流琉を見送った後、程なくして目的地である裏庭の大木が見えてきた。
大木の周りの茂みは風の背丈を越えた高さで雑然としていて所々に野バラのトゲとかも見えていて根元に近づけそうには見えなかった。
風「さてさて周りには誰もいませんね~」
宝譿「あぁ、気配は無しだ」
と、周りを窺いながら茂みに歩を進めて
風「ここで春蘭2号2匹分前に進んで、左に5宝譿分ズレてごにょごにょごにょ~」
呟きながら茂みの中を縫うようにして進みしばらくすると
風「はい、無事通過です~」
と、茂みの内側に立っていた。
大木の根元に座ると茂みの外からは誰からも見つからない秘密のお昼寝場所である。
風「さてと、お兄さんはまだまだかかるでしょうし、ちょっとだけ早いお昼寝といきましょ~」
と、言いながら座って大木にもたれかかった。
風が昼寝を始めて半刻ばかりすると
???「えぇっと、表口は風専用だから裏口だな」
???「お、あったあったここからまずは宝譿分かがんで真桜分左に行って凪分前に行ってごにょごにょと」
???「イテッ、しかし最近はみんな成長してきたから覚えなおさないとなぁ」
等と声が聴こえてくる。
???「っと、これでヨシと。今日は一箇所だけひっかかっただけか」
茂みを抜けてきた人物を見て
風「おやぁ~お兄さん思ったより早かったですねぇ~」
と、目を擦りながら声をかけた。
一刀「あぁ凪達が上手いこと作戦通りやってくれてね」
と、多少衣服についたゴミを払いながら答える。
宝譿「作戦ってぇのはいったい?」
一刀「それはね」
と、状況を説明しだした。
場面は一刻前の玉座の間、春蘭と霞の鍔迫り合いが本格化しようとしたその時である。
一刀「ちょっと待った二人とも!!」
突然大声を出した一刀に驚き二人の動きが一旦止まる。
春蘭「なんだ北郷、急に大声等出して慌てなくても今この霞を退けてお前の性根を叩き直してやるから待ってろ」
霞「そやで~一刀、もうすぐこの猪女片付けて二人でいちゃいちゃするからそこで大人しく見ときぃ」
お互いそう言うとまた力を込めだす。
一刀「んじゃ2人は不戦敗で良いんだね?」
春蘭・霞「「不戦敗?」」
真桜「たいちょ、これ以上数増えるん嫌やから誘わんでええで~」
沙和「そうなの~たいちょ~とのいちゃいちゃ権争奪”じゃんけん”大会なの~」
凪「そうです、隊長といちゃいちゃしたい人間だけでやればいいんですよ」
と、三羽烏の面々が口々に言う。
春蘭「なんだ?その”じゃんけん”とやらは?」
と、興味を示す一方で
霞「せやせや、そんなんせんでもコレで決着つければええやん」
と、自慢の青龍刀を振るいたがる
一刀「俺の居た天の国ではこの”じゃんけん”で生涯負け無しの人を神と崇め奉ることもあったんだよ」
春蘭・霞「「生涯負け無し!?神!?」」
一刀(喰いついたな)「まぁせっかくなんで順番決めを”じゃんけん”やって貰おうと思ったんだけどそっかぁ春蘭と霞はやらないんだなぁ」
と、三羽烏の方向に歩み始める一刀
霞「ちょっちょっと待ったりぃや一刀!!誰もやらへんゆうてないやん」
春蘭「そ、そうだぞっ北郷!!霞はどうか知らんが私はやってもかまわんぞ、いややってみたい」
霞「ちょっ惇ちゃん!?抜け駆けはずるいでっ」
慌てふためく2人のほうに向き直り
一刀「そこまで言うならあの3人の説明を聞いて参加してくれ」
にっこりと満面の笑みで2人にそう言った。
一刀「ってわけなんだよ」
後ろから膝の上に座っている風の柔らかい髪を梳きながらそう言うと
風「なるほど~その”じゃんけん”とやらの法則上3つの手が相殺しあう条件であれば永久に勝負がつかないってわけですね~。そして今回の”じゃんけん”大会にはお兄さんの意向を受けた三羽烏がいると~」
背中にぬくもりを感じながら髪を梳かれてるのが気持ちいいのか目を細めながら考察を述べた。
