No.178333

真・恋姫無双 刀香譚 ~双天王記~ 拠点・華雄、魏延を鍛えんとし、魏延、〇〇を授かるのこと。

狭乃 狼さん

はい、ようやくの投稿です。

刀香譚、最終拠点シリーズの第三弾です。

今回はタイトルどおり、蒼華と焔耶のお話です。

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2010-10-15 11:00:34 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:11067   閲覧ユーザー数:9654

 

 「おりゃあー!!」

 

 「まだまだ!踏み込みが甘いと言っている!!」

 

 成都城内の練武場にて、魏延は華雄からの激しい特訓を受けていた。

 

 その内容は、体術や武術はもちろんのことだが、精神修養もそこに含まれていた。

 

 「よーし!今日の武術訓練はここまで!大分良くなってきたぞ、焔耶」

 

 「は、はい!ありがとうございます!」

 

 片ひざを突き、肩で息をしながら、華雄に対して素直に礼をする魏延。

 

 「さて、昼飯を済ませたら今度はいつものところに行くぞ」

 

 「う。……あの、蒼華さま。本当にあれが、精神修養になるんでしょうか?」

 

 おずおずと、華雄に問いかける魏延。

 

 「なんだ、まだ信じられないのか?」

 

 「……はい」

 

 「気持ちは分からんでもないがな。だが、今のお前の短気具合を治すには、”あれ”が最も効果的なんだ。……昔、私がやったようにな」

 

 くすり、と。すでに普段着としても定着した巫女服姿で、魏延に微笑む華雄。

 

 「蒼華さまも、”あれ”をされたんですか?」

 

 「ああ。まあ、”あれ”の発案は一刀なんだがな。最初に聞いたときには、何の冗談かとおもったが、やって良かったと、今は本気で思ってるぞ」

 

 それは幽州で公孫賛の手伝いをしていたころ。一人暴走してみなに迷惑をかけたあの後、当時、琢県の県令をしていた一刀から、精神面の修行になるとして、華雄はある方法を提示された。

 

 その方法とは、

 

 

 

 「いらっしゃいませー!」

 

 成都の街中にある一軒の飯店。その店内で、黒地に黄色い縁取りを施した、体の線がはっきりと出る服、――いわゆるチャイナ服を身に纏い、(ひきつった)笑顔で客を出迎える魏延の姿があった。

 

 「こら焔耶!もっと心の底からの笑顔を作らないか!」

 

 「で、ですが、蒼華さま」

 

 「口応え無用!ほら!お客さんが待ってるぞ!早く注文を取ってこないか!」

 

 「は、はい!!」

 

 魏延と同じチャイナ服(こちらは蒼地に紅い縁取り)姿の華雄が、いまだ自身の置かれた状況に納得の出来ていない魏延を、叱咤する。

 

 そう。華雄が一刀から教わった精神面の修行方法。それは、飯店などの人が多いところで、少々色っぽい格好をすることだった。

 

 どれだけ周囲から奇異の目で見られようと、恥ずかしかろうと、それを我慢することで、少々のことには動じない心を鍛え上げる。

 

 一刀の論理はそういうことであった。もっとも、ただ自分が目の保養をしたいだけと思って教えたのだろうと、後から話を聞いた劉備と関羽に、恒例の”お仕置き”を受けていたが。

 

 それはともかく、そのころの自分と魏延の姿が重なった華雄は、本人的には効果のあった(と、思っている)この方法を、魏延にもやらせたのである。

 

 「三番卓、ラーメン二丁です!」

 

 「はいよ!」

 

 そんなこんなで、チャイナ姿にて店内を駆け回る魏延。そのスリットから時折、彼女の白い脚がチラリと見える。

 

 そこに、店内中の男たちの視線が釘付けとなる。さもありなん。魏延ほどの(黙っていれば)美少女の脚が、汗をかいていることも相まって、えもいえぬ色気を醸し出しているのである。

 

 (これで萌えなきゃ、男じゃない!!)

