言葉ではない、空気の振動ではないが確かに助けを求める声。
待ちに待っていた「始まり」を聞き取って、彼らは同時に起きた。
「よぉ、起きたな相棒」
「あぁ。始まったな、相棒」
薄暗い、街灯の光が差し込むその部屋で、向かい合った彼らは同じ顔をしていた。
年の頃なら10ばかりか。
電気もつけず、パジャマ代わりのTシャツとジャージを脱ぎ、普段着……といっても、ジーンズに履き替えただけの適当さだ…に着替える様子は手早く、だが焦っているようにはとても見れなかった。
「長かったな、10年」
ぽつりとどこかため息めいた調子で片方が呟く。
年の頃には相応しくない言葉に、意識することも無く。
そんな彼が纏うのは蒼いシャツ。
「そうか?お前がいたから、そうでもなかったけどな、俺は」
もう一人が軽く笑う。
赤いシャツを纏いながら、年不相応な、男臭い笑みで。
「嬉しくないな」
「お互い様だ。さぁ、ルールを確認しようか」
「今更?」
「今更」
キラ、と光るペンダントを首にかけながら、相棒と呼んだもう一人を蒼い少年が観る。
いわゆる中国の風水に使われる八卦炉の形をしたデザインは少年のものにしては奇妙ともいえたかもしれない。
「物語への介入は最低限」
「俺たち"本来にいない人間"が関わったことで派生した異常にはちゃんと対処」
赤いシャツの少年はアクアブルーの二等辺三角形で形成された、八面体のペンダントを首に掛ける。
会話する間も、二人そろって薄暗い部屋の中、ベッドの上で軽い準備運動のようなことをしている。
「アースラは?」
「魔王様とは既に知り合いだ。どの道身元はバレるだろ」
「そん時のタイミングで考える?」
「・・・・だな。さぁ、お嬢」
小さな八卦を手に、少年が囁く。
応じるようにふわり、と重力に逆らう八角形が手の中で。
<yes, please call me>
「魔法の力秘めし鍵
契約の名の下高砂 抄が命じる
封印解除……"マスタースパーク"」
言葉を鍵に、単なる占いの道具を模しただけにしか見えなかったはずのそれが赤い光を放つ。
その驚愕すべき光景を横目に、赤い少年もまた手の中で空に浮いた八面体を手に声を発する。
「こっちもいくぞ、姫」
<Ja.マインヒューラー!!>
「電子の海を統べる王。
汝の欠片高砂 晶の縁に従い、
汝ら数多の伝説の力もて
我にさらなる魔力を与えよ
リアライズ"デジシュヴァルツ"」
声に応じ、蒼いヒカリが溢れる。
本来、人の世界ではそう放たれるものではない、意志を伴う光。
二つが混ざることなく溢れ、収束し、残ったのは、服というよりも「衣裳」といった方がしっくりくるような独特の格好の二人だった。
赤い光を放った蒼いTシャツだった少年は基本白い狩衣姿だが、何故か袖の部分がわざわざ胸に当たる部分から離れている。
淵に多く赤のラインが走り、本来なら膨らんでいるズボン?部分はすっきりとしたシルエットにはなっているものの、やはり赤い。
足はブーツになっていて、そこだけ明るい茶色だった。
そして手には、掌にちょこんとおさまっていたはずの八卦が丁度握りこみやすいサイズになってかすかな光を放っている。
蒼い光を纏った赤いシャツの少年は、逆にドシンプルな格好だった。
一言で言えば白ラン。元である軍服のような着飾りすらなく、縁取るラインとズボンは蒼。小学生の体ではバランスが悪い印象もあるだろうが、ぴったりとしたつくりなのでむしろ大人びた印象を観るものに与える。足に纏うのもローファー。やはり茶色い。
手にしているのは先ほどの蒼い石ではなく、なにやら一昔前に流行ったデジタル時計を二周りほど大きくしたような感じがある白い機械。はやり淡い闇の中でぼんやりとひかっている。
<Plrease oder,my dady>
<Befiehl bitte,mein Fuhrer>
「目標は"槙原動物病院"。ただし可視出来る程度の高さ。
多分疲労しているフェレットにはばれないだろ」
「その代わり、トラブル対応できるように、ちゃんと周囲探査だけは気をつけてくれ。
多分俺たちは周囲に気を配れる余裕がなくなるから」
<OK>
<Ja>
<これより始まるのですね、ダディ>
<マインヒューラーズにお遣いして5年。
長いこと夢見ていた物語の始まり>
「あぁそうだよ、お嬢」
「全てに決着が着くんだ、姫。俺と、相棒の因縁に」
彼らは視線を交わす。
そこには、驚くほどの敵意と同時に強い友情が滲んでいた。
そして、彼らの戦う理由が語られる。
「マイナーの意地、とくと味わえ」
「王道の輝き、その身に刻め」
「フェイなの
こそ正義だ!」
なのフェイ
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という頭の悪い話が書きたいです。
追記分(10/10/31)
別バージョンの下書が出てきたよ
===============
「・・・こえますか・・・僕の声が・・・」
始まりの声に彼らは同時にその目を開いた。
「起きてるか?相棒」
「聞くまでもねーだろ、相棒」
同じ声が、かすか違うトーンで応答を交わす。
そして二つ、その半身が闇の中浮かび。
同じ体つき、同じ顔、ワケ目が対照でアルゆえにより鏡の如く、にやりと年不相応に笑う。
「確認は?」
「今更?」
「それもそうだな」
二人にしか判らない会話をしながら、彼らは手早く着替えていく。
片方はオレンジのシャツに袖を通し、片方はブルーのTシャツを被る。
「それにしてもどーせ着替えるのになんで服着てるんだ?俺ら」
「保険だろ。バリアジャケット脱いだときパジャマじゃマズいべ」
「夜中に小3が走り回るってだけで駄目だろ、充分」
それぞれの首に光るのは、二等辺三角形8つで形成され、金で縁取られた蒼いペンダントと、八角形のプレートの知る者ならば八卦盤といわれる形のペンダント。
「サン」
<yes,ダディ>
「お嬢」
<year,ダーリン>
それらが彼らに応じる。
「今更ながら」
「長かったな」
<しかし、これからです、マスターズ>
<御方様たちの目的は>
「あぁ」
「何が何でも」
「フェイなの
なのフェイ ルートの成就を!!」
「ふふ」
「ククク……」
「流石神とまで呼ばれ、"え?これが正史じゃね?"とまで言わしめたMAD職人だった前世を持つ男だ相棒。
お前の物騙、俺の信念を揺らがせるには充分だったぜ」
「そっちこそ。大手ジャンルのマイナーCPという中にありながら壁際としての大役見事果たしていたサークルがかつての主。
何度お前の世界を公式が浸食するかと戦慄したかもわからん。だが」
「マイナーゆえの信念と覚悟、身をもって知るがいい!!」
「王道の王道たる所以、とくと目に焼き付けろ!」
<マスターズ>
<いかないんですか?>
「あ。やべ」
「しまった。折角のトコ見逃しちまう」
・・・・・・・・
キャラ設定含むのでこっちの方がいいかなぁ
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なのはオリ主×2 転生者原作介入?ものです
野郎二人になりますが ハーレム要素が入る予定は一切ない展開っつーかそっちの方がまだマシという説もあるかもしれない
代わりに百合要素?があります。要素っていうか、ネタ。
以下、色々混ざってるよ!
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