居た。体を小刻みに震わせながら、ただ、力いっぱい、彼に抱きつき、いつの間にか、私は泣いていた。そんな私の頭を、優しくなでる、彼のその手の、暖かさを感じつつ。
「・・・・・・・まあ、その後、冷静さが戻った時点で、『・・・い、いつまで抱きついてんのよ!この変態!(バシイッ!)』と、思いっきりひっぱたいちゃたんだけど」
ほんと、理不尽でごめんなさい。
日記帳をしまいながら、心の中でそう謝る私。
結局、そのときのことを、彼は誰にも話さなかったらしく。凪にも口止めをしていたようで、この一件がみんなに知られることはなかったけど。
「・・・・・・・一刀は、どう思ってるのかしら」
その本人も、まるで何も無かったかのように、その後もこれまでどおりに接してくる。もちろん私も、これまでどおりの態度で彼に接している。
時に悪態をつきながら、時に蹴り飛ばしながら。
彼が嫌いな私を、演じ続けている。
「さて、と。寝る前にお風呂にでも入っておこうっと」
部屋を出て、浴室へと向かう私。
時間ももう深夜。
誰も入っているわけも無い。
だから、油断してた。
そう思い込んでいたから、脱衣所の”それ”に、気づかなかった。
湯気で真っ白で、近くに行くまで分からなかった。
「・・・・・・・・え?」
「・・・・・・・・へ?」
まあ。
その後どうなったのかは、大体見当がつくと思う。
・・・・・・・久々に、たっぷり愛してもらっちゃった。えへへ♪
まあ、その事の最中、口では散々、
「スケベ!変態!あんたにされたって、気持ちよくなんか無いわよ!このへたくそ!」
なんて罵りながらだけど。
・・・天にも昇る心地ってのは、このことなんだろうなーと。
そして、彼を独占出来ているこの時間を、少しでも長く保つために。
「何よ?もう終わり?はっ!情けない男!・・・何よ?悔しかったら、もっと私を感じさせてみなさいよ!」
などと彼を煽りつつ、至福の時を過ごしました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・・・・・・・・・・・幸せ♪」
えんど。
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はっはっは!
桂花のネタばっかり書いてるなー、最近。
北朝伝よりこればっかり妄想してる、今日この頃w
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