 

 そんな叫びが聞こえてきそうな店内。

 

 (うう。恥ずかしい……)

 

 その視線に顔を真っ赤にしつつも、笑顔で仕事をこなし続ける魏延。

 

 「焔耶!五番卓、新規様三名だ!」

 

 「は、はい!」

 

 華雄の指示を受け、壁際にある卓へと駆け寄る魏延。そこに居たのは、

 

 「か、一刀さま!」

 

 「やあ、焔耶。頑張ってるね」

 

 「ふ~ん。焔耶にしては良く似合ってるわね」

 

 「いいな~。あたしも着てみたいなー」

 

 一刀と孟達、徐庶の三人だった。

 

 「確かに由の言うとおりだね。良く似合ってるよ焔耶。うん、とっても可愛い」

 

 「そ、そんな、可愛いだなんて……!!あの、その」

 

 一刀にほめられ、しどろもどろになる魏延。

 

 「……ちょっと焔耶。注文していいの?」

 

 「え?あ、ああ、すまない。あいや、すみませんでした。……ご注文は?」

 

 「あたし、から揚げ定食!」

 

 「私はチャーハン」

 

 「俺はラーメンと餃子で」

 

 「はい。から揚げ定食とチャーハン、ラーメンに餃子ですね?少々お待ちください」

 

 聞き取った注文を手の中の紙にさらさらと書き、深々とお辞儀をして厨房へと向かう魏延。

 

 その後ろ姿(主にお尻の部分)を見ながら、なぜかうんうんと頷く一刀。

 

 「……一刀さま?鼻の下が思いっきり伸びてますよ?」

 

 「カズくんの助平」

 

 「あ、いや、その」

 

 孟達と徐庶から白い目を向けられ、縮こまる一刀であった。

 

 

 

 そしてその翌日、今度は別の店で。

 

 「お帰りなさいませ~、ご主人様!」

 

 メイド姿で、深々とお辞儀をする魏延の姿がそこにあった(なぜそんな服があるのかは、深く突っ込まないように)。

 

 「か、可愛い……」

 

 昨日と同じく、その店にやって来ていた一刀が、果てしなくだらしない顔でつぶやく。

 

 「……おい、一刀。私もここに居るんだけどな?」

 

 「あ、いや、蒼華だってもちろん可愛いよ!うん、すっごく綺麗だ」

 

 「そ、そうか?あはは、なんだか照れるな」

 

 魏延と同じメイド姿の華雄が、だらしない顔で魏延を見る一刀を睨むが、その一言ですぐに顔を真っ赤にしてモジモジとする。

 

 (こ、ここはこの世の桃源郷や~!!)

 

 …………お見せできないのが本当に残念です。

 

 

 朝は武術の訓練、昼からは、街中での精神修養。

 

 そんな、修行(?)の日々が、何日か続いたある日の夜。

 

 「そ、蒼華さま。本当にやるんですか?」

 

 「当たり前だ。これが最後の修行だと思え。これを乗り越えずして、免許皆伝は無いぞ?」

 

 「……これも、一刀さまの発案ですか?」

 

 「そんなわけ無いだろ?これは私独自のものだ。女なら、これ以上の精神修養は無い。ほら、覚悟を決めろ」

 

 「は、はい」

 

 二人が立っているのは風呂場の前。そして中には、ある人物が入っていた。

 

 がらがらがら、と。

 

 風呂場の扉を開け放ち、中へと入っていく二人。すると、

 

 「うわわわわっ!!ふ、二人とも何してんだよ!?ここ、風呂だぞ?!そ、それもそんな格好で!!」

 

 中でゆったりと湯に浸かっていた一刀は、突然の闖入者に驚き、慌てて湯船の中でその闖入者、華雄と魏延に背を向けた。

 

 「なにって。背中を流しに来たに決まってるだろ?」

 