一刀「そ、それで勝負に夢中になってる内に抜け出してきたってワケ」
宝譿「ニイちゃんも悪人だぜ」
一刀「そう言うなよ。風との時間を護るためにやった策なんだからさっ」
そう言って向かい合うように風の体の向きを変えると
一刀「俺が消えたってことを知っていながら今までよく我慢してくれたね、ありがとう風」
優しく瞳を見つめるようにそう言うと
風「風はお兄さんのことを信じてましたから~、風とい、いちゃいちゃするまで”えぐっ”消えないって”ひくっ”信じてお、お兄さん~うわ~~~~ん」
最後は涙交じりだった。
最後まで言い切ることが出来なかった風を優しく抱きしめながら
一刀「これは真桜の時我慢してくれた分チュッ」
と、言いつつデコチューを
風「もっとです」
一刀「そしてこれは沙和の時我慢してくれた分チュッチュッ」
と、ほっぺチュー(勿論ダブル)を
風「もっともっとなのです」
一刀「そして素直になれなかった俺と凪を救ってくれた分チュッチュッ」
と、ひざチュー(これまた勿論ダブル)を
風「もっともっともっとなのですよ~」
一刀「そして秋蘭を気遣って我慢してくれた分チュッ」
唇をついばむような軽いチュー
風「風は欲張りですからこんなもんじゃ満足しませんよ~」
一刀「そしてこれが俺が風が好きで好きでたまらない気持ちを込めたチューだーーーーー!!」
一刀「落ち着いた?」
腕枕をしてる風に尋ねると
風「風は常に冷静沈着ですよ~お兄さんがいいえ、お兄さんだけが風を冷静でいられなくさせるのですよ~」
腕の上から頭だけをこちらに向けてそう言った。
一刀「そっか、俺だけか」
風「そうです、お兄さんだけです」
2人は見つめあうとどちらかともなく笑いあった。
風「してお兄さん、風の子供にはどんな名前を?まさか秋蘭ちゃんの子供だけ特別ってワケじゃないですよね~」
問い質すような顔をしながら
一刀「勿論考えてるよ、名前は”程武”で真名は”雲”」
あっさりとそれでいてどこか真面目な顔をして
風「由来を聞かせて貰ってもいいですか~?」
一刀「どんなに暑い日差しでも”雲”が間に入れば過ごしやすくなるし、”風”と”雲”によって恵みの雨が降る。産まれてくる子供には風と共にこれからの魏を支えていって貰わないとね」
そしてポケットをごそごそすると
一刀「ほらっもうこんなのも用意してるんだよ」
と、取り出して見せたのは現代用品で言うところの”おしゃぶり”である但し特注の
風「これは・・・・・・宝譿?」
一刀「そ、これは天の国の赤ん坊用の道具なんだけどね。ちっちゃい宝譿に見守ってもらおうと思ってねこの持つところの細工をちっちゃい宝譿にしてもらったんだ」
そして宝譿の方を見ながら
一刀「俺達の子供が産まれてきたらその時はこのちっちゃい宝譿ともどもよろしくな」
宝譿「へへっ親子で手間がかかるってもんだぜ」
一刀「風これからもよろしくね」
風「ふふっよろしくされてあげるのですよ~」
うららかな日差しの中でまた抱き合う2人だった。
これからもいちゃいちゃするぞー
魏ルートパフェ 甘々物語-風編- 後編 完
-あとがき-
駄文遅筆なshirouです。
なんとか年内に風編終わらせることができました。間隔空き過ぎてるのでもう一度前編読んでもらうといいかもです。
まぁ遅くなっていっておりますが、それでも見捨てずに読んでやってくださいませ。
皆様のコメント見るのが楽しみかつエネルギーとなっておりますので。
次回は稟か流琉編になると思います。久々に蜀パンッシリーズも書きたいなぁとか思ったり思わなかったり。
それでは皆様よいお年を~
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この作品は誤字脱字遅筆駄文製作者が妄想の元書き上げる魏ルートEND後アフターIFストーリーです。キャラ崩壊口調違和感等は生温かい視線とコメントでお願いします。