ふと朝の清々しく晴れやかな空を見上げると有情白孔雀が高速飛行の後プガチョフ・コブラをおこなっていた。
柿太郎は日課にしている超早早朝ジョギングの折にその美しい鳥に精いっぱいの賞賛を送った。
柿太郎は商店に戻ると軽い朝食を作り、食べた。
彼に妻はなかった。もちろん夫も真ん中もありはしないが、まだ齢二十至らぬ若年なので気に留めなかった。
「ぶぶふぅーっ」
ふと汁大根を噴き出してしまう、食事中にふと考えに耽ってしまい、気管支につかえそうになってしまったのだ。
「食事中に考えるのはよそう。汁大根を噴き出してしまうなんて、農家のカタと八百屋さんに謝らなくてはな。ふふ。」
柿太郎は誠実な青年だった。少なくとも政治家よりは。
「さあて、今日は問屋から仕入れたサボテンがくる日だな。色々な話を聞かせてやろうかな。」
「おはよーう」
ふと店の戸を叩く乾いた音響にダミ声の下水道コーラスが聴こえ、心打たれて
「はーい」
柿太郎はサボテンが届いたのかと憶測するとちゃぶ台から諸共に跳ね上がり、食器を自動式食器洗浄機械に叩き入れると、弾丸団栗大猪の如き猪突猛進、一切合切、かなぐり捨てるように暴れ狂いながら商店の戸を殴蹴突開錠した。
「よう」
配達員であり、良き友人でもあるクレイトン・リー・ラトリーヌスが立っていた。
彼のような快活で気持ちのいい笑顔と身のこなしを持つ男は、このような良い朝に映えるのだなと思えた。
「いい朝ですねクレイ」
クレイトンはそわそわ。
しかし狂っているのだが、この服装から何から、下卑、醜悪。
「柿さん、実は問屋の姐さんが‥」
「もういいから荷物を置いて帰ってくれぃクレイ不愉快」
私は荷物を彼から強引に分捕ると、矢のように光陰。サインを済ませ、クレカで、と言い放ち戸を閉めてしまう。
「いくじなしっ」
罵られたが知った事ではない。
私は荷物を抱えたまま居間までアフターバーナー無しでスーパークルーズした。
そしてパッケージングされているサボテン。
「違うじゃないのぉー」
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我々の住む惑星から2000万光年離れた港町の雑貨屋を営むヘンリー柿太郎の苦悩と人語を解する奇っ怪盆栽