 「えと、その、ど、どうかご遠慮なさらないでください!」

 

 白と紺、それぞれの色のスクール水着(胸に名前の刺繍入り)を来た華雄と魏延が、一刀を湯船から引っ張り出そうと、ザバザバとそのそばへ近づく。

 

 「ちょ、ちょい待った!気持ちは嬉しいけど、こんなところをもし、桃香や愛紗に見られでもしたら……!!」

 

 「大丈夫さ。あの二人なら、もう休んでる」

 

 「は、はい。就寝は確認しております」

 

 「そ、そう?なら、まあ、お言葉に甘え」

 

 そこまで言って、ピシッ、と固まる一刀。

 

 「?どうした一刀?」

 

 「一刀さま?」

 

 「あ、あ、あ」

 

 『??』

 

 どんどん青ざめていく一刀の視線を追い、くる~り、と。後ろを振り向く華雄と魏延。そこには、

 

 

 

 「誰に何を見られたら困るのかな?」

 

 「きちんと説明をしていただきたいですね、義兄上」

 

 『!!!!!!!!!』

 

 ずごごごご、と。

 

 そんな効果音が聞こえてきそうな表情で、仁王立ちの劉備と関羽が、いつの間にやらそこに居た。

 

 「ふ、ふたりとも、寝ていたんじゃなかったのか?」

 

 「……お風呂場に忘れ物をしたのを思い出してね、取りに来たの」

 

 「……私はまだ寝ていないぞ?これから部屋に戻るつもりだったのだが」

 

 『…………』

 

 だらだらと。蛇に睨まれた蛙のごとく、いやな汗をかき始める一刀、華雄、魏延の三人。

 

 「で、私たちに内緒で何をしようとしていたのかな?蒼華サン、焔耶チャン?」

 

 「……義兄ウエも、随分、オタノシソウデスネ?」

 

 「と、桃香さま、これはその、ですね」

 

 「そ、そう。焔耶の修行のためなんだ!な?!一刀!!」

 

 「い?!お、俺は何もして」

 

 『……フ~ン。修行、デスカ』

 

 「そ、そうなんだ!だから、ここはひとつ穏便に」

 

 『……スマストオモウ?』

 

 にっこり。

 

 『あ……(オワタ……)』

 

 

 その夜。

 

 城内に突然響いた悲鳴は、とてもこの世のものとは思えなかった、と。人々は口をそろえて言ったと言う。

 

 ちなみに、その翌日朝議に出てきた一刀は、相当なやつれ方だったという。

 

 合掌(チーン)。

 

 

 

 <あとがき>

 

 「さて、みなさん。今回の拠点はいかがだったでしょうか?」

 

 「今回のは完全に作者の趣味やな。チャイナ服にメイドさん、とどめはスク水」

 

 「まにあっくだね~。さすが変態」

 

 「ほんまほんま」

 

 「・・・え?その作者ですか?・・・由さん、御存知ですか?」

 

 「さあ?どっかの海の底で、お魚と戯れてんのとちゃう?」

 

 

 「さて、次回の拠点ですが」

 

 「あ、まだ拠点なんや。え~と、桔梗&朔耶、もしくは翠・蒲公英のどちらか、か」

 

 「とりあえず、拠点はその二つまでのようね」

 

 「それが終わったら、いよいよ最終決戦に向かうことになるんやね」

 

 「そのようね。・・・あら?」

 

 「ん?なに?」

 

 「あ、いえ。作者が何か・・・・・・。え?!」

 

 「ど、どったん?!」

 

 「由さん、この本・・・・・・」

 

 「こ、これって、もしかして、学園さ」

 

 「ストーップ!!・・・これが本当なら、はやく作者を引き上げないと」

 

 「せやな。・・・ほな皆さん、また次回にて、お会いしまひょ」

 

 「コメント等、たくさんお待ちしてますね」

 

 

 『それでは、再見~!』

 

 


 
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