No.188299

秘密の『男子会』

kawajanzさん

コンテスト投稿作品第三弾です。

今回は、瑞穂と千早が居酒屋で語り合う話です。
今流行の『女子会』ならぬ『男子会』を開いちゃいます!

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2010-12-06 17:56:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6256   閲覧ユーザー数:5983

 同性愛。

 大辞林曰く、『同性の者を性的愛情の対象とすること。また、その関係』のこと。

 ただでさえ倒錯した関係であるにも関わらず、そこにオプションがついてしまったらどうなってしまうのか。

 そう、二人は紛れも無い男性であり、女子高を卒業した『お姉さま』なのである。

 これは、とある居酒屋で繰り広げられる男の娘たちのラブストーリー………

 

 

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 この日も、とある居酒屋で第百九期エルダーシスター鏑木瑞穂(旧姓:宮小路)と第百十ニ期エルダーシスター御門千早(旧姓:妃宮)の二人は、恒例となった「男子会」を開いていた。

「瑞穂さん、遅くなりました」

「僕も来たばっかりだったから大丈夫。それよりも、急な連絡でごめんなさい」

「瑞穂さん。その何でも謝る癖、やめてもらえませんか?悪いのは遅刻してきた僕のほうです。謝るべきなのは僕なのですから」

「千早くん……ごめんなさい」

「瑞穂さん、また謝ってますよ」

「えっ……あっ、ごめんね」

「ふふっ、言い方変えても結局謝ってるじゃないですか」

「あっ……もう、千早くんのいじわる」

「瑞穂さんのそういうところが昔は嫌いだったんですけど、こうして親しくなると可愛く思えてくるから不思議ですよ」

「千早くんにまで可愛いなんて言われたら僕はお仕舞いだよ」

「はいはい……。相当、酔ってますね、瑞穂さん。あれだけお酒は弱いから、僕が来るまで飲むのは待って欲しいって言ったのに……」

「ううっ…だって、まりやが昨日も新作のドレスを僕に着せて来て、貴子さんはそれを見て失神して……」

「大変だったんですね。今日もたっぷりお話伺いますよ」

 こうして二人の長い夜は始まった。

 

 

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「瑞穂さん、聞いてください」

「聞いてるよ、千早くん」

「薫子さんが最近『前みたいに女の子同士でデートしようよ』ってうるさいんです」

「僕はまりやに毎日女装させられてるけど」

「そうなんですか。瑞穂さんも大変ですね」

「本当だよ。この前なんて、まりやが『飽きた』っていきなり言い出して僕と貴子さんの服を交換してっていうんだよ」

「うわ……。それで、どうなったんですか」

「その場で交換して、一日過ごした。それも、その日一日、僕が貴子さんのことを『旦那さま』って呼ぶことになって……」

「瑞穂さん、それ以上は大丈夫です」

「ううっ……千早くん、優しい」

「僕も似たようなことがありましたから。薫子さんが『女の子同士のデート』をせがむようになったのも、元はと言えば『立場逆転デート』がきっかけですし」

「立場逆転デート?」

「ええ。僕が薫子さんの彼女になって、薫子さんが彼氏役で一日過ごしたんです。それも薫子さんはさらしをきつく巻いたり本格的に男装してくるし、僕は薫子さんより背が低いから彼女にしか見られなくて……」

「千早くん、可愛そう」

「それだけじゃないんです。デートで行く先も、レディースデイがあるところばかり選んで、『千早だけいいなぁ』とか言われて……僕は……僕は…」

 しくしくと泣き出す千早。

「大丈夫だよ千早くん。僕も似たような経験をして強くなったから千早くんも強くなれる」

「本当ですか?」

「この会だって女子会割引クーポンを使ってるしね。僕たちは強くならないといけないと思う」

「瑞穂さん、なんだか泣けてきますね」

「千早くん、やっぱり僕も泣けてきた」

 

 

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 会も佳境に差し迫ったころ。二人は酔いつぶれていた。見た目には、そうは見えないのだが……。

「瑞穂さんのように僕の気持ちを理解してくれて優しい方は初めてです」

「僕も千早くんのように気が合って話ができる人は初めてだよ」

「僕、薫子さんのことも愛してますけど、瑞穂さんのことが……」

「僕も貴子さんのことを愛してるけれど、千早くんのこと……」

「瑞穂さん……」

「千早くん……」

「「んっ……」」

 そうして、二人は口付けを交わした。

「また会いに来ますね、瑞穂さん」

「うん。ずっと待ってるよ、千早くん」

 そうして二人は手を繋ぎ席を立ち、個室から出ようとするが、突然ドアが開いた。

 そこに現れたのは、七々原薫子と厳島貴子の二人だった。

「千早、今瑞穂お姉さまとキスしたでしょ」

「瑞穂さん、今千早さんとキスしましたね」

 二人はサングラスを掛け、盗聴器らしき機械を持っている。

「「男同士でなにやってるのよ!!!」」

 

 

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 同居酒屋別室での会話。

「録音はできたかしら、史ちゃん」

「はい、滞りなく録音できました。香織里お姉さま」

「ビデオの方も撮れてるの?」

「はい、そちらも問題なく録画できました。まりやお姉さま」

「じゃあ、後は合成するだけね」

「そうですね。今夜のうちに史が作業いたします」

「よろしく、史ちゃん」

「それにしても良いもの見れましたね、まりやお姉さま」

「香織里もどんどんあたしに似てくるわね」

 影では壮大なプロジェクトが進行しつつあることを、瑞穂と千早が知る由もなかった。


 